烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.10
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本棚登録 : 2398
レビュー : 247
  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903831

作品紹介・あらすじ

若宮と少年が挑む朝廷権力争い。人気シリーズ第二弾!優秀な兄宮を退け日嗣の御子の座に就いた若宮に仕えることになった雪哉。だが周囲は敵だらけ、若宮の命を狙う輩も次々に現れ……。

感想・レビュー・書評

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  • 1巻は正直なところ、傍若無人な若宮の登場についていけなかった。

    「若宮、最後だけ出てきて何やねん」

    …読み終わった後、関西人も関西人でない人も、こう思った人はけっこういると思う。

    この2巻はそんな読者の疑問に応える、1巻の対となる話だった。もともと、ひとつのお話として書いていたものを2冊として分けたとのこと。
    2巻は簡略化するとこんな話。

    「俺は若宮。こんな奴やねん」

    色々なところで書かれていたけれど、確かにこれは、1巻と合わせて読むべきだ。
    1巻では、若宮は一年の間桜花宮を訪れずに姫たちを放置した挙句、急に現れ、「俺も、命狙われたりして色々大変やってん、蔑ろにしてたわけじゃなくて」的な言い訳?を言う(朧げで適当な記憶に基づくので、間違ってたらすみません)。
    でも確かに若宮の渡りがなかったこの期間は、優秀な兄宮を日嗣の御子にと推す一派から命を狙われ、貴族の勢力争いにも絡む異常事態が続いていたわけで、若宮の言葉は不誠実なものではなかったのだなと。

    今巻の主人公格は、北の領地、垂氷の郷長の次男である雪哉。垂氷ではぼんくら呼ばわりの少年が、ある正月の出来事を機に、若宮の側仕えをすることになる。変わり者で横柄な若宮の側仕えは誰も続かず、雪哉がたった一人で若宮の雑用をこなし、その信頼を得るようになっていく。

    雪哉は、1巻では桜花宮の上空を鳥形で飛んで捕まったり、七夕の節句で若宮の代理をさせられ姫たちから落胆されたり、ちょっとかわいそうな役どころだったが、憎めない愛嬌がある。
    若宮にもぞんざいな口の聞き方をして、この少年と若宮との掛け合いが面白い。

    ミステリー仕立てなのは1巻と同じ。1巻と2巻が時々リンクする。若宮傲慢で嫌な奴だと思っていたけど、誤解される人だが傲慢なだけじゃなく、人を思う優しさもあることがわかる。
    1巻でやめようか迷った私だが、同じように迷っている人がいたら、2巻も読んでみてと勧めたい。

  • 八咫烏シリーズの第二弾。前作を読み終えて、続きはどうなるのかなと思ってたら、作者の阿部さんは安易に物語を進める方向を採らず、物語をより深める方向を選んだ。そう思ってみると、確かに前作では回収されていない謎がいくつか残っている。

    前作では常に物語の中心に居ながら、最後まで姿を見せなかった若宮。自らの后選びの期間、彼は何をしていたのか、なぜ后候補たちの前に姿を見せることがなかったのかが本作では語られることになる。そして、前作で大失態をやらかした若き近習の雪哉の名誉が大いに挽回される物語でもある。イジられキャラの雪哉とオレ様キャラの若宮の掛け合いが実にいい。

    解説によれば、裏表のような前作と本作は、本来ひとつの物語であったという。また編集者はインタビューで、著者の阿部さんの頭には八咫烏の世界が現実にあるかのようだと語っている。それは現実社会では、私たちの知らないところで様々なことが起きているように、若宮や雪哉の行動の影で文章になっていない瑣末なことや人物もすべて阿部さんの頭の中にはあるということでもある。そして、それが物語に深みを与えている。

    本書も前作と同じく、謎解きの楽しみも味わえる。そして、前作では残された謎も、今作で新たに生まれた謎もまだまだある。続きが気になる。

  • 文庫で再読です。
    第1巻『烏に単は似合わない』と同じ時間軸を、今度は若宮サイドから描いた第2巻。

    若宮の后候補の姫君たちを描いたきらびやかな1巻と比べて、山内の庶民階級のことや谷間と呼ばれる裏社会も描かれ、世界観がひと際深まる第2巻。
    今回、第一部読了後に、1巻から再読しているのですが、著者の世界観の広げ方が巧妙だな、と思いました。
    徐々に読者を八咫烏の世界に馴染ませて、置いてけぼりにもしないし、飽きさせもしない。
    そこを舞台になんとも魅力的な登場人物たちが活躍するのだから、もう夢中です。

    雪哉の図太くて小憎たらしい感じがたまりません。
    ただ頭がいいだけではない、計算高くてしたたかなところ、大好きです。(褒めてます)

