- 文藝春秋 (2015年12月4日発売)
本棚登録 : 11241人
感想 : 812件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167905033
作品紹介・あらすじ
多崎つくるは、鉄道の駅をつくるのが仕事。
名古屋での高校時代、4人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、4人から絶縁を申し渡された。
何の理由も告げられずに……。
死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか、真相を探るべく一歩を踏み出し、旅に出る――。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
村上春樹さんの作品の中ではかなり読みやすい方だと思う。
現実的。
見上げれば月の横にもうひとつの月があったりすることもないし、意味深な井戸もないし、変な鳥も鳴かないし、絵の中のおっさんがボヨヨヨーンと出て来て話しかけてくることもない。
特に暗喩らしいものもない。
読みやすい。スラスラいける。
途中まではミステリーっぽかったけど、まあさすがに真犯人とかは出てこない。
なんとなく終了。
読み終わっても特に何も心に残らなかった。
初期の作品の方がやっぱり好きだな。
作者の主人公はだいたい女によくもてて、経済的にも恵まれてる人物が多い。
あー、うらやましい_(:3 」∠)_-
2023/12/04
-
(゚Д゚)ハァ?
これで十分だわ!
だいたい『さよなら、愛しい人』なんてタイトル付けてる時点でセンスないわ!
お前がハードボイルド語るなよっ...(゚Д゚)ハァ?
これで十分だわ!
だいたい『さよなら、愛しい人』なんてタイトル付けてる時点でセンスないわ!
お前がハードボイルド語るなよって感じだわ!
全ハルキストを敵に回す所存だわ!2023/12/04 -
2023/12/05
-
-
村上氏の本は他にも読んだような気がしたが、初めてのようだ。アカデミー賞で話題になった作品も村上の作品とこの本を読んでから調べて知り、偶然に驚いたところ。ノーベル賞候補に毎年なっていることから読んでみたというところ。
この作品はタイトルが不思議で、読み進める内に理解してくる。自殺願望から始まり、持って行き場の無い絶望から始まる。そこを抜け出したと思ったら、また色に関係する友人ができる。夢のような体験があり、現実感のないままこの友人との別れが訪れる。これが疑問のままで終了。
10数年経過し新たな恋人の勧めで、過去にあった出来事の解明に乗り出す。色の付いた名前の友人達と絶縁となった理由を聞き回るが、肝心の証言者が死んでいて真相が不明。誰が殺したかも不明。新たな恋人の陰に見える男性の正体や、これから二人の将来も不明。何だか疑問が数多く残されてフラストレーションが溜まるのだが、このような意見は少数派のよう。哲学的な内容とフィンランドのような映像美が良いのだろうか?
-
やっぱり村上春樹はいいなあ。
この文章を読むと一気に引き込まれるんだよね。
ストーリーとしては、
わざとかよっ!!
てくらいに全く伏線が回収されないし(笑)。
でも、それがいい。
自分の中でその伏線の描かれた背景を想像する。
これがハルキストとしての愉しみ方ですよ。 -
「そのとき彼はようやくすべてを受け入れることができた。魂のいちばん底の部分で多崎つくるは理解した。人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それは傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。」
高校時代に仲の良かった4人と40前にして再会していく話。
昔の友人のその後、あの当時はわからなかった不思議、謎と対決する……なんとなく中学ぐらいの時分に読み漁ったスティーブン・キングを思い出した。
村上春樹の数ある主人公……カティーサークを飲み、パスタを茹で、サンドイッチを丁寧に作り、女の子と寝る……そんな主人公たちの中でわりと多崎つくるに好感が持てたのは文頭の引用部分と下記の部分があったためだと思う。
「正しい言葉はなぜかいつも遅れてあとからやってくる」
遅れてやってくるのは少なくとも探し続けているからなのだと思う。
読めと勧めてくれた友人に感謝したい。 -
いつか読む、と決めていたからこそ、あえて本書の情報入れないようにしていた。
本屋で平積みされていたのも覚えているし、私自身いつ読むんだろう、と思ってた。
だからいざ読み始めたら、主人公と同い年なのに驚いた。
そんな共通点に限らず、今の自分に必要、という最高のタイミングで出会えることがあるから読書はやめられない。
村上春樹さんは、「ノルウェイの森」を2回読んだくらいで、私にとって馴染みのない作者。「ノルウェイの森」の衝撃が強すぎて、以降読めなかった。でも、「ノルウェイの森」は3回目をきっと読む。好きか、と聞かれると、そうではない、と答えてしまうのに、囚われてしまう。読むたびに解消度が上がる。1回で全貌を見せてくれない。いや、こちらの力量が足りなかったのだ、と思う。
ひんやりとした深い孤独に包まれた精神世界。読むと現実世界に戻ってくるのに時間がかかるので、なかなか手を伸ばせなかった。
読み終わってタイトルを見てみると、随分詰め込んだものだ、とにやりとしたくなる。
調和のとれた固い結びつきの5人グループで、唯一名前の色を持たなかった青年。それが、多崎つくる、だった。
他の4人は、赤松慶、青海悦夫、白根柚木、黒埜恵里、とみな名前に色を持つ。
本書はニューヨークタイムズベストセラー第1位らしく、世界的にも人気な村上春樹さんだけど、漢字がある日本だからこそ、この色のついた名前にまつわる面白さがわかるんじゃないか、なんて思って英訳を少し読んで自分の過ちに気付いた。
Two boy’s last names were Akamatsu—which means “red pine” – and Oumi – “blue sea”, the girls’ family names were Shirane – “shite root” – and Kurono – “black field.”
