空の拳 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2015年10月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167904623

作品紹介・あらすじ

突き上げられた拳は、何を掴むのか



入社三年目の出版社社員・空也が配属されたのはボクシング雑誌。ジムにまぎれこんでから広がる、パワフルで熱い世界を描く長編小説。

みんなの感想まとめ

ボクシングをテーマにしたこの作品は、運動音痴の新人雑誌編集者が、ボクシングの世界に足を踏み入れることで描かれる成長と魅力を描いています。主人公・空也は、配属されたボクシング雑誌での取材を通じて、ジムに...

感想・レビュー・書評

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  •  元ボクシング世界チャンプ輪島功一さんのジムに通ったり、フルマラソンを走ったりと、文筆業と並行して自らを追い込む角田光代さん。
     私的に、最近密かにボクシングものを読んでおり、角田さんのジム通い、巻末の沢木耕太郎さんとの特別対談の掲載、これでもうビビッときました。

     主人公は、運動音痴の新人雑誌編集者・空也25歳。文芸部署志望も叶わず、ボクシング誌に配属されます。解らないことだらけで取材もままならず、半ばやむを得ず担当の一つ「鉄槌ジム」に入会します。

     この選手でもトレーナーでもない主人公視点が新鮮で、徐々にのめり込んでいく描写は、(経験者である)角田さん自身の目線ではないかと思います。
     登場人物の個性・書き分けも見事で、試合場面も臨場感に富んでいます。

     入会した小さなジムで出会ったほぼ同年代のボクサーたち。空也は、彼らと関わりながら、ボクシング〝沼〟にハマっていきます。
     空也視点で描かれるので、他のボクサーたちの心情は読み取れませんが、彼等のストーリーを追いたいという思いは読者目線と一致し、次の展開の期待感を高めます。

     空也を含めて、彼らの挫折や成長はこの先どうなるのか? 下巻が楽しみです。

  • スポーツを題材にした小説の中でも、ボクシングをテーマにしている作品は、どれもこれも楽しんでます。登場人物の熱いスピリットに、読んでいるこちらまでリングの上に立ったような気持ちになれます。ただこの作品の主人公は、ボクシングに縁のない雑誌編集者。ボクサーたちの姿が、第三者の目を通して描かれているので、ちょっと変わったボクシング小説です。

  • 文芸担当者志望の空也が配属されたのは、ボクシング専門誌『ザ・拳』。気乗りしないまま自らもジムに通ううち、いつしかボクシングの魔力に魅了されていく。ボクシングの無垢な美しさを描く青春小説。
    敵を倒すのは己の拳だけ。単純明快ながら、その美しさと迫力は他の格闘技を圧倒する。過去のノンフィクションや映画でも、ボクシングものは面白い。どんな勝者でも、必ず孤独感を覚える不思議な世界は本作でも同じである。

  • 角田さんの小説は、ほとんど読んでいるけれども、個人的にいつも設定に違和感があって、正直話に入り込みにくかった。(入り込んでしまったらハマってしまうけど)

    でも今回は、何の違和感もなく話に入り込めた。設定がひねってない感じがしたし、どこにでも居そうな普通の会社員が主人公で、自分と近しい存在だから共感出来たのかもしれない。

    内容もとても面白くて、上下巻を一気に制覇してしまった。あと、単純だが、後楽園ホールにボクシングを見に行きたくなってしまった。

  • ボクシング、テレビでチラッと見たことがある。もっぱら「はじめの一歩」あぁ「ボックス」も読んだ。ボクシング専門誌の編集者の目線は面白い。それもなまっちろいヘナチョコ男(?)でも気持ちの中には芯が有ると思う、小さいかも知れないけど。

