永い言い訳 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2016年8月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167906702

作品紹介・あらすじ

妻が死んでも泣けない男のラブストーリー。映画化話題作

予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか――。人を愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった物語。

みんなの感想まとめ

人が愛することの複雑さと、失ったものを取り戻す過程を描いた物語です。突然の事故で妻を失った作家が、自己中心的な視点から徐々に他者との関わりを通じて成長していく様子が、深い感情と共に描かれています。彼は...

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、愛する人を不慮の事故で突然亡くした人のその後に、どんな人生を思い浮かべるでしょうか?

    この世には思いがけず命を落とす不慮の事故が後を絶ちません。ツアーバスによる痛ましい事故など記憶に残る事故も思い浮かびます。そして、事故で不幸にも亡くなった人の多くに家族がいたはずです。そんな家族の視点から見れば、行ってきますと元気に見送った瞬間、それがまさかの最後の時間になってしまうとはよもや思わなかったはずです。

    予期せずいなくなった家族を思う感情の一方で、そんな家族がいなくなった後も日常を生きていく家族たち。報道で事故により亡くなった人たちの存在は意識しても、私たちは残された家族の存在までは見えません。そんな家族たちはその後何を思い生きていくのでしょうか?

    さてここに、『妻を突然事故で失った作家』のその後の人生を描いた物語があります。売れない時代を支えてくれた妻の存在。この作品はそんな作家が同じ様に妻を亡くした男性と知り合う様を見る物語。そんな出会いの先に作家の感情に変化が生じていくのを見る物語。そしてそれは、あなたが「永い言い訳」という書名の意味を深く噛み締めることになる物語です。

    『だいたい名前を言えば、人に一発で覚えられるだろ』、『だからそれが嫌なんだよ』と父親に自身の名前が不服であることを言い続けるのは主人公の衣笠幸夫(きぬがさ さちお)。『広島東洋カープの衣笠祥雄選手』と同じ名前であることをマイナス感情に思う幸夫はやがて作家となり『「津村啓」というペンネームを持』つことになります。そんな幸夫は『大学四年生になった』時、『就職活動の会社面接が一つ終わった帰り道、伸びすぎた髪を切ろうと通りがかりの美容室に飛び込』みました。そして、『首にケープを巻かれた時に』担当してくれた美容師が、大学の『同じクラス』だったものの後期に入って辞めてしまった同期生だと気づきます。『衣笠君と』呼ぶ彼女は『ずっと憧れてたのよ。子供の頃から人の頭をいじるのが好きで』と語りますが、幸夫は彼女の名前がどうしても思い出せません。結局、『平謝りで名前を尋ねると、彼女は笑い、夏子だよ。田中夏子です』と答えてくれました。そんな再会の先に結婚した二人。その後、出版社に就職した幸夫でしたが、『入社当初から文芸の担当に希望を出』すも叶わず、『週刊誌の女性グラビアページを担当』する中に『書くなら今だ』と退職し『退路を断』ちました。『賛成。でないとあなた、書く前に作家ってものが嫌いになっちゃうと思う』言ってくれた夏子が『自分の美容室を出すつもりで蓄財もしてきた』ことを背景に生活を支えてくれます。とは言え『書いても書いても、何の賞にも引っかからず…』という日々を送る幸夫でしたが、ようやく『作品が少しずつ人々の目に留まり始め』ます。そして、夏子が『家計を支える必要はなくなり、四年前にはついに自分の美容室も開』くことができました。しかし、『安堵という感情と引き換えに、私は私の生きている意味を、すっかり見失っ』てしまった夏子。
    場面は変わり、『毎年恒例にしてきた』『二人旅』で、ゆきちゃんとの待ち合わせ時間を気にする夏子。そんな夏子は、『リビングのテレビ』に映る幸夫の姿を見ます。そんな時『ついこないだ収録したのに、ずいぶんオンエア早いんだな』と帰宅した幸夫が部屋に入ってきました。『髪の毛どうするつもりなの』、『明後日パーティだから切らなきゃって言ってたよね』と訊く夏子は『三十分後には出る』と告げ、幸夫の髪の毛を切り始めました。『一体いつから、こんなに気詰まりな関係になったんだろう…さりげない会話の糸口が一つも見つからない』と思う夏子は、カットの後、『後片付けは、お願いね』と言い残すと家を後にしますが『それが、衣笠幸夫と衣笠夏子の、別れの挨拶となった』という瞬間になってしまいます。
    視点が変わり、『やっぱり不憫なもんよ。お前が言うか、と言われるだろうけど。だって売れない時代、十年近く、文句も言わずに旦那のこと食わせてきた挙げ句、こんな小娘に寝盗られちゃうってさ。哀れだよ』と思うのは『愛人』の『私』。そんな『私』が、チャンネルを変えると、『山形県の、なんちゃら村のなんちゃら峠で、スキーツアーの観光客を乗せたバスが下りのカーブを曲がり切れずに…』とニュース報道が流れます。『あーあーあ。と、先生と二人、声を揃え』て見る『私』は留守電が録音されるのを聞きます。『お尋ねしたいことがございますので、メッセージをお聴きになりましたら、おかけ直し頂けますか』という声は『山形県警のひとから』でした。
    再び視点は変わり、『戸沢村温泉ホテル支配人の浜口と申します…』という留守番メッセージを聞くのは大宮陽一。『チェックインされているお客様の中に、オオミヤ・ユキ様のお名前はございませんでした』というメッセージに衝撃を受ける陽一は息子の真平、娘の灯とともに事故現場へと向かいます。
    幸夫と陽一、ともに事故で妻を亡くした二人が繋がりを持ちながらそれからの日々を生きていく姿が描かれていきます。

