禁断の魔術 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 632
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903770

作品紹介・あらすじ

ガリレオ最新長編、文庫オリジナルで登場!姉を見殺しにされ天涯孤独となった青年。愛弟子の企てに気づいたとき、湯川がとった驚愕の行動とは。あの衝撃作が長編でよみがえる!

感想・レビュー・書評

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  • ガリレオシリーズ長編。この文庫版は単行本の内容とは少し違うらしいのでご注意を。

    裏表紙のあらすじ紹介によると『シリーズ最高傑作!』とあるが、個人的にはそれはどうなのかなぁという感想。シリーズ全てを読んだわけではないので分からないが、ファンの方はどう思うだろう。

    冒頭は訳ありげな女性の死。その後、その女性の弟・小芝伸吾が高校時代、一時的に湯川に師事していたことが分かる。
    場面は変わってあるフリーライターが絞殺される事件の話。彼の出身地では『スーパー・テクノポリス計画』なる、科学技術研究所の集積地建設が進められている。
    だが自然破壊や放射線漏れなどの恐れから反対運動が起こっている。
    その『スーパー・テクノポリス計画』を推進しているのが大物代議士の大賀で、殺されたフリーライターは計画を頓挫させる目的で大賀のスキャンダルを探っていた。そして伸吾の姉もまた、大賀担当の新聞記者だった。

    物語は割とシンプル。
    伸吾は姉の復讐のため、大賀を狙っていると見える。そのための凶器がタイトルにある『禁断の魔術』ということだろう。
    度々実験シーンがあるが、科学については分からないのでへぇ~と恐れ入ることばかり。ただこの『魔術』にはデメリットも大いにあることが分かる。
    しかし湯川は何故か伸吾を庇う。彼はそんなことをする人間ではない、『装置』は武器ではないと繰り返す。一体何故そう言い切れるのか。

    一方でフリーライターの殺人や『スーパー・テクノポリス計画』が物語とどう関わっているのか、ということも気になりつつ読んでいた。
    ところが中盤から毛色が変わってくる。
    地方を食い物にする政治の暗部の話かと思っていたら、結局は人間同士の話だった。伸吾の姉も何だかなぁという感じ。伸吾が理解できないのだから第三者である読者はもっとだろう。

    湯川があれほど信じていた伸吾については結局はあれだったわけで、ただ終盤の山場での湯川の行動については理解出来た。一時的な弟子とは言え、湯川なりの責任の取り方だったということだろう。そこを警察に任せずに自分の体を張ってというところが湯川らしさだろうか。

    しかし結末としては釈然としない。
    これが現実ということかも知れないが、だからこそ小説という作り事ならではのオチがあっても良かったのではないかとも思ってしまう。
    特に大賀については。秘書が言うように『大勢の人間』を抱える一派のトップであるならば、そもそも軽率な行動をするべきではなかったのでは? そもそも論を言うなら、そういう軽率な行動に走るのを諌めるのこそ秘書の役割では? 人命を見捨てられない行為を諌めるのではなく。

  • 久しぶりのガリレオシリーズ。湯川先生の謎解きが面白いのだが、今作ではあまりそう言う面が出てこない。後輩の犯罪、それも自分も関与しているので、友人の草薙刑事に尋ねられても歯切れが悪い。庇うかのごとく。
    推理小説ではあるが、殺人の犯人は意外だったものの、最後の結末が人情物になってしまったように思う。主役が福山雅治のままで演じて見えるのも良し悪し。

  • ガリレオシリーズ。今まで映像化してんのは、全て観てる!多分(ーー;)
    活字は、今回はじめてやけど、やっぱ面白いわ。
    映像から入ったので、私の脳内では、湯川准教授=福山雅治になってしもてる(^^;
    自身が完全な文系なんで、完全理系な部分は、少し???な部分はあったけど、科学のええとこは、分かったつもり。
    その科学を復讐の道具にはできん!
    弟子の間違いを改めさせようと湯川准教授は動くが最後は…
    クライマックスは、ドキドキして良かったけど、私なら禁断の魔術にしてしまいそう。

  • 育ての親だった姉が死亡。
    大学を中退して町工場で働く古芝信吾を中心とした物語。
    フリーライターの殺人事件。
    そこから見えた街や代議士を含む様々な因縁。
    そこに信吾との関係とは。
    追っていくことに明らかになる謎。伏線回収は見事。
    ただ、姉の目的は最後まで自分にはよく分からなかった。
    全体的にはこれでよかったかなという終わり方だと感じました。

