とっぴんぱらりの風太郎 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2016年9月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784167906894

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

忍者の風太郎が、失敗から職を追われてニート生活を余儀なくされる様子が描かれています。彼は、京のあばら屋でのんびりとした日々を送る中、因心居士という不思議な存在に出会い、思わぬ運命に巻き込まれていきます...

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。

    前回読んだ時はただただ斬って斬られての凄惨なところばかりに目がいってしまい、「面白かったけど、もう読むことはないかもな」くらいに思っていましたが、文庫本(上・下)をちゃんと本棚に取っておいてよかったです。”万城目学を読み返そう運動”の最後に「(内容的に)重いからな~、どうしようかな~」と思いながら読み出しましたが、さすが万城目作品です。再読もなんのその、内容としてはやはり重くて辛い場面もたくさんあったのですが、読書としては楽しく、さくさくと読み進みました。

    時は戦国時代。伊賀の国で忍びとして育った風太郎は、あることがきっかけで伊賀の国を去らざるをえなくなり、忍びとしても用無しになります。京都は吉田山に落ち着いた風太郎は、忍びとしてまた必要とされることを密かに思い続けながら、運命の流れのままに、萬屋で働いたり、ひょうたんに宿る(?)因心居士に現れられたりしながら、己の人生を生きていきます。この上巻は、伊賀で忍びをしていた時からの相棒「黒弓」とひょうたんを育てたりとのらりくらりと話が進むのですが、高台院ねね様からの依頼でひさご様のお供をした時の月次組からの襲撃、昔の忍び仲間「百」からの忍びに戻らないかとの話、そして気づいたら戦に参加していたという出来事が物語るように、下巻に向けて不穏な空気はどんどん濃くなっていきます。

    戦が始まると聞いてもどこか他人事だった風太郎ですが、「黒弓」からの文を受け、京都から大阪の堺に行ってみると、実はあの文は「黒弓」からではなく、かつて同じ柘植屋敷で忍びとして育った「蝉」からのもので、嵌められたのだとわかりますが、その時にはすでに遅く、風太郎は戦に巻き込まれていきます。
    萬屋の芥下の境遇を聞いていた風太郎は、自分の意志ではなかったにしろ、戦に参加し、幼いころの芥下が体験したことを、自らの手で無実の人々にしてしまう。そのことに大きく風太郎の心は傷つき、言葉にならない思いをその後一生抱えることになってしまう。戦の残酷さをまざまざと見せつけられた気がします。
    しかし、風太郎ひとりがいくら精神的に傷つこうが戦は続き、風太郎は自分が生きのびるためにたくさんの敵を殺していくしかない。

    この戦での体験が風太郎を大きく変えてしまいます。前半のなんだか少しゆるい感じは一掃され、「戦国時代」、「忍び」という抗えない時代と運命が暗黒となって後半を暗く重く覆っていきます。

    ここまでが上巻でした。
    素晴らしい大作であることが、もうひしひしと伝わってくるようでした。下巻、読みます!

  • 忍者風太郎(ぷうたろう)は、殿様の逆鱗に触れ、伊賀の里を追放される。元はと言えば相方•黒弓のヘマと、同じ柘植の忍び屋敷で育った同期の蝉左右衛門•百市らが原因なのだが。京のあばら屋に逼塞した風太郎は、ひょんな事から因心居士という幻術使いの術に囚われてしまう。伊賀忍者への復帰を期して、やはり同期の常世(とこよ)に合力する中で、太閤未亡人•寧々の依頼を受け「ひさご様」という貴人の京見物の案内をするが、月次組(つきなみぐみ)という連中に襲われて…。

    上巻は第六章まで。黒弓を訪ねた堺で蝉左右衛門と合流した風太郎は「大坂冬の陣」に参戦する事になる。司馬遼太郎の著作で言うと「果心居士の幻術」+「城砦」の面持ち。歴史エンターテイメントとして面白いです。

  • 万城目学さん『とっぴんぱらりの風太郎』の上
    レビューは下の方に

  • 天下は豊臣。なれどその時代はすでに戦国の世から、戦のない
    徳川へと移り変わろうとしている。そして戦う武器すらも
    刀から銃や砲へと変わっていくとあっては、伊賀の忍び忍者稼業も
    もはやお呼びではなくなるのであろうか.....

    ただでさえ決して優秀とはいえず、しがない伊賀忍者の端くれ
    風太郎(ぷうたろう)にとっては死活問題。
    ある仕事に失敗したことがあだとなって、風太郎は忍びの職を追われ
    ニートとなってしまうのだ。風太郎(ぷうたろう)ならぬプータロー。
    その名を地でいくはめになってしまうとは~。(笑)

    京の都のはずれ、吉田山の麓にあるあばらやに住み、その場かぎりの
    日雇いの仕事をしながらのらくら暮らす、そんな風太郎の前にある日突然
    "因心居士(いんしんこじ)"と名乗る瓢箪のものの怪が表れて──

    そのものの怪(因心居士)は
    "瓢箪の種を蒔いて育てよ" と告げる。

    なまけた暮らしにうだつの上がらない青年(二十歳)風太郎の目の前に
    突然ものの怪が表れ説教させられて、おまけに"種を蒔いて育てよ"だなんて
    まるで日本むかし話かおとぎ話かのような始まり。忍びの世界とはいえど
    コミカルに話が進んでとても和ましい展開が続く上巻です。

