街場の文体論 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 290
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167905804

作品紹介・あらすじ

ウチダ先生最後の講義完全収録!内田樹さんが最後の講義で「どうしても伝えたかったこと」がつまった一冊は、「言語と文学」について熱く語りつくした集大成。

感想・レビュー・書評

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  • もう、とにかく面白いです!!
    なんでこんなに横文字が多いのにわかりやすいの?って思っていたら、この本そのものが、「伝わる言葉」をテーマにしたもの。
    ですので、読みながら内田樹の読みやすさについても謎が解けた。

    エクリチュールだとかラングだとか、一応元言語学専攻していた身でも退屈な専門用語を、わかりやすく、たとえ話で理解させつつ、現実の日常的な問題に絡めて話していく。
    こんなわかりやすく、高架下のサラリーマンの会話とか、日本と海外の考え方、文化の違いにもつなげていく例を他に知らない。
    難しい内容だし分厚いのに、グイグイ惹きつけられた。

    実は本だとか説明だとかの<わかりやすい>という評価自体が日本の言葉の複層性に関わっているという話がものすごく面白かった。

    言葉を檻に例えているのも絶妙だと思う。
    普段は意識しないけれど、言葉はコミュニケーションの道具ではなくて、じつはその言葉を使う人の物の見方や、価値観までも型にはめてしまうもの。
    だからこそ、それを使う人たちで意思疎通ができるのだけど、海外では、難しい言葉遣いをわかりやすく噛みくだいて、その下の層だとか、わからない人向けに書いたりだとかそういう仕事も考え方もないらしい。

    この辺りの説明を漢字とひらがなをあげてアカデミックに説明していて興味深い。日本語の特徴と、まだ解明されていない謎に、元言語学専攻は興奮しました。

    で、最終的に伝わらない言葉を使っている人の意識にまで論調が及んでいるけれど、この辺りに内田樹の怒りというか、熱が感じられた。
    ある学問をその学問をする人だけに伝えようとする動きが、人文系にあるらしい。
    学問をある人たちだけのものにする動きに、私も怒りを感じた。

    言葉について、文学について、これでもかと内田樹節全開で語られます。
    こんなにも熱の入ったアカデミックな本は珍しくて、夢中になって読んでしまった。

  • 文体論と銘打ってあるが具体的な文章術に関する話ではなく、文章を書く前の心構えや姿勢について説いた講義録。
    届く文章の要諦は精魂込めて伝えること。これだけは聞いてくれ、分かってくれ、と誰かに文章や言葉を届けようとしたことがあるか。そのような自省を読み手に強く促す講義内容だった。
    言葉は相手への贈答かな。

  • 読書と執筆に確信と革命をもたらす、すばらしい本。執筆していて、ずっと芽生えてはいるが掴めないいろいろな感覚がくっきり完成品として示されていて、腑に落ちた。学問とは贈与。世の中に溢れていることは過去の人々と今のわたしと、未来の人たちとの連作、連鎖。

  • 一周目
    どうやって伝わる文を書くか、やはりそれは愛を持つことが大前提なのだなと、そんな当たり前のことを再認識させられました。

    二周目
    文章にまつわる、内田さんの自論がさまざまに繰り広げられる一冊。それは物を書くというところから飛躍して、生きる・死ぬまで。まだまだすべて理解できているわけではないので、もう一周します。

  •  ああ、これこれ、待ってました。とか何とか云って、ミシマ社から出てもう十年近くなるんですが、書棚に転がってました。こたつから出るのが億劫な日々、ひょいと手に取るとやめられない、止まらない。いつから棚に転がっていたのか、ホント、買った本はさっさと読めよな!ああ、読んだのはミシマ社版の単行本です。
     えっ?内容はって?ハイ、内容は「内田樹」です。まちがいありません。

  • 2010年から11年にかけておこなわれた、著者の神戸女学院大学での最後の講義「クリエイティブ・ライティング」における14回の授業内容をまとめた本です。

    「文体論」というタイトルをもつ本であり、ソシュールやバルトらの言語哲学にかんする言及はあるものの、文章の書き方指南の本ではなく、あくまで著者の考える他者論やエクリチュール論についての講義となっています。文章を書くことにおいてもっとも重要なのは、他者へことばを「届かせたい」という思いだという著者のメッセージが、さまざまにかたちを変えて変奏されており、著者の思索の柔軟性と一貫性がみごとに統合されている内容だと感じました。

  • やはり彼の語り口は「なんでそんな偉そうなん!?」と思わざるを得ないものの、結構面白い。

    読みやすいから3日くらいでスラスラ読み終わる。スッと読めすぎてしまって、逆にお腹にたまってないのではないかと不安になる。結構考えさせられた、気付かされたこともあっただろうに(ほらもうぼんやりしつつある)、もったいない。
    そういうときに、講義形式っていいんだろうなとおもった。私が3日で読めてしまった内容を、内田樹は15週かけて話した。そうしたら、一週ごとに少しずつ彼の話が蓄積されていく。今週聞き終わって、1週間ぼんやりと頭のどこかにその話がとどまっていて、また講義の日がやってくる。そういう風にしていると、いつも頭に彼の話がたまっていることになる。
    3日で読める内容を15週にもぐ〜んと引き伸ばしてやる意義ってここにあるんだなと、大学の授業ってそういう意味もあるんだなと、大学5年目にして気付かされました。

  • 言語というものから歴史、思想、社会、人類あらゆるものに手が伸びていく。読書をする、言葉を聞く、語学を勉強する。今思えば、いずれも自分自身を豊かにしてくれたものだった。社会人となり本を読むことが減って「武器とするために」何かを学ぶことが多くなっていたが、そうではなく、自身を豊かにするために、そして人類にその豊かさを贈与できるようになるために、学びたいと思えた。

  • 私たちが何気なく使っている言葉というのはここまで奥が深いのかと驚嘆した。文章を読んでいるだけで筆者の熱量や伝えたいという気持ちが伝わってくる。
    言葉は自分を飾り立てるためにあるのでなく、相手に伝えるためにあるのである。

  • 著者が大学での「クリエイティブ・ライティング」という講義を起こした本です。伝わる言葉とそうでない言葉の違い、言語が人間の思考を縛る話、著者も気づかない無意識が文章に出る話などをまとめています。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学を 2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の現代思想』(文春文庫)、『サル化する世界』(文藝春秋)、『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書・第6回小林秀雄賞受賞)、『日本辺境論』(新潮新書・2010年新書大賞受賞)、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』(以上、ミシマ社)など多数。第3回伊丹十三賞受賞。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2020年 『日本習合論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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