死神の浮力 (文春文庫 い 70-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 8744
感想 : 542
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906474

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計115万部、大ヒット作待望の文庫化!娘を殺された作家は、無罪になった犯人への復讐を計画していた。人間の生死を判定する〝死神〟の千葉は、彼と共に犯人を追うが――。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本で9年ほど前に読んで以来、文庫本で再読。
    大筋と結末は何となく覚えていましたが細かい点はストーリーはすっかり忘れており楽しめました。

    ただ娘を殺された作家が主人公ということもあり、その立場を想像したり、主人公夫妻の心情の描かれ方などに心えぐられるところもありました。
    最終的には溜飲が下がりますがやはりやるせない気持ちは残りますね。
    いくら悪人が悪因悪果で不幸な目にあったとてそれが救いになるわけではないですし。

    メインのストーリー以外にも主人公と父親とのやり取りから死生観を語るのも印象深かったです。
    主人公の父親が自分の可愛い子供がいつが死ぬと意識した時に絶望して
    家庭を顧みることを辞めて仕事に逃げたこと、
    しかし、実際に自分の死を意識した時に子供のために死は怖いものではないことを身を以て示したことなど。

    死神が出てくる話なのでやはり「死」の話が多くなりますが
    やはり死を語る上で宗教観無しに話をするのは難しいですね。
    この小説においては死=無という唯物論的視点の立場と
    それに矛盾する死神という存在がうまく絡み合って色々な視座が得られるのですが
    やはり死を語る上ではある程度の宗教観も織り交ぜないと難しいなと個人的に思いました。

  • 「精度」は短編だったので、読み応えがあった。
    しかし、千葉の言動に振り回される感じは、この長さになると、不快な訳ではないがちょっとしんどい。
    世の常識を疑ってみること。
    人とはなんとも不思議な存在であること。

  • 久々の千葉さん!
    この飄々とした感じ、好きだなぁ。
    が、長い。
    文庫で読んだけど、ずっしり分厚くて、今までと同じ短編集かと思いきや、ずっと山野辺vsサイコパスだった。
    このエピソードいる?ってところも多々あって、間延びした。
    着地点はよかったかな。

  • 司法を頼らず復讐計画する山野辺夫妻とサイコパス犯人戦い。人に絶望を与え嘲笑う犯人の罠で被害者遺族から容疑者になりピンチ。今回,死神判定に見送・可以外に寿命還元キャンペーンがあり侮れない。

  • 死神の第2弾。今回は長編でやや長いが面白かった。死神の千葉と山野辺夫妻の会話のズレが楽しめた。シリアスな状況なのに。
    「死」に関しては考えさせられる。特に病気の場合、必死にあがらうのか受け入れるのか。自分ならどうするだろう。

  • 「死神の精度」とは違い1人にフォーカスしたお話でした。
    死についてのお話なのに重くないこと、様々なことが後々繋がることが流石伊坂さんで、とても面白いお話でした。

  • シリーズ物らしいが、初めて読んだ。
    結果、面白くはなかった。伊坂幸太郎はこれまでにも読んできてたが、はまった事がなく、自分の好みに合わないのかもと思い始めた。

  • シリーズ第2弾!

    相変わらず、千葉さん、おとぼけ度満載で、すっ飛ばしてる〜
    ええ感じ。

    その人間に死を与えるべきかどうか、死神たちが7日間で、「可」 or 「見送り」を判定!
    でも、適当に決める死神多く、「可」ばかりで、早死に多く、「還元キャンペーン」で、「見送り」推奨!って…
    そんなんで、判定されるの嫌や〜!
    まぁ、別に、何百年も生きたいとも思わんけど、それなりの年齢でお願いします〜m(_ _)m

    主人公の死神 千葉さんは、真面目に仕事するんで、そんなことは、ございません!
    今回は、娘を殺された作家さんが対象!殺した犯人は、頭は切れるが、人の心が分からんサイコパス!
    「死神 VS サイコパス」って銘打って、売り出してたな。

    しかし、ゲーム感覚で、人追い込んで楽しむとか訳分からん〜
    こういう人こそ、「可」にしてや〜!
    でも、「見送り」でも良かったのかもね。(その辺は、本読んで!)

    おとぼけながらも超人で、人とどっか違う千葉さん!面白い!
    続編出ないかな〜!

    面白いけど、人はいずれ死ぬということを再認識はする。
    それまで、どう生きるかも自分次第。
    う〜ん…どうしよ…
    やっぱり、何も考えんと楽しく生きよ〜!(^-^)v






    「……勝手にわたしたちが思っているだけで、保証はないかもしれない。絶対と言えることなんて」
    「絶対と言い切れることがあるとすれば、人は死ぬ、ということだけだ。人は必ず死ぬ」


    「どうせ死ぬのだから、今この瞬間を楽しめ」(こっち推し)

    • ultraman719さん
      2冊ではなく、50冊ぐらいはあるかな?
      2冊ではなく、50冊ぐらいはあるかな?
      2024/03/15
    • yukimisakeさん
      ultramanさんは積み読の神だから…笑
      ultramanさんは積み読の神だから…笑
      2024/03/15
    • ultraman719さん
      神様の言うこと聞きなさい!
      神様の言うこと聞きなさい!
      2024/03/15
  • 伏線もその回収も何気なくてすごいと思う作品。めちゃめちゃすき

  • どこかに感じる淡白さ、軽快さ、終盤の勢い、どの作品を読んでも「これこれ〜!」ってなるし読み終えた時の爽快感と充足感、癖になる 伊坂幸太郎を好きな理由コレ
    最初の方は千葉さんイライラしたけど、山野辺夫婦と同じように私も慣れてきて気を紛らして緊張をほぐしてもらってた節あるかも
    千葉さんの感情というか彼らのことをどう思ってるのかというか、ずっと掴めなかったしまあそもそもなんとも思ってなかったんだろうけど面倒事に手を煩わせた事実と最後の「晩年も悪くなかった」の一言に全てが詰まってるんだなあ〜〜〜

    教訓みたいなのとか、考え方とか、先に行って確かめてくるよとか、心に残るフレーズも沢山あったメモすりゃ良かったな また読み返さなきゃ

    個人的な現状と重なって苦しくなった部分もあった 喪ったわけじゃないんだけど
    悲しみきる暇も余裕もなくてただ空っぽで、どこかしこにも思い出で溢れてて全てに重ねて、こんなことになるなら生まれてこなきゃ良かったって、私も思った 私がもがいて言葉にできなくて苦しかった気持ちが、全部文字になっていた ただそれだけだけど、それだけでよかったのかもしれない 言葉として胸にすっと入ってきて、少し楽になれた
    浮力のおかげで体積は変わらない。氷が溶けて水に混ざるように、人間も死んでも誰かの記憶に溶けるから消えない。
    消しちゃだめだから消したくないから、貴方が溶けて混ざった私を全うしなきゃいけない そしてまた、私を誰かに溶かさないといけない この世の体積は、貴方を含めたものでなくてはならない
    がんばるから、たまには雨拭いに来てね ワイパー

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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