黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1801
レビュー : 168
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906306

作品紹介・あらすじ

八咫烏の世界で繰り広げられる壮大なファンタジー八咫烏の世界に、危険な薬の被害が続出。その行方を追って旅に出た若宮と雪哉の前に出現したのは人を喰らい尽くす大猿だった……!

感想・レビュー・書評

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  • 八咫烏が住まう世界『山内』で、仙人蓋という危険な薬の被害が報告された。全能感を得られるそれは、数回の服用で人形(じんけい)をとることができなくなり、正気を失い他の八咫烏を襲う者も出始めているという。その薬の出どころを追って旅に出た若宮と、若宮直々、故郷の垂水から連れ戻された雪哉は、最北の小さな集落が襲われて壊滅しているのを発見する。家の中では大猿が人形の八咫烏を食らっており、二人に襲いかかってくる。唯一の生存者は、長櫃の中で寝ていた少女一人。彼女が鍵を握っているのか…。

    薬は誰が持ち込んだのか。大猿はどこから現れたのか。二つの謎を解くうちに、一本の線が見えて来る。
    そして、『黄金の烏』のタイトルどおり、真の金烏とは何かが明かされる。何故真の金烏の時代には山内に災厄が起こるのか、日嗣の御子にと望まれる兄の長束がなぜ若宮の味方でいるのか、山内とは、外界とは何か…。

    前巻まではまだ『序章』だった。こうつながるのか、こんな風に広がるのか…。深く感じ入った。
    後宮の勢力争いメインの1巻を読んだときには想像もしなかった世界観が広がっていた。
    私は動体視力のみならず動体読力(?)もなくて、戦闘シーンを読み飛ばしてしまいがちなのだが、前半の大猿の出現とその戦いにはハラハラした。眼前に浮かぶような迫力。後半はやや説明調になるのだが、2巻までの話と繋がってきて、最後の若宮と雪哉とのやり取りには、これまでの二人を知っているだけにグッと胸にくるものがある。ここにくるまでに3巻かけたのか。

    これ最初から考えられていたんだなと思うと、1巻で若宮嫌な奴だと思ったことすら作者の掌中にあったわけなのね?こんなに印象が変わるとは思わなかった。阿部さんはすごいと思った。

  • 八咫烏シリーズの第3作。これも面白かった!いや、ますます面白くなってきた。

    今回も前作で一気に表舞台に飛び出してきた若宮と雪哉が主役をはる。后の浜木綿(カッコいい!)、護衛の澄尾、兄君の長束、その腹心の路近等、お馴染みのメンバーがしっかりと脇を固める。しかもシリーズで最も不穏な、波乱に富んだ幕開けとなる。八咫烏を喰らう猿の存在が明らかになるのである。

    本書では、物語の鍵となる金烏の謎、山内という世界のあり方が少しだけ明かされる。それを知ったとき、読者は八咫烏の世界が自分の世界と地続きであることを知る。

    作者の阿部さんは第1作を書くときにはすでシリーズの全体が頭の中にあったという。つまり、本シリーズは書かれるべくして書かれた物語、書かれることを待っていた物語ということになる。どこまで世界が広がるのか、第4作も楽しみだ。

  • 文庫で再読です。

    山内に密かに流通し始めた危険な薬の調査のため、再びともに行動することになった若宮と雪哉。
    訪れた辺境の集落で、彼らは八咫烏を喰らう猿に遭遇します。
    突如として訪れた大きな脅威の鍵を握るのは、村人が喰らいつくされた集落で唯一生き残った少女ですが…

    初めて読んだときは、とにかく猿が怖かった印象ばかりが残っており、今回読み返してみてそれ以外のストーリーをほとんど覚えていなかったことが発覚。
    猿以外にも今後の展開に重要なことがたくさん書かれていたなぁ…と、再確認しながら読み進めました。

    裏社会のボスを目の前にした雪哉の口上がお見事。
    かと思えば、家族のことが絡むと冷静でいられなくなるところにひやひやさせられたり。
    頭に血が上った雪哉を諭す、育ての母・梓がすてき。
    血はつながっていなくとも雪哉は雪哉が思う以上に彼女の息子なのだと、ほっとした気持ちになったのでした。