    2016年本屋大賞で第4位にランクインしたこの作品。そんな作品は、”長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを’演じる’ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語”と内容紹介にうたわれています。映画監督であり、脚本家でもあるという作者の西川美和さんが描かれたこの作品は同年に本木雅弘さん、深津絵里さんらが主演で映画化もされています。

    私は今回初めて西川さんが執筆された作品を読みましたが映像のプロでもいらっしゃる西川さんならではの文字表現にまず着目しました。それが一番感じられたのが、事故で亡くなった夏子の遺影を描写したこんな表現です。

     『数年前に美容業界の専門誌の取材を受けた時、プロのカメラマンに撮ってもらったもので、髪型も化粧も、普段に増してきちんと整えられ、ごく浅い被写界深度のフォーカスは、澄んだ瞳とまっすぐな鼻筋にのみにぴったりと合って、まるで映画の一場面から切り抜いてきたようだと思った』。

    『映画の一場面』というからには元の『映画』のイメージがあるはずであり、それは西川さんが普段から撮り慣れていらっしゃるものなのだと思います。また、そんな遺影を抱える幸夫が挨拶から車に乗り込むまでの表現には、映像が浮かび上がってくるかのような表現もなされていきます。

     『ぼく自身が途中で声を詰まらせると、今だとばかりに報道のカメラのシャッター音が蟬時雨のように連なった』。
       ↓
     『遺骨を抱えて用意された車に乗り込むまでの間もシャッターは鳴り止まず』
       ↓
     『中には直接マイクを向けて質問を投げかけてくる記者もいたが、軽く会釈を返すのみでぼくらは伏し目がちにその間をすり抜け、葬儀場を後にした』。
       ↓
     『動き出した車の後部座席からふとルームミラーを覗いて自分の顔を見ると、朝自分でセットした前髪が妙な分け目に割れて犬のちんこみたいに額に垂れ下がっていた』。
       ↓
     『ぼくは小さくため息をついた』。

    いかがでしょうか。ほんの一部分の抜き出しにも関わらずそこには映像が浮かび上がってきます。この作品はそのまま映画の原作でもあり文字から映像が出来上がっていく途上を見るようにも感じました。また、映像に繋がるのではなくあくまで文字の表現として魅せてくれる箇所も多々あります。巧みな比喩表現を三つご紹介します。