正直、日本語では赤、青、白、黒、と名前の色だけに注目していたから気付かなかったけれど、英訳されたものを見て初めて、なんて格好良い名前なんだ、と驚いた。英訳されることも念頭に置いて書かれたんだろうなあと、感動した。
内容としては、謎が謎のまま残されていて、あれはいったいどうなったんだ?!のオンパレード。続きが気になって読み進めていただけに、読了後はもやもや。ただ、実際のところ全て種明かしされてスッキリ!なんて、現実の世界ではないよな、とも思う。
読むのには、まとまった時間と心に余裕が必要でした。 -
「中身のある人生とは何か」30代が目前に迫り、漠然とした悩みを抱える自分に深く刺さった一冊でした。
僕にはたぶん自分というものがないからだよ。これという個性もなければ、鮮やかな色彩もない。こちらから差し出せるものを何ひとつ持ち合わせていない。そのことがずっと昔から僕の抱えていた問題だった。
平凡で実直に生きてきたが故に、自分の取り柄の無さに悩み、卑下しがちな主人公•つくる。信じていた仲間からの唐突な絶縁宣告が彼の運命を変える。故郷•名古屋から一人離れ、絶望の淵に追いやられながらも、東京の工科大学に学び、夢だった鉄道関係の職を得る。
十六年の時を超え、仲間との再会で解かれた誤解と生きる意味。
たとえ空っぽの容器だったとしても、それでいい。自分自身が何であるか、そんなこと本当は誰にもわかりはしない。それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何か入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器に。
異国•フィンランドの地でエリと語り明かす場面は、ノルウェイの森で描き切れなかった「その後の人生」なのではないでしょうか。
夢を強く信じて前に進んだからこそ、得ることができた今の生活。苦しみ抜いた末にひとつの解を手に入れたつくるの姿に共感しました。 -
独特の世界観ですね。
読んでいるとストーリーに魂をもっていかれる感じがします。
現実と空想の狭間というか、フィクションとノンフィクションの間とでもいうのか。
言葉にすることが難しい世界観がありました。
以下本の抜粋になりますが、まさにそんな感じです。
”どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはあります”(抜粋)
高校時代に5人グループに所属していた多崎つくるが、ある日他の4人から縁を切られる。その理由を探すべく、昔の仲間に会いに行く、というお話。
途中、ミステリっぽさも出てくるのですが、それはあくまでスパイス的な要素になっていて、それ自体はそんなに意味はないんですよね。
(多崎つくるが脱皮する要素に謎解きは必要ない)
何故つくるは4人から縁を切られたのか。
その理由がつくるの中で腹落ちした時、過去のしがらみから解放されていきます。
昔の仲間に会い、縁を切られた理由を知ることはつくるにとって失われた過去を取り戻すための行動だったのかもしれません。しかし、実際に仲間と会い、懐かしい日々は戻らないことを突き付けられます。この儀式があってこそ、つくるは次の一歩を踏み出すことができたのだと思いました。
うーーーむ。ふわっとした感想だなぁ。笑
「ノルウェイの森」の雰囲気に似ていると思たのは私だけでしょうか?メンタル疾患の女の子が出てくるからそう感じるのかなぁ。
しみじみ。 -
描写の輪郭がはっきりと浮き出てくるような、細かい描写に読んでいて引き込まれ、ノンストップで読みました。やはり村上春樹さんのは、ややねっとりとしたものがあり、読んだ後の余韻が長く感じられます、、、性的な描写もリアルなので、人間というか男性の生々しい性的な部分をいつも受け止めて読むのが、、、苦しい(笑)
しかしエロだけで終わらないからこそ、それが文才の力なのだろうと思います。
多崎つくるという主人公の周りには、色を持った登場人物が巡り、去っていく。
人生ってそういうものだろうなというのを感じました。
10代の頃に仲の良かったグループとのあの時間は、もう二度と戻らない、そんな感覚は映画のスタンドバイミーと同じような切ない気持ちにさせる場面もあり、終わりは若干センチメンタルになりました。
前々から思うのですが、やはり村上春樹さんの小説は生々しく、ねっとりとしていて、一度読むと余韻が重たいので、また時間を置いてから読みたいなという気持ちになります(笑)
しかしくせになる…これが村上春樹さんの力でしょうか☺︎ -
