剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎 (文春文庫 た 95-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903695

作品紹介・あらすじ

戦国の世、井伊家を背負って立った女がいた徳川四天王・井伊直政の養母、直虎。彼女は先を視る不思議な力を持っていた。戦国の世に領主となった女の熾烈な一生を描いた渾身作。

感想・レビュー・書評

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  • 大河ドラマにもなった戦国の女領主井伊直虎の物語。
    直虎を名乗る香の幼少から亡くなるまでの物語ですが、尼時代の話がメインでした。
    井伊直虎として、戦で活躍する様な物語ではありません。戦よりも、戦国時代の難しい他家との関係の中、どうやって井伊家を守り通したのかという物語。

    この井伊家ってほんと大変だったんですね。
    策略にはまってどんどん男が亡くなっていく。そして、その策略を図っていたのが小野政次。
    敵対役としてキャラが立っていて良かったです。
    そんな政次と主人公の香の微妙なそして切ない関係がまた良かったです。
    さらに、香には予知能力があり、それがこの井伊家を救う事になるかと思いきや、そんなことはなく、逆に、その能力故に自分の無力さを思い知るという設定も良かったです。
    本書では女の化粧がアクセントとして効いています。
    最後
     ー 生涯、ただ一度の紅であった。
    この一文が彼女の激動の人生を表しています。

    やっぱり時代小説って読むのは疲れる(笑)
    名前は変わるし、婚姻関係で親戚作りしていくことから人間関係が分かりにくい。
    それでも本書では、家系図がついていて、人間関係を理解しやすかったです。(何度も見直してしまった)

  • 剣ももたず、紅も刷かず。
    香が魅力的なのは、男としての武力、女として嫁ぎ子を産むこと、どちらも選ばずに生きたこと。

    史料が少ないと思われる題材を、ファンタジー要素や伊那の女性きぬの視点を交えて豊かに丁寧に描いた作品。
    全編シリアスながら、合間に入る直政と家康の会話はユーモラスで楽しい。

    権力や野心をエネルギーに活動する男性たちに共感できない香の気持ち、よくわかります。
    いままで歴史小説が読めなかったのは(作品にもよるんでしょうけど)、「女と権力」へ向かう男性の欲望が理解できなかったからなのか…とこの作品を読んでいて気づきました。

    合戦の場面がないので地味といえば地味なんだけれど、そのぶん主家や周辺との駆引き、婚姻による家同士の結びつきの大切さが印象に残ります。

  • 徳川四天王の一人、KOEIの「信長の野望」シリーズでもいつもながら能力高くて頼もしい井伊直政。
    その養母にして、井伊家二十三代目当主となり、激動の戦国時代のなか井伊家を守り抜いた女性。
    井伊次郎法師直虎(本作では、「香(かぐ)」「祐圓尼」などとも。)の物語。

    2017年のNHK大河ドラマということもあり、予習がてら、じっくりと堪能させていただきました。

    文庫版で450頁弱あるなか、その5分の1程度が井伊家の歴史や時代背景、時代考証的な詳しい説明であったような印象。
    しっかりと調べてらっしゃるなぁという感心とともに、歴史書を読んでいるような感覚もありました。

    一方で、「小法師」関連のSFファンタジー的描写。
    戦国の力と力がぶつかり合う井伊谷の地で、そして、激動の1500年代後半の時代背景のもと、女性でありながらも井伊家を存続・飛躍させた偉業。
    それを想えば、その原動力のひとつの要素として、このような人知を超えた力を持っていたと連想させるのも、それほどまでに非合理ではないのかもしれませんね。

    これまで、司馬遼太郎、山岡荘八、吉川英治といった、様々な時代小説に触れてきました。
    が、本作は、これらとは全く異なる、女性を主人公とした女性作家ならではの視点・内容に溢れていたように思います。
    具体的には、お化粧道具がキーアイテムのひとつとなっている点、お産などの描写、女性視点での戦国武将描写、女性同士ならではの緻密・迅速な情報連携、そして合戦描写がほとんどない点(笑)など。
    とても新鮮でした。
    そして、現代に残る史料にはそれほど詳細に残されていないのかもしれませんが、どの時代にも確かに様々な女性がいらして、様々に活躍されて、その一人ひとりが今に連なる歴史を創ってこられたのだろうと想像させてくれます。

    上記のほか、
    香と直親・政次との複雑で切ない人間関係。
    南渓和尚の懐の広さ・深さ。
    井伊家を取り巻く男性陣・女性陣、それぞれの個性・多様さ。
    などなど...