     ・『夏子は、不発弾のように埋まっている幸夫の才能に期待を寄せてくれる唯一の他人だった』。

     ・『幸夫くんは、寄せては来る波に怖じ気づくことなく、がむしゃらに迎え撃った。思ったより意気地があり、思ったより器用で、思ったより波に乗るのがうまかった』。

     ・『大きすぎる喪失に打ちのめされた人々はどこか川を隔てた向こうの住人のようで、よもや自分がその川を渡って対岸に行くようには思えなかったのである』。

    『不発弾』、『波』、そして『川』という三つの例えはなかなかに絶妙です。読んでいて心地の良い比喩表現の数々。映像視点だけでない魅力がこの作品にはあると思いました。

    一方で、この作品は、理解が難しいと感じさせる表現に全体が覆われているように思います。正直なところそれが何であるのかになかなか気づけなかったのですが、柴田元幸さんによる〈解説〉の次の一文が鮮やかに解き明かしてくださいました。

     “物語は複数の視点が入れ替わり立ち替わり現われる形で語られる”、”複数の語りがパズルのピースのようにピタッと合わさって最後は全体像がきれいに出来上がる、ということでもない”

    この作品では、章と言ってよいのかはわかりませんが、小見出しが二十ヶ所以上に付けられています。『妻』、『愛人』、『ぼく』、『奉公娘』、『編集者』…といったものとアイコンのようなイラストで区切られるものがあります。この小見出しによって視点が交代するのは分かるのですが、その切り替えがあまりに多いのと、今ひとつぼんやりとした切り替えにも思われる部分もあり、全体像が少々掴みづらいと感じました。

    そんなこの作品は衣笠幸夫(ペンネーム: 津村啓)と、大宮陽一という二人の男性が、同じバスの事故によって一夜にして妻を失うという共通点をキーに展開していきます。二人のうち、より比重が置かれるのは作家でもある幸夫です。作家でもある幸夫は、駆け出しの作家として売れない時代を、美容師として働く妻の夏子に支えられながら生きてきました。それが、作家として芽が出始めたことで二人の生活は一変します。『安堵という感情と引き換えに、私は私の生きている意味を、すっかり見失った』という夏子の一方で、夫の幸夫は妻の留守に愛人を自宅に招き入れるなど二人の心が冷えてしまった様が描かれていきます。幸夫にとってはそんな中での妻の急死という構図になります。一方で陽一は、息子の真平が私立中学受験に邁進する一方で、娘の灯はまだまだ手がかかる中、『中距離から長距離の輸送の仕事』を続け、妻の急死という状況に追い込まれました。物語では、そんな陽一の家庭に独り身の幸夫が手を差し伸べていく様子が描かれていきます。そんな中に幸夫に大きな変化が訪れます。

     『一体何だろうか。この突発的に現れた庇護欲と使命感と、そして充足感は。父性を飛び越して、母性に走ったか』。

    物語は作家でもある幸夫の新たな一面も描かれていきます。微笑ましいとさえ思う幸夫の変わりようが描かれていく場面はもしかするとこの作品の一番の読みどころかもしれません。

     『色々やって分かったけど、育児の大変さに比べれば、仕事なんてたかが知れてると思ったね。とにかく彼らは生きてるんだもん』

    そんな風に語る幸夫の変化には読者も驚愕させられます。そして、そんな幸夫は妻に対する思い、亡くしたからこそ初めて気づくことのできる感情の存在に気づいてもいきます。

     『自分を大事に思ってくれる人を、簡単に手放しちゃいけない。みくびったり、おとしめたりしちゃいけない。そうしないと、ぼくみたいになる。ぼくみたいに、愛していいひとが、誰も居ない人生になる』

    ”予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか ー”。まさかのバス事故により妻を失った二人の男性の心の動きを描いていくこの作品。そこには、喪失から再生へと至る人の思いのあり様が描かれていたのだと思いました。

     『それが、衣笠幸夫と衣笠夏子の、別れの挨拶となった』

    全く予期せぬ中に、妻との突然の別れを経験することになった二人の男性のそれからが描かれたこの作品。そこには、同じく妻を亡くしたといってもそれまでの前提が全く異なる二人の物語が描かれていました。映像が見えるかのような表現に魅せられるこの作品。視点の切り替えに少し戸惑うこの作品。