理由も告げられず、
突然4人の親友から絶縁状態になった主人公
ずっとそれに虎われていた。
複雑な心、見えない心
どこから、どう見るか、
見方によって、
どんな風にも、理解できるし、
感じることもできる
真実って⁇
ネガティヴもポジティブも
捉え方でどっちもある。
両方見れる自分でいれたら。
-
-
単行本発売当時TVで取り上げられらのはもちろんのこと、ことのほか記憶に残っているのはAmazonに書かれたレビューだった。そのレビューは当時ネットで話題になり、むしろレビューの方が面白いと言われるくらいの名レビューとなった。
そのレビューの印象が強すぎて、読んだこともないのに「ふーん、そんな内容なのね」と通り過ぎて約10年。ちゃんと読むことができました。
感想を言うと、悪くない。むしろ結構好きな内容だった。今までの村上作品と比べるととても平凡ではあるけれども。 -
村上春樹さんの作品は、とてもリ読み心地がよく、スッと体に入ってくる感じがして、とても好きです。
ぜひぜひ読んでみて下さい。 -
村上春樹らしいと言えばそうでしょう。
シロの死に方。
灰田の父親の体験談。
クロに会うためフィンランド渡航。
つくるの性夢。
沙羅への想い。
ホントにつくるは何者なのか。。。
この小説は何なのか。。。
-
言わずと知れた大御所の作品だ。
こう表現するのは烏滸がましいけれども、僕自身の断片みたいな内省的で瞑想的な人物が次々に出てきて、妙に居心地が良い。
はるか昔はこの絶え間なく続く省察が堪らないものだったが、今や僕自身がそのような人間になったせいだろう、穏やかな気持ちでスラスラと受け止めることができた。
歳を重ねていくとはそういうことなんだろう。分からなくなることはあるが、分かるようになることもあるのだ。
終盤ではクロに共感した。多崎つくるとクロ。長い紆余曲折の果てに、それぞれが失ってきたものはきわめて多い。
特にクロの言葉には限りなく切ないものがあり、彼女の悲しくも優しい喪失感は読者の胸を強く搏たずにはいられない。
物語の閉じ方もただただ美しい。余韻という線路の上、喪失の闇を希望で照らしながら、力強く走り往く列車が見えるようだった。 -
村上春樹さんの小説の中で1番好きかもしれない。 人から拒絶されたり嫌われたり選ばれなかったりする怖さとか、自分の足りないところとか、考えても答えの出ないことが多いけど、人生って悩むのが当たり前だよね、と私は読んでいて少し心が軽くなりました。
-
⚫︎中盤までは良かったが、フィンランドあたりからダレた。珍しく大体予想がついてしまい、2人のありそうなまどろっこしい会話にイライラしてしまった。心境的にその手の会話がお腹いっぱいなのかもしれないが。
⚫︎他の小説みたいにパラレルワールドが出てこないのもなんともつまらない。小さくまとまってしまっている感じ。
⚫︎名古屋の良くも悪くも閉鎖的な、内に籠りがちな描写はいい。ところどころに実名称が出てくるのもリアリティーがある。
⚫︎どうも今回のは庶民的というか…ありがちな恋愛話に終始してるのが惜しい。ラストあたりは読んでいるのが辛かった。面白くないから苦笑 -
うーん、微妙w
村上春樹は苦手なんだけど、一応読んでおくか…と2年に1度くらい読む。
だけど今回も無理だった…
主人公は仲良しグループ5人から締め出されてしまう。
その理由は、主人公がグループの1人をレイプしたから。とその被害者から告発される。
しかしそれは本当ではない。そんなことは起こらなかった。
そのことが、長い時間を置いて明らかになる。
主人公は16年の時を経て、当時の仲間達を訪問する。
だけど、なんだろう。この皆さんの他人事感は…
なかなかに酷いことをしたのに、淡々と語る皆さん。そして主人公も淡々としている。
不思議と淡白で、感情の薄い登場人物たち。
ファンからするとこれがオシャレ感なのかもしれない。けれど自分には、不気味な世界の不気味な人たちにしか思えなかった。 -
閉じ込めていた過去を動かす事によって、ステップアップする主人公に感情移入しました。
-
人の人生には、何回か「死」があるのだなぁ、と思う。
それは誰かの死ではなく、自分の中での「死」。
多崎つくるは、仲間から追放され、1度死んだ。
哲学の話ではないけれども、「自分」は「他者」がいるからこそ在るもの。
人生における出会いと別れは、生と死の繰り返し、まさに「輪廻」だ。
終点につかないで終わる物語。
村上春樹の他の作品に、これほどまでに去りし日とこれからとをみつめたものがあっただろうか。
著者プロフィール
村上春樹の作品
