無私の日本人 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903886

作品紹介・あらすじ

感涙必至! 人気歴史家が描く、美しい日本人江戸に生きた3人の清冽な日本人の人生を、人気歴史家が資料をもとに緻密に描きあげた感涙必至の物語。真に偉い人物がここに!

感想・レビュー・書評

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  • H30.4.19 読了。

    ・日本にこのような偉人たちがいたことを教えてくれた。特に中根東里が良かった。
    ・「願うばかりでは、未来永劫、なにも変わらない。」
    ・「変化というのは、まず誰かの頭のなかに、ほんの小さくあらわれる。たいてい、それは、春に降った淡雪の如く消えてゆくが、ときおり、それが驚くほど大きく育ち、全体を変えるまで育つ。」
    ・「武士が見事に腹を切るのも、庄屋が身を捨てて村人を守るのも、この身分相応の原理に従ったものであり、この観念は、江戸時代における最も支配力の強い人間の行動原理であった。」
    ・「楽しくなりますよ。自分をひたすら無にしてごらんなさい。」「自分にこだわれば、富貴貧賤、長寿短命、幸不幸、生死、福禍、栄辱みな気になって、かえって苦しんでしまいます。」

  • 穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月、この江戸時代後期の日本人を知っている人はどのくらいいるのでしょうか。史実に基づいて書かれた3人の歩んだ半生を読むと、ここまで自分を律して困っている他人のためになれるとは!と感嘆します。そして、彼らを後世の私たちが知らない理由も然り。善行をしたなどと知られないように奢らず高ぶらず、地道に暮せと遺言を残したり、有名にならないように自分の形跡を消したり、作品の出版を拒否したりなど徹底的に無私の行動をとっているからです。
    穀田屋十三郎さんの話は宮城県の宿場町を取り上げた内容で、映画化もされているのでワクワクしながら読みました。伊達藩の宿場町だった吉岡にこんな秘話があったとは知らずに過ごしてきてしまいました。このお話は庶民の智恵と勇気、気高い道徳心など江戸時代の庶民文化の粋と、組織の肥大化によって機能が麻痺し、私利私欲に走っていた武士社会の愚かさが比較の構図になっていてよりドラマチックでした。映像化された世界も楽しみです。

  • 著者は、江戸期に生きた、世にあまり知られていない穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月という3人の生き方を、あまり残されていない史料を繋ぎ再現してくれた。

    動機は、日本人ならではの清い生き方を、自らの子どもや、未来の人たちに伝えたいと思ったからだそうだ。

    最初の穀田屋十三郎は、映画「殿、利息でござる」を観たので、ここを読むのは省略してしまった。本当は、原作と映画でそれぞれ味わってみるというのがよいとも思うのですが。

    余談だが、著者もこの映画に出演しているとの事だが、それをあとから知ったので全く気がつかなかった。

    二つ目の中根東里については、彼の清貧な生き方よりも、その師であった荻生徂徠の悪徳ぶりのほうが印象に残った。歴史の教科書では、偉人の一人として称えられているが、本書を読むとクソ野郎としか思えない(笑)。磯田氏が教科書に書かれていない本当の歴史を追究されている意味がよくわかる。

    三つめ、大田垣蓮月の生き方もまさに無私の歌人であり、陶芸家だ。晩年、陶芸を通じて富岡鉄舟を育てた。鉄舟は西郷とも関係が深い。

    少なからず、その人格形成に影響を与えたことからすると、彼女は幕末の流れに影響を与えた女性であると言えると思う。

  • あっぱれな人がたくさん登場します。慈愛に満ちているのか、それともただの怖いもの知らずかは定かではありますが、大変素晴らしい人々です。映画館には思わず何度も足を運びました。本が苦手な方はぜひそちらからでも観賞していただければと思います。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    3人の人物の伝記のような小説だった。
    特に映画にもなった穀田屋十三郎の物語は江戸時代にこのようなことを考え、実行に移すことでき、実際に成立させた人が存在したことに非常に驚いた。
    他の2人に関しても十分にすごい人物ではあると思うのだけど、町人という当時としては一線を画する身分であることが非常に驚いた部分になるのかな。