    『長い』ではなく、「永い言い訳」と付けられた書名に、人の届かぬ思いを強く感じる、そんな作品でした。




  • 『永い言い訳』



    「ゆれる」に続き2冊目の西川美和さん
    そして 本作も 映画書き下ろし作品


    主演は…
    ♪ かもね かもね そうかもね♪ の
    モックン こと 本木雅弘さん
    奥さん役は 深津絵里さん……って、
    もう完璧じゃない?(๑•̀ㅂ•́)و✧

    ごめんなさい
    "知ったかぶり" しちゃって ごめんなさい
    映画はまだ観てないんだけどね(´>∀<`)ゝ


    この作品…
    すごく すごく すごく よかった(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    キャストを見たら
    もう 「衣笠幸夫」は 絶対モックン で決まり!



    人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、妻が友人とともに旅先で不慮の事故に遭い、亡くなったと
    知らせを受ける。悲劇の主人公を装うことしか
    できない幸夫は、妻の親友の夫・陽一に、子供たちの世話を申し出た。妻を亡くした男と、母を亡くした子供たち。その不思議な出会いから、「新しい家族」の物語が動き始める…。




    これは 文庫裏の本の紹介文。



    読み始めは
    津村啓こと衣笠幸夫に読んでるこっちが
    イライラしちゃうの…
    奥さん目線が邪魔をしてるのね
    なんて嫌な奴なの(・-・ꐦ)
    …って感じだったの!



    でもね、だんだん変わってくるの
    腹はたつんだけど 人間臭いというか…
    幸夫を憎めなくなってくるの
    最後なんて愛おしくなってくるの



    最後の数ページに 陽一からゆきちゃんへの手紙、
    幸夫から夏子への手紙が あるんだけど
    それも泣けたなぁ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)



    でもね、最後の最後の一文がいいんです✨️



    そして解説は エドワード・ゴーリーの訳でも
    お馴染みの 柴田元幸さん
    この感じも嬉しかったなぁ



    下手っぴな文章です
    とってもお恥ずかしいのですが…
    娘のインフルを頂いちまって…死にそ〜です
    熱が…最高39.8まででて…
    もう死ぬーーーーーッ!です!
    あまりに日中寝すぎて…眠れないし( ๐_๐)
    去年罹ったコロナよりキツイかも!
    短い言い訳……ただの言い訳だぁ




    あーっ
    いいこと考えた
    サブスクで…『永い言い訳』見ちゃおうっと!
    ゆっくり本も読んじゃうんだもん(*´艸`)フフフッ♡




    • ともちんさん
      どんぐりさん♪

      インフル…かかっちまいました
      ( >д<)、;´.・ ィクシッ

      わが家では 猛威を奮ってるけど
      負けてらんないわ (...
      どんぐりさん♪

      インフル…かかっちまいました
      ( >д<)、;´.・ ィクシッ

      わが家では 猛威を奮ってるけど
      負けてらんないわ (๑•̀ㅂ•́)و✧

      なーーんてね(*´艸`)

      でも…どんぐりさんとこは お子ちゃまたち
      インフルかかったら大変だもの。
      予防接種受けてよかった!
      例年より早いみたいね


      それにしても…深津絵里さん♥
      私も大好きな役者さんのひとりだな(*´艸`)フフフッ♡


      2025/11/15
    • aoi-soraさん
      インフル流行ってますね
      体調は戻ってきましたか?

      この作品も面白そうですね~
      映画も小説も良さそう( ´-` ).。oO
      インフル流行ってますね
      体調は戻ってきましたか?

      この作品も面白そうですね~
      映画も小説も良さそう( ´-` ).。oO
      2025/11/18
    • ともちんさん
      aoi-soraさん♡

      ありがとうございます(*´艸`)
      おかげさまで もう…ほとんどOKです!
      なんで こんな時期に…とも思いましたが...
      aoi-soraさん♡

      ありがとうございます(*´艸`)
      おかげさまで もう…ほとんどOKです!
      なんで こんな時期に…とも思いましたが
      結構、流行っているようですね!

      aoi-soraさんも
      くれぐれも気をつけてくださいね(b´∀`)ネッ!

