- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167903718
作品紹介・あらすじ
生のぎりぎりの淵をのぞき見ても、もっと行けたんじゃないかと思ってしまう」探検家にしてノンフィクション作家の角幡唯介が、みずからの性とジレンマを描き尽くす。冒険とは何なのか。生きるとはどういうことか。自分はいったい何者なのか。極限状況において、自らに問い続けた果てに、しぼりだされた珠玉のことば。いま最も期待される探検家、はじめてのエッセイ。
感想・レビュー・書評
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角幡唯介『探検家の憂鬱』文春文庫。
探検家という稀有な職業を選択した著者による初のエッセイ。
先に読んだ高校を中退し、渡米してから歯痛で僅か8ヶ月で帰国したにも関わらず、アメリカにかぶれ、サブカルチャーの周辺を漂っている松浦弥太郎のエッセイ『最低で最高の本屋』の100倍は面白い。
探検とノンフィクションとのジレンマに悩み、探検に付きまとう死の影に怯えながら何度も死線を乗り越えた著者ならではの面白いエッセイ集であった。やはり、全うに真っ直ぐに真面目に己れの人生を切り開こうとしている方の主張には共感するところが多々ある。終盤に傑作ノンフィクション『極夜行』に描かれたデポ計画にも少し触れている。
本体価格650円(古本100円)
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面白かった。いつの間にか結婚して子供まで生まれていたんだな。
妻子があると、これまでのように好き勝手に「探検」はできなくなるだろうから、ある意味今後の活動に注目していきたい。 -
角幡唯介のエッセーは彼のそもそもの文章力というか表現力の高さが分かる内容になっている。感性が少し一般の社会人と違うけど、イヤな感じじゃない。とても新鮮なものの見方に感心するとともに芯の強さに逞しさや柔軟さを感じてとても好きなライターだと思う。
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探検家である作者のエッセイ本です。
冒険談だけで無く、硬派なイメージの強い探検家の内情を赤裸々に語るエピソードが笑いを誘います。
読んでて一番印象に残ったのが、違和感に気づいても打開策を講じないという内容です。失敗を後から振り返れば、なんであんな行動をとったんだとよくよく考えれば分かることをする時があります。人間は流れやすい生き物だからと作者は表現しており、常に立ち止まって考える時間の大切さを痛感しました。
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勇壮な探検の模様を綴ったルポかと思ったらわりと気楽に読めるエッセイ。しかも何だか長いものに巻かれたがらず理屈っぽいこじらせ屋な感じがプンプンした。角幡さんって自分みたいだけどちょっと煙たい人物かも。
それはそれとして、探検家って現代にあっては不思議な職業だよね。いや、そもそも「家」だから職業というにはちょっと危うい感じかしらん。研究や開発として企業とかがチームをつくってやるようになって「発明家」という肩書がそぐわなくなったように、探検家というのもいまや希少種だろう。そんなことを角幡さんも言っていて、だからか衛星電話を持たずに探検にいけるだろうかとか、原始的なかたちでこそ探検なのだといった持論を述べていたりする。
角幡さんは探検するだけじゃなくて、それを書くことも仕事のうちとしているから、そのことで書くことを前提とした視点ってどうなんだろうといったことも考えている。こういうところが理屈っぽい。ある意味マニッシュで武骨でイメージ上の探検家っぽい。 -
2018.5.5一箱古本市で購入。
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「探検を含めた冒険行為は人間が生きることの意味を表現するための有効な手段になる」と考える著者が、冒頭、便利な飛行機や自動車や通信機器の揃う現代で、冒険することの意味、どういったことが冒険となりうるかについて熱く語る冒頭は、少々理屈っぽすぎて、挫折しそうだった。なんでそんなことするの?と言う冒険しない人からの無理解に、きっと自分なりに考え続けたことだったのだろう、と。ただ、「それしかない」手段で行われた大昔の冒険と、無補給やGPSなし、単独、徒歩など、自ら望んで制約をつけざるを得ない冒険との間には、質的にも意味合いとしても大きな違いを感じざるを得ない。/「「物書き」が紀行文においてさりげなさを装うことは欺瞞にすぎない」(沢木耕太郎「夕陽が眼にしみる」)は、エッセイや自伝にも当てはまらないかとふと思い。/北極の冒険が文章になりにくいのは、「雪の上を歩いた。寒かった。飯を食った。寝た。」でかなり説明されるから、と言いつつ、アグルーカの行方は、手に汗握る読み物として成立していたのは、手腕が発揮されていたからか。/「私は探検や冒険がしたい。未知の空間の中ではらはらとした時間に身を置き、それをうまく文章で表現したい。だけどうまくそれができなくて困っている」/私たちの身体が自然から大きく切り離されてしまったことへの警戒感/
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書いてる内容がおもしろいから読むけどこの人とは気が合わないだろうなって思った。
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身近な話から始めてくれるのがいいな〜。