傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907075

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭から傷だらけです
    前作の登場人物人気投票で2位に2万票差をつけてぶっちぎりの1位だったアルマンは食道癌で亡くなってるわ、イレーヌを失った傷からいくらか立ち直って新たに得た恋人は強盗に襲われて瀕死だわで
    最初の30ページくらいですでにカミーユ傷だらけです
    「おっさん何してくれてんねん!!」
    もしルメートルがアパルトメントの隣に住んでたら夜中だろうとドアを激しく叩いて怒鳴り込んでいくところでしたが残念ながら自分はアパルトメント住まいではないのであきらめました(そっちじゃないだろ)

    そして物語の間中カミーユは傷だらけなわけですが今回も大掛かりな仕掛け用意されています
    用意されていますが自分がすごいなと感じたのは描写の巧みさです

    冒頭の事件を受けてカミーユは全速力で走り始めますが、もう絶対によくない方に走ってる感がビシビシ伝わってくるのです
    そっちいっちゃダメ!って物凄い思わされるのです
    心の底では最後には軌道修正されるか、間違ってるて思わされて正しい道でしたってことになるんだろうなと思いつつ心配でたまらなくさせられます
    また話の途中で犯人に気付くんですが、これ絶対に気付かれてもOKむしろ読者が気付いてからが本番と思って書いてるよなって思いました

    そして相変わらず章立てが見事なんだよなー

    フランスってやっぱり芸術の国なんですね
    時たまこういう凄い作家を生み出すんですよね

    ピエール・ルメートル、いやはや凄い作家いや芸術家です

  • 「悲しみのイレーヌ」「あの女アレックス」に続く、ヴェルーヴェン警部3部作の最終作。

    カミーユの新しい恋人、アンヌが凶悪な強盗犯と遭遇し、激しい暴行を受けて瀕死の重傷を負う。動転したカミーユは、アンヌをイレーヌの二の舞にしないため、嘘を並べて強引に事件の担当となり、暴走していく。

    アンヌに振り回されるカミーユの警察内での立場はどんどん悪くなる。そして、唐突に事件の真相が見えてくる。

    カミーユが事件の真犯人にたどり着く辺りはちょっと強引だったな。また、著者の作品に共通するが、過激な暴力シーンはとにかく読むのが苦痛だった。

  • 「その女アレックス」を読んで
    おっ!?これ、面白い。

    「悲しみのイレーヌ」を読んで
    お〜っ!?これ、かなり面白い。

    「傷だらけのカミーユ」を読んで
    お〜〜〜〜〜〜っ!?これ、すっごい面白い。

    って、思いました。


    物語は冒頭から凄い始まり。カミーユの恋人が強盗に襲われいきなりボコボコで瀕死の状態へ。
    しかも、その日は同僚のアルマンの葬儀の日。

    えっ!?っなりました。アルマン死んじゃってるしって…。(病的なけちのアルマンお気に入りだったのに)

    一命をとりとめたカミーユの恋人を執拗に狙う犯人。その犯人の黒幕は、実は・・・。


    これまたびっくり!!そう来るかと。ネタバレになるので犯人は㊙ですが。

    襲撃された彼女への思い、事件の追及、犯人に狙われる彼女の護衛、そして刑事として窮地にたたされたカミーユの絶望的状況を刻々とうちだし物語が沸騰していく。

    その緊張感を味わいながら楽しみたいですが、たまには深呼吸をして、あの筋肉をほぐしてリラックスしてみよう。
    きょうさ・・・とつ・・・ なんだっけ?







    「胸鎖乳突筋」だ!


  • カミーユ・ヴェルーヴェン警部三部作、ここに完結。
    あの「その女アレックス」が2作目、「悲しみのイレーヌ」が1作目でした。

    妻を失って5年、ようやく立ち直りかけたカミーユ。
    ところが恋人のアンヌがたまたま事件に巻き込まれ、思わぬ重症を負う。
    ふつう、身内だと捜査できないところ、カミーユは恋人を守るため、自ら捜査に乗り出す。
    職を失いかねない職権乱用もしつつ、疾走する3日間の話。

    前作で過酷な目にあったのに、またまた踏んだり蹴ったりの傷だらけ。
    とはいえ、練り上げられたプロットと、思わず引き込まれる文章力は、華麗とも言える様相を呈します。
    シリーズ全体でまた響き合う‥

    母親が愛煙家だったためらしく、145センチという低身長のカミーユ。
    高名な画家の母親には愛憎半ばする思いを抱いていたのだが、悲惨な出来事が続くある日、ふとした感慨が‥
    そんなところにも唸らされてしまう。
    ちょっと悔しくなって、いやこんな酷な話、大ベストセラーになるのもいかがかと言いたくなったり(笑)

    部下のルイと警視長のル・グエンがいい人なので、彼らとは離れないでほしいなあ‥
    胸を抉るような話が何作も延々続くのも辛いけど。
    スピンオフでホッとする話とか?読んでみたいです。
    ルメートルがそんな作品を書いてくれるとすれば、だけど(笑)