      こちらは 映画もよかったです!
      モックンの演技が観ていて
      引き込まれてしまいます
      ただ、小説と若干違っていたりするもんだから
      どちらかというと…
      小説の方が好みだったりします(⁎⁍̴̛ᴗ⁍̴̛⁎)
      2025/11/18
  • 言い訳と小さな嘘は、自分の気持ちを隠す盾みたいなものかなと思っている。
    突然の観光バス事故で、妻を失った作家。彼は、自己愛が強く自尊心が高く自己中心的な男。妻との関係も事故が起きる随分前から壊れ気味だった。
    突然の事故で何を失ったかも気付いていない。
    この作家は、涙を見せず感情に流されず冷静冷淡に描かれるが、そこから徐々に感情が動いていくところが絶妙なんです。
    同じ事故で一緒に旅行に行っていた妻の友人も亡くなっていた。作家は、彼女の残された子供達の世話を買って出る。子供達と過ごすことで、今まで手に入れた事がない充実感に満たされていく。
    そこでのP263の一行。-愛を得たのだそうである。-なんて厳しい一行。この作家の行く末に寒々として数日小説を放棄した。
    案の定、彼と子供達の蜜月は、彼の子供じみた言い訳で終焉を迎える。
    そして、もうひとりの主人公、子供達の父親は、作家とは対照的な男。感情的で情が深いが、相手の見えないところは慮れない。この父親が起こした事件の処理に尽力した作家は、これをきっかけに、新たな子供達との関係を築き始める。永い言い訳に身を任せていた作家はようやく死んだ妻と向き合いはじめる。
    感情の表現を修飾語によらず、言い訳の裏に秘そませ中年男の悲哀を読ませていただきました。

    • koba-bookさん
      おびのりさん、この本は未読ですが、読んでみたくなるレビューでした。ありがとうございます。
      おびのりさん、この本は未読ですが、読んでみたくなるレビューでした。ありがとうございます。
      2025/02/01
    • おびのりさん
      Kobaさん
      こちらこそ フォローいただき
      レビューにたくさんの“いいね”
      ありがとうございます

      同じ作者の本も多く参考にさせていただきま...
      Kobaさん
      こちらこそ フォローいただき
      レビューにたくさんの“いいね”
      ありがとうございます

      同じ作者の本も多く参考にさせていただきます
      “三島由紀夫”を一人で読んでいたので
      読まれている方を見つけられて嬉しいです

      この小説は コメントもしてくれてるみんみんに
      紹介してもらいその後すっかりハマった作家さんです 
      お勧めできます
      ありがとうございました♪
      2025/02/02
    • koba-bookさん
      ああ、三島由紀夫同志はこちらも嬉しいです!谷崎も!
      ああ、三島由紀夫同志はこちらも嬉しいです!谷崎も!
      2025/02/02
  • 愛妻家とそうでない主人公の妻が不慮の事故で亡くなってしまう物語。

    ひとを愛することとは…ということを投げかけるストーリー。

    『長い』でなく『永い』言い訳の意味がわかったような気がします。

  • 読むのに難しさはないけれど、どんどん切なくなっていく…
    でも手に取るようにわかるそれぞれの心情。
    何か事が起きると、それについて、肯定したり否定したり…
    そうして長い一生を終える…きっと私も。

  • 妻をバス事故で亡くした作家・津村啓こと衣笠幸夫。妻の親友も同じ事故で亡くなり、その夫と子供2人が残された。残された4人で家族が再生されようとするが、そう簡単にはいかない。衣笠幸夫がダメ男すぎて、自分には許容不可能。感動ストーリーがかなりマイナスされました。

