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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167903480
作品紹介・あらすじ
戦争の本質を直視し、曇りなき冷徹さで描かれた傑作
大戦末期、関東軍による細菌兵器開発の陰に匿された、戦慄すべき事実とその開発者の人間像を描き、戦争の本質に迫った異色長篇小説。
みんなの感想まとめ
戦争の恐怖と人間の非人道性を赤裸々に描いた作品は、731部隊の実態を通じて、医学者が如何にして殺戮者へと変貌するのかを探ります。細菌兵器の開発に関与した曾根二郎の冷徹な姿勢や、無感情で行われる人体実験...
感想・レビュー・書評
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731部隊の一冊。
細菌兵器は知っていたけれど、ここまで赤裸々、生々しく綴られた作品は初めて。
そして衝撃も爆弾級だった。
軍人であり医学者である曾根二郎の、細菌兵器考案、製造に至るまでの過程。
ここにも見え隠れする医学者として、国のためという口実はあまりにも逸脱し過ぎていて、嫌悪感を通り越し戦慄しかない。
次から次へと行われる人体実験、そして全てなかったことにする"後始末"は地獄絵図そのもの。
ただ命令に従う、ロボットのような人間のさまも心に焼き付く。
戦後、動じない曾根とこの実験の関係者の怯えの対比もまた恐ろしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
731部隊を率いた細菌学者曾根二郎(石井四郎)を中心に描いた記録文学。医学者から殺戮者へと変貌を遂げる機縁、構造を淡々とした筆致で綴る。
非人道的な人体実験(かなりエグイ描写)、細菌兵器撒布による虐殺...。戦時中という非常時に現れる狂気に眩暈がする。 -
細菌兵器を完成させるための、捕虜に対する人体実験。
戦時下という、特殊な状況が生み出した術なのか。
戦争というものは、ここまでしないといけないのか。
平和な時代に生まれた、自分たちには想像すらできない。
平和な時代に生まれたことを感謝しなければならない。 -
第二次世界大戦時、細菌兵器を開発していた関東軍防疫給水部の研究と、その研究者の人間像を描いた歴史記録文学。
軍医の名前や部隊の名称は変えられているみたいです。しかし書かれている実験や研究活動の様子は以前読んだノンフィクションに勝るとも劣らぬ詳細さ。
そして、事実だけを冷徹に感情を挟まずに書く文体も吉村さんらしいです。
そうした感情を挟まない文体だからこそ余計に強く浮かび上がるのは、実験の異常さと残酷さです。
ペスト菌に汚染された大量の蚤の生産のため、体が干からびるまで吸血されるネズミ、より運動能力の高い蚤だけを選別するための作業、
そしてその残酷さや異常さは人間にも向かいます。凍傷の治療研究のため人為的に凍傷にさせられ、ペストに感染させられる捕虜たち、
また軍部は捕虜を”丸太”と呼ぶことからも、捕虜を人間として見ていないことが分かります。
そうした描写の数々は普通の小説以上の凄味にあふれています。
そしてこの部隊の率いる曾祢二郎の人間性もしっかりと描かれています。
自らの待遇や軍の派閥主義に嫌気が差し、先駆者のいない細菌兵器に活路を見出す姿や、すでに死刑が決まっている捕虜の実験だから、と言う理由で自らの実験を正当化し、
研究者としての好奇心を満足させ、ますます狂気の実験にのめりこんでいく様子がとてもリアルに感じられました。
戦後、戦争犯罪人として次々と軍部の人間が逮捕され、関東軍防疫給水部の隊員たちの多くも人体実験に罪の意識を抱くようになります。
そんな中曾祢に関してはそうした罪悪感を抱いている様子が描かれないまま生涯を終えたように読んでいて感じました。そこにあるのは、自分は戦争犯罪人だ、という罪悪感以上に実験による研究者としての満足と誇りがあったのかもしれません。
そして彼の罪を裁かず、研究資料の提供を求めたアメリカの振る舞いから、科学の発展は時にその裏にある罪や犠牲を飲み込んでしまうのかもしれないと思いました。
戦後、罪の意識を感じた隊員たちと曾祢の差と言うものは狂気の正義とそれによる成果を、戦後の正常な世界でも信じることができたのか、という違いだったのか、と思います。 -
第二次世界大戦中、満州で行われていた捕虜を使った細菌の人体実験や戦争で使用された細菌兵器の製造などが行われてたとされる731部隊(関東軍防疫給水部)について描かれている。京都大学医学部出身の曾根二郎(人物はフィクション)は細菌学者として細菌兵器の開発を満州にて行う。コレラやチフスなどの菌を蚤を使って兵器化し実際に寧波などで使用された。戦時中という倫理観が破綻した状況では人体実験を行うことにさえ正義が掲げられてしまうのはとても恐ろしいことだ。でも戦時中のこういう実験によって科学や医学が進歩している側面もあるんだよな。
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戦中の細菌兵器研究の施設で行われた戦慄の事実。
丸太と呼ばれた人々。
苦しめられ死んでいった人々。
それに従事していた人々。
戦争は、人を人でいられなくする。殺し合い。
知るべき事実がそこにありました。
七三一部隊の本を読んだことがあるけれど、それとはまた違う、吉村昭さんの語り口に一気読み。 -
短大生のとき、造形の授業の講師に
おすすめされた一冊。
いや、なんでおすすめしてくれたんだ…?と
思いつつやっと読んだ。
というか、やっと読みきった。
(去年の夏あたりから読んでる笑)
