等伯 上 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904425

作品紹介・あらすじ

直木賞受賞作、待望の文庫化!天下一の絵師をめざして京に上り、戦国の世でたび重なる悲劇に見舞われながらも、己の道を信じた長谷川等伯の一代記を描く傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 澤田瞳子著『若冲』を読み終えた勢いで(?)、その絵についてその生涯についてとんと不案内ながら、同じく絵師の長谷川等伯が主人公の本書を読む。
    絵師が主人公ゆえ、絵師の業界及びその創作が中心の小説かと思ったら、案に相違した。
    時は、信長の勃興する時代。その対抗する勢力の実家の出身ゆえ、信春(等伯)は画業を究めたいと思いながらも、時代の波に翻弄され、苦難の生涯となる。
    信長勢力からの逃避行は、波乱万丈の連続、さながら冒険小説を読むかのよう。
    信長暗殺の黒幕については、歴史書あるいは小説で、いろいろな説が流布しているが、この小説では公家の近衛前久としているようだ。

    書中ふれてあったが、京都先斗町の名の由来が面白い。洛中に住んでいた宣教師たちが「何と橋(ポンテ)の多い町だ」と驚きポンテ町と呼ぶようになったとか・・・

  •  期待を裏切らない作品です。

    下巻も楽しみたいと思います。

  • 上巻は室町から始まる。絵は見たことあるけど、こうやって背景を知ることで入り込めるな。

  • 室町から安土桃山時代へ。
    時代の荒波に翻弄された主人公。
    信長嫌い、日蓮宗贔屓。

    舞台も登場人物も申し分ないはず。でも、これが直木賞か?次の展開が安易に読める。ドラマチックな場面が相当前から予想できてしまう。

    人物に深みがないように感ずる。それぞれがあまりにも典型的、ステレオタイプ。妻は妻らしく、高僧は高僧らしく。それぞれの苦悩の裏側、心の奥まで読み取れない。

    宗教本ではないのだから。

  • 絵の世界ではトップに君臨する狩野派に対し1人で立ち向かい名声を得た長谷川等伯とはどんな人物だったのだろう。そしてどうやって登り詰めたのだろうと興味をもって読んでみた。
    上巻では、能登の絵仏師だった信春(等伯)が命を脅かされるような数々のできごとの中で妻と子を守り、都へ出て絵師を目指す姿を描いている。
    次から次へと巻き起こる恐ろしい問題、しかしその中でも心温まる嬉しいできごとがいくつも訪れて、グイグイとストーリーに引き込まれてしまう。
    著者は当時の政治権力図や世の中の動きをそうとう詳しく調べてこの小説を書いているように感じる。能登や京都の地理についても細かく丁寧に描写しており、光景が目に浮かぶようだ。
    下巻はいよいよ等伯が活躍を見せるところであり、読むのが楽しみである。

  • 同郷の絵師ということで遅ればせながら。
    歳を重ね、ようやく自分も歴史小説を読むだけの力がついてきたので。


    長谷川等伯の波乱に満ちた人生。
    一つ描くのに大きな葛藤、苦悩がある。
    だからこそ出来上がった絵には魂が込められている。こうした作品が現代まで残っていると思うとなんか感動。

    歴史小説を読むといつも思うけど、本当に真っ直ぐな人が多い。心が澄んでるというか。物があふれ欲にまみれた現代からすると、とても美しく見える。

    等伯の絵もっとちゃんと見とけばよかった。
    今度見よ。

    後半も楽しみ。

  • 上下巻合わせて約1000ページ。読書した満足感を得られる。
    https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12085621661.html

  • 長谷川信春、のち、等伯。
    京で狩野永徳と天下一の画匠の名を競った人物だ。先祖代々狩野派として、狩野の画風を守り、発展させてきた永徳と、新進気鋭の長谷川の闘いだ。どのように長谷川が画に取り組んできたかがわかる一冊だ。
    内容の半分は、有名な寺院や公卿屋敷の襖画の受注を巡っての永徳と等伯の競り合いだ。
    人はそれぞれ重荷を背負いながら一日一日を懸命に生きている。大切なのはその生きざまであって、地位や名誉を手にすることではない。色々な政争にも巻き込まれながら、等伯は考え、反省しながら画も人間性も成長していくのだった。
    利休の茶の道を曲げないために進んで死を受け入れたことにたいし、等伯は自分の考えをまた、ひとつ飛躍させることができた。志が高い者ほど、遠い苦難の道を歩き続けることができる。その先に何が待っているか分からないが、歩き続けることこそ人にできる唯一のことだと、等伯は感じたのだ。それは、画のために苦しむことができる我が身を喜ぶことだ。死んだ者の何もかも引き受けて捨身の筆を奮えばいいのだと。
    この小説は、政争が多く、少しうんざりするところもあるが、それを吹き飛ばす心地よさは、なんといっても、等伯の息子の久蔵の成長ぶりだ。等伯や等伯の後妻清子への心づかいにほっとする。
    そして、伏見城に、自分の命を懸けて描いた松林図屏風(国宝)を秀吉に献上した。それを見た、秀吉始め、家康、利家らは涙し、自分たちが如何に多くの人を傷つけ、如何に多くの業を背負って生きているか、痛感したという。なかなか、見事な終わり方だった。著者の他の作品も読んでみようと思う。
    全二巻

  • 御朱印をいただくようになってから、寺社を訪れて美術品に接する機会も増えていきました。

    長谷川等伯、と聞いても以前は「あぁ、智積院の…」という程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、こうやって小説で読むと、長谷川等伯という人の息遣いが感じられるようになります。

    どういう時代を生き、何を愛し、何を悔いて生きたのか…それを感じると、途端に等伯の絵に会いたくなります。

    フィクションも含まれてはいるでしょうが、とても面白かったです。
    僕は東京美術の『もっと知りたい長谷川等伯』を傍らに置いて、時に読み比べながら進みました。

    上巻は、織田信長が本能寺の変で斃れ、豊臣秀吉が天下を取るまでの時代、治世が秀吉に変わったことにより信春(等伯)が罪を赦され、京都へ戻るまでを描いています。

  • 信長、秀吉、家康とその時代の権力者に仕えた等伯。絵師の間での壮絶なたたかいを描いた渾身の歴史小説です。等伯や永徳の絵がさらに魅力的に見られるようになります。

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著者プロフィール

安部 龍太郎(あべ りゅうたろう)
1955年、福岡県八女市(旧・黒木町)生まれの小説家。国立久留米工業高等専門学校機械工学科卒。本名は良法。
図書館司書を経て1990年『血の日本史』でデビュー。2004年『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞、2013年『等伯』で第148回直木賞、2016年『等伯』で第5回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞をそれぞれ受賞。

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