  • 八咫烏シリーズ二作目。正直、松本清張賞を受賞した一作目は、そこまでハマらなかったので続編を読むかなぁ…と迷っていたところ、友人からこのシリーズは二作目からが面白いから‼︎と推されたのだ。
    とはいえ、すぐに手が伸びず夏休みの宿題に。
    いや〜、友人の話は本当だった!二作目から読んだ方がいいかも?でも、一作目があるからこそ二作目が輝くのかなぁ。
    読んで損はない、絶対に。2019.8.6

  • 北領垂氷郷・郷長の次男は、ぼんくら少年。
    その雪哉が山内の宗家のうつけの若宮に仕えることとなった。
    権力争い、陰謀、そして暗殺者が蠢く朝廷での、彼らの運命は?
    第一章 ぼんくら次男  第二章 うつけの若宮
    第三章 谷間      第四章 桜花宮
    第五章 七夕      第六章 回答
    宗家・四家 家系図有り。
    『烏に単は似合わない』のアナザーストーリー。
    桜花宮での后選びの最中に、若宮は何をしていたのか?
    近習・雪哉の視点から描かれる朝廷内での陰謀とは・・・。
    前作は女性中心の桜花宮が主な舞台でしたが、
    今回は中央の朝廷と花街や谷間が舞台の男性中心の物語です。
    朝廷内での人間模様、四家それぞれの思惑、宗家の長子・長束、
    やっぱり怖い大紫の御前・・・日嗣の御子・若宮への陰謀。
    思惑と事件で桜花宮へ行けなかった理由もわかるし、
    若宮の、后となる女性の有り様を語る場面もありました。そして、
    うつけの若宮と近習になってしまったぼんくら雪哉の関係が
    良い感じで進行してると思ったら・・・あの驚きのラスト!
    四面楚歌だからこその、人を謀る若宮の、うつけ。
    若宮以上に雪哉も抱えている事が多いからの、ぼんくら。
    で、元服前って何歳なのか?と思う実際の聡明ぶりと記憶力。
    真の金烏の謎、今後の若宮は?・・・まだまだわからないことが
    多いけど、多分雪哉はまた登場しそうだな。それだけ魅力的。
    前作に続いての登場の澄尾や、長束、路近も魅力的。
    次作を読むのが楽しみです。

  • おもしろかった。
    あまりに複雑過ぎてしっかり理解しながら読み進めないとこんがらがってしまう。
    雪哉が若宮に対して「あんた」と呼んでいるのが結構好き。
    前作と繋がっている部分があるので、また読み返してみたいと思った。

  • いいねー。いい感じにクロイ!

    一作目「烏に単は似合わない」を偶然にも手に取った幸運が続いている。
    あの、ゾクッと感。続編を今か今かと待っていたのでした。

    宮廷ファンタジーと言ってしまえば簡単なんだけど、八咫烏(ニンゲン)の設定、四家と宗家の為す山内の世界観。
    きっちりと組み上げられた舞台の中で、黒々と某略思い巡らす感じ、異常に面白い。
    今作は若宮側。まあ、男ばっかりが残念。白珠ちゃんほとんど出番なしだし。←仕方ない。

    まだまだ、文章からは若い感じも受けるのだけど、次作も絶対読むだろうな。
    一作目とは表裏一体な内容なのだが、どちらから読んでもネタバレは殆どない所も、素敵。(わかって読んでニヤリとはするけれど)

    烏は主を選ばない。
    なるほどね。
    さてまた、しばらく待ちますかー。

  • 八咫烏シリーズ二作目。今回も世界観に引き込まれ、止まることなく読んでしまった。一作目と照らし合わせて読むのがとても楽しいし一作目の裏側の事情も分かり面白かった。今回も後半予想を裏切る展開で一瞬何が起こっているのか分からないことにグッと引き込まれた。

  • 第1作より面白い!
    若宮と雪哉の関係が好きだなー
    第1作で読むの止めなくて良かった。
    是非第1作を読んだ方は手に取って欲しいなぁ。

  • 漫画を読んで続きが気になり読んだ。面白かった。
    前作の漫画の感想になるが、前作は恋愛とドロドロ中心だったのが、今作は笑いとバトルで違った味わいで面白かった。

    誰が味方なら面白いか、有り得るかで、長束かな~と予想してたらその通りでニッコリ。トリックまでは見抜けなかったけど。

    雪哉の出生の話までしてくれたので良かったし、最後はタイトル通り仕えるのを断ったのが良かった。相手を思っての行動は人それぞれだよなっていうテーマにそぐう。
    敦房は、長束が金烏になることを諦めたというけれど、どうも彼自身の望みについては明言を避けたあたり、なんか引っ掛かるなあとは思った。長束を守りたいというのはその場しのぎのような感じなので。暴走したのは意外だったけど。
    好きなタイプの悪役。
    前作のあせびのように、利己的ゆえに自分が見えてない感じが良い。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2021年 『烏は主を選ばない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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