鍵のない夢を見る (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.35
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本棚登録 : 1894
レビュー : 197
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903985

作品紹介・あらすじ

直木賞受賞! 私たちの心の奥底を静かに覗く傑作集どこにでもある町に住む、盗癖のあるよそ者の女、婚期を逃した女の焦り、育児に悩む若い母親……彼女たちの疲れた心を待つ落とし穴。

感想・レビュー・書評

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  • ふとした日常に、僅かに生まれた歪み。
    ほんの些細なことで狂った歯車。
    それは運命、宿命なのだろうか。

    ひとの奥底に潜む邪な心に、
    ひとは自分自身を守るため、
    嘘をつき、嘘に惑う。

  • 辻村さんっぽくはなかったけど、最後まで読み切ると意外とよかった。内容は重いし、好きな小説にはならないかもだけど。

    完全に共感はできないけれど、見たくない女性の暗部を書き出されていて、いやだけどちょっわかるな~ってなる。

    最後の話、友達との会話シーンはわかりすぎるほどリアル。

    芹葉大学の夢と殺人が一番読み応えあった。

    女ってホント色々難儀。

  • 短編集。
    女は自分の中に得体の知れない何物かを飼っている。
    それは時々に名前を変え、ときに妬みになり、ときには憎しみになる。
    主であるはずの女は、ともすると得体の知れない何物かに逆に支配されそうになってしまう。
    それが女という生き物なのかもしれない。
    友だちや同僚、知り合いに訪れた幸せを耳にすると、「おめでとう」という言葉が自然と出てくる。
    当たり前のように祝いの言葉を受け取るその笑顔を見ていると、眠っていた何物かが起き出してきて囁くのだ。
    「私はこいつよりも幸せになって当然なのに・・・」
    「優越感に浸るのは私のはずなのに・・・」
    そんな複雑な感情をコントロール出来なくなった女たちの物語である。

    「芹葉大学の夢と殺人」が一番印象に残った。
    未玖の感情がいまひとつ捉え切れなかったせいだと思う。
    あんな結末を選ばなくてはならないほどに、未玖が雄大に求めたものは何だったのだろう。
    自分だけを見てほしい、自分をしっかりと受け止めてほしい。
    それは誰でも覚えがある思いだろうけれど・・・。
    未玖は雄大の性格を理解していたはずだ。
    そして、雄大の中での自分の位置もわかっていたと思う。
    だからこそ別れを言い出されたときも同意したのだろうから。
    どんな結末を選ぼうと、雄大の中で未玖の占める位置が変わることはないだろうに。
    それとも、自分のものにならないのなら道連れにと考えたのだろうか。
    複雑すぎて、どうしても未玖という人間が最後までわからなかった。

    辻村さんのどこかあたたかな物語が好きだ。
    読み終わったあとに残る、苦さと切なさと、そしてあたたかさ。
    この短編集にはそれがないような気がした。

  • つまらないのではなく、なんとも、嫌な感じのお話ばかり。
    よく書けているけれど、ズレかたが気持ち悪い。

  • いやーさすが辻村さん。
    単行本発売時はこの本の評価はイマイチっぽかった気がするのだけど、文庫化して買って読んだら夢中になってしまった。
    ぞくぞくと不快感が這うように感じるのだけど、読むのをやめられずどんどん引き込まれていった。
    でも、ラストの話は好きじゃなく、残念だった。

  • 短編集。どれもがグッと引き込まれる魅力的な作品。中でも「芹葉大学の夢と殺人」が秀逸(☆☆☆☆☆)。ストーリーはいいし、訴求力も突出している。とりわけ一つひとつの事象が的確に表現されており、一行一行に心奪われた。「際立った存在感を放つわけではないけれど、一度意識してしまうと目が逸らせなくなるような、そういう危うい魅力があった。好きか嫌いに関係なく、目が自然と彼を追いかける。綺麗な容姿とはそういうもの。」「自分でも気持ちの整理がつかなくて、言葉にして吐き出すことで落ち着きたかった。分かっているのだから追い打ちをかけるように言わないでほしかった。聞きたいのは高みからの正論ではなかった。」・・・・・・・・

