サクラ秘密基地 (文春文庫)

著者 : 朱川湊人
  • 文藝春秋 (2015年9月2日発売)
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  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904401

作品紹介・あらすじ

直木賞作家が贈る哀しくも残酷な物語仲良し四人組の少年が作った秘密基地の思い出が涙を誘う表題作ほか、夕焼けのような郷愁と残酷な記憶が織りなす、哀切に満ちた六作。

サクラ秘密基地 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  6編収録の短編集。

     朱川さんの短編の安定感たるやさすがの一言。野球で例えるならまさに全盛期のイチローばりの安打製造機。いずれも一定水準を満たした短編ばかりです。

     各短編いずれも主人公の過去の回想が入ってくる朱川さんお得意の形式です。そしてその回想から語られるのは幼い頃ゆえの、友達との関係性や、年上のお姉さんへの憧れ、家族への思いなどなど…、そうした誰にでもどこかに覚えのある感情を主人公たちが郷愁をにじませながら語るからこそ朱川さんのこの形式の短編は強いのです。


     一方でホラー作家としての面目も躍如している短編も今作は多い印象。「飛行物体ルルー」では少女同士の友情物語がラストで意外な方向に転がり人間の変化にぞっとし、また「コスモス書簡」も淡い少年の恋心とホラー的な雰囲気の対比が印象的。

     表題作の「サクラ秘密基地」も印象深いです。タイトルから四人の少年のほっこりした友情物語かと考えながら読み進めていたのですが、明らかになる真相と、そこに隠された思いを知った時のやりきれなさや哀しさというものはなかなか表現しきれないものがあります…

     そうした哀しさやぞっとさせるホラー系の短編が多い短編集なのですが、その分ラストに収録されている「スズメ鈴松」の父子関係、そして「always三丁目の夕日」のようなご近所の関係に救われた思いになりました。

  • 写真をモチーフにした、ノスタルジック・ホラーな6短編。(一部例外あり)
    上手いです。せつなホラー。
    表題作は小さい子を持つ親(または子供が好きすぎる大人)にはツラい話だと思うので、注意ですが。
    文庫本の解説を黒田有という方が書いてるのは裏表紙とかで見てて「誰?」と思っていたのですが、まさかメッセンジャー黒田氏だとは……
    TVで「おまえ~」言うてるのとは大分違う印象の解説文でした。
    ギャップが酷い(笑)

    解説 / 黒田 有
    イラスト / 新目 惠
    デザイン / 野中 深雪
    初出 / 『オール讀物』2010年8月号、2011年2月号・6月号・12月号、2012年4月号・8月号

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    仲良し4人組で作った秘密基地。誰も知らないその場所に、少年たちは毎日のように入り浸っていた。ある日、母子家庭のショースケが家出すると言いだし、基地に泊まりこんだが…(「サクラ秘密基地」)。遠い昔に撮った写真、そこに写し出された哀しい記憶と残酷な現実―短編の名手が贈る哀切に満ちた六編。

    郷愁溢れる短編を書かせたらピカイチです。この方は他に名作(明日咲く蕾、花まんま)があるので若干分は悪いですが、いい話も何本か有ってよかったです。ホラーが味付けになっている短編でこんなにバリエーションを持たせられるのはすごいですね、殆ど同じ路線でここまで書いてますから。普通ネタが枯渇しそうですけれどもまだまだ大丈夫そうです。

  • 遠い昔に撮った写真に込められた哀しい記憶と残酷な現実。短編の名手が送る哀愁漂う六編。
    デジタルカメラの登場以来、写真はとても身近な存在になった。フィルムで写真を撮っていた時代は、庶民にとってカメラを構える時は必ず記念写真だった。そんな時代の、写真を題材にした切ない物語。お気に入りは『スズメ鈴松』。

  • ノスタルジックホラー短編の名手、朱川湊人。本作は、表題の『サクラ秘密基地』に始まり、『飛行物体ルルー』、『コスモス書簡』、『黄昏アルバム』、『月光シスターズ』、『スズメ鈴松』と、いずれも「写真」をモチーフにした6編を収載しています。

    幼いころに遊んだ男の子、仲良し4人組の思い出が綴られる表題作。4人そろって写っている写真は存在しないから、主人公の記憶の中にあるだけ。うち1人に起こる悲劇が生んだ物語。いわゆる幽霊話ですが、彼らの秘密基地の楽しげな景色と相まって切なさ全開。

    ほんのいたずら心でUFOの偽造写真を作成したことから崩れてしまった親友との絆。20年ぶりに会うふたりを描く『飛行物体ルルー』は、かなりブラックなオチ。小学生時代の訣別がこんな20年後をつくってしまったと言えなくもありません。

    いったい誰が誰に宛てて書いた手紙なのか、最後まで伏せられたまま進められる『コスモス書簡』。小学生のときに淡い恋心を抱いた上級生女子の思い出。これも良くない形で別れたせいか、微妙な結末が待っています。

    現像すると撮った覚えのない写真が出てくる『黄昏アルバム』、精神を病んだ母親の死は本当に自殺だったのか思い悩む『月光シスターズ』。どちらも暗い展開。ホラーのようなミステリーのような運び。

    最後の『スズメ鈴松』は唯一ホラー的要素ゼロ。ちょっぴりホロリ、泣ける話になっています。訳ありで引っ越した主人公青年の階下に住んでいたのは、ガテン系の怖そうなオッサン、鈴松。ところがその息子が親父とは似ても似つかない美少年のうえ、ものすごく可愛げのあるできた奴。青年と親子の交流が始まります。

    表題作もいいけれど、わりとありがちな話。その次の4作も朱川作品としては普通以下かも。しかし終わりよければすべてよし。やっぱりこの人は短編の名手です。

  • 相変わらずの昭和切ない話。オウムを意図するルルーは頂けない。

  • 面白かった!切なくて少し不思議でちょっと怖いお話。

  • 哀しいお話

  • この短編集は、それぞれ物哀しいものもあり、ほっとするものもあり、あたりの感じ。親の都合で、翻弄される少年や子供たちの姿がとても細やかに描かれている。

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