等伯 下 (文春文庫 あ 32-5)

制作 : 安部 龍太郎 
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 595
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904432

感想・レビュー・書評

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  • 信長没後、世の中は、豊臣秀吉が天下統一に動き出していた。信長と対立していた等伯としては、ようやく絵師としてその場を広げようという時代。
    一人の才能豊な画家は、おそらく絵を描く場所を得ることだけ望みだったと思う。
    時代の流れは激しく、長谷川家の再興を目指す実兄や元藩主の姫の策略にも巻き込まれる。等伯命名にも関わり、懇意にしていた利休の切腹も助けられない。政治的な厳しさに加えて、長く日本の画壇の中心だった狩野派との対立が顕著になってくる。狩野派の嫌がらせは、なかなかのもの。それだけ、等伯の長谷川派を恐れていたのだけれど。
    現存する作品を等伯が描いている様子が、書かれるのですが、絵と等伯のその時の背景と心情が素晴らしいと思います。
    多大な資料と考察で、絵師等伯の一代記と、絵師が関わってしまった理不尽な武家社会が読めます。

    • みんみんさん
      どんな作品か見てみたよ(//∇//)
      どんな作品か見てみたよ(//∇//)
      2023/06/07
    • おびのりさん
      あの水墨画の松が有名だよね。
      この作品って、たぶん、かなりこれが事実小説だと思うの。信長も秀吉も三成も、
      \\\٩(๑`^´๑)۶////
      あの水墨画の松が有名だよね。
      この作品って、たぶん、かなりこれが事実小説だと思うの。信長も秀吉も三成も、
      \\\٩(๑`^´๑)۶////
      2023/06/07
    • みんみんさん
      松林図!凄い水墨画だった!
      松林図!凄い水墨画だった!
      2023/06/07
  • 信長の時代が終わり、京都に居を構え、落ち着きを得たかと思われた等伯に、権勢を誇る狩野派がその前に立ちはだかる。
    さらに、秀吉の忠臣石田三成が冷酷非情な権謀術数を駆使し、等伯を追いつめる。
    絵師の存在が、これほどまでに時の政治と関わりあうとは、現代では考えられないことではないだろうか。
    利休との関わりから、秀吉の怒りを買い、その絵が彼の目にかなわないときは、処刑されるという絶体絶命の状況で描いた「松林図屏風」。
    読後、東京国立博物館に所蔵されているという、等伯「松林図屏風」を観ないではいられない。

  • 連休を使って一気に読み切った。
    もっと崇高なイメージを持っていた狩野永徳、石田三成の姑息な立ち回り、最後まで等伯を利用し続けた夕姫、千利休が亡くなる理由など、黒い要素がふんだんに盛り込まれているにも関わらず、読後感は爽やかです。
    単にぼんやりとした水墨画にしか思えなかった松林図屏風がなぜ国宝なのかという理屈は理解できましたが、実物を見て自分はどう感じるのだろうか。次に公開されるときは見に行かなければ。

  • 上に続き、下を読む。

    時代小説は、あまり読んでいませんでしたが、直木賞・芥川賞を読むようになって、何冊か読みました。面白いですね。江戸時代も庶民を題材にしているものも、この本のように、実在の人物をモデルにかかれたものも、人物の心の描写が、ぐっときます。

    戦国時代、信長、秀吉、家康…を描いたものは多いですが、絵師であっても、政治の影響を受けるのですね。
    狩野派との争いなども、お金や政治力が働いている。
    等伯の天才的な才能を持ちつつも、自分に正直に生きてしまうがための苦難…わかるけど、わかるけど、そこは大人になろうよなどど、読者であるある私は思うのですが…自分に正直に生きているからこそ描ける世界観を持っていたのでしょうね。

    小説内ででてくる長谷川信春・等白・等伯のその時々で、転機となった絵を見てみたいですね。
    人々を魅了してきた、渾身の絵。
    狩野派の絵も見たいです。
    私に、その凄さがわかるかは・・・・・。

    2枚ほど、下記のYouTubeで紹介されていました。
    https://www.youtube.com/watch?v=UtWkWHfbbm0

    小説読了193冊目。ブクログ内で。

  • 時代物‥‥。司馬遼太郎より自分に合ってるかもしれない。

  • 戦国時代の有名人がいっぱいでてくる。松林図屏風のいきさつは事前から知っていただけに、初めから久蔵のかわいさが痛かった。

  • なんという波乱万丈な人生。

    なぜこれを大河ドラマ化しないのか不思議。

    東博で松林図を見たときは、まさかそれほどのものとは思わなかったんだけど、見る目ないなぁ。

  • 安部龍太郎さんの代表作品になるのでは、というくらい面白かったです。等伯は狩野永徳という存在があったからこそ、あの素晴らしい絵が残せたのですね。

  • 先輩から借りて読んだ。
    長谷川等伯の存在自体を知らなかったが、非常に面白かった。必要以上に主人公をヒーロー視せず、時の権力構造について冷静に分析されていて納得感が高い。美術については全然興味がなかったが、このようなストーリーを踏まえて鑑賞したくなった。

  • 時代に翻弄されて生きた

    主人公の等伯の人生を

    読み人の私も

    物語の魔法にかかった

    かの様にまた

    疾走するかの様に読破しました。

    文句なしの星五つです。

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