  • この気持ち、あなたにはわからない。

    直木賞受賞作ということで。今までに読んだことのある辻村作品より、大人向けに感じた。巻末の林真理子氏との対談でも指摘されていたが、「自分より人生経験が豊富な読み手に読んでもらうには何が必要なのかを探りながら」書かれていて、「いままでのサークル的な目線と違い、若い目線だけど大人になろうとしている姿勢」が反映されている作品だった。直木賞という大きな賞、歴史と権威のある賞を受ける意味を考えた。辻村作品が好きで、この作品も嫌いではないけれど、今までに読んだものと比べると、しっくりこないところがある。今までの「わかる!」ではないところ。きっとサークルの仲間内で、狭いけれどぴったりくる感覚を共有していたところと、別人ではないけれど大人な一面を見せつけられたところみたいなものだろう。それは少し寂しいけれど、この作品も辻村作品のひとつであり、面白かったことに間違いはない。

    「仁志野町の泥棒」小学校時代の転校生に偶然再会したミチル。律子は母の泥棒癖のため、転校を繰り返していた。何もなかったことにできなかった自分を忘れた律子と、今でも割り切れない気持ち。

    「石蕗南地区の放火」彼は私のために放火したに違いない――。笙子のズレが気持ち悪いけれど、わからなくもない。自分が主人公、世界を回しているように、思うこともある。それはとても気持ちがいい。でも、現実は、ちっぽけで何でもない自分が放っておかれているだけ。焦る。

    「美弥谷団地の逃亡者」DV男に引っかかる女って云々。そう言ってしまうことは簡単だけれど、どこかちゃんとしていなくて、警戒の前にプライドや情が来てしまう。美衣のような人は、意外と多いだろう。

    「芹葉大学の夢と殺人」雄大のような男はいそう。夢とは何か。あまりにも自分勝手で現実が見えていない。現実的に夢を見る、決心しないといけないタイミングはいつが正しいのだろう。雄大はあまりにも綺麗で、現実には生きられない。大学生ならともかく、社会人になればその価値観のズレが見えてしまうので、普通は縁が切れるか縁を切る。でも、未玖は夢を諦めきれなかったし、その象徴である雄大に執着した。未玖が本当につかみたかったのは、何だったのだろう。絵本作家か、雄大という素敵な男に愛されることか。

    「君本家の誘拐」今時ありがちな育児ノイローゼの話かと思いきや、最後には少し希望、いや恐怖。母の愛というか、執着か。心が壊れそうになるほど、子を想うと言えば、美しいだろうか。もっと気楽に、とも言い難く。

  • リアリティがある話が多くて面白かった。でも、大学の体育の授業でサッカーやってるだけで日本代表になる夢を真面目に語ってる頭おかしい男とは付き合えないと思う。普通は。

  • 辻村深月 著

    「鍵のない夢を見る」ってタイトルが随分前から気になっていて…読みたかった作品 これまた 直木賞受賞作品だったんですね そうとは知らず かなり遅まきながら この間 本屋に行った時に 「あ、見たかったタイトルの本があった!」と思わず手にして読みました
    辻村深月さんの作品は まだ「つなぐ」しか読んでなかったから 内容に戸惑い驚いた。この作品では 女性をターゲットにした かなりリアリティある短編作品集だった。
    短編集であるにもかかわらず、どの作品もしっかり練ってあり 何だか 背筋がゾワッとする作品ばかりだった
    事件性がある内容が多くて 自分には ないような出来事だなぁと思う反面 何だか 実は とても身近な問題で起こり得た事かもしれないような…ちょっとリアリティあり過ぎて怖い感じがしました。(しかし、何を書いても 流石に上手いですね〜)と感心しながら…次々と飽きずに読んでしまえる作品だった どの短編も面白かった
    他人事のように思いつつも 始まりの短編「仁志野町の泥棒」読みだした時は 内容違えど、何処か遠い記憶の中に
    そんなような出来事があったような…自分の記憶の鍵を開けられた気分になりました。やはり すごい作家さんですね
    他の作品も 是非 読みたい

  • 綺麗事だけじゃすまない、ダメだと思っても感情的にやってしまう、そういうことってあるよねと思った。
    閉塞感というか、やり切れなさを感じた。
    第三者目線では、えーって思うけど、実際にその立場に置かれたら、どうなるやら…

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。
千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞をそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第15回本屋大賞の大賞を受賞した。
他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。
昔からファンだった作品の映画シリーズ、2019年3月1日公開予定の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』で映画初脚本を担当する。

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