黄蝶の橋 更紗屋おりん雛形帖 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903008

作品紹介・あらすじ

五代将軍綱吉のもと、元禄文化が花開く江戸。京の呉服商「更沙屋」の一人娘・おりんは、親も店も失い、浅草今戸に住む叔父夫婦と長屋で通い奉公をしながら細々と暮らしている。いつか更沙屋を再建することを夢見て――。そんなある日、更沙屋を建て直すために貯めたお金を、叔父の善次郎が黙って持ち出してしまう。理由を問い質すと、江戸を騒がせている犯罪組織「子捕り蝶」に誘拐された飛松という7歳の少年を助けるためだという。飛松は、小僧として働いていた奉公先の大黒屋の息子とともに誘拐されたが、大黒屋の主人は息子の身代金しか支払わなかったため、飛松は帰ってこなかった。飛松の命が危ないと知った善次郎は、飛松救済のために大黒屋に誘拐組織に渡してくれとなけなしのお金を持参して頼み込むが、自分の息子が戻ってきた今となっては飛松の命などどうでもよいとばかりに断られてしまう。父親は借金を残して死に、姉は吉原に売られるた飛松。そんな飛松をかわいそうに思った善次郎は、かつて更沙屋の江戸店の主人であった時に奉公人として引き取ったという経緯があり、子供のいない善次郎にとってはわが子同然だった。事実を知ったおりんは、飛松奪還のために奔走する。ところがそこには上州沼田藩主、真田信利の圧政に苦しむ領民の姿と藩政を揺るがす大きな事件が……。史実にもある沼田藩改易事件をもとに、松尾芭蕉や新井白石、大老・堀田正俊、杉木茂左兵衛門といった実在の人物が重要なストーリーテラーとして登場し、史実とフィクションが入り混じった人間ドラマも読みどころのひとつ。華やかな大名家の生活を描く一方で、増税にあえぐ貧農の悲しい運命にもスポットを当てています。人間の美しさと醜さ、義とは命とは何か――喜怒哀楽のすべての感情を呼び覚ます、清らかな江戸人情時代小説です。

感想・レビュー・書評

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  • 更紗屋おりん雛形帖 シリーズ第2作目

    五代将軍擁立のとばっちりを受けて、潰れてしまった「更紗屋」を立て直す為に、越後屋で奉公する、おりんの物語。

    今回は、真田の分家 沼田藩の松姫の元で、奉公することになったおりんが、沼田藩の揉め事に巻き込まれる。

    藩主、真田信利の悪政に苦しめられる農民の為に直訴する、磔茂左衛門。

    そして、茂左衛門を匿う、松尾芭蕉。

    祖父、真田信之の反対にあい、本家の後継者になれなかった真田信利。
    その事が原因で、悪政を行う様になった、夫を、何度、諌めても聞き入れて貰えず、諦め「鬼の夫には、蛇の妻でよい」と、白無地の小袖を「いずれわたくしが着る小袖」と決意する松姫。

    生活苦の沼田の農民が起こした誘拐事件で、幼いながらも、お店の息子の身代わりになった、元更紗屋の奉公人、飛松。

    みんな「義」を心に抱いて生きていた。

    実在の人物や、事柄が、随所に散りばめられ、篠綾子さんの、独壇場と言える。

    おりんと桜木蓮次の関係は、どのように、進んでいくのか。

    末続のおりんへの気持ちは?

    次作品が楽しみである。

  • 葉室麟さんが歴史の解説をしてくれていました。息子や妻、百姓たちの生活を守る為、「義」のために自らを犠牲にする茂左衛門。夫と一緒に堕ちていく覚悟の松姫と信音。どうにもならなかったのだろうか、と哀しくなりました。

  • 本筋の更紗屋再建の方はひとまず置いておくとして、歴史上の重要人物がどんどん登場してきて、どんどん間口が広がり奥行きも増して面白くなってきた。史実はともかく、続きが楽しみです。

  • 201502/事件モノじゃなくてもいいような気がするけど、面白かった。

  • 第二弾
    叔父に使われていた丁稚が奉公先の息子と共に誘拐された県から沼田真田家の内政と両国橋の架け替えの陰に泣く義に準ずる領民と藩主と奥方の葛藤

  • ずっと町人のゴタゴタを描いて行くのかと思ったら、いきなり話がえらい大事になったりとか

    五両を貯める為にこれから物凄く頑張るんだろうなぁと思ったら、越後屋さんが簡単に形見の着物を渡そうとしたりとか

    色々予想を裏切ってくれるけど
    そう来たか!と言う嬉しい驚きじゃなくて、形見の着物の件などは何かオカシクね?ともやっとする感じ

  • 【美しさだけでなく、ひとの生き方を捜し求めた時代小説】時は元禄。子供たちはなぜ誘拐されなければならなかったのか? 事件解決に奔走するおりんは、藩政をゆるがす悲しい現実に直面する。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。第四回健友館文学賞受賞作『春の夜の夢のごとく―新平家公達草紙』でデビュー。短篇「虚空の花」で第十二回九州さが大衆文学賞佳作受賞。主な著作に『蒼龍の星』、第一回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞した『青山に在り』、シリーズに「更紗屋おりん雛形帖」「江戸菓子舗照月堂」「絵草紙屋万葉堂」「万葉集歌解き譚」などがある。

「2021年 『蛇含草 小烏神社奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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