お家賃ですけど (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2015年8月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167904302

作品紹介・あらすじ

築40年超の「加寿子荘」と愛すべき人々。偏愛と執着にまみれた自叙伝風小説!



そして、私は築40年を超えた下宿風アパートに戻ってきました。名前と性別を変えて……。25〜27歳の著者の日記とも言える一冊。

みんなの感想まとめ

昭和の香りが漂う下宿風アパート『加寿子荘』での20代の日々を描いたこの作品は、著者の個人的な体験を通じて、愛着や人間関係の温かさを伝えます。築40年を超えるこのアパートで、男性から女性へと性別を変えた...

感想・レビュー・書評

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  • 築40年と年季の入った下宿風のアパート、加寿子荘。ここで過ごした20代の日々。初めは風呂なし部屋に男性として入居したが、いったん離れた後、風呂有部屋に再入居。その時には、見た目が女性に…。
    いつもの能町節に慣れてしまっていたので、とりとめのない文章にもぞもぞする。こんな能町さん見ちゃってよいのかしら…みたいな。でも、半ば日記のようなつぶやきのような、若かりし頃の能町さんが見た風景、出会った人、お気に入りの住まいへの思い…エピソードの一つ一つが愛おしい。古い建物につきもののギョッとした出来事もあるけれど、加寿子荘の描写は和みます。当時の写真もまたレトロでいい。アパートの間取りも描かれ、非常用扉?階段もなく、開けたら即外の、どう考えても危険な用途不明の扉とか(笑)。加寿子荘ほどではないものの、かつて私もそれなりに築年数の古いアパートに住んでいたことがあるので、そういう独特の構造が面白いし、不便なようで何気に快適だったりするのだ。家主の加寿子さんもいいキャラで、とってもかわいらしいおばあちゃん。昭和の女性っぽくきっちりしているけれど、能町さんの事情(男→女)に対しても理解を示す度量の広さがまた素敵。
    極私的な雰囲気の内容なだけに、人によっては面食らうかもしれない。それで私もなかなか手に取れなかったのだけど、文庫化を機に読むことが出来てよかったなと思う。初期の能町さんの本も読みたくなりました。

  • 加寿子荘への愛とオーエル時代の話
    自分のおばあちゃんだけじゃなく、よそのおばあちゃんのことも可愛い!癒される!発言
    優しい方なんだなと思いました

  • 群ようこさんのれんげ荘もさぞや、と思うほど昭和チックな加寿子荘。
    そこでの暮らしが、ですます調で丁寧に綴られていて、思わず戦後の日本女性の日記を読んでいるかのような錯覚に陥ります。
    最初に加寿子荘に住んでいた時と、二度目に住むときの性別が違うとは、80過ぎの加寿子さんにとっても初めての経験なのでは?
    ちなみに、ワタクシ昭和31年から10年ほど、雑司が谷の深山荘と言うアパートに暮らしておりました。
    子どもだったから具体的なことは語れないけれど
    雰囲気は果てしなく加寿子荘。

  • こういうのを私小説と呼ぶのか知らん。

    昭和が隅々まで沁みこんだような下宿風アパートメント『加寿子荘』での日々が書き連ねられています。

    男から女に性別を変えて『加寿子荘』に舞い戻るという筋書きは耳目を集めるのに十分だけど、それがテーマではないのです、まったくもって。
    ここを強調させていただきたい。

    大家の加寿子さんをはじめとする古い人たちに対する親しみ。
    神楽坂のど真ん中に聳り立つ高層マンションに対する憎悪とほんの少しの羨望。

    能町みね子というフィルターをとおして覗く世界がとても好き。
    嫉妬してしまう、世界をこんな風につかまえてしまうなんて、こんな風に表現してしまうなんて。

  • 神楽坂、昭和レトロなお家、ちょっと謎めいて
    でも決して一線をふみこまない距離感のよい人たち。

    大好きな要素に包まれた能町さんのエッセイは、
    おもしろいのだけれど、
    軽くサクサク読めるのだけれど、
    日本語も大切に使われていて
    読んでいる時間が心地よかった。

    神楽坂、牛込散歩したくなる。
    この家を探して、和寿子荘を探して、
    なくなったあの建物の痕跡を探して。
    きっと、これまでより楽しくなりそう!

  • 私も築40年の物件に引っ越したばかりなので、なんとなく親近感で購入。
    この本を読んで、自分も、ガタがきてるこの物件を、部屋を、のろけられるくらい好きになりたいなぁと思えた。まぁ始まりが一目惚れだったので、あとは愛を育むだけ、なんだけどね。
    ゆったりして落ち着いたエッセイでした。

  • 失われていくものを愛することってこういうことなのかと能町さんが綴る言葉を読んで思う。きっと10年後にはこの家も暮らしも無いかもしれない、寧ろ無い可能性の方が高いような状況でその瞬間を慈しめるのは自分としては得難い感情だったのでとても新鮮でした。一挙一動に少し癖を感じるけれど、その癖がまた癖になるような一冊です。

  • 先日亡くなった横綱「曙」について、能町みね子さんが書いた新聞記事を読み、その躍動するような文章に惹かれて本書を購入しました。彼女の原点がここにあります。築40年の「加寿子荘」も大家の加寿子さんも、昼の会社の社長も夜の師匠も、全部が愛おしい。

  • こっ、これは、ホントに平成ですかっ?
    昭和すぎる、懐かしすぎる! リアル「れんげ荘」(b y群ようこさん)ですね。
    「オカマだけどOLやってます」で、一人暮らしをなさった「風呂なしアパート」はここだったのですね。加寿子さんの「うふふ」がまたキュートです。