  • 第13回本屋大賞第4位

    妻を亡くした夫というのは、こんなふうに一日一日を過ごして行くのかもしれないとリアルに感じた。
    幸夫は、陽一と息子が激しくぶつかりながらも再生するところを見て、初めて自分はもうその相手を失ったことを理解して絶望したのかな。
    幸夫も陽一も好感のもてる人物ではなかった。
    でも冷め切った仲なのに向き合って努力しなかったのは妻も同じだよね?
    亡くなったのが幸夫だったとしても、妻が後悔するんだと思った。

  • ☆3.5
    読みやすかった
    よつばと!とかばらかもんみたいなお兄さん?とちっちゃい子のほのぼのライフ好き
    (この話はただのほのぼのでは無いけど)

  • 西川美和さんの作品は今回初読み。

    人気作家の津村啓(本名:衣笠幸夫)は、ある日突然妻を不慮のバス事故で亡くす。長年連れ去った夫婦だが、2人に子供はおらず夫婦関係も冷め切っており、妻が亡くなったその日も幸夫は愛人と密会中だった。
    事故は妻が親友と旅行中に起きており妻の親友も亡くなってしまう。被害者の会で、妻の親友の夫大宮陽一と幸夫は出会うが、愛妻家で2人の子持ちで直情型の陽一と全く正反対の幸夫。ふとしたきっかけで、陽一の子供たちの世話をかって出ることになった幸夫だが・・・

    最後は心温まる何かが得られるような期待があって読み進めたが、再生だとか、救いだとかそういう互いの物語ではなかった。

    愛した人を亡くすということ、愛してくれた人を亡くすということ、遺された者の生き方、飾りごと抜きで真正面から向かい合わずにはいられない作品だった。読み手の思考を誘導せず、分かりやすい応えを導くのではなく、ただその心情を剥き出しに表現し訴えかけてくるので、心して読まないと迷子になりそうな危うさすら感じた。

    幸夫と陽一の気質が全く違うのに、場面によっては其々に共感してしまった。
    これが遺された者の変化なのかもしれないし、「長い」言い訳でなく「永い」言い訳ならば、きっと遺された者が生きている間は、その死に対する受け入れ方は変化し続けるんだろう。そして、いずれそれが亡くなった者への供養に繋がっていくんだろうと思う。

    それにしても、幸夫くん。
    なんとも不器用でシニカルだなぁ。
    作家になる為に、犠牲にして手に入れたものの価値って如何程だったんだろう・・・
    愛してくれたなっちゃんが生きている間に、もっと気付けた筈だし変わって欲しかったなぁと切なくなった。きっと、なっちゃんも沢山言い残したこと、話したかったことあっただろうなぁ。

    たとえいつ亡くなったとしても、どんな終わり方を迎えても、自分なりに納得出来るような生き方をしていきたいと思った。

  • 妻を突然なくした人が、立ち直っていく様。なんか映画化されてたなぁ、予告編見たなぁと思った。主演はもっくんだったらしい。だけど映画監督も作者だった。驚いた。この本は直木賞の候補作品にもされたらしい。意味がわからない。多才な人??

    衣笠幸生は作家で、ペンネームは津村啓。妻の夏子が旅行に行っているときに、愛人の千尋をうちにあげていた。そのに山梨県警から電話があり、妻の乗ったツアーバスが事故に遭ったことを知る。妻は美容師だった。

    中学の同級生と出かけていた。妻の親友も死んでしまった。夫の陽一と子供達を残して。幸生は陽一の子供達の面倒をみることにする。だがたった2日でもう帰りたくなる。

  • 妻を亡くした男と、母を亡くした子供たち。
    それにまつわる人々の多視点による長篇。
    人には様々な顔や思いや過去があり、それは本人以外にはある一面のほかは知る由もないし、また他者からは自分が自分の思いもよらない人に映っているものなのかもしれない。
    人物の描写や様々なシチュエーションはどれも或いは特殊なのにリアリティがある。
    悲しくて苦しくて切ないけれどシニカルで何だかおかしい。
    全ての視点は繋がりそうで繋がることは無い。
    でもそういうものだし、それでいいし、自分で落としどころを見つけながらそれでも生きていくのだな、と思えました。
    そしてわたしは幸夫くんが何故か好きだし幸せな夫であって欲しいなと思いました。