    されど忍び。
    大坂の陣を目前に、一度は職を追われたはずの風太郎にも
    忍びの影が密かに忍び寄っていたのでした。

    つづく...。

  • 本書、文句なく面白い。タイトルが気になって「とっぴんぱらり」を検索した。意外に多くの方が同じ行動をとられている。「とっぴんぱらりのぷぅ」で昔話の「めでたし、めでたし」にあたるそうだ。主人公の風太郎をぷうたろうと読ませていることに合点がいった。
    落ちこぼれ忍者の風太郎が意とせず巻き込まれる数々の難題に立ち向かう。主人公はいわゆるいい人なのだ。本人は不遇を周りの厄介者のせいと思っているが、恐らく本当に不遇なのは捨ておけず関わってしまう周りの人々なのだろう。楽しく読めるが、悲しい物語。このギャップに心が揺れる。タイトルのようなハッピーエンドかどうかは読まれた方々にお任せしたい。蝉左右衛門の生き様に痺れた。

  • 全十章中、六章まで。
    脳天気で図々しい弱り上手と、ちょっと神経質で不器用でまっすぐな二人――という第一印象が徐々に変化していく。主人公とともに、わけのわからない展開に巻き込まれていくが、少しずつ事情がわかりはじめる。そして下巻に続く。

    物事のコントロール欲を手放せば、余裕をもって人生を楽しめるのかなあと、ふとそう思う瞬間が何度かあった。

    万城目さんの世界は温かくて楽しい。

  • 2019.3.30再読。久々の万城目ワールド。この世界観がすごくいい。

    忍びの世界しか知らなかった風太郎が国を出て、京都での暮らしの中で人の情に触れ、変わっていく。再び忍びの世界に戻り、仲間との違いや自分の心の変化に気がつく。

    いくさの世に翻弄され。瓢箪の神様に翻弄され、黒弓のペースに流されながらも結構いい感じで変わっていく姿に惹きつけられた。

  • 緩い展開からシリアスな展開に

  • 相方のミスのせいで伊賀の忍から追い出された男の話。

    忍として仕込まれてそれしか知らないとは言え、主体性が無さすぎてちょっとイラつくというか感情移入しにくかったです。
    働かないと即、飢え死にしそうな時代だからお金に釣られるのも仕方ないけど、自分から仕事を探すでもなく誰かが持ち込んだ話に乗っかり続けるだけというのもいかがなものか。

    その仕事で自分の手を汚すことになり、死はたくさん見てきたようだけど、自分で死を与えるというのはものすごい違いだと思いました。
    自分で「変わってしまった」と思う風太郎が、この後どうなるのか…

  • 2014年本屋大賞5位
    前置き長く感じるけど安定の万城目ワールドでツラツラと読めた。下巻へGo!

  • 共感できないのに、共鳴させられる主人公という作品を始めて読んだ。何も持たない彼が、自らの目的とその価値を見出し、過酷な状況に身を投じていくさまを読むことで、人間が持つある種の強さ、あるいは崇高さの可能性を信じたくなった。

  • とにかく先が読みたくなる本

  • 面白い!下も早く読みたい!

  • 2023.10.17再読。上巻はゆっくりとしたペースで物語が進む。蟬や黒弓といった個性的かつわかりやすい強みを持った忍びたちに比べて、風太郎はひたすら凡庸であり、周りに振り回されてばかりである。しかしだからこそ、後半の風太郎の踏ん張りに感情移入しやすくなっている。

  • タイトルの『とっぴんぱらりの』や紹介文の『京でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”』でのほほんとした内容かと思いきや、のっけから命を賭ける殺伐とした闘いがあり読むのを諦めようかと思った。
    面白くなったのは伊賀を出てからだが、やはり争いのシーンはかなり残虐。
    忍びってこうだったのか。
    忍びしか知らない人生なら自由の身になってもそれを自由と気付けないのかもしれない。
    権力にとことん利用される風太郎を解放してやりたいと思った。
    あと、ひょうたんの作り方がよくわかった。

    ひさご様、因心居士、果心居士、残菊の正体が気になります。

  • 瓢箪からこまった

  • 風太郎のイメージが、勝手にむくむく膨らんで止まらない。のんびり瓢箪育ててるかと思えば、殺伐とした戦いのシーンもあって。登場する人物がみんな魅力的...。着地点が気になる気になる。

  • 読みやすい
    瓢箪の作り方なんて初めて知ったけど、結構大変なんだ。
    よくよく考えたら、中身を小さな穴から取り出すわけだから…、そうか…腐らせて…。
    忍びの大変さと、何だかんだそんな中でいい人な風太郎。
    下巻も楽しみ

  • ザッツ万城目ワールド♪
    天下は豊臣から徳川へなろうとする頃、度重なる不運の末、あえなく伊賀を追い出され、京の町でしがない日々を送る“ニート忍者”の風太郎(笑)
    あるとき出会った“もののけひょうたん“に大きく人生を変えられる(^^)
    上巻では真田丸が出てきたりと、昨年の大河とシンクロするシーンも結構あり、違ったオモシロさも(^^)
    下巻はやがて訪れる冬の陣へ♪

  • (上下巻あわせての感想)
    時は豊臣から徳川に移り、いろいろあって忍者を首になった風太郎君。
    京に出てニート生活をはじめるも、不思議なひょうたんと出会い、
    豊臣方に巻き込まれていきます。
    全力で展開される万城目ワールド。文句なく面白いです。
    20160930

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著者プロフィール

1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。2024年、『八月の御所グラウンド』にて第170回直木賞受賞。ほか小説に『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』『偉大なる、しゅららぼん』『とっぴんぱらりの風太郎』『バベル九朔』『ヒトコブラクダ層戦争』『六月のぶりぶりぎっちょう』など、エッセイ集に『ザ・万歩計』『ザ・万遊記』『万感のおもい』などがある。

「2025年 『新版 ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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