- 文藝春秋 (2015年8月4日発売)
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感想 : 16件
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Amazon.co.jp ・本 (624ページ) / ISBN・EAN: 9784167904357
作品紹介・あらすじ
「チェス界のモーツアルト」、その波乱の人生
東西冷戦下、世界王者に輝き、米国の英雄となった天才。だが、彼は奇行と過激な発言で表舞台から去る。神童はなぜ転落したのか。
みんなの感想まとめ
天才の名を持つボビー・フィッシャーの波乱に満ちた人生を描いた評伝は、彼の卓越したチェスの才能と同時に、彼を取り巻く複雑な人間性を浮き彫りにします。若くして世界チャンピオンに君臨しながらも、奇行や過激な...
感想・レビュー・書評
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6歳の時、姉が買い与えた1ドルのチェス・セットが彼のその後の
人生を決めたのか。
ボビー・フィッシャー。若くしてチェスの才能を開花させ、東西冷戦の
時代に歴代世界チャンピオンの座を独占していたソ連からその座を奪い、
アメリカ国内に一大チェス・ブームを起こした稀代の天才。
本書はフィッシャーを直接知る著者による詳細な評伝だ。
天才と言うのは本人が積み重ねた多大な努力によって作られるものなの
なのだろう。フィッシャーも多くの時間をチェスに割き、世界のトップ
に君臨するのだが、その才能を無にしてしまうような問題行動も多い。
金銭への執着は貧しかった幼い頃のトラウマなのだろうが、引退と復帰
を繰り返したことや、自分の思い通りにならないと感情が爆発する様子
は、何かしらの心の問題を抱えていたのではないかと思わせる。
それでも、チェス界は彼が戻って来るのを待っていた。傍若無人とも
思える振る舞いをしても、彼を愛したチェス仲間もいた。
だが、フィッシャーは長い長い隠遁生活の後、日本から出国しようと
して入国管理法違反の疑いで身柄を拘束される。この時も彼を支援
する人々が八方手を尽くし、アイスランドが彼を受け入れることに
なった。
このアイスランドが、フィッシャーの終焉の地となる。奇矯と映る
振る舞いと辛辣な言葉、他を寄せ付けないチェスの才能を持った男は
その死後に遺産相続の問題を残してアイスランドの地に眠っている。
面倒な天才だったんだなと思う。それでもチェスの神様は彼を愛した。
そして、1972年の対局でフィッシャーに世界チャンピオンの座を奪わ
れたボリス・スパスキーは彼の訃報に触れ「私の弟が死んだ」との最大級
の哀しみを記したメールを知人に送った。
フィッシャーを知る著者ではあるが、美談仕立てではなくフィッシャー
が引き起こした数々のトラブルも丁寧に描いており、チェスが分からな
くても十分に楽しめる評伝だった。
でも、でも…。フィッシャーのような知り合いがいたら嫌かも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チェスの天才・ボビーフィッシャー評伝小説である。よくある天才の破滅型人生を綴ったものといえばそのとおり。
しかし興味深かったのは
①若くして世界の頂点にたったその直後にほぼ即引退してしまっていること(その意味で活動歴は極めて短い)
②いくら金銭面の条件が折り合わなかったとはいえ(稀代のケチ)、天職であるはずのチェスプレイヤーとしての人生をあっさりと放棄し、長い後半生をチェスなしに生活してしまうことのアンバランスさ
③そうであるにもかかわらず、スター扱いされ彼のチェスが語られ続ける彼のチェスの輝き
そのほか、49歳で17歳の少女に真剣に恋をしたりとか、日本で逮捕された経緯とか、日本人妻とか、反ユダヤ的言動とか。興味のある要素は満載。本人には怒られそうだが、読んでいて痛ましいという感情を抑えられなかった。
ただ改めて、盤上で革新・戦闘的でありながら、誰よりもジェントルマンである、天才・羽生の独自性を考えさせられた。 -
冷戦の時代に翻弄された天才。プロバガンダとしてのチェスを余儀なくされたことにより、荒野の時代に突入したのではないか。純粋にチェスを楽しんでいた子供の頃のフィッシャーが歴代最高のチェスプレーヤーかもしれない。
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文字通り、チェスの天才の生涯を追った一冊。
翻訳独特の読みにくい箇所はあるものの、全体としてはとても面白かった。
彼の波乱万丈な人生、そしてそれ故に猜疑心旺盛で金の亡者になってしまったというのが物悲しい。
また冷戦構造化の時代の中で、旧ソ連のチェスの強豪に勝つのは痛快な反面、彼らが談合してたというのも時代性か。
今ではありえない話みたいだけど。
最後にチェスの強豪としても有名な羽生竜王が解説で「チェス界のモーツァルト」と書いてたのが至言。