  • 『永い言い訳』読了。
    すごくよかった。この一言に尽きる作品でした。主人公の気持ちがイマイチよく分からなかったけど、最後の方でグッとくるものがきた。
    最初はすごく重かったけど、成り行きで始まった子どもたちの触れ合いが絶妙に面白かった。ちょっと笑った。
    人ってひとりで生きていけんよねって思った。本当に辛い時は誰かに頼ることも必要だなと。私も人に頼ったり甘えたりするの苦手だから、なんとなくその辺は主人公の気持ちは分かるような気がする。極端にぶった斬るところあるから、、、
    でも、その辺の器用そうで不器用なところが面白かった。
    一見、冷徹そうに見える人って実はどう感情を表に出せばいいのか分からないだけなのかもしれないな…
    だんだん途中で人間味が出てきてそれで面白かったのかもしれんです。はい。

    2021.7.9(1回目)

  • 2016年本屋大賞第4位作品。

    不慮の事故により妻と母を喪った二組の家族が、ひょんなことから交流して再生していく話し

    最初は少しつまらない感じがしましたが、二組の家族が交流するところから俄然惹き込まれて、最後は優しく読み終えることができました❗️

    愛する人を喪った悲しみは簡単に癒えることはありませんが、瘡蓋のように時間を掛けて日常に溶け込んでいくのだと感じました❗️

    心にジンワリと染み込むオススメのラブストーリーです❗️

  • 個人的には主人公の傲慢さとか高飛車な感じがあって全く好きになれませんでしたが、それが良いアクセントなのだろうなとも感じました。

    本作はバスの事故で突如、妻を失った主人公と同じような境遇にある家族との交流を描く物語。特に上手いなと思ったことは、この2人の対比です。方や、関係性が崩壊しつつあった夫婦に対し、もう一方は順風満帆で円満な家庭。ここに事故で妻が亡くなるという共通のファクターを入れることで、対比構造を保ちつつも、ラストの2人の考え方が際立っているように感じました。

    途中、主人公の鬱屈したものの見方や意地の悪い性格に嫌気が来てしまって読むペースが落ちたので、評価としてはまずまずって感じです…

  • 物語全体を覆うのは、決して明るいとは言えない、けれどどこか洗練された静かな空気感。悲劇をいたずらに煽るのではなく、淡々と、しかし鋭く人間の空虚さを描き出すその筆致は、不思議と「スマート」で、大人のおしゃれな小説という印象を受けた。
    この物語の主人公・衣笠幸夫と、事故で妻を亡くしたもう一人の男・陽一。二人はどちらも「未完成な大人」だと感じた。
    特に幸夫の姿には、ある種の痛々しさと普遍的な弱さを見る。彼は幼い頃から斜に構え、他者との距離感を測りすぎて、本来経験すべきはずの泥臭い人間関係を避けてきたのではないか。その足りない部分を、ずっと妻のナツコに補ってもらっていた。夫婦というよりは、自分の欠落を埋めるためのパーツとして彼女を必要としていたようにさえ見える。
    彼らは長い間、お互いに変化も成長もせず、ただその「未完成な関係」を維持し続けていた。
    しかし、ナツコが死に、孤独になった幸夫は、陽一とその子供たちとの交流を通じて、初めて「他人と深く関わること」を学んでいく。それは、ただ誰かに依存することではない。自分のために時間を使うのではなく、相手のために自分の手と心を動かすこと。
    幸夫という天秤は、ナツコという重しを失ったことで、かえって自らの足で立ち、バランスを取る術を学び始めたのだと思う。ようやく「人をおもいやる」という成熟のステップを踏み出した彼を見て、これは単なる喪失の物語ではなく、長い時間をかけた再生の物語なのだと気づかされた。
    「人は、いつからでもやり直せる。ただし、それは他者と正しく向き合うことからしか始まらない」
    この作品は、斜に構えて生きることが「スマート」だと思っていたかつての自分、あるいは現在進行形で誰かに何かを補ってもらっている未完成な大人たちに、静かな問いかけを投げかけてくる。
    読み終えて、心がふっと軽くなるような、あるいは自分の日々の歩みを振り返りたくなるような、そんな豊かな読書体験だった。

