陽子の一日 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2015年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167904005

作品紹介・あらすじ

ある女医の澄明な物語



還暦を迎えた女医・陽子のもとに届いた元同僚・黒田の「病歴要約」。ある春の一日に起きた出来事に人生の機微が滲む傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 田村さん

  • デビュー作ともいえる短編、文学界新人賞受賞作の「破水」の続編です。
    最近は趣味で始めた山行物が多かった南木作品ですが、今回は元に戻って医療現場を題材にした作品。「破水」では独身のまま子供を産む若い女医だった陽子ですが、この作品では既に還暦を迎え、前線から一歩引いた人間ドックの診療医です。
    そんな陽子の元に届けられたのは元の同僚医師・黒田の半生記風に書かれた奇妙な「病歴要約」。診療の合間にその病歴要約を読み進める陽子の一日が描かれます。
    そこには様々な医師たちの懊悩があります。例えば、黒田は志願して僻地診療に赴き、結果として妻子に去られ、さらには一つの事をきっかけに当の農村の住民にあっさり疎まれるようになります。

    「淡々と」という言葉が浮かびます。結論を表に出さず、情感に流されず、ただただ事象・心象を描く南木さん特有の硬質な文体。若い頃の作品よりやや晦渋さは増したように思いますが、久しぶりに南木さんらしい作品を読んだ気がします。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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