  • 2022年9月17日にガリレオSPドラマとして放送された。

    高校の物理研究会に所属していた古芝伸吾は、帝都大に合格し、先輩にあたる湯川に挨拶に来た。意気揚々としていた伸吾だが、その夜、最愛の姉が死亡したことを知る。その後大学は中退し、町工場で働いていた。一方、フリーライターの長岡がある日殺されているのが発見される。彼は大物代議士である大賀仁策のスキャンダルを狙っており、その大賀の元担当記者が伸吾の姉であることが分かる。慎吾は事件後行方をくらましてしまい…

    今回テーマになるのはレールガンだ。これは、フレミングの左手の法則によって得られる力(ローレンツ力)を利用し物体を加速、発射する装置だ。新材料の開発などに用いられる技術だそうだが、残念ながら兵器にも利用されようとしている。

    「悲しみは大きな力に変えることができる。だから科学を発展させた最大の原動力は人の死、すなわち戦争ではなかったのか」
    「科学技術には常にそういう側面がある。良いことだけに使われるわけではない。要は扱う人間の心次第。邪悪な人間の手にかかれば禁断の魔術となる。科学者は常にそのことを忘れてはならない」
    という台詞があるが、このことを胸に刻んでいる科学者が増えれば戦争は減らせるのだろうか?

    自分が新入社員の頃、自分が何をしているか理解をしながら仕事をしろ、と散々言われてきたが、伸吾の父親のように後悔しないためにも心に刻んでおきたい言葉だ。

  • ガリレオシリーズは人気だから敬遠していたが、読むとやっぱり面白い。
    科学がトリックになっているのは、さすが東野さん。

    ラストで踏みとどまれたのも良かった。
    湯川の説得は心に響く。

  • 湯川の出身高校のクラブの遥か後輩、古芝伸吾は、姉を見殺しにした不倫相手の大物代議士を深く恨み、大学を中退して町工場に潜り込み、復讐に向けて夜な夜な作業に没頭する。伸吾の作戦は、かつて湯川に手ほどきを受けた "レールガン" の精度を高め、代議士を葬ることだった。ガリレオシリーズ第8弾。

    本作、伸吾が泣き寝入りする形での終わり方には不満を感じた。科学者の良心に訴えて中途半端に犯行を阻止するだけで終わるなら、いっそ復讐を遂げさせた方がよかった。代議士に懺悔させるなどの展開、何でないのかな。

    確かに、警察と一線を画す湯川の行動は、これまでのガリレオ作品と一味違っていたが、「シリーズ最高傑作」と言われてもなあ。

  • 天才物理学者 湯川が解明する人気連作ミステリ第八弾。ある日、古芝伸吾は理工学部物理学研究科第十三研究室を訪れる。伸吾は高校時代に湯川から科学を学び、その魅力に感銘を受けて帝都大学を受験を果たし、湯川の元へ挨拶にやってきたのである。しかしその日、伸吾の姉が都内のホテルで死亡した。それから十ヶ月後、フリーライターが殺される事件が起きる。容疑者として浮上したのは、湯川の教え子 古芝伸吾であった。

    「私は君にそんなことをさせたくて科学を教えたんじゃない」

    姉を殺された青年の心の傷。その背景に渦巻く闇。孤独になってしまった青年が、闇に立ち向かうため、残されていたのは「科学」の力だけだった。特に終盤の息継ぎも許さぬ怒涛の展開には、もう、目を離すことができませんでした。

    物語を通して描かれる、湯川と愛弟子との絆。お互いがお互いを信じる気持ち。湯川の人として成長していく姿。すべてが心を打つ。なんて良い読後感なのでしょう。

    「いかなることがあっても、科学兵器によって人間を傷つけたり、生命を脅かしたりすることは許されない。」

    科学技術は決して、良いことだけに使われるわけではない。要は扱う人間の「心」次第である。邪悪な人間の手にかかれば、禁断の魔術となる。化学の力が、どうか、人のためであってほしいと願う。

    ぼくにとって、本作「禁断の魔術」は、間違いなく、ガリレオシリーズ最高傑作です。ぜひ、みなさんも手に取ってみてくださいね。

  • 決してつまらない訳ではないのだけれど、、、

    ガリレオシリーズが、素晴らしすぎて、
    その中と比較すると少し下がるかなぁと。

    でもドラマは見ます!
    そしてその後また読んだら印象変わるかも!

  • 姉を見殺しにされたことの復讐を企てる古芝伸吾。高校の物理研究会の先輩である湯川は、科学技術を利用した企てに気づき、、。
    面白すぎてあっという間に読み終わってしまいました。理系の知識が沢山出てくると面白いですね。レールガンは初めて聞きましたが、最近のニュースでこのレールガンの開発に防衛省も着手するということがありました。東野圭吾さんの先見性に驚かされます。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

「2022年 『希望の糸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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