  • 楽しい本。箸休め的に読めた。

  • ですます調と言い切り口調(〜だ)は混ざっていてもいいのでは派だったが、いざ他人の文章として読んでみるとリズムを掴むのが難しく気持ち悪く、ついていけない。
    文の流れに乗れたかな?と思ったら橋を外されたりつんのめったりするばかりで、読むこと自体がストレスになり、読み進められなかった。

    古いものやぼろぼろのものを愛する、しかも骨董的な見方でなくありのままで価値を見出す視点は目新しくて素敵だと思った。
    他人を一歩引いて見ていて、馬鹿にせずに面白がるところもいい。

  • オーエル時代
    お師匠さんとの呑み
    アルバイト先の社長からの顧問へのアプローチ
    性転換手術
    ガス風呂と循環器の症状
    加寿子荘
    牛込
    おばあちゃんの死
    ミクシィ日記


    手術にわくわくする
    古い建物がすき
    変な扉!なんて最高かよ
    共通点だ

    和式トイレは勘弁

  • 会社を辞めて築40年を超えた下宿風アパート「加寿子荘」で暮らし始めたのは、著者が22歳の頃。
    大好きなこのアパートを1年で引き払い、それから1年9ヶ月して彼女は「加寿子荘」に戻ってきた。名前と性別を変えて…。

    今から15〜20年くらい前のことではあるけれど、こういう物件が東京にもあるのだ、ということにまず感動を覚える。
    古い一軒家を使った下宿のようなアパートで、1階には大家さんの加寿子さん(推定80代)が住んでいて、時々世話を焼いてくれる。
    著者の能町みね子さんが性転換をする前に住んでいて、女性になってからしばらくしてまた戻ってきた「加寿子荘」。それだけ彼女にとっては住みやすく、思い入れのある物件なのだということが、読んでいても分かる。

    鋭い観察眼で描写される他の住人のあれこれ、仕事のこと、「加寿子荘」に住んでいて起こること(言うこと聞いてくれないお風呂の湯沸かし器とか)、性転換手術の前後に体調を崩して入院した時の出来事(これもまた鋭い観察眼で同室の人たちのことをよく見ている)など、基本は当時のミクシィの日記に書かれていた文章がエッセイ化されたものらしい。
    能町さんの著作は最近のものも読んでいるけれど、20代の頃から観察眼は鋭かったのだなぁと思わされる。シンプルに、読んでいてとても面白い。
    「加寿子荘」の能町さんが住んでいた部屋と思われる写真が時々差し挟まれていて、画としても想像しやすかった。

  • 群ようこさんのれんげ荘を彷彿させるエッセイだった。たぶん長続きしないが、短期間だけこういう、風呂無し古アパートに住んでみたいと思わせる。のうまちさんのように楽しめる感受性がないと、生活を続けるのは難しそうだけど。

  • 好奇心を大切にして生きていきたいなぁと思い直した本。色んな人がいいなと思うものを私も生きている間にたくさん目にして耳にしたいと思う。

  • 能町みね子「お家賃ですけど」https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167904302  読んだ。内容はともかくうーん文体がつらいな、と思ったら元はブログだった(ブログ!単語が懐かしい!)なるほど。でも同じく元ブログの性転換の話はすごくいいのになーやっぱり文芸っぽく仕立てるにはブログ文とは相性悪いってことかな(おわり

  • 通称「加寿子荘」
    神楽坂に建つボロボロのアパートで、ご高齢の加寿子さんが丹精込めて管理している素敵な物件です。
    風呂無しトイレ共同のアパートは、いつも加寿子さんが拭き清めているのでいつもピカピカです。レトロで居心地のいい環境を愛している能町さんの想いが溢れています。
    多分普通の感覚だとただのボロ家なんだろうなと思うのですが、一度出てから性転換してから再度入居する位なのだから、彼女にとっては替えの利かない存在なんでしょう。
    日々の生活と時折会う加寿子さんのチャーミングな「うふふ」がとてもプリティー。
    自分も是非立ち寄ってみたい。

  • 築40年のアパートに暮らす日々を綴ったエッセイ。
    昭和の香り漂うアパートと大家さん、仕事のこと、体の不調等々書かれていますが優しさや穏やかさが底にあるのでこちらも落ち着いて読めました。
    素敵な大家さんに素敵な町。田舎暮らしで地理関係や風景があまり分からない自分が残念…。

  • マンガを読んでから、この本に辿り着きました。

    性転換手術(?)だけでなく、もう1つの手術も行なわれていた事にビックリしました!
    大変だったんだなぁ…

    その話の時に、「病室で長期間過ごす事について」語られていたのが特に印象に残っています。

    患者さんが「家に早く帰りたい!!!」っていうシーンをテレビ・小説・マンガなど見たりしますが、そういうことだったのか…と納得しました。
    健康でいられる事のありがたさを知りました。

  • 筆者が神楽坂に住んでいたレトロなアパートの物語。80を超えた大家さんとのやり取り、会社とデザイナーの仕事の掛け持ち、トランスジェンダーのカムアウト、と筆者の青春物語をなぞりつつ、主役はやっぱりアパート。それが心地よいと感じるか、物足りないと感じるか。

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著者プロフィール

北海道出身。文筆業。著書に『逃北』(文春文庫)、『雑誌の人格』(文化出版局)、『結婚の奴』(平凡社)、『ほじくりストリートビュー』(交通新聞社)など。大相撲好き。南より北のほうが好きで青森好き。2021年から一年の半分くらい青森に居住している。

「2026年 『デッドエンドで宝探し』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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