烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫) (文春文庫 あ 65-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903831

作品紹介・あらすじ

若宮と少年が挑む朝廷権力争い。人気シリーズ第二弾!優秀な兄宮を退け日嗣の御子の座に就いた若宮に仕えることになった雪哉。だが周囲は敵だらけ、若宮の命を狙う輩も次々に現れ……。

感想・レビュー・書評

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  • もし、これから八咫烏シリーズを読み始めようとして第一弾『烏に単は似合わない』だけ読んで続きどうしようかなと思っている方がいたら、せめて今作『烏は主を選ばない』までは読んで決められるのが良いと思う。個人的には期待値が跳ね上がった(今更ながらなのだが)。もともと第一弾と合わせてひとつの物語だったというだけあって、舞台となる山内のことが非常によく分かる。そして、多くの人物(烏)たちの思惑が交錯する穏やかでない事態が、この先に起こるであろう更なる争乱の予感にドキドキする。この先も楽しみだ。

    前作は桜花宮での后候補である姫たちについて描かれていたが、今作では別視点から日嗣の御子である若宮について描かれている。同じ時間軸なので、桜花宮で姫たちが過ごしていた間に若宮がどうしていたのかが明かされる。若宮の置かれている状況、山内の現状、宗家と四家の関係などが次第に分かり、読み進めるまで見えてこない敵の存在にハラハラする。そして読み終えてみて、忠誠と欲望の境界は何か?信念と盲信の境界は何か?そんなことを思わずにいられなかった。さて、ここからどうなる?

  • 八咫烏シリーズの第二弾。前作を読み終えて、続きはどうなるのかなと思ってたら、作者の阿部さんは安易に物語を進める方向を採らず、物語をより深める方向を選んだ。そう思ってみると、確かに前作では回収されていない謎がいくつか残っている。

    前作では常に物語の中心に居ながら、最後まで姿を見せなかった若宮。自らの后選びの期間、彼は何をしていたのか、なぜ后候補たちの前に姿を見せることがなかったのかが本作では語られることになる。そして、前作で大失態をやらかした若き近習の雪哉の名誉が大いに挽回される物語でもある。イジられキャラの雪哉とオレ様キャラの若宮の掛け合いが実にいい。

    解説によれば、裏表のような前作と本作は、本来ひとつの物語であったという。また編集者はインタビューで、著者の阿部さんの頭には八咫烏の世界が現実にあるかのようだと語っている。それは現実社会では、私たちの知らないところで様々なことが起きているように、若宮や雪哉の行動の影で文章になっていない瑣末なことや人物もすべて阿部さんの頭の中にはあるということでもある。そして、それが物語に深みを与えている。

    本書も前作と同じく、謎解きの楽しみも味わえる。そして、前作では残された謎も、今作で新たに生まれた謎もまだまだある。続きが気になる。

  • 人気の『八咫烏』シリーズ第2巻。1巻では、全然登場しない若宮に少しイラついた感がありましたが、本書を読んで納得しました❗

    誰が味方で誰が敵なのか?様々な利害関係が交錯し、誰が誰に忠誠を尽くすのか?複雑にそれぞれの思いが絡み合って、ぐいぐいと読者を惹き込ませるオススメファンタジーです♫

    可能なら1巻と2巻を続けて読むと、シリーズを一層楽しめます❗また再読すれば新たな発見が出来るかも知れない、とても魅力的な秀作です♫

  • 『烏に単は似合わない』を一作目とする八咫烏シリーズの第二巻。

    前巻は八咫烏たちのトップ、日嗣の御子である若宮の奥方候補たちを描いた物語でしたが、今巻はその裏側(こっちが表かな?)として、若宮を中心とする宮殿での跡目争いにまつわるお話でした。

    私としては断然、こちらの話の方が好み。

    前巻も面白かったんですが、どうもキャラクターたちの性格のブレが気になったり世界観に入り込めなかった部分があったので。
    あと最後に急に登場して、探偵よろしくすべてを解決する若宮がなんだか鼻持ちならなくて、好感持てなかったし…

    この巻はまず主役の雪哉が好ましい!
    本当は優秀なのに事情があってぼんくらのふりをしていて、素直ではないけれど心根は真っ直ぐで、そこがすんごい可愛い。

    そして前巻で若宮がなぜああいう態度だったのかもわかってスッキリ。なるほどいろいろと考えてのことだったんですね〜。

    世界観もより緻密に作り上げられて、今後もこの八咫烏たちの世界に浸りたいと思わせてくれる作品でした。続編も読もっと。

    そしてこれは前巻からなんですが、この作者は人の心のダークな部分を描くのが上手です。

    人を愛する心とか、忠誠心とか、一般的に美しいもの、素晴らしいものと讃えられる感情。
    ある登場人物たちの「自分のために」人を愛し、「自分のために」人に忠誠を誓うその姿は、利己的で醜くて背筋がゾッとするけれど、ある意味人間らしいとも言えるのかもしれないなー…

    ラストもめでたしめでたし、とは言いづらい余韻を残すものだったので、どう次巻に繋がるのか楽しみです!

