等伯 下 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2015年9月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784167904432

感想・レビュー・書評

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  • 信長没後、世の中は、豊臣秀吉が天下統一に動き出していた。信長と対立していた等伯としては、ようやく絵師としてその場を広げようという時代。
    一人の才能豊な画家は、おそらく絵を描く場所を得ることだけ望みだったと思う。
    時代の流れは激しく、長谷川家の再興を目指す実兄や元藩主の姫の策略にも巻き込まれる。等伯命名にも関わり、懇意にしていた利休の切腹も助けられない。政治的な厳しさに加えて、長く日本の画壇の中心だった狩野派との対立が顕著になってくる。狩野派の嫌がらせは、なかなかのもの。それだけ、等伯の長谷川派を恐れていたのだけれど。
    現存する作品を等伯が描いている様子が、書かれるのですが、絵と等伯のその時の背景と心情が素晴らしいと思います。
    多大な資料と考察で、絵師等伯の一代記と、絵師が関わってしまった理不尽な武家社会が読めます。

    • みんみんさん
      どんな作品か見てみたよ(//∇//)
      どんな作品か見てみたよ(//∇//)
      2023/06/07
    • おびのりさん
      あの水墨画の松が有名だよね。
      この作品って、たぶん、かなりこれが事実小説だと思うの。信長も秀吉も三成も、
      \\\٩(๑`^´๑)۶////
      あの水墨画の松が有名だよね。
      この作品って、たぶん、かなりこれが事実小説だと思うの。信長も秀吉も三成も、
      \\\٩(๑`^´๑)۶////
      2023/06/07
    • みんみんさん
      松林図!凄い水墨画だった!
      松林図!凄い水墨画だった!
      2023/06/07
  • 連載小説を夢中で読んでいたことを、京都のお寺に行ったときに何とはなしに思い出した。父思いの息子や配慮深い後添えの奥様、狡猾な豊臣秀吉など、とても迫力のある小説だった。

  • 信長の時代が終わり、京都に居を構え、落ち着きを得たかと思われた等伯に、権勢を誇る狩野派がその前に立ちはだかる。
    さらに、秀吉の忠臣石田三成が冷酷非情な権謀術数を駆使し、等伯を追いつめる。
    絵師の存在が、これほどまでに時の政治と関わりあうとは、現代では考えられないことではないだろうか。
    利休との関わりから、秀吉の怒りを買い、その絵が彼の目にかなわないときは、処刑されるという絶体絶命の状況で描いた「松林図屏風」。
    読後、東京国立博物館に所蔵されているという、等伯「松林図屏風」を観ないではいられない。

  • 等伯がなんなのかさえわからずに読み始めたが、読んでよかった。絵師の世界を知れてよかった。この時代だから仕方ないにしても色々ありすぎた…。久蔵はとても良い息子だった…。

  • 連休を使って一気に読み切った。
    もっと崇高なイメージを持っていた狩野永徳、石田三成の姑息な立ち回り、最後まで等伯を利用し続けた夕姫、千利休が亡くなる理由など、黒い要素がふんだんに盛り込まれているにも関わらず、読後感は爽やかです。
    単にぼんやりとした水墨画にしか思えなかった松林図屏風がなぜ国宝なのかという理屈は理解できましたが、実物を見て自分はどう感じるのだろうか。次に公開されるときは見に行かなければ。

  • 上に続き、下を読む。

    時代小説は、あまり読んでいませんでしたが、直木賞・芥川賞を読むようになって、何冊か読みました。面白いですね。江戸時代も庶民を題材にしているものも、この本のように、実在の人物をモデルにかかれたものも、人物の心の描写が、ぐっときます。

    戦国時代、信長、秀吉、家康…を描いたものは多いですが、絵師であっても、政治の影響を受けるのですね。
    狩野派との争いなども、お金や政治力が働いている。
    等伯の天才的な才能を持ちつつも、自分に正直に生きてしまうがための苦難…わかるけど、わかるけど、そこは大人になろうよなどど、読者であるある私は思うのですが…自分に正直に生きているからこそ描ける世界観を持っていたのでしょうね。

    小説内ででてくる長谷川信春・等白・等伯のその時々で、転機となった絵を見てみたいですね。
    人々を魅了してきた、渾身の絵。
    狩野派の絵も見たいです。
    私に、その凄さがわかるかは・・・・・。

    2枚ほど、下記のYouTubeで紹介されていました。
    https://www.youtube.com/watch?v=UtWkWHfbbm0

    小説読了193冊目。ブクログ内で。

  • 時代物‥‥。司馬遼太郎より自分に合ってるかもしれない。

  • 時代背景を交えながらの分かりやすい文章でサクサク読めました。

    等伯自身は、絵を描くことだけにひたすらに打ち込む、ちょっと変わり者という印象で、あまり魅力的な人に思えず、しっかり者の妻とよく出来た息子、政治的にも力のある人々に守られている感がありました。色んな人に助けられながらも、等伯が引き寄せているんですよね。

