- 文藝春秋 (2015年12月4日発売)
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感想 : 24件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167905156
作品紹介・あらすじ
転校した鹿児島の小学校で貧しい同級生から丼いっぱいの壺漬をご馳走してもらった思い出。「女がひとりで小料理屋に入り、カウンターに座ってお銚子を頼むのは、ひとりで海外旅行に出掛けるぐらいの度胸がいる」が、働く女の甲斐性だからとカウンターに座ったある夜の出会い。「女はね、女に靴を磨かせるようになっちゃおしまいだよ」と呟いた銀座の靴磨きのおばさんの、ふと目にした休日の光景。乗物や劇場の席とりが不得手な筆者に、「待ってたら、席なんかひとつもないのよ。あんた、女の幸せ、とり逃すよ」と檄を飛ばした女友達……なにげない日常や仕事先で出会った人々や出来事を鋭くも温かい観察眼とユーモアで綴る。大いにうなずき、笑いながら涙が出てくる不朽の名エッセイ集。解説/篠崎絵里子
感想・レビュー・書評
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昭和55年刊行された本の文庫版であるから、現在の時点で読むと時代を感じてしまうものもある、例えば、いかにも家父長的な父の存在であったり、男らしさ女らしさについての考え方など。
それでも、向田さんは、ちょっとしたこと、つい見逃してしまうことについての観察眼が鋭く、着眼点が秀逸だ。それをまたちょっぴりの皮肉とふわりとしたユーモアで包んでいる。「そうそう、こういうことある」と共感したり、フッと笑わされたりして、楽しく読めた。
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向田邦子エッセイ集。
昔の言葉遣いをさりげなく盛り込んであります。時代の匂い、人間臭さや、息遣いを感じられます。日本語とは素晴らしいものであると感じさせられます。
付箋をつけながら、何回も読み返し、生き方、考えかたに感心させられます。 -
エッセイって、その時代の香りがするなあと思う。月並みな感想だけど(笑)
決して特別な内容ではないのだけれど、どこかヌケていて気安い感じがした。
また、家族の話にも触れることが出来て、私としては新たな発見があり、良かった。
「民主主義の辛いところは、多数決ということである。
このままでゆくと、日本はいずれ横書きの国になる。
週刊誌も新聞も、区役所の戸籍謄本もみな横になる。縦書きは、神主さんの読む祝詞ぐらいになってしまう。」
「戦前の日本人は、今みたいに笑わなかった。
特に男は、先生や父親は笑わなかった。
昔の武士は「男は年に片頬」。一年に片頬でフンと笑えば沢山だといったそうだが、それほどではないにしろ、大の男が、理由もないのに笑えるかというところがあった。」
向田邦子の目は、鋭い。 -
田辺聖子さんより年上かな?内容は岸本佐知子さんみもある。脚本家。
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小説の文庫本は、シナリオをもとに他の作家が小説化したものが多いが、この本に収録されているエッセイは、手を加えられていない向田邦子の文章ゆえ、人柄、豪快な性格にして繊細な観察眼がしのばれる。
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読み途中だけどめっちゃ面白いよ。1章ごとに泣きたくなる。
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ユーモラスでくすっと笑える。
毎編、終わり方が気が利いている。 -
悲しみや苦しみはその時耐えきれないほど傷ついたり忘れたくなるほど忌みはばかる。そんな辛い記憶も時を経て振り返ると、おかしみを感じてしまうのはなぜだろう。人間の喜怒哀楽は全て滑稽であり愛おしく、快活な筆者の言葉が私たちの生活に人情という調味料を注いでくれる。時に度が過ぎても美味になってしまう件を肴にまずは一献。
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穏やかで身近で、それでいて背筋の伸びる本。
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向田さんの出会った人のことが書かれているエッセイ集。
面白かったのは「転向」というタイトルのお話。
凝り性の友人がいて、一つのものに凝りだすとそれ以外は絶対に認めず周りにも強要する。でも何かの折にその欠点を認めるとあっさりとまた次のものに転向して凝り出す。あ〜こんな人、私の周りにもいるなと可笑しくなった。まあ人間、少なからず誰しもこう言った所は持ち合わせているでしょうが。
時代を感じるのは「お取替え」という話な中で、35歳くらいの女性を中年と表現していること。
今なら35歳なんてまだ若いお姉さんに近いが、この当時だと中年だったんだなあと驚いた。 -
日常や仕事で出会った何気ない出来事を綴りながら、ウィットに富んだ見解と毒気があり笑いもあるエッセイの数々。時を経ても古びない名エッセイ集。
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向田邦子のエッセイは、電車で読むのにちょうどいい。
小気味良く、とてもまっすぐだ。 -
向田邦子 著「無名仮名人名簿」、2015.12発行。解説の篠崎絵里子(脚本家)の言:向田さんの作品を読み返し感じたのは、向田さんという人の潔さ、懐の深さ、多面性、そして目線の限りない優しさである。彼女の物語が愛されるのは、向田さん自身が愛される人だったからのように思う。全く同感です!お弁当、縦の会、普通の人、特別、拾う人、白か黒か、席とり、パセリ・・・。こんな小気味よいキレのあるエッセイ、もうお目にかかれないような気がします。
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図書館で。
多分一冊まるっと読んだことは無いにせよ、色々なエッセイアンソロとかでお目にかかった事のある文章がたくさん。そうだよなぁ、向田さんの文章は今ある以上増える事が無いんだものな。
なんとなくですが、ずっと読んでいられる本ってこういう本なのかなぁと思いました。説教臭くもなく、特にどうという事もないけれども普遍的な人の考え方や生き方が書かれていて嫌味が無い。大分前に書かれた本なのに古臭く感じないのは不思議なものだなぁと思いました。携帯やらパソコンやら便利な道具が色々出現して生活スタイルが随分変わったような気がするのにそれほど根本的な所で人の生活って変わってないのかもしれないな、なんて思いました。
まあでも自分はメロンはそれほど好きではないのでそれほど固執するのがわからないのだけれども。そう言えば佐野洋子さんだかもメロンを熱く書いてらしたな、なんて思いだしました。 -
名エッセイ言われるだけあり、時代を超越した品のあるユーモア、ペーソス。冷めた目線のようで、慈しみにあふれ。
機微というんですか。
こんな文章かけるようになりたいと思う文章。 -
20160409 観察力の凄さとそれを表現できる文章力。それが記憶に残る作家になっている理由だと思う。笑わずに冗談を言われて、後になって気付く、そんな感じ。
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向田さんのホームドラマは見たことがない世代なのですが、大好きな作家さんの1人です。
家族の話題は人の数だけあって、その人なりに悩んだり救われたりしていてるんだなぁと、読むたびに気付かされます。
個人的には「思い出トランプ」が一番好きです。
戦中戦後を生きた向田さんは、視野が広く、とても頭の切れる優しい人だったのでしょうね。
不完全でほころびのある人を見つけては、自分と同じだ、自分の方がもっと抜けてると温かな目線で描く文章にほっとします。
赤い公衆電話や、道端に落ちているガーゼのマスク、土間にあるストーブなど、向田さんが放送作家として生きた昭和50年代の東京の様子が新鮮で、想像しながら過去に憧れる自分がいました。
向田さんの生きた時代に、一度でいいから行ってみたいものです。 -
【世の中は「無名」の人たちがおもしろい】日常の中で普通の人々がポロリと見せる意外な一面を、鋭くも温かい観察眼とユーモアで綴る。何度でも読み返したい名エッセイ集。
著者プロフィール
向田邦子の作品
