ご隠居さん (文春文庫 の 20-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903411

作品紹介・あらすじ

「軍鶏侍」の野口卓、渾身の書き下ろし!腕利きの鏡磨ぎ師の梟助じいさん。江戸に暮らす人たちの家に入り込み、おもしろい話を披露して、ときには事件を鮮やかに解決します。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年4月文春文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。早くに隠居して、50歳手前か少し過ぎた年齢の梟助の鏡磨ぎの行商の様子が描かれる。梟助とお客さんの会話内容が当時の文献にある文化や事件に根ざしていて、特に落語ネタが多く蘊蓄満載なのが特長。ここを飲み込むと梟助とお客さんの会話で語られる内容と当時の様子が楽しく、面白く思えるようになりました。次作に進みます。

  •  鏡磨ぎの梟助じいさんが、お得意先で薀蓄とか落語の話とかをする、てお話。
     自分の素性も明かさない代わりに、その家のことや世間の噂も、余計なことに首を突っ込まず、うわさを広めないんだけど、勿体ぶったわりに梟助じいさんの正体は、別にそこまでのことでもなかったかな。
     1つ1つのお話はそんなに長くないのに、何か読むのに時間掛かった。

  • この主人公、なぜそこまで顧客たちに過剰に熱烈歓迎されているのか、よく理解できない。

    娯楽の少ない江戸時代で、面白鉄板ネタを定期的に供給してくれるということで、貴重な人材だったという立場で良いのかな?

  • 図書館で。
    聞き上手で物知りな鏡磨ぎの老人と彼の顧客との交わりのようなそんなお話。この間読んだカウンセリングの本に人が自己に備えている治癒力ってのは大したもので大抵の人は自分で解決策を知っていて話を聞くだけで治ってしまう人も居るみたいなことを読みましたがまさにそれを実践しているようなじさまだなぁなんて読みながら思いました。こういう気の置けない存在が居ると心強いんだろうな。
    シリーズみたいなので続きも借りてみようと思います。

  • 鏡磨きの梟助じいさん。出入りの家の人達からは色々な話をしてくれるからと訪れるのを楽しみにされている。その話の豊富さに、前職は何だったのかと勘繰る人もいるほど。さて、その正体は?

  • 鏡磨ぎの、梟助じいさんと、話を待ちわびている様々なお客とのやり取りが楽しい。
    落語がわかればもっと楽しめたかも。
    後半、じいさんの謎が明らかになって、
    ちょっと安心した。

  • よくわからない一冊でした。内容、ストーリー、そういうものはよくわかるのですが、作者は何を書きたかったのか、と言おうか、読者である私はどう読めばよいのか、それがわからない。構成のせいでしょうか。6編の短編で出来ているのですが。
    最初と、2番目がわからない。この2つを読み終えるのが苦痛でした。主人公の人物紹介なのでしょうか。このまま、続いていくのだろうか、と不安になり、3番目で少し小説になったかな、しかし、最後まで、統一感というのでしょうか、そういうものが感じられず、全体にちぐはぐというか、さまよう感じというか、無理矢理な感じを受けて、私はダメでした。
    主人公の設定は面白いというか、これからの活かし方で面白くなっていくと思うというか、面白いものもかけたはずだと思うんですけど、私のリズムとは合わない一冊でした、ということで。
    あぁ、なんだか「というか」が多い文章になってしまった。自分の文章に反省します。

  • 『ご隠居さん』 野口卓  文春文庫

    江戸の町を鏡を磨(と)いで回る「ただものではない」梟助じいさんの話。

    鏡磨ぎとは、曇った鏡を砥石や朴炭で磨き上げ、柘榴、酢漿草(カタバミ)、梅などの酸を出す植物で油性の汚れを除き、錫と水銀の合金のメッキを施す江戸時代の仕事。本来、鏡磨ぎは卑賤な仕事とされ、土間や勝手口で仕事をさせ、磨ぎ終わるまでほったらかしにされるのが普通。
    ところがこの梟助じいさん、行く先々で、縁側でお茶を出してもらったり、鰻をご馳走になったり、足湯を出されて、座敷に通されたりと、特別扱い。お武家様から、大店の奥様、商家の若旦那まで、じいさんに一目置いている。

    なぜなら、梟助じいさんは、落語、故事、書物に詳しく、驚くほどに物知りで、人当たりも良く、「見ざる」「聞かざる」「言わざる」の三猿を守り、鏡磨ぎに入った家の事は、決して外に漏らさない。だから皆鏡を磨ぐ間じいさんの側を離れず、話、いや噺を聞きたがる。教養のある主ほど、じいさんの正体をいぶかしむが、「耳学問で…」とかわされ、なかなか尻尾をつかませない。

    肩の凝らない時代小説で、面白く楽しめるが、最初は知っている落語ネタが続き、二度もいい気分でうたた寝してしまった。三度目に、漸く四話目辺りから、捕物話の緊張感も加わり、最後、じいさんの正体が明かされる「庭蟹」に至っては、不覚にも涙がこぼれた。

    落語を知らない人も、こんなの知ってる噺ばかり、と思う人も、江戸の大人の粋、人の世の人情や心の機微に触れ、「ああ、自分も早く隠居したい」…と思うかどうかは分かりませんが、私はこれを読んで、寄席通いがしたくなってしまいました。

  • 観たり聴いたりした落語と違い読んでいると時々面倒くさいなっと思う箇所がある。
    でも、もう一度読もう思っています。

  • 63
    面白い。
    シリーズ物になるのか。

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著者プロフィール

1944年、徳島市生まれ。さまざまな職業を経験し、ラジオ・ドラマ脚本・戯曲を執筆。1993年、一人芝居「風の民」で第3回菊池寛ドラマ賞を受賞。日本脚本家連盟会員、日本放送作家協会員。2011年、『軍鶏侍』で時代小説デビュー。同作で歴史時代作家クラブ新人賞を受賞、同シリーズにより多くの時代小説ファンを獲得。ほかシリーズに「ご隠居さん」「手蹟指南所『薫風堂』」「新・軍鶏侍」「よろず相談屋繁盛記」「めおと相談屋繁盛記」など、単著に『からくり写楽 蔦屋重三郎、最後の賭け』など著書多数。演劇にも造詣が深く、小説、戯曲、芸能、映画、音楽、絵画の多ジャンルでのシェイクスピア派生作品を紹介した著作『シェイクスピアの魔力』がある。

「2022年 『逆転 シェイクスピア四大悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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