  • 文庫で再読です。
    第1巻『烏に単は似合わない』と同じ時間軸を、今度は若宮サイドから描いた第2巻。

    若宮の后候補の姫君たちを描いたきらびやかな1巻と比べて、山内の庶民階級のことや谷間と呼ばれる裏社会も描かれ、世界観がひと際深まる第2巻。
    今回、第一部読了後に、1巻から再読しているのですが、著者の世界観の広げ方が巧妙だな、と思いました。
    徐々に読者を八咫烏の世界に馴染ませて、置いてけぼりにもしないし、飽きさせもしない。
    そこを舞台になんとも魅力的な登場人物たちが活躍するのだから、もう夢中です。

    雪哉の図太くて小憎たらしい感じがたまりません。
    ただ頭がいいだけではない、計算高くてしたたかなところ、大好きです。(褒めてます)

  • 八咫烏シリーズ二作目。正直、松本清張賞を受賞した一作目は、そこまでハマらなかったので続編を読むかなぁ…と迷っていたところ、友人からこのシリーズは二作目からが面白いから‼︎と推されたのだ。
    とはいえ、すぐに手が伸びず夏休みの宿題に。
    いや〜、友人の話は本当だった!二作目から読んだ方がいいかも?でも、一作目があるからこそ二作目が輝くのかなぁ。
    読んで損はない、絶対に。2019.8.6

  • 優秀な兄宮を退け日嗣の御子の座に就いた若宮に仕えることになった雪哉。だが周囲は敵だらけ、若宮の命を狙う輩も次々に現れ……。
    「文藝春秋BOOKS」より

    一つ前の作品の意味が解き明かされる1冊.
    一気に読み進め、このシリーズは読もうと決意.
    小野不由美さんの作品が好きな人はこのシリーズもすきだろうなと思う.

  • 北領垂氷郷・郷長の次男は、ぼんくら少年。
    その雪哉が山内の宗家のうつけの若宮に仕えることとなった。
    権力争い、陰謀、そして暗殺者が蠢く朝廷での、彼らの運命は?
    第一章 ぼんくら次男  第二章 うつけの若宮
    第三章 谷間      第四章 桜花宮
    第五章 七夕      第六章 回答
    宗家・四家 家系図有り。
    『烏に単は似合わない』のアナザーストーリー。
    桜花宮での后選びの最中に、若宮は何をしていたのか?
    近習・雪哉の視点から描かれる朝廷内での陰謀とは・・・。
    前作は女性中心の桜花宮が主な舞台でしたが、
    今回は中央の朝廷と花街や谷間が舞台の男性中心の物語です。
    朝廷内での人間模様、四家それぞれの思惑、宗家の長子・長束、
    やっぱり怖い大紫の御前・・・日嗣の御子・若宮への陰謀。
    思惑と事件で桜花宮へ行けなかった理由もわかるし、
    若宮の、后となる女性の有り様を語る場面もありました。そして、
    うつけの若宮と近習になってしまったぼんくら雪哉の関係が
    良い感じで進行してると思ったら・・・あの驚きのラスト!
    四面楚歌だからこその、人を謀る若宮の、うつけ。
    若宮以上に雪哉も抱えている事が多いからの、ぼんくら。
    で、元服前って何歳なのか?と思う実際の聡明ぶりと記憶力。
    真の金烏の謎、今後の若宮は?・・・まだまだわからないことが
    多いけど、多分雪哉はまた登場しそうだな。それだけ魅力的。
    前作に続いての登場の澄尾や、長束、路近も魅力的。
    次作を読むのが楽しみです。

  • おもしろかった。
    あまりに複雑過ぎてしっかり理解しながら読み進めないとこんがらがってしまう。
    雪哉が若宮に対して「あんた」と呼んでいるのが結構好き。
    前作と繋がっている部分があるので、また読み返してみたいと思った。

  • いいねー。いい感じにクロイ!

    一作目「烏に単は似合わない」を偶然にも手に取った幸運が続いている。
    あの、ゾクッと感。続編を今か今かと待っていたのでした。

    宮廷ファンタジーと言ってしまえば簡単なんだけど、八咫烏(ニンゲン)の設定、四家と宗家の為す山内の世界観。
    きっちりと組み上げられた舞台の中で、黒々と某略思い巡らす感じ、異常に面白い。
    今作は若宮側。まあ、男ばっかりが残念。白珠ちゃんほとんど出番なしだし。←仕方ない。

    まだまだ、文章からは若い感じも受けるのだけど、次作も絶対読むだろうな。
    一作目とは表裏一体な内容なのだが、どちらから読んでもネタバレは殆どない所も、素敵。(わかって読んでニヤリとはするけれど)

    烏は主を選ばない。
    なるほどね。
    さてまた、しばらく待ちますかー。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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