  • カミーユ警部の恋人が強盗に襲われ、瀕死の重症を負った。一命をとりとめた彼女を執拗に狙う犯人…

    ヴェルーヴェン警部三部作完結編。読み切りましたー。彼のプライベートな素顔が一番出てたと思う。面白かった。

  • フランス版ジョン・マクレーン(?)と言ってもいい位不運な主人公のカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ三部作完結編。

    シリーズの中では、一番残虐なシーンが少ない作品でしたが、面白さも比例するような感じに思われます❗最後に意外などんでん返しがあるものの、個人的にはシリーズ中で一番つまらない作品でした❗

    このシリーズは、全体的に残虐で、読んでいて気持ちが憂鬱になりがちになりますが、先の展開が気になって、不思議と最後まで読んでしまう、魅力のある作品です♫

  • カミーユ・ヴェルーヴェン警部3部作の最終巻、作品単体として見れば、衝撃度、構成、など前2作には及ぶまいと思うものの、3部作をまとめるにふさわしい出来栄えであり、まさに「傷だらけ」となっていく主人公カミーユに感情移入しつつ読了した。

    作者ピエール・ルメートルには最初から3部作の構成があったのだろう、登場人物の配置、経過年数による人物の変化、関わり合いの変化など、緻密な計算の上に成り立っており、3部作を読み進めてきた読者には、いっそううなずける構成となっている。

    これでカミーユ班にはもう会えないと思うと寂しい、しかしながら一人がガンで他界していたという前提では、今後のシリーズ継続はないという作者の意図を感じた。

    また別での次回作に多いに期待したい。

  • ヴェルーヴェン3部作の最後、これまたあきれるほどの忘れっぷりで我ながら驚いた。それにしても再読して作品の魅力が倍増したように思う。ルメートルの他の長編も久々に挑戦してみようか。

  • ヴェルーヴェン三部作コンプリート。……なんだけど、残念なことに前作たちを凌ぐ衝撃がなかった。

    妻イレーヌを殺されて五年、ようやく立ち直ったカミーユに新たな出会いが訪れる。そのアンヌが強盗事件に巻き込まれて重症を負う。愛する人を二度と亡くしたくない想いから、職場にはアンヌのことを隠し、私情に駆られて逸脱した捜査をするカミーユ。その行動がカミーユ自身を危機に追い込んでいく中、アンヌを執拗に狙う犯人の目的とはーー

    犯人がアンヌを執拗に襲撃するのは顔を見られたからと思っていたのが、その裏に驚きの目的があって、カミーユはまんまとやつの狙い通り行動することになる。それがわかってきた頃には読むのは止まらなくなるのだが、前作たちのような緻密な伏線はなく(なかったよね?)、特に犯人の正体には後出しジャンケン感が否めない。まあ、でも、全ては作中でカミーユが言うように「おれ自身の問題がこの事件になったんだ」の通りである。そしてカミーユはしっかりと自分でけりをつける。なので一応のカタルシスはあるが、何もかも奪われたカミーユがイレーヌとの想い出の詰まった(しかし死亡場所でもある)アトリエのある家に帰るラストはとても重たかった。もう立ち直れないんじゃないか、この人は。冗談じゃなくルイを養子にして、そばにいてもらえ(笑)。

    あいかわらず映像が目に見えるような描写力なので、一度波に乗ってしまえば読み進めるんだけど、面白かったかというと微妙。でも読み終わってみれば重厚なノワールにも思える。ただ、地の文(カミーユ視線)と一人称(犯人視線)が頻繁に交代するのは慣れるまで辛い。編集が字体を変えるとかわかりやすくして欲しかった。海外小説読み慣れた自分でも混乱したので、これを初海外小説に選ぶ(人はいないと思うが)とまず挫折する気がする。

    • 土瓶さん
      「悲しみのイレーヌ」と本作。
      長い長い積読生活に入っております。
      いつか読めるといいなぁ^^;
      「悲しみのイレーヌ」と本作。
      長い長い積読生活に入っております。
      いつか読めるといいなぁ^^;
      2024/01/09
    • ゆきやままさん
      土瓶さん、こんにちは。
      私も積読たくさんあります(^^;;
      なのにまた先日四冊買ってしまいました。
      こういう作品って波に乗ってしまえば...
      土瓶さん、こんにちは。
      私も積読たくさんあります(^^;;
      なのにまた先日四冊買ってしまいました。
      こういう作品って波に乗ってしまえば一気にいくんですけど、ある程度分厚さがあると手を出すのも後回しになってしまいますよね。薄くて軽めの内容の本を手に取ってしまいがち(~_~;)
      2024/01/10
  • よくぞこんなプロットを思いつくと思ったけど、冷静になってみると、ミステリの定石のひとつの応用であった。ただ、その見せ方、構成力がとんでもない水準にある。
    抜群に面白いとともに、自分の創作の参考にもなった。

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ピエール・ルメートルの作品

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