  • なるほど、角田さんが書くとスポーツ(ボクシング)小説がこうなるのか。
    巻末に沢木耕太郎さんとの対談が載っているの見て、きっちりボクシングを描いた作品だと確信して購入。それは正解。しかし、ある意味意外だったのは、小説なのだがルポを読んでるような感触。それが冒頭のような感想になった。
    主人公(語り手)の空也はガチガチ文系、運動音痴の新人雑誌編集者。文芸を希望するもボクシング誌に配属され、その世界を知るために半ばやむを得ず小さなボクシングジムに入会する。
    そこで出会った同年代の3人のボクサー。一人は子供の頃からこのジムに通う中神。中神の友人で最近入門した坂本。そして過酷の過去を持ち、不遜な態度とビックマウスの立花。空也は彼らのボクサーとしての成長と挫折に関わりながら、ボクシングの世界にのめりこんでいく。
    角田さん自身、10年にわたりボクシングジムに通っているそうで、空也はおそらく角田さんの化身。あるいは『一瞬の夏』の沢木耕太郎さん。
    ボクシング小説でありながら主人公をボクサー本人ではなく空也に置いたことが、ルポ/ドキュメント的なちょっと変わった味わいを醸し出している。ボクシングの試合は多く描かれ、その描写は秀逸で臨場感がある。但し、空也視点なのであくまでリングサイドからの観戦記。
    その一方で青春群像、若者たちの成長物語としても良い。
    3人の若いボクサーの個性も見事だし、その3人が悩みながらそれぞれの道を歩き始める姿も心地良い。周りを埋める脇役も良く、特にトレーナー有田の不思議さとその扱い方は面白い。
    そしてリングの興奮を鎮めるかのようにスーと引いて行き、しかも柔らかな幸せと希望を感じさせる、見事に小説的なエンディングでした。

  • 淡々と続くボクシングの試合。ジェンダーな時代だけど、闘う本能は、男のもの?

  • (2016.9.30)
    (315P)

  • 112

  • 立花の純粋さがかっこいい。
    ボクシングの魅力も何となく分かったけど、
    人間関係の描かれ方のほうが興味深かった。

  • スポーツ系の小説って全然読まないんだけど、この続編が刊行されるとのことで、せっかくだしと読んでみました。
    角田光代の手にかかるとこうなるのか。
    チェリーボーイの記者空也と、ビッグマウスの新人ボクサー立花。
    ボクシングを通して、対照的な二人の友情と成長がなんとも微笑ましい。
    ボクシングって全然興味なかったし、むしろ嫌悪してたぐらいだったのに、かようにもアツくて爽快なスポーツだったとは。
    そして試合のシーンの描写、もう圧巻です。
    動きを文字にするというのはすごく技術のいることだと思う。
    臨場感、緊迫感。まるで会場にいるかのように錯覚し、固唾をのんで見守り、一緒になって興奮している自分がいます。
    下巻、どう続いていくのだろうか。

  • 前編だけではどう展開するのかは不明。

  • 選手やコーチではないところからの目線。
    のめり込み方や、離れて生き方、なんかわかる。
    憑かれている時って自分でもよくわかんなくてアドレナリンが上がってる感じだしなあ。
    面白い。

  • 練習して練習して練習して見える世界があるんだ…資質は確かに大事ではっきりわかってしまうのだろうけど私は立花や坂本や中神の成長と共に空也も見守るつもりで読みました。
    彼達は何を得るのかな。

  • ボクシングに興味が全くないので、分かりやすい説明だのですが、やはり読んでいてイメージしにくい場面が多々ありました。角田先生の文章力で何とか読めたなという感じです。

  • ボクシングの話。どうしたんだろう、角田光代。こういう作品も書くんだ。ちょっと意外。

  • 国内の小中高の経歴詐称はすぐバレるのに。

  • 出版社入社3年目の那波田空也。文芸編集部にいきたいと思っていたのに、配属先はスポーツ紙「ザ・拳」全然興味のないボクシング雑誌。初めは嫌々仕事をしていたのだが、いつしかボクシングに魅了されていく。特にタイガー立花に出会ってから、ボクシングが生活の一部にまでなっていく。試合の描写は想像なので、ボクシングがあまりわからない私でも、目に浮かんでくる。そして、立花が魅力的な人間なことも伝わってくる。

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著者プロフィール

角田 光代(かくた・みつよ):1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。90年「幸福な遊戯」でデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『かなたの子』で泉鏡花文学賞また『紙の月』で柴田錬三郎賞を、14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、21年『源氏物語』の完全新訳で読売文学賞を受賞。その他の著書に『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『わたしの容れもの』『月夜の散歩』などがある。

「2025年 『韓国ドラマ沼にハマってみたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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