昨日のまこと、今日のうそ 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫 う 11-22 髪結い伊三次捕物余話)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907426

感想・レビュー・書評

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  • 人気シリーズも終盤です。
    惜しくて、大事に少しずつ読んできましたが‥

    廻り髪結いの伊三次は、同心の不破親子の手伝いもしています。
    江戸市中で起きるいくつかの事件の探索と交えながら、身近な人間模様を描いていきます。

    不破の娘・茜は、松前藩の奥女中。剣の腕を見込まれての警護役ですが、若君に気に入られていました。
    側室にと望まれて、最初はとんでもないと思った茜ですが‥
    お世継ぎ争いに巻き込まれそうになります。

    伊三次の弟子の九兵衛は、大きな魚屋の娘と縁組が決まっていたのですが、身分違いがどうしても気になっていました。祝言を前に、一旦はやめようと決めたのですが‥?
    そっと見守る伊三次には、お見通し(笑)

    伊三次の息子の伊与太は、若い師匠のもとで絵の修行中。
    才能のある新弟子が入ってきて悩んでいるときに、思わぬ批判を受けて落ち込みます。
    葛飾北斎と娘のお栄がさりげなく慰めてくれるのは、伊与太のほうにも才能や人柄がいいところがあるのを認めてもらえたのかな、なんて。ちょっと嬉しくなりますね。

    不破龍之進ときいの間には(前作の終わりに)子供が生まれました。
    妹の茜が突然里帰りするというので、大慌てで御一行を迎える準備をする不破一家。
    一人で歩いてきた茜に驚くやらほっとするやら。
    悲しい思いをした茜も落ち着いてきた様子。詳しいことを知らぬままの家族も、何かを察していたのでした。

    これまでの長い物語、一人一人の挫折や迷い、紆余曲折があってのこと。
    ほのかに心が通い合う様子に、こちらも胸に染み入る思いがしました。

  • 亡き著者の人気シリーズ第14弾。人生の岐路に立つ若者たちの苦悩と葛藤。伊三次ほか先人たちは何を伝えることができるのか。
    宇江佐さんが亡くなって早くも三年が経つ。我が子のようにも思っていた伊与太ら子供たちも、すっかり大人である。親と子の関係も職業を持つ者としても、苦しみも悲しみも悩みどころも現代人と同じである。昔のCMの「みんな悩んで大きくなった」はまさにその通り。

    • rontotoさん
      全くの偶然ですよが私も同じ本を読了しました。宇江佐さんの続編が読めず誠に残念です。
      全くの偶然ですよが私も同じ本を読了しました。宇江佐さんの続編が読めず誠に残念です。
      2019/02/06
  •  このシリーズも残すところ3冊。冒頭の「共に見る夢」に忍び寄る死の影。著者の思いが籠められているのだろう。気になる茜は...。「昨日のまこと、今日のうそ」か。結果的にまことでもうそでも変わらなくなってしまったんだけど。これでお役目も一段落したようだし、このあたりで伊与太との話をもとへもどしてやったらどうだろうかね。その伊与太がまあ壁にぶち当たっていて先行き大変かもしれないけれど。その他はまあみんな元気にやっている。気持ちがふらついていた九兵衛も収まるところへ収まったし。

  • 相変わらず面白かった。あと、2冊か
    早く読みたいような、時間を掛けたいような

  • 201612/今回は特に、老若男女どのキャラの視点も感情も染み入ってきて、読んでて目が熱くなることがしばしば。

  • 正義を貫くことで人を傷つけてしまうことがある。
    小さなうそで救われることがある。

    阿久悠の詞をふと思い出した。
    上から読んでも、下から読んでも・・・ 世の中バカなのよ♫

  • 後半2編が捕物帳として楽しかった。
    絵師を志す伊代太の話に登場する、北斎とお栄がとても気風が良くて好き。

  • やっぱり、この人の捕物帖が好きだ。

  • 目次
    ・共に見る夢
    ・指のささくれ
    ・昨日のまこと、今日のうそ
    ・花紺青
    ・空蝉
    ・汝、言うなかれ

    収録作を書いていた頃はまだ癌告知をされていなかったそうだけれど、何か感じるものがあったのだろうか、生まれ来る者と死にゆく者の話が心に残る。
    龍之進は父となり、ますます地に足の着いた仕事ぶりを見せるが、反対に友之進は、シリーズ当初持ち合わせた癇癪などどこへやら、すっかり孫バカの爺になっている。
    しかし友之進の同僚の妻は、まだ40代になったかならぬかのうちに病死する。
    人の命などはわからないものなのだ。

    茜にしても、決して恋愛感情を持っているわけではないのだが、弱りゆく良昌を励ますために側室になることを受け入れるが、その直後の良昌の死。
    茜の屋敷奉公はまだ続くのだろうか。

    伊与太は才能あふれる弟弟子とわが身を比べて落ち込むが、北斎に話を聞いてもらって立ち直る。
    人と比べるのではなく、客におもねるのではなく、自分が見たいものを自分で描く。
    描いて描いて描くことでしか絵は上手くならんということを、すっきりと心に落として、これから精進していくと思う。

    九兵衛も所帯を持ち、また伊三次の周辺が少しにぎやかになる。

  • 2019/1/19
    大事に読むシリーズ。
    茜が心配だよー
    早く帰っておいで。
    伊与太が一人前にならないとダメか。
    え?この裏表紙のあらすじよ。
    「側室になることを決意した不破茜だが…」って決意してないよね?
    なぜこんなこと書くの?ちゃんと読んでないの?

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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