    仏の教えがそこここに出てきますが、自分の成すべきことを無心で成すことなのかな、と難しいながら感じました。

  • 戦国時代の有名人がいっぱいでてくる。松林図屏風のいきさつは事前から知っていただけに、初めから久蔵のかわいさが痛かった。

  • なんという波乱万丈な人生。

    なぜこれを大河ドラマ化しないのか不思議。

    東博で松林図を見たときは、まさかそれほどのものとは思わなかったんだけど、見る目ないなぁ。

  • 安部龍太郎さんの代表作品になるのでは、というくらい面白かったです。等伯は狩野永徳という存在があったからこそ、あの素晴らしい絵が残せたのですね。

  • 先輩から借りて読んだ。
    長谷川等伯の存在自体を知らなかったが、非常に面白かった。必要以上に主人公をヒーロー視せず、時の権力構造について冷静に分析されていて納得感が高い。美術については全然興味がなかったが、このようなストーリーを踏まえて鑑賞したくなった。

  • 時代に翻弄されて生きた

    主人公の等伯の人生を

    読み人の私も

    物語の魔法にかかった

    かの様にまた

    疾走するかの様に読破しました。

    文句なしの星五つです。

  • さて物語は下巻に入り、信長が没して不安から解き放たれた信春(等伯)は、聚楽第の襖絵をかけた狩野永徳との勝負を経て、大徳寺三門の壁画の仕事を成し遂げ、漸くその名を世に轟かし、しかしそれも束の間、利休事件に関係し、再び窮地に立たされる。
    絵に執着したばかりに何人もの身内を不幸にしてきたと自覚しながら、それもこれも絵に向かおうと自ら招き寄せた運命として、亡き者たちを背負って己れの画境に向かっていく。
    ほんとに浮き沈みの激しい人生。真の天才の生き様ちゃあ、こういう感じなのだろうか。
    私なら七尾の絵仏師として信頼を得て家族との平安な暮らしを選ぶだろう。と言いつつ、自分の今度の転籍も、私にとっては安穏な仕事を捨ててのチャレンジとも言えるかも。スケールの大小はあるけれど、人はそれぞれ自分で何かを背負いながら進んでいくものなんだろうと思い直した。
    だけど、この本の周りの人はそれで良しとしていたけれど、身内まで巻き込んでいくのは感心しないな。私は家族とともに幸せになりたいよ。

  • 狩野派と比べて色が深く繊細で、霧が静かに立ち込めるような静謐な空気を感じる等伯と、若さと才能に溢れた、たおやかな久蔵の絵が好きで、日本で1番好きな画家だから、手に取った小説だった。上巻では等伯の内面がびっくりするくらい子どもで、失望し呆れるところが多く読むに堪えなかったのだが、下巻でも内面はまだまだ子供ではあるものの、絵に向き合う信念が存分に伝わってきたのが好感であった。等伯や久蔵に関してはわかっていないことが多いため、この小説はほぼほぼフィクションではあるが、誠実に作り込まれていたように思う。

  • 東京国立博物館で松林図屏風をみて感動したことと、作者のエッセイを呼んで面白くて、この度読了。
    今まで知らなかった等伯の人生を追体験できた気がした。関わった事件が歴史的なことばかりで退屈することなく読めた。等伯の選択がおいおいと思うことはたくさんあったが、それでも描写に説得力があった

  • 信長が亡くなり等伯は再び京都へ舞い戻った。これからどうするかと考えていたら昔お世話になった扇屋の老夫婦から店を継いで欲しいと頼まれひょんなことから店を構える事となった。襖絵、扇は下京で評判となり店も繁盛する。信長の後ろ立てを無くし秀吉の時代となり立場を弱めていた狩野永徳。新進気鋭の等伯。狩野永徳の父松栄の頼みで永徳と絵の対決となる。勝負は引き分けに終わり後に大徳寺の襖絵を任されるが狩野永徳の妨害にあいながらも完成させ京で名を馳せる。しかし朝廷から仙洞御所の依頼を受けるため公家に献金を贈るが狩野永徳に妨害される。息子久蔵は名護屋城の絵を任されるが不慮の事故で亡くなる。ここに狩野派の陰謀があると等伯は秀吉に真相を究明するよう求めたが逆に秀吉の逆鱗に触れる。命と引き換えに伏見城に今まで誰も見た事のない絵を描けと命ぜられる。我を忘れて一心不乱に絵を描き大作松林図を描き上げる

  • 下巻に進むと、さらに面白くなる。狩野派との対決が、意地とプライドだけでは表現できない、歴史と伝統のシガラミを、上手に表現している。上下巻通じて、絵や作品へのリスペクトはもちろんのこと、人物としてリスペクトとして書いている姿勢がとても読者に感銘を与えている。

  • 激動の時代に筆を取り続けた絵師長谷川等伯の時代小説。上巻に続き、下巻も試練の連続でハラハラしながら読む手が止まりませんでした...。人生を賭けて描いた絵には生命が宿り、見た人の心に生き続けるのだろう。いつか大河ドラマでやってほしい!

  • 信長と静子の亡き後、2度目の上洛から始まる下巻の表紙は、上巻と同じに等伯の《松林図屏風》だけど、ネガポジ反転。菊地信義デザイン、さすが。

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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