空の拳 下 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2015年10月9日発売)
3.53
  • (4)
  • (18)
  • (24)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 185
感想 : 20
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167904630

みんなの感想まとめ

ボクシングをテーマにしたこの作品は、試合の描写が増え、選手や観客の心理が深く掘り下げられています。特に、ボクサーの動きや観衆の反応が生き生きと描かれ、まるで試合を目の前で観戦しているかのような臨場感が...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  角田光代さんのボクシング小説『空の拳』(2012年単行本刊)、文庫化で分冊された下巻です。

     上巻以上に試合場面が増え、描写にも質的な変化が見て取れます。試合をするボクサー、観戦する側の観る目も経験を積んで成長し、意図的な濃密さを感じました。
     選手の描写で、肩胛骨と筋肉がそれぞれの意思で踊るように動くとか、観衆の様子で、土砂降りのような歓声だとか、空也目線の状況分析と選手心理の読みが深化している‥?

     記者として追うボクサーが複数いて、試合描写が焦点化されないのはある程度当然かもしれません。物語がどう収束していくのかなと思いながら、長い試合場面に神経がやや疲れました(笑)。
     でも、ハングリーさやストイックさを感じさせず、優しく爽やかで、希望をもてるような読後感だと思いました。
     シンプルで人を魅了するボクシングを、それに打ち込む若者たちを、見事に鮮やかに描いている小説でした。

     巻末の沢木耕太郎さんとの特別対談も、とても興味深く読みました。
     本書の続編にあたる『拳の先』、さらにエッセイ『ボクシング日和』、さらに×2 沢木耕太郎さんの『一瞬の夏』も、機会を見つけて読んでみたいと思いました。

  • 文芸作品を担当したくて出版社に就職したもののボクシング雑誌に配属された空也は自らジムの練習生にとなり取材対象に接するようになる。ボクシング素人の空也の目線からの描写がリアルに感じられるスポーツ小説。試合を生で見たくなる。

  • やっぱりボクシング小説はおもしろい!リングの上の熱い気迫が、ビシビシ伝わってきます。殴り合うという単純明快なスポーツの先にある、ボクサーたちの苦悩や興奮が、リアルに感じられました。大満足です。

  • ビッグマウスを批判されながらも、順調にステップアップするタイガー立花。ボクシング雑誌編集者の空也にも、人生の転換期が訪れる。ボクシングに魅了される男たちの姿を描く青春スポーツ小説。
    まさに角田光代版『一瞬の夏』。巻末の沢木耕太郎氏との対談は必読ものである。カシアス内藤がガンと闘い、そして彼の息子がボクシングを始めるとは。『一生の夏』とは言い当て妙だ。

  • 勝つことは静かなること。鳥肌がでたボクシング小説。

  • タイトルと主人公の名前からよくある主人公がひょんなことから始めたボクシングで活躍するという漫画的な話かと思われたが、そうではない。どうしてこういう主人公で物語を描いたのかという点は最後の対談でよくわかる。

  • 会社の都合により、専門誌の編集者としての道は永遠ではない。ボクサーとしての道は、誰が行先を決めるのだろう。ジム、トレーナー、ファン……最終的には自分なのかなやっぱり。

  • 著者がスポーツ小説を描くとこうなるのかという驚きがある。
    とても面白い。

  • (2016.9.30)
    (299P)

  • 格闘技は苦手だけど角田さんだから読んでみた。なんだろ、後半、試合の場面は引き込まれたけど、全体的にはいまいち盛り上がらなかった。感情移入できる人がいなかったからか。角田さんの作風とスピードのあるスポーツが合わないのか。

  • 113

  • 角田好きかつボクシングファンなので楽しみに読んだ。が、期待が大きすぎたか「ふつう」だった。物語もまだつづきがありそうな感じだし、すっきりした感じがしない。もう少し深い人物描写があったほうが良かったと思う。

  • 下巻。上巻からひきずっていたもう一つの事件が起きたりして、精神的にゆれうごく姿が丹念に描かれていました。
    上巻よりもテンポがはやくなり、あっという間に読了。
    練習して練習して、自分を追い詰めた先にある、ただ一人だけがいける場所。
    まわりの歓声も罵声もすべて聞こえなくなるような、静かで果てしない高み。
    そんな瞬間ってどんなに最高なんだろうと思います。
    単純なエンタメ的スポーツ小説ではなく、そういう部分まで読み手をひっぱっていってくれるのが、角田光代作品の好きなところです。
    まだまだ未来と希望のあるラストがいい。
    立花も坂本も、彼らはみんなこれからもっとずっと強くなる。
    刊行されたばかりの続編を読むのが楽しみです!

  • 物語自体は2000年代初めくらいの設定。でも端々に現在にも通じることが書いてある。
    みんな正義をふりかざしているけど、いじめっ子みたいだ、とか。
    本質とは関係のないことで叩かれる。しかも叩く側の人間は、そのことで大して実害を被っているわけではない、のに。
    いーっちゃおいっちゃお、せーんせーにいっちゃーおー
    子ども時代によくあるこれと同じようなメンタリティなのか。
    ボクシングに興味を持てたわけではないけれど、そういうことを考えさせられたよ。

  • 読み応えありで、面白いです。

  • 何者でもない男達…いいなぁ。
    すごく強くなりたい、というシンプルさが羨ましい。
    ラストもいいとこで終わる。
    孤独で地味で苦しい日々を立花や坂本や中神や空也は知ってるからそれぞれボクシングとの向き合い方が違うけど確実に得たものを糧にそれぞれの生き方していくのが想像できてボクシングに取り込まれた彼らがかっこいいと思いました。

  • うーん。同じボクシング小説なら、百田尚樹の「ボックス!」のほうが面白かったかな。もうちょっと青春っぽい爽やかさが欲しかったところ。

  • 「小さな悪意」は恐ろしい。

  • 2017.05.06

全19件中 1 - 19件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

角田 光代(かくた・みつよ):1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。90年「幸福な遊戯」でデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『かなたの子』で泉鏡花文学賞また『紙の月』で柴田錬三郎賞を、14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、21年『源氏物語』の完全新訳で読売文学賞を受賞。その他の著書に『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『わたしの容れもの』『月夜の散歩』などがある。

「2025年 『韓国ドラマ沼にハマってみたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

角田光代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×