    この魅力あふれる歴史小説は、来年の大河の予・復習にピッタリかも!?

  • 大河ドラマにはまって小説も読んでみた。ゆえに高橋一生の顔がちらつく。正次…。
    あまりエピソードがない中、大河はどうもっていくんだろう?

  • 大河ドラマを見る予備知識にと思い読み始めた。
    井伊直虎という人を全く知らなかったので、本文を読んでいる間は直虎には本当に予見能力が備わっていると思い込んでいた。解説を読んでそこはフィクションだと知ったのだか、本文中の直虎が史実の直虎であればいいなぁと思うほどの女性でした。

  • 来年の大河ドラマの主人公である井伊直虎を題材とした小説。
    史実をよく調べた上で、直虎が予知能力を持っていたというファンタジー的なフィクションを絡ませており、読み物として楽しめる内容だった。
    井伊家の歴史、直虎が女性ながら城主となった経緯がしっかりと説明されていて、勉強になった。

  • 女性が強くていい。
    「!」の使い方とか、単語とか、少々気になるところはあるけど、まずもっておもしろかったです。大河も楽しみです。

  • 誰が悪い訳でも無いし様々な生き方があったんだよなというのが、面白い所。不思議な物が見えても何も出来ないというのが悲しい

  • 謎多き直虎の史実を元につくられている作品。
    もちろん『つくられている』ので実際の話では無いが、フィクションと言いきれないのが歴史の面白さ。
    そしてその史実でさえ事実かは分からないが、こんな当主がいたかもしれないと思うとロマンがあるなと思った。

  • NHK大河ドラマは今年の1月より新しいのが始まったばかりだが、すでに来年のテーマは決まっている。

    その本がこれ。
    「戦国の女領主・井伊直虎」というサブタイトルが付いてる。

    地元、遠州の井伊谷が舞台となるんですから、浜松に住んでたら読まないと。

    しかし、読みにくい。。。

    著者は「たかどの まどか」さんという若手女流作家さん。
    基本的にライトノベルズ系の作家さんだそうだが、こういった時代物、戦国物は初めてなのかな?
    もともと時代小説って、名前や土地名、言葉が難しいんですが、それだけじゃなくて、なんか文章が整理されていないというか。。。
    池井戸潤さんなんかは、何度も何度も読み直して、校正して完成させるという話を聞きましたが、この小説はそれが出来てないように感じました。

    前半、4分の3ぐらいまでが(ほとんどじゃん)、各登場人物の生まれや育ちなんかで、後半4分の1ぐらいになって、やっと主人公の直虎(香(かぐと読みます))が領主になって物語が動き始めます。
    なもんだから三方原の合戦の事なんて、ほんの数行で終わってしまいます。
    ただ、浜松城や金指、気賀、竜ヶ岩洞、小國神社、鳳来寺なんかの土地勘が有ると、あああの辺でこんな事が起こってたんだねって事が解ります。

    私は大河ドラマはほとんど見ませんが、来年は見てみようかなと。
    地元が舞台になるなんてことは、そうそう有りませんからねぇ。
    予習のために、読んでおく事をお勧めします。

    しかし、この本の表紙。。。こりゃ無いでしょう。
    マンガじゃないんだからさぁ。
    いくらライトノベルズ系の作家さんだからと言っても、中身はライトノベルじゃないですから。

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著者プロフィール

1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。主な著作に「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』、『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、『マル合の下僕』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』、『主君 井伊の赤鬼・直政伝』(文藝春秋)など。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。

「2023年 『忘らるる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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