- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167903343
作品紹介・あらすじ
妻はなぜ逃げたのか。最旬作家の傑作時代長編藩の執政として秘策を練る重秀はかつて、男と逃げた妻を斬った。二十年後に明らかになる女心の真相とは。松本清張賞作家の傑作。
感想・レビュー・書評
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なかなか話に入り込めず、ずいぶん時間をかけて読了した。後半はなるほどそういう話か…など感じるところもありつつ、最後の作家さんご自身のあとがきなども読んでみて、さらに、なるほどと…
「人の上に立つのはしんどいぞ。」と最後に岩渕家老が藤兵衛相手にはいた言葉がすんなり腑に落ちる。「腹を割って話す相手がほしい。」
大きな器を持って、人は上に立てるものだと再認識する。 -
"人から言われるまでもなく、己の力足らずは骨身に沁みていた。が、興産掛を続ける以上、それを認めてはいけないと戒めてきた。"
『半席』が良かったのでこちらも。こういう心情がわかるような世代になったものだと思いつつ、そこまでの覚悟もない私であるが、確固たる居場所を用意してくれない時代(著者後書き)の中で頑張ろうと思ったところです。 -
妻にかけおちられた阿部重秀、今度は娘がかけおちた。ふたり共に妻は夫のことを思って、夫が死なないようにかけおちたのだった。
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面白え。青山文平読むの2作目だけど、やはり時代小説とは思えない読み易さに引き込まれるし、そこに感動すらする。ドラマティックな歴史的出来事に欠ける時代を舞台にしてここまでのドラマを編めるのが凄い。ラストでタイトルの意味と妻の駆け落ちの真意がわかるシーンは痺れた。ただ、それも自分の興産の結果を知らずに腹を切った娘婿に関しては救って欲しかったなあ。これじゃみんな救われないじゃん。ハッピーエンドでいいんだよ?