2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する (文春文庫 エ 9-1)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903107

作品紹介・あらすじ

世界のグローバルエリートの新常識!バブルは再来するのか、エイズは克服できるのか、SNSの爆発的な発展の行方は……あの「エコノミスト」誌が人類の未来を大胆予測!

感想・レビュー・書評

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  • 予測は当たらないかも知れないが、考えることは重要。

  • 購入者:野澤
    現在の所有者:岡山

  • フェリエ

  • -108

  • 2015年(底本2012年)刊。

     約40年後、この世界はどうなっているか。
     環境・外交・食糧・人口・軍事・情報通信・エネルギー他資源・科学技術などについて、多面的な角度から検討を加える。

     未来論といいつつも、さほど遠い未来ではないので、現代の問題点の網羅的把握にこそ適した書と言えそうだ。読み応えもある。
     ただ、楽観的に叙述すると言いつつも、軍事・外交はさほど楽観的でない。一方で、環境・食料・エネルギーは楽観的。
     というように、やはり方向性の偏頗さは感じざるを得ない。

     元来、この種の書は、現状放置は危険性を孕むという警告の書であり、実際には正解せずとも構わないものである。現に本書の中でも、未来学は当たらないものと叙述されている。そういう意味で、多少厳し目に書いても過ぎたペシニズムとは思わないのに、と感じてしまう。

     さて、具体的内容だが、①中国の台頭(ただし高齢化の急進展によって経済的には頭打ち)と、②米国の外交・軍事面での脆弱化(勿論、一強という事態は変わらないが、廻りにも攻め手があるし、米国も思い通りにできにくい。南北格差の解消)、あるいは③資源問題の肝は水という点は納得できるところだ。
     また、21世紀は生物学の世紀である点も同様である。

     逆に、国内・領域内の相対的不平等面での格差拡大には甘め。また、環境問題(温室効果ガス比率の拡大による地球環境の急変・激変。典型例が夏季北極海の全面的解氷)の甘い評価はどうにも座りが悪い。というより、叙述から何らかのミスリーディングを企図したのではと勘繰りそうだ。

     他方、アフリカの帰趨と核拡散。重要なテーマだが、これは読めないなぁ。
     しかも、国家財政危機が亢進し、各国とも財源確保が必要なため、全世界的において累進課税強化へ、予測する。しかしホントか?。

     また、日本の衰退は既定路線。
     人口減・高齢化、基礎科学への資金投入不足。応用科学は他国のキャッチアップに遭遇ゆえ。さもありなん。

     さて、現在は、世界的に貫徹されているとは言えない「法の支配」。
     これは正しい法律の存在とは違い、遵法の精神である。また、裁判官買収・判決の非遵守はしない信条。もっと言えば、平和的デモに権力側が銃口を向けない誠実さとこれへの信頼感。道徳的に、あるいは能力的に悪徳な政治家を選挙で落選させられる自浄作用等を含意する。
     確かに、これは民主主義の十分条件ではないが、必要条件ではある。
     そもそも、法の支配は予測可能性を高め、実は強者にも利益があるのだが、強者はそのことを自覚できないのが始末に負えない。

  • 2050年の予想なんて。過去にも試みられた未来予想は、ほとんど当たらない。本著もその事を白状している。しかし、分かりながらもトライするのだ。そしてその中身は、少なくとも今この時点においては、的確な見立てなのだ。

    予想において比較的簡単なのは人口動態。難しいのはイノベーションや国家関係だろうか。特に、
    イノベーションの方向性一つで、全く異なる未来が描けるのだから、その影響力の割りに、現時点で公開され得ぬ中身も含めれば、その予想は容易ではない。

    非常に興味深く読めた一冊である。

  • 2015.05.30 全20章で構成されている。完成度は章によってバラツキがあるが、全体を通じて刺激的ではあった。特にマクロ視点はレベルが高いと感じた。予測がしやすいのだと思う。こういった予測ものにチャレンジするほどの豊富なエディター人のいるエコノミストがなせるわざと言えよう。

  • 日本が過小評価されているし、翻訳ものなので読みづらいという点もあるし、星を3つにしようか4つにしようか迷ったが、日本のマスコミが取り上げない視点で書かれていることが多いという点で、やはり参考になる本だと思う。
    日本のマスコミが取り上げないのは、この本の考え方が的外れだからだ・・・という反論は十分に成り立つと思う。が、日本の中にいれば、この本は日本のことを過小評価しすぎていると思えることであっても、やはり欧米からは、さらには新興国勢力からでさえも、日本の存在感がそのように見えてしまう、というのはあるのだと思う。そしてそのことを肝に銘じて、これからの日本のあるべき姿を考えていくことが大事だし、それができれば、この本の最後に書いてあったように「日本が没落していくという予測は外れる」のだと思う。
    また、日本とは経済的、政治的関係が希薄なためにやはり日本のニュースなどではあまり取り上げられないような国や地域も、これから2050年までに存在感を増して、日本を凌駕するような国際的地位を確立する、という可能性を意識させられたという意味でもやはり有益だったと思う。
    とにかく、2050年、そしてその先も、今までの常識に基づいて行動していれば安泰という世界ではなくなっている、特に日本はまさにそうなのだ、ということを肝に銘じておきたいと思った。そのためにも、P476の、高齢化問題のスペシャリスト、ポール・ウォレス氏の言葉を常に意識しておきたいと思う。
    「今後、世界に先駆けて高齢化社会に突入していく日本にとっては教育が最重要課題となるはずです。何も若い人ばかりではありません。この世の中が変化していく限り、どの年齢であっても、教育を受け続けられ、社会の変化に対応し続けられる社会を作るべきです」

  • ※メモ

    【きっかけ】
    文庫になったので駅書店で購入。
    将来予測はいろいろ見てみたい。

  • 【世界のグローバルエリートの新常識!】バブルは再来するのか、エイズは克服できるのか、SNSの爆発的な発展の行方は……あの「エコノミスト」誌が人類の未来を大胆予測!

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