  •  『殿、利息でござる』の穀田屋十三郎ら、江戸時代に大きな名声はないが私欲なく生きた小さな偉人を記す。

     穀田の他には、ひたすら本を読み続けた儒学者中根東亜、短歌によって間接的に江戸無血開城に導いた大田垣蓮月。
     司馬遼太郎っぽい文章で当時の人々の感覚や社会の様子を交えつつ書いていて、興味深く読ませてくれる。

     大きなことを成さなくても、清く一つのことに打ち込む人々は美しく、後世にそれを伝えてくれる人もいる。いい読書体験をさせてもらった。

  • 実写映画化したタイトルは「殿、利息でござる!」って
    なんてひどいタイトルだと思っていた…
    小説のタイトルそのまま使えばいいのに。なんでかね
    キャッチーだったとでも思ったのかね。
    まぁいいけど。
    映画見たけど。
    映画面白かったけど。
    私は小説のほうがやっぱりいいなーと思ってしまった
    宮城県黒川郡大和町吉岡であった実話で
    著者は涙涙で古文書を読んだそうだ。
    こんな風に本や映画で取り上げられなかったら
    地元の人しか知らなかったんではないかと思ってしまう
    著者の磯田道史氏に、良く描いた!でかした!!!と言いたい。
    本は読んだ後スッキリするし
    映画は観た後スッキリする。

  • 持っていかれるばかりで、日々貧しくなっていく宿場町。
    それをどうにかせんと、立ち上がった人達。

    自分のためではなく、子供達のため
    ひいてはほかの人達のため。
    必死になってお金をかき集め、どうにか生活の基盤を
    立て直そうとする姿がすごいです。
    一体何をどうそこまで駆り立たせるものがあるのか。
    そもそもここまで頑張れるのか。
    しかもその後、子孫がそれを利用しないように…まで
    考えるのもすごいです。

    そんな真実あった話が、後2話。
    男性と女性、の話ですが、どこまでも澄みやかに
    生きて行こうとする姿は、見習わねば、と思わせます。
    とはいえ、ここまで他者を思いやり
    悟って生きていくには、煩悩がありすぎます…。

  • 日本人ならではの人柄がとても強い御三方のエピソードであった。そこまで自分を顧みず、人に尽くすとは、自分では到底できない。昔の人はより一層人に尽くすことが多かったように感じる。今の世の中、そのような人は少なくなってきていると感じるが、やっぱり日本人は他の国に比べれば断然素晴らしい人柄であると感じる。
    先人たちの考えを時には学び、日本人らしさを忘れる事なく生きていきたいと思う。

  • 純粋に感動する。特に第1章。無私。凄すぎる。こんな日本人がいることを知ってほしい。そして誇りに思います。※映画版は、CMみるかぎり、コメディタッチになっていると思われる。ノンフィクションとして読むなら文庫が良いかと思います。

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著者プロフィール

磯田道史(いそだ みちふみ)
1970年、岡山県生まれの研究者。茨城大学、静岡文化芸術大学などを経て、国際日本文化研究センター准教授。専攻は日本近世・近代史・日本社会経済史。
実家は備中鴨方藩重臣の家系で、古文書が豊富にあった。高校生のとき実家と岡山県立図書館の古文書を解読している。京都府立大学文学部史学科、慶應義塾大学文学部史学科を経て、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。「近世大名家臣団の社会構造」で史学博士号取得。
2003年刊行の『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』が第2回新潮ドキュメント賞を受賞し、2010年森田芳光監督により『武士の家計簿』のタイトルで映画化し大ヒット。2015年には『天災から日本史を読みなおす』で第63回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その他代表作に『日本史の内幕』などがあり、多くの新書がヒット作となっている。

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