  • 八咫烏シリーズ三作目。
    他に読もうと思っていた本があったのだが、やっぱりこちらに手が伸びてしまった〜。
    思わぬ展開。山内の暗黒街である地下街やら山内の外の外界やら世界が広がっていく。
    そして、真の金烏についても語られていく。
    読み手は垂氷の雪哉の目線でストーリーを追うのだが、臨場感満載。
    ファンタジー×ミステリー…大猿の出現は一瞬「進撃の巨人」(読んだことはないが)かと思ったが…この先も目が離せない。2016.8.11

  • 1冊目より2冊目、2冊目より3冊目と段違いにおもしろくなっている。
    新進気鋭の作家の成長を目の当たりにしている感じがする。

    このシリーズの特徴は、どこに散りばめられているかわからない伏線と、その数多くの伏線をひとつ残らず回収してしまう構成の緻密さにあると思う。

    サスペンスあり、ファンタジーあり、歴史あり、、、と何でもアリな雑食エンターテインメント!
    といったところか…?

  • 八咫烏シリーズの第3弾。今回もとても面白かったです!
    第1弾、第2弾は宮廷内の話だったのに対して今回は地方での話が中心。前作同様若宮に仕える雪哉という少年が主人公。
    また騙された!物語を読み進めていけばいく程序章で読んだ話に対する違和感が膨らんでいったのですが、終わり頃になって「成る程、そういう事か!」と納得しました。恐らくあの序章は色々な勘違いを招く為に書かれたものかと…。

  • 第二部一作目「楽園の烏」を読んだあとなので、雪哉はこうして成長していくのか…こうして巻き込まれていってあんな大人になるのか…と遠い目になる。おもしろかったです。金烏の性質、十二国記の麒麟を少し思い出した。

  • 八咫烏シリーズ第三弾。始まりは雪哉が暮らす北領・垂氷郷。
    麻薬、大猿・・・八咫烏を脅かす危機は中央にも影響を与える。
    若宮と雪哉はどう対処し解明するのか。真の金烏の実像も明らかに。
    序章  第一章 垂氷郷  第二章 少女  第三章 藤の矢
    第四章 深層  第五章 涸れ井戸  第六章 不知火
    山内用語解説、人物相関図有り。
    禁制の麻薬・仙人蓋の出所の謎と八咫烏を喰らう大猿の出現。
    故郷である北領・垂氷郷から始まる事件に、雪哉も巻き込まれる。
    斬撃の場所に生き残った少女・小梅の正体は?
    そして事件の解明に動く、若宮。真の金烏である彼の真実は、
    雪哉の今後の行動に繋がる決意を、導くことになる。
    山内という異世界を舞台にしたファンタジーであると共に、
    謎解きのミステリー、得体の知れない存在によるホラー感、
    親子や兄弟のそれぞれの葛藤を描く人間ドラマも内在しています。
    それらが絡み合う緩急ある展開で、明らかになってくる事実。
    庶民の生活が示される一方で、地下街という暗黒街の有り様。
    真の金烏の役割、これからも登場するだろう、大猿。
    そして、外界や蜃気楼からの“人間”という存在。
    山内はどうなってしまうのか・・・まだまだ物語は続きそうです。
    また『烏に単は似合わない』の浜木綿や真赭の薄、菊野が
    再登場したのも嬉しい。浜木綿の存在は実に頼もしいものでした。
    15歳ながら度胸があり、賢いようでもまだ未熟な面もある
    雪哉がどのように成長していくのかも、楽しみです。

  • シリーズ3作品目☆最北の地で大猿が出現し、雪哉の故郷では、仙人蓋が…若宮と雪哉のコンビ復活。本編スタートって感じのストーリーでしたね。前2作がないと成り立たない。だから、本当に緻密に作り上げられた小説なんだろうなぁ。庶民の生活や人間が、ああいう形で出でくるとは思いもしなかった。どうなるのか凄く気になる。次読も~«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク

  • 3作目にして一気に物語が転がり始めた。いよいよ面白くなってきた。箱庭の境界が明示されたことで設定に納得感が得られた分、そういう世界の話だと割り切れて楽しめるターンに入ったように思う。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2021年 『烏は主を選ばない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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