黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫) (文春文庫 あ 65-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906306

作品紹介・あらすじ

八咫烏の世界で繰り広げられる壮大なファンタジー八咫烏の世界に、危険な薬の被害が続出。その行方を追って旅に出た若宮と雪哉の前に出現したのは人を喰らい尽くす大猿だった……!

感想・レビュー・書評

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  • 前二作で后候補たちの思惑や日嗣の御子の置かれた状況などがわかり、さぁ今作からいよいよ朝廷内の反抗勢力に立ち向かっていくのか?と思っていたら甘かった。第一作を読み始める前と同様にまたまた甘かった。それどころではない事態が起き、果ては山内の現状や金烏についての秘密も少し分かる結末を迎えて、この先がますます気になってしまった。雅やかな世界に渦巻く八咫烏たちの人間(烏)模様や悲喜交々を中心に描かれていくのかと思いきや、山内と外界の生き物全てに関わる異変が描かれていく壮大な物語が繰り広げられる中で宮中の諍いもあると心積もりしたほうが良いかもしれない。

    舞台となる世界の広がりを強く感じる一方、登場する人物たちの心のありようや変化を克明に感じる。知っていくほどに深く心が動かされていきそうな予感がするが、果たしてその辺りはどう進んでいくのだろうか?今作ではひとまずの決着がついたが、解決はしていないし更なる問題が発生することが最後の一文に書かれている。現代の犯罪に通じることや身分による悲劇なども盛り込まれてきたことで期待値はまだまだ上がりそうだ。

  • 八咫烏シリーズの第3作。これも面白かった!いや、ますます面白くなってきた。

    今回も前作で一気に表舞台に飛び出してきた若宮と雪哉が主役をはる。后の浜木綿(カッコいい!)、護衛の澄尾、兄君の長束、その腹心の路近等、お馴染みのメンバーがしっかりと脇を固める。しかもシリーズで最も不穏な、波乱に富んだ幕開けとなる。八咫烏を喰らう猿の存在が明らかになるのである。

    本書では、物語の鍵となる金烏の謎、山内という世界のあり方が少しだけ明かされる。それを知ったとき、読者は八咫烏の世界が自分の世界と地続きであることを知る。

    作者の阿部さんは第1作を書くときにはすでシリーズの全体が頭の中にあったという。つまり、本シリーズは書かれるべくして書かれた物語、書かれることを待っていた物語ということになる。どこまで世界が広がるのか、第4作も楽しみだ。

  • ますます八咫烏たちの住む世界のことがいろいろと明らかになっていく第3巻!
    「真の金烏」とはどういった存在なのかもいよいよ明らかになります。

    前巻で探偵役の若宮と助手の雪哉のかけあいがすごく好きだったので、またこのコンビが復活してくれて良かった良かった。
    雪哉のピンチに常に駆けつけてくれる若宮、かっこよすぎ〜!

    でもこの巻は今までで一番凄惨なシーンが多くてちょっとキツかったかな。面白いからどんどん読んじゃうんですけどね。

    新たな敵として人を食べる大猿が出てくるんですが、思わず進撃の巨人に出てくる猿の巨人を脳裏に浮かべながら読んじゃいました。
    こちらは身長八尺(約240センチ)ほどとのことなのであちらほどは大きくはないんですけど、まぁ雰囲気的にね、あんな感じなのかと。ぎゃーめっちゃ怖いやん…。

    そしてこのシリーズの特徴は、どんどんファンタジーの雰囲気を色濃く出してきつつも、常にミステリー要素もはらむところ。
    この巻も雪哉が若干女性不信になっちゃってるおかげで、読者まである人物がずっと怪しく見えちゃってもう大変!しかも結局怪しく感じてた理由はアレですしね〜。この二人は今後何か発展するのかな…

    そして次巻は雪哉in勁草院編なんでしょうか?
    またまた楽しみです。

  • 約2年振りに読む、『八咫烏』シリーズ第3巻。所々忘れていた設定や世界観があって、ストーリーに溶け込むまで少し時間が掛かりましたが、第3章以降は夢中になって、一気に読み終えることが出来ました❗

    本書は基本ファンタジーですが、少しミステリー要素も加わっている為、幅広い方々にオススメ出来る作品となっています❗1、2巻では語られなかった『山内』内のことが徐々に明らかになって、ますます目が離せない展開となっているオススメファンタジーです♫

  • 八咫烏が支配する世界〈山内〉を揺るがす危険な薬と人喰い大猿。
    故郷の危機に敢然と立ち向かう世継ぎの若宮と元近習・雪哉は危険を顧みず――。
    「文藝春秋BOOKS」より

    読み始めて終わるまで止まらなかった!
    話は暗くて、血なまぐさいのであるが、だからこそ引き立つ信頼というつながり、みたいなものを感じた.
    少しずつ明らかになる金烏の正体.山内の状況.ストーリーの展開が引き込まれる感じがした.

  • 文庫で再読です。

    山内に密かに流通し始めた危険な薬の調査のため、再びともに行動することになった若宮と雪哉。
    訪れた辺境の集落で、彼らは八咫烏を喰らう猿に遭遇します。
    突如として訪れた大きな脅威の鍵を握るのは、村人が喰らいつくされた集落で唯一生き残った少女ですが…

    初めて読んだときは、とにかく猿が怖かった印象ばかりが残っており、今回読み返してみてそれ以外のストーリーをほとんど覚えていなかったことが発覚。
    猿以外にも今後の展開に重要なことがたくさん書かれていたなぁ…と、再確認しながら読み進めました。

    裏社会のボスを目の前にした雪哉の口上がお見事。
    かと思えば、家族のことが絡むと冷静でいられなくなるところにひやひやさせられたり。
    頭に血が上った雪哉を諭す、育ての母・梓がすてき。
    血はつながっていなくとも雪哉は雪哉が思う以上に彼女の息子なのだと、ほっとした気持ちになったのでした。

  • 八咫烏シリーズ3作目。
    物語が動き出した感じね。
    もうここまで追うと、ミステリとかそんなのどうでも良いぐらい、ただただストーリーが面白くて読んでる。廃人、猿、人間。読み終わった後も展開を期待させる良い拡げ方だよな…

  • 1冊目より2冊目、2冊目より3冊目と段違いにおもしろくなっている。
    新進気鋭の作家の成長を目の当たりにしている感じがする。

    このシリーズの特徴は、どこに散りばめられているかわからない伏線と、その数多くの伏線をひとつ残らず回収してしまう構成の緻密さにあると思う。

    サスペンスあり、ファンタジーあり、歴史あり、、、と何でもアリな雑食エンターテインメント!
    といったところか…?

  • 第二部一作目「楽園の烏」を読んだあとなので、雪哉はこうして成長していくのか…こうして巻き込まれていってあんな大人になるのか…と遠い目になる。おもしろかったです。金烏の性質、十二国記の麒麟を少し思い出した。

  • 八咫烏シリーズ三作目。
    他に読もうと思っていた本があったのだが、やっぱりこちらに手が伸びてしまった〜。
    思わぬ展開。山内の暗黒街である地下街やら山内の外の外界やら世界が広がっていく。
    そして、真の金烏についても語られていく。
    読み手は垂氷の雪哉の目線でストーリーを追うのだが、臨場感満載。
    ファンタジー×ミステリー…大猿の出現は一瞬「進撃の巨人」(読んだことはないが)かと思ったが…この先も目が離せない。2016.8.11

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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