辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906856

作品紹介・あらすじ

「三省堂国語辞典」略して「三国(サンコク)」。そして 「新明解国語辞典」略して「新明解」(赤瀬川原平著『新解さんの謎』でブームとなった辞書である)。二冊ともに戦後、三省堂から刊行された辞書で、あわせて累計4000万部の知られざる国民的ベストセラーだ。しかし、この辞書を作った(書いた)二人の人物のことは、ほとんど知られていない。 「三国」を書いたのが、ケンボー先生こと見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)。 「新明解」を書いたのは、山田先生こと山田忠雄(やまだ・ただお)。 二人とも国語学者だが、「三国」と「新明解」の性格はまったく異なる。 「三国」が簡潔にして、「現代的」であるとすれば、「新明解」は独断とも思える語釈に満ち、「規範的」。そこには二人の言語観・辞書が反映されている。 本書は、二人の国語学者がいかにして日本辞書史に屹立する二つの辞書を作り上げたかを二人の生涯をたどりながら、追いかけたノンフィクション。二人が辞書の世界に飲みこまれていくさまは壮絶ですらある。 著者・佐々木健一は、同じテーマで「ケンボー先生と山田先生」(NHKBS)という番組を制作したディレクター。同番組はATP賞最優秀賞、放送文化基金賞最優秀賞を受賞。番組には盛り込めなかった新事実やこぼれおちた興味深いエピソード、取材秘話なども含めて、一冊の本にまとめた。本書で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 『新明解国語辞典』の山田忠雄。
    『三省堂国語辞典』の見坊豪紀。
    ふたりの辞書編集者を追ったドキュメンタリー。

    おもしろかった!
    NHK特番が元なだけあって、検証が深い。
    彼らの信念や功績を追うことで、辞書の歴史・問題点・特色などもひもといていく。
    辞書の世界が深まる1冊。

    もともとは一緒に『明解国語辞典』をつくっていたふたりが、なぜ決別したのか。
    ふたりの確執もゴシップ的ではなく、あくまで辞書編集者としてのこだわりに付随する結果、という書き方。
    『新解さんの謎』でも取り上げられた「一月九日の時点」の謎も解決して、びっくり。

    小口にツメ(インデックス)がついているなど、辞書風のつくりも凝っていて楽しかった。

  • 三省堂の三国と明解を作り上げた先生方の本。これは私の周りのことではあるけれど、○○対▲▲という個人間の対立(というよりは衝突?)には必ず第三者の横槍というか意向が入っている事が多い。この場合は三省堂という会社の意向が多大にあったと言える。この第三者が徹底的に2人の道を分離させた。
    それにしても、膨大な言葉を扱う辞書を作り上げるというのは途方もない事業。特に今のようにデータ化が当たり前にある時代ではないのだから。そういった事業に携わる人らしく2人とも(というかその周りの人たちもではあるが)個性が強い。三浦しをんの「舟を編む」に出てくる人たちの個性の強さよりも更にアクが強い。
    取り急ぎここまで。

  • 数年前にNHKで放送していた番組は見ていたけど、番組放送後に判明した事実なども補完されていて面白かった。
    見坊先生の言葉に対する姿勢が、辞書は言葉を正すものではないというOEDの姿勢とまったく同じというのが面白い。

  • 興奮をもって読んだ。三省堂国語辞典・新明解国語辞典それぞれの主幹編集者・見坊豪紀と山田忠雄。見坊は145万にも及ぶ用例採取で,山田はその独特な語釈で知られる。2人は元は明解国語辞典をともに作ってきた間柄であったが,あることをきっかけに決裂しそれぞれ三国・新解という2つの国民的辞書を生み出した。この本はテレビ番組制作を機に行った関係者・家族への取材を元に,2辞書の歴史,決裂の事情とその後を物語る。国語辞典のあるべき姿についての主張,スタイルの違いはあるものの,仕事に対する思いは執念ともいうべきあついものであった。

  • 国語辞書はどれも同じ、一冊あれば十分。と思っていたが、そうではなかった。どの国語辞典にも「個性」があり、その個性とは書き手の「人格」に他ならい、極めて人間味の溢れるものである事を知る事が出来たのは、大きな収穫。さらに、ケンボー先生と山田先生という、二人の辞書編纂者の生き様も大変面白かった。

  • 2017.12.11 朝活読書サロンで紹介を受ける。

  • 昭和に誕生した2冊の国民的国語辞典「三省堂国語辞典」「新明解国語辞典」。この2冊の源流というか母胎は
    昭和18年に出版された「明解国語辞典」。
    この2冊「客観」と「主観」、「短文」と「長文」、
    「現代的」と「規範的」、とにかく編集方針から
    記述方式、辞書作りの哲学、それらすべてが性格が
    異なり、似ても似つかぬ姉妹辞書が同じ親から誕生。
    「辞書なんてどれも一緒である」は、この二冊限っては
    小説同様「文は人なり」の言説が辞書にも通じること
    なんだと教えてくれる。そこには編纂者の思いや性格が
    ありありと滲み出ているからに他ならない。

    本書は「明解国語辞典」を共に編纂してきた東大の
    同級生であり、理想の国語辞典を目指し手を携えてきた
    良き友であった見坊豪紀と山田忠雄がなぜ袂を分かち、
    見坊(ケンボー)先生は「三省堂国語辞典」を、
    山田先生は「新明解国語辞典」を作ったのか。

    著者はわずかな手がかりを頼りに丹念に取材を進めるも
    難航。ある日、思いもよらない証拠にぶち当たる。
    それは、辞書に記載したある言葉の用例が昭和辞書史の
    謎を解く鍵だった…

    辞書界を揺るがせた最大の謎を上質なミステリーを
    読んでいるかのような知的興奮を覚える一冊。
    秋の夜長にどうぞ。

  •  ちょっと変わった辞書として有名な、新明解辞典(以下新明解)、そして学生向けに作られた三省堂国語辞典(以下三国)、それぞれの辞書を作ったのは2人の男だった。
     山田先生は新明解を作り、ケンボー先生は三国を作った。
     けれども、最初は、明解国語辞典を2人で作っていた。

     辞書といえば言葉の定義がはっきりとしていて、誰が作っても同じというかわかる内容となっているイメージだが、新明解は割と恣意的な説明が多い。それに比べ三国は簡潔に平易に説明をされている。

  • ドラマだった。番組も見てみたい。しかし、新明解がそんなに売れているとはしらなかった。

  • 辞書編纂者の偉人「見坊豪紀」その人物像がよくわかる。それだけではない。この偉人は、もう一人の偉人「山田忠雄」がいてこの人がいなければまた、ケンボー先生も偉人足りえなかったことがよくわかる。なかなかの快作です。

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著者プロフィール

佐々木健一

1943年,東京都生まれ.東京大学文学部卒業.同大学院人文科学研究科修了.東京大学文学部助手,埼玉大学助教授,東京大学文学部助教授,同大学大学院人文社会系研究科教授,日本大学文理学部教授を経て,現在,東京大学名誉教授.美学会会長,国際美学連盟会長,日本18世紀学会代表幹事を歴任.専攻,美学,フランス思想史.

「2019年 『美学への招待 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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