描写が本当にキツい。本当にあってもなくても
そういう考え方を持っている人が少なからずとも
いるんだよね。怖い。
どうしようもない気持ちになる。
腹立つし、悔しいし、悲しい。怒り。
私が4年生まで通っていた小学校は
戦争学習や人権学習に力が入っていて
毎年終戦記念日のあたりに合わせて、夏休みにもかかわらず戦争の授業(自由参加)が設けられていたなぁ。
なんか思い出しちゃった。
その時はまだ、可哀想だな戦争反対!ぐらいにしか
思っていなかったけど、大人になって
そして今の時代になって、この本を読んで
もっと知らなくてはいけない過去があって
そこから学んでいかなくてはいかないことがあるんだなって思えた。反面教師にして。
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読了。
曽根二郎とあるが、明らかに石井四郎がモデル。731部隊は森村誠一の「悪魔の飽食」で有名となるが、共産党のプロパガンダ小説に堕ちた同作と異なり、比較的史実に沿った淡々とした筆致が、反って人間の心の底に巣食う残虐性を浮き彫りにする。戦争が狂気を生むのか?それとも極限状況が人間の本性を詳らかにするのか?平時であれば、石井四郎とて善良な一医師に過ぎなかったかもしれないのだ。 -
淡々とした筆致で、日本史の暗部を描いたノンフィクションに近い小説。
細菌兵器。
命を大切にするという常識的な道徳・倫理感よりも、資源のない日本のために、細菌兵器という科学技術開発に、心血を注いだ天才的な医学者の戦争参加。
日本的な、あまりに日本的な組織の動き方に慄然とした。
細菌兵器の開発から人体実験、そして、敗戦近くになると、証拠隠滅。
関東軍防疫給水部の創設から解散、そして、戦後の関係者の様子までを見事に描いている。
関係する資料などは、関東軍などにより、「徹底的に」破壊・消滅したため、「証拠」はほとんどないが、吉村氏の入念な取材により、ここまで細部まで描くことができたのだろう。
今の若い人のほとんどは、この歴史を知らないのではないだろうか。
読み継がれるべき作品だと思う。 -
最大の特徴は石井四郎の実名を用いてない事。個人の罪を追求するのではなく、戦時下という特異な環境の中、人間はどこまで人間性を失えるのかという点がテーマになったがゆえだが、その深すぎる罪を考えると、(裁かれるは彼のみでないとはいえ)匿名は却って、この問題への著者の曖昧なスタンスのようで、もやもや感が残った。ただ読み易い分、731部隊の概要や細菌戦とは何か等、あらましを知るには適しているし、異常な実態の描写には良くも悪くも読む手が止まらない。
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フィクションのようになっているが、ノンフィクションだった。関東軍防疫給水部は731部隊で、曽根二郎は実在の軍医らしい。ペスト菌の蚤を風船に乗せアメリカに飛ばすという発想が怖い、凄い。戦争はやはり異常だ。
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731部隊の歴史的史実の小説でここ迄赤裸々に内容を知ってしまった事実が爆弾級でした。
曾根二郎と言う天才細菌学者が作り出す戦争兵器…
正義とは何か,各々にどう解釈する事が出来るか問われる1冊でした。 -
生物兵器開発。
寝る前に読む本ではないです。
正義とは。 -
太平洋戦争の際に日本軍部が取り組んでいた細菌兵器を開発していた「731部隊」に関する歴史小説。
吉村昭の作風らしく、事実を淡々と伝えるアプローチで、却って迫ってくる恐怖を感じる。
ナチスの残忍な行為もそうだが、人間が人間性を失っていく、これが「戦争」の狂気、そして愚かなところ。この部隊を率いる石井四郎は、自分の任務、科学の発展のため、という錦の御旗に疑いをもたない。
今を生きる我々にとっては、このような悲劇を風化させない努力が必要なのだろう。 -
戦時の衝撃な事実。旧日本軍が満州で行った戦慄すべき人体実験。日本人である限り眼を背けてはいけない歴史の事実が書かれている。知っておいてほしい事実の話。
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2020.10.1(木)¥200(-20%)+税。
2021.4.24(土)。
重複購入 -
この本は、実際に戦争中に存在した関東軍防衛給水部(731部隊・石川部隊として有名)をモデルにした作品である。
曽根二朗という非凡な医者が、中国で化学兵器を作成し人体実験する物語である。
昨今では、あまり読まれない作品に入るやしれないが、ぜひ読んでほしい一冊である。
世界では今も化学兵器の開発が行われ、オウム事件のような民間テロもいつおこるともしれない。曽根二朗とい医学研究者を通して、人のための科学を、人を殺めるための科学に援用していくさまを読んでほしい。
蚤とは、細菌のカプセルである。それを爆弾に詰めてどうしたら人に感染させられるか、それを深淵に考える、その存在が怖い。
コロナ禍。ウィルス・細菌の怖さは承知している。
細菌(ウィルス)製造という決してやってはいけないことをした国がかつてあり、今もどこかにあるのかもしれない。 -
さすが吉村氏。
北満州、ハルピン南方のその秘密の建物の内部では、おびただしい鼠や蚤が飼育され、ペスト菌やチフス菌、コレラ菌といった強烈な伝染病の細菌が培養されていた。俘虜を使い、人体実験もなされた大戦末期―関東軍による細菌兵器開発の陰に匿された戦慄すべき事実と、その開発者の人間像を描く異色長篇小説。
著者プロフィール
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