その心は、誰もが認める天才、天才性がわかりやすい、その能力と別の部分のギャップ、だとか。 -
チェスの知識がなくても、読める。
天才の光と闇を如実に表している良作。 -
チェスの元世界チャンピオン、ボビー・フィッシャーの伝記。
貧しい家庭に生まれ育ったボビーは、幼少の頃からチェスの才能に恵まれていた。チェスの世界で数々の最年少記録を打ち立て、ついに29歳になったボビーはアメリカ人初のチェス世界チャンピオンとなる。
と、簡単に記せばこんな話なのだが、彼の一生はそんなに簡単ではなかったようだ。
若い頃から天才にありがちな、試合中や私生活での傲慢な態度。世界王者になってからも、差別的な発言や奇行を繰り返すあまり多くの友人や支援者を失い、最後には母国までも敵に回してしまうという、我々一般人には理解し難い生涯を送る事となってしまった。
冷戦下の代理戦争として、当時最強だったロシア人プレーヤーと戦い、世界チャンピオンになるまでの前半は、とても華々しくエキサイティングで面白かったが、世間から隠匿して人知れずアイスランドで生涯を閉じるまでの後半は、なんだかもの悲しくて憂鬱な気分になった…
さらに、この作品間違って2冊購入してしまって、憂鬱さを増長させるという残念な結果に… -
おもしろい、おもしおくないじゃない。長い!!!ボビー・フィッシャーが近くにいたら大変。
天才は遠きにありて思ふものそして楽しく愛でるもの -
1900年代、チェス界の天才と呼ばれたアメリカ人、ボビー・フィッシャーの伝記。馴染みの少ないチェス界の話だが、チェスの技術的な話は一切なく、チェスのルールを知らなくても退屈しない。逆にチェスに詳しい人にとっては物足りない本かもしれない。
フィッシャーが有名なのは、チェスの実力だけではない。チェスの天才でありながら、社会性のないトラブルメーカーであるというのが、この人の魅力だ。競技をドタキャンしたり、対戦相手にクレームをつけたり、亡命したりと、自分が納得できないことは、絶対に譲らない。誰かれ構わず、露骨に不満を表す。それがユダヤ教や米国、ソ連であっても。晩年はアメリカ国籍を捨てて、日本人と結婚、アイスランドに移住する。
正直、彼の行動は理解し難い。当時、チェス界のトップを占めていたソ連のプレイヤーに次々と勝利したことが、米ソの冷戦に例えられた不運もあったとしても、行動は異常だ。が、チェスの能力が飛び抜けていたために、その精神異常性も伝説となったのだろう。 -
81
ボビーフィッシャーのこと、知らなかったけど、こんな人なんやと、思った。はちゃめちゃだった。 -
年末に「完全なるチェックメイト」というボビー・フィッシャーの映画が公開されるからか、早くも文庫本化ということで待ってましたと購入しました。面白かったです。
フィッシャーに近い人物で、フィッシャーの伝記を書いた人ってたぶん今のところいないような気がします。本書はフィッシャーと友人関係にあったチェスの雑誌を創刊したりした人で、おそらくフィッシャーの伝記としては決定版?ともいえるのが本書だと思います。
フィッシャーの伝記なので、生まれた時や幼少時から始まります。フィッシャーは両親もかなり自由というか面白い人物なので、波乱万丈で興味深いです。
棋譜などチェス関係の資料は載ってませんが、それは他の本に譲ってフィッシャーの伝説でしかない部分や誇張された部分をなるべく払拭したいという意図があるように思えます。
世界チャンピオンになり、その後20年以上チェスの試合をせず、再び姿を現し再戦し、そしてまた隠遁して死亡…という、あまりにも切ないというか才能もったいないなあ…と思える生涯は劇的です。多分に世界情勢も彼の人生に影響を与えているのですが、ほとんど自滅したように見えます。
しかし、彼の持って生まれたスター性というのでしょうか。不遇の天才はいつの世でも人を惹きつけるんだろうなと思います。フィッシャーにしたら、面白くも無いことかもしれませんが… -
お母さんの医学の学位への執念がすごい。
なんであちこちの国で取ろうとするんだろう??
本人は変わり物 -
チェスの名人、ボビーフィッシャーの生涯について書かれた書
天才とは努力のなせる技、また天才とは何かを引き換えにしなければいけないものなのか、と思ってしまう。 -
『完全なるチェス――天才ボビー・フィッシャーの生涯』(文藝春秋)
原題:END GAME
著者:Brady Frank(1934-)
訳者:佐藤耕士(1958-)
2013年に刊行された単行本が早々に文庫化。
出版社のページ
<http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163760407>
【目次】
小さなチェスの奇跡
天賦の才能
クイーン・サクリファイス
アメリカの神童
冷戦のグラディエーター
宿敵との激戦
アインシュタイン理論
伝説同士の衝突
世界チャンピオンへの挑戦
ついに頂点へ
荒野の時代
フィッシャー対スパスキー、ふたたび
放浪する魂
成田での逮捕
氷の国の終着駅
