かけおちる (文春文庫 あ 64-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903343

作品紹介・あらすじ

妻はなぜ逃げたのか。最旬作家の傑作時代長編藩の執政として秘策を練る重秀はかつて、男と逃げた妻を斬った。二十年後に明らかになる女心の真相とは。松本清張賞作家の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 後書きで知ったが、著者は60を過ぎて18年勤めた会社を辞めてから再び小説を書くようになったという。
    自分は7月末に夏休みにでも読もうと図書館で「遠縁の女」を借りたのがきっかけで青山文平にハマった。
    かけおちるは初期の作品ということもあり尻切れな部分もあるが、どうなっていくのだろう?というヒリヒリした気分で読み進めることができた。

    Amazonより-------------
    妻はなぜ逃げたのか。最旬作家の傑作時代長編藩の執政として秘策を練る重秀はかつて、男と逃げた妻を斬った。二十年後に明らかになる女心の真相とは。松本清張賞作家の傑作。

  • なかなか話に入り込めず、ずいぶん時間をかけて読了した。後半はなるほどそういう話か…など感じるところもありつつ、最後の作家さんご自身のあとがきなども読んでみて、さらに、なるほどと…
    「人の上に立つのはしんどいぞ。」と最後に岩渕家老が藤兵衛相手にはいた言葉がすんなり腑に落ちる。「腹を割って話す相手がほしい。」
    大きな器を持って、人は上に立てるものだと再認識する。

  • 武士の世というのは、嫉妬である。嫉妬を飼い慣らすことができるものと、嫉妬に翻弄される者とが、もっともらしい理屈をつけて争う。その中にわずかに義とか徳とか言ったものがあって、嫉妬の濁流の中から逃れ、義を持って徳をなす物語。

  • "人から言われるまでもなく、己の力足らずは骨身に沁みていた。が、興産掛を続ける以上、それを認めてはいけないと戒めてきた。"
    『半席』が良かったのでこちらも。こういう心情がわかるような世代になったものだと思いつつ、そこまでの覚悟もない私であるが、確固たる居場所を用意してくれない時代(著者後書き)の中で頑張ろうと思ったところです。

  •  時代小説家は、『キャラクターの心情を3文以上記述したら血を吐いて死ぬ呪い』にかかってるのか?
     とまで疑ったくらい、前に読んだ『海神の子』が悲惨な出来だった。だが、その疑念は杞憂に過ぎなかった。

     本作は、時代
    背景に即した、血肉のかようキャラが描写されている。
     タイトル通り、かけ落ちした、武士の妻、そしてその娘がでてくるお話。
     といっても、女性視点は謎解き的にでてくるだけ。
     殖産に賭ける下級武士(事情もち)とその娘婿がメインキャラ。

     かつ、読者は『各キャラの述懐』を総合することで新たな光が当てられ、主人公・阿部重秀と同じような新鮮な驚きが、味わえる。
     時代小説読みなら知ってて当然だろ、というすっとばしも少ないのも、良い。
     文句なしの星5つ。

     ああ読んでよかった、頭の中にある胃袋がようやく美味しいものを食えた。

     最後に美味しい所持ってく家老が良いキャラしてます。

  • 妻にかけおちられた阿部重秀、今度は娘がかけおちた。ふたり共に妻は夫のことを思って、夫が死なないようにかけおちたのだった。

  • 面白え。青山文平読むの2作目だけど、やはり時代小説とは思えない読み易さに引き込まれるし、そこに感動すらする。ドラマティックな歴史的出来事に欠ける時代を舞台にしてここまでのドラマを編めるのが凄い。ラストでタイトルの意味と妻の駆け落ちの真意がわかるシーンは痺れた。ただ、それも自分の興産の結果を知らずに腹を切った娘婿に関しては救って欲しかったなあ。これじゃみんな救われないじゃん。ハッピーエンドでいいんだよ?

  • 唐突に終わった感じがする。
    途中までは養蚕の事とか河川事業の事とか、実に面白いなあと読んでいたのだが、なぜこうなる?
    娘の顛末は、ああ相手と何れは...と想像するのも自然だ。そのための面倒を省くためか、辻褄合わせか、長英の書き方が気の毒だ。もっと気の毒なのは、妻と駆け落ちした男だ。彼はもっと気の毒だ。つまり、この家族3人が大団円になるための展開にしてしまった事が話を安っぽくしてしまった。しかも最後の最後に長崎行きまで脱藩扱いにならないとは。
    残念だ。

  • 考えさせられる。話の後半で判明する登場人物の感情、意図が明らかになると切ない。大切な人を思ってこその気持ち、行動においての男女の違い。絶妙すぎる。

  • 二人の妻の考えがどちらも解るようで解らない。しかし武士って不自由だよな

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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