ひさしぶりの海苔弁 (文春文庫)

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本棚登録 : 130
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907037

作品紹介・あらすじ

春の終わり、にょきにょき伸びるアスパラガス。真夏に囓るきゅうりの爽快さ。目にしみるさんまの煙に秋の到来を感じ、酉の市で手に入れる切山椒は歳末の風物詩。おつな味、いまの味が記憶の扉を開く。惜しくも急逝された安西水丸画伯のイラストレーションも、単行本版から大増量して、計60点収録。食を楽しみ、食を哲学する絶品エッセイ特盛83篇をご賞味ください。【主な内容】すいか相手にぶつかり稽古どうする、目玉焼きれんこん讃歌パセリを丼いっぱいパパパパパインはいかがですニッカボッカの男めし南国おでんの宇宙「うみねこパン」を盗み喰いかまぼこ板の美学さよなら、ホットケーキ二十五年めのハンバーグ ……など。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙のシンプルさに、ガツーン!
    海苔弁のシンプルさをダイレクトに伝えているわけだが、私のような素人が描こうとしたら、欲張って、どうにかして断面を見せようとか思ってしまうんだろうな…
    もちろん、平松洋子さんの食のエッセイなのだが、1編ごとに安西水丸氏のイラストが載っており、それは文章との絶妙の相性を見せている。

    一方、平松さんの文章の方といえば、この人の食べ物の描写はどこまで高みを目指すのだろうと驚く。
    あらゆる食材を描いて、(いろいろ読ませていただきましたが)かぶらない。

    そして、美味しさの描写もかぶらない。
    たとえば、さんまの描写、『ぎらりと光る蒼い刀が並ぶ』
    たしかに秋の刀の魚とは書くが、新鮮さがぴちぴちと伝わる。

    とんかつの衣を剥がして食べるダイエット中らしき女性の行為…『全裸のとんかつ』と、脱ぎ捨てられた衣の積み上がる様…これにそえた安西氏のイラストがまた…!

    グリンピースなどの超脇役、ちょっと乗っけるだけの使い道しかない(しかも子供たちには割と嫌われている)それも話のネタに。

    そして、「とん」と「ぶた」の呼び方についても疑問が解けた気がするし、「ニッキ」は「シナモン」の、日本の昭和の呼び方だと思っていたら、違う植物だったこともはじめて知った。
    知識とネタの宝庫だ。

    美味しい物の描写がすばらしいのと対をなして、「ドリアン」の描写がものすごい!
    本から悪臭がわき上がる気がした。
    ドリアンとアルコールが合わないのは、何か成分がケンカするアレルギー症状を起こすのかと思ったら、発酵が急激に進んで(特にビールなどと合わせると)ガスが大量発生するんですって!
    胃が爆発しますよ、すごいこと聞いた(読んだ)

    そして…美味しくも不味くも無い残念なものも、1点だけ書かれている。
    この、ぼんやり残念感…
    そんなものも律儀に取り上げているのが、もう神である。

  • ブクログのタイムラインでフォローしている方が平松さんの「あじフライを有楽町で」にいいね!をしているのも見て、本屋へ。
    本書と「あじフライを~」を纏めて購入。

    「あじフライを~」のタイトルから「サンドイッチは銀座で」「ステーキを下町で」の続きかと思ったが、別シリーズだった。谷口ジローさんとのタッグは、お店探訪や取材旅行中心で編集者が同行していたが、本書は平松さんの食に纏わる身辺エッセイ。「サンドイッチは~」より文書は短め。それでも、熱量の高い文章がグイグイくる。
    (引用)
    鍋のふたを開け、できたての熱々をつまみ食いする瞬間は油を舐める猫とおなじで、夜中にニヤリとほくそ笑む姿が怖いのは自分でも気づいている。
    絵が浮かんで笑った一文。

    すり鉢で作るジェノベーゼとか、茄子やみょうがの話など美味しい話が満載。表題作の海苔弁には、中学の頃、母親に作ってもらった海苔弁を想い出した。やっぱり二段重ねだった。あれは心が躍ったなあ。

    谷口ジローさんと安西水丸さんのイラストは対極的と思うけど、平松さんの文を読んでいる最中には、目に入ってくるイラストが輝いてくる印象。

  • なぜ文章がこんなにも滋味深いのだろう。

    京都「杉々堂」山椒餅
    東京駅キノクニヤ海苔弁

  • 今回もとてもお腹が空きました。
    前作までとは違って短いエピソードがたくさん入った一冊となっていましたが、面白かったです。
    レモンスパゲッティやにらの味噌汁、作ってみたいなぁと思うものもありました。
    「人生の救い」も読みたくなったし、石井好子さんのレシピ本はわたしも好きです、となったり、美味しいものを知ることだけではない世界が広がります。
    安西水丸さんの挿絵もほのぼのでかわいかったです。
    シリーズ続きも楽しみです。

  • 安定の面白さと美味しそうな食べものの数々。
    あっ、でもひとつだけ「これはない」と言っているのがあって、珍しいなと思った。ピーマンうどん。これからも美味しいピーマン「だけ」作ってねと言っているので、もちろんちゃんとフォローはされているけど。

    北陸の「もみわかめ」は以前頂き物で食べたことがあり、たしかに美味しかった。そして本当に減らない(笑)
    こんなふうに作られているのか~、と思うとまた食べたくなって・・・。
    なんかそういう魅力、引力があるよね、食べもののエッセイって。
    平松さんに限らず、バックボーンまでよく見ておいしく食べる人の書いたものは、だいたい楽しいし体験したくなる。

  • 平松洋子さんの食べものエッセイ。
    週刊誌連載のなのでとにかくテンポがいい。
    あっという間に読み終えられる。

    そして作る料理、食べに行く料理、両方とも食いしん坊の雰囲気が炸裂していて
    とにかくおいしそう。
    これは反則だ。

    うますぎる本。

  • 週刊文春に掲載されていた食事に関するコラム
    83回をまとめた一冊。

    本書のタイトルもインパクトありますが、
    83個のコラムのタイトルもインパクトのあるものが
    多数あります。

    1つ1つの話は非常に短いエッセイですが、
    筆者の経験や分析が散りばめられており、
    話題になっている食事が食べたくなる内容ばかりです。

    パラパラ読めてお腹の空く作品です。

  • 平松氏の文章を読んでいるとなんだか安心する。今回も食べてみたいものが目白押しでした。

  • 日々の合間に少しずつ、食事を味わうように楽しむことのできた一冊でした。

  • いかにも美味しい文章。深く頷くことしきり。

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著者プロフィール

平松洋子(ひらまつ・ようこ)
エッセイスト。東京女子大学文理学部社会学科卒業。食文化や文芸を中心に執筆活動を行う。『買えない味』で第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、『野蛮な読書』で第28回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『焼き餃子と名画座』『味なメニュー』『食べる私』『あじフライを有楽町で』『日本のすごい味』など多数。書評、文庫解説なども多く手がけ、本に関する著作としては『本の花』『洋子さんの本棚』(小川洋子氏との共著)などがある。


「2019年 『忘れない味 「食べる」をめぐる27篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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