お家賃ですけど (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 380
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904302

作品紹介・あらすじ

築40年超の「加寿子荘」と愛すべき人々。偏愛と執着にまみれた自叙伝風小説!そして、私は築40年を超えた下宿風アパートに戻ってきました。名前と性別を変えて……。25〜27歳の著者の日記とも言える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 築40年と年季の入った下宿風のアパート、加寿子荘。ここで過ごした20代の日々。初めは風呂なし部屋に男性として入居したが、いったん離れた後、風呂有部屋に再入居。その時には、見た目が女性に…。
    いつもの能町節に慣れてしまっていたので、とりとめのない文章にもぞもぞする。こんな能町さん見ちゃってよいのかしら…みたいな。でも、半ば日記のようなつぶやきのような、若かりし頃の能町さんが見た風景、出会った人、お気に入りの住まいへの思い…エピソードの一つ一つが愛おしい。古い建物につきもののギョッとした出来事もあるけれど、加寿子荘の描写は和みます。当時の写真もまたレトロでいい。アパートの間取りも描かれ、非常用扉?階段もなく、開けたら即外の、どう考えても危険な用途不明の扉とか(笑)。加寿子荘ほどではないものの、かつて私もそれなりに築年数の古いアパートに住んでいたことがあるので、そういう独特の構造が面白いし、不便なようで何気に快適だったりするのだ。家主の加寿子さんもいいキャラで、とってもかわいらしいおばあちゃん。昭和の女性っぽくきっちりしているけれど、能町さんの事情(男→女)に対しても理解を示す度量の広さがまた素敵。
    極私的な雰囲気の内容なだけに、人によっては面食らうかもしれない。それで私もなかなか手に取れなかったのだけど、文庫化を機に読むことが出来てよかったなと思う。初期の能町さんの本も読みたくなりました。

  • こういうのを私小説と呼ぶのか知らん。

    昭和が隅々まで沁みこんだような下宿風アパートメント『加寿子荘』での日々が書き連ねられています。

    男から女に性別を変えて『加寿子荘』に舞い戻るという筋書きは耳目を集めるのに十分だけど、それがテーマではないのです、まったくもって。
    ここを強調させていただきたい。

    大家の加寿子さんをはじめとする古い人たちに対する親しみ。
    神楽坂のど真ん中に聳り立つ高層マンションに対する憎悪とほんの少しの羨望。

    能町みね子というフィルターをとおして覗く世界がとても好き。
    嫉妬してしまう、世界をこんな風につかまえてしまうなんて、こんな風に表現してしまうなんて。

  • 神楽坂、昭和レトロなお家、ちょっと謎めいて
    でも決して一線をふみこまない距離感のよい人たち。

    大好きな要素に包まれた能町さんのエッセイは、
    おもしろいのだけれど、
    軽くサクサク読めるのだけれど、
    日本語も大切に使われていて
    読んでいる時間が心地よかった。

    神楽坂、牛込散歩したくなる。
    この家を探して、和寿子荘を探して、
    なくなったあの建物の痕跡を探して。
    きっと、これまでより楽しくなりそう!

  • 私も築40年の物件に引っ越したばかりなので、なんとなく親近感で購入。
    この本を読んで、自分も、ガタがきてるこの物件を、部屋を、のろけられるくらい好きになりたいなぁと思えた。まぁ始まりが一目惚れだったので、あとは愛を育むだけ、なんだけどね。
    ゆったりして落ち着いたエッセイでした。

  • 筆者が神楽坂に住んでいたレトロなアパートの物語。80を超えた大家さんとのやり取り、会社とデザイナーの仕事の掛け持ち、トランスジェンダーのカムアウト、と筆者の青春物語をなぞりつつ、主役はやっぱりアパート。それが心地よいと感じるか、物足りないと感じるか。

  • 能町みね子さんの若き日の神楽坂での暮らしを綴ったエッセイ

    十数年前のことなのに、ずいぶん昔のことのように感じる、昭和感溢れるアパート
    加寿荘での毎日

    よく知っている土地なので、懐かしいカフェや佃煮屋さん、彼女が忌み嫌っているタワーマンションなどの光景が目に浮かびクスッとなる部分もたくさんあった

    大家さんやご近所、家族、会社の社長や友達などとの距離感がとても良い。

    性転換という決断を下すまでは葛藤もあったかと思うが、強くしなやかな心で乗り越えた彼女だからこそ、いまの活躍があるのだと思えた。

  • 山なし,落ちなし(意味はなくはないのかな?)のブログのような日常系小説.
    もともと作者の個人的なmixiの日記を再構成したものらしいので,ブログっぽいのは当然か.
    作者はLGBTのTの人らしい.そのことについても,重くならずかといって軽く扱いすぎもしない,いいバランスで書いていると思う.

  • ・買った経緯
    くぼみねヒャダみてて
    ・買った理由
    古本屋さんで見つけてステキで
    ・のこってる感想
    自分の暮らしもていねいに残したい。

  • 能町さんの静かな日常がうかがい知れる。
    男性から女性へ。
    現代でもよくあるとは言いがたい変身だけれど、
    彼女は淡々と静かに自然に変化して行く。
    人間観察力はさすがでございます。

  • 牛込神楽坂あたりの生活がわかる。本人が住んでた家を出て、性転換をして同じ家に戻ってくる、という構造は新しい。でも肉体の姓が変わってもマインドはそんなに変わらないのでなんかへんな感じ。もともとmixiの日記だったものを編集して本にしたらしく。

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著者プロフィール

北海道出身、茨城県育ち。文章やイラストの仕事のほうが多い漫画家。他称好角家。雑誌やネット媒体でコラムなどの連載多数。2006年、イラストエッセイ『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。著書に『くすぶれ!モテない系』(文春文庫)、『ドリカム層とモテない系』(ブックマン社)、『逃北〜つかれた時は北へ逃げます』(文春文庫)、『「能町みね子のときめきデートスポット」略して能スポ』(講談社文庫)、『雑誌の人格 2冊目』(文化出版局)、『うっかり鉄道』(幻冬者文庫)など。『「能町みね子のときめきサッカーうどんサポーター」、略して能スポ』(講談社文庫)がサッカー本大賞2017の大賞を受賞。ラジオやテレビなどでも活躍している。

「2018年 『中野の森BAND』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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