  • 映画『ゆれる』の監督、西川美和による小説。
こちらも映画化され、脚本・監督も手がけている。
多才。

    この本は賛否が分かれる内容らしく、
ほとんど期待せずに読んだけれど、
すごく面白かった。

    主人公は、冷め切った関係の妻が突然事故死したとき、
自分が何を感じるのかを見つめる男。

    しかし彼は、
妻を失った悲しみに沈むというより、
自分のことばかり考えている、かなりのダメ男。
    彼を取り巻く人たち(妻を含め)の心情や、
それぞれの思いが静かに描かれていく。
    主人公・衣笠サチオの物語は、悔恨の物語でもなく、再生の物語でもない。
    ただ、自己憐憫と自己愛が、延々と語られていく。
(なんせクソ夫なので。)

    でも、人間だもの。
当然なのかもしれない。
    人の頭の中のおしゃべりは、
たいていネガティブなものだから。
    彼は本人が言うように、
結局、最後まで永い言い訳を続けていくのだろう。
    ◉ 他者のないところに人生は存在しない

  • 主人公の男性は妻の死を受けとめるまでここまで時間を要したんだなという印象が強く残った。
    身近な人の死を受けとめ受け入れて生きていくということはとても辛く自分の心を消費することであって並大抵のことではない。これでもういいなとかここまできたからなどということではないので本当に人それぞれである。
    命がなくなるということは物理的にも人の気持ちにも迷惑がかかる。
    本当にその通りだなと思いました。
    主人公幸夫は好ましいような性格ではないけれども読めば読むほど人間の陰の部分、負の部分が人間味溢れていて逆に共感できる部分であった。
    永い言い訳
    身近な存在ほど失ってみないと後悔も感謝も実感できない。
    言い訳し続けないように生きていきたい。

  • 「これはラブストーリーなのか?」
    そう問わずにはいられない。本作は、独りよがりな男が喪失を通じて、ようやく「愛」と「寂しさ」を知る物語だ。
    痛感したのは、「ちゃんと向き合わなければ、愛は生まれない」ということ。向き合うことを怠れば、人は誰かのために生きることすらできない。幸夫は妻を亡くしたことで、皮肉にも人生で初めて、本当の意味で彼女と向き合うことになったのだ。
    オーディブルで池松壮亮さんの軽快な語り口が、彼の醜さも滑稽さもリアルに響かせてくれた。次は映画で、この「言い訳」の続きを確かめてみたい。

  • 持つべきものは家族。途中、何度も胸が熱くなった。大宮ではなく津村側になってしまっている現実の自分の姿に置き換え、後悔しながら読んだ。もはや手遅れかとは思うが、我々はまだ二人とも生きている。作者の他の作品も読んでみようと思う。

  • 章ごとに違う人の視点で描かれていて、主人公の背景と変わって行く心理描写がわかりやすい。
    ブクログの皆さんの感想を読むと、幸夫は自己愛強めの嫌な奴、好きになれないって感想も多かったけれど私はなんか嫌いになれない。人間だれでも人には言えないような気持ちに言い訳しながら生きているとこあるんじゃないかな。陽一のように純粋でストレートな人も幸夫のような人もどちらもとても人間らしい。どちらにしても人間は他者がいなければ生きられないんだよね。

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著者プロフィール

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。在学中から映画製作の現場に入り、是枝裕和監督などの作品にスタッフとして参加。2002年脚本・監督デビュー作『蛇イチゴ』で数々の賞を受賞し、2006年『ゆれる』で毎日映画コンクール日本映画大賞など様々の国内映画賞を受賞。2009年公開の長編第三作『ディア・ドクター』が日本アカデミー賞最優秀脚本賞、芸術選奨新人賞に選ばれ、国内外で絶賛される。2015年には小説『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補、第153回直木賞候補。2016年に自身により映画化。

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