鬼平犯科帳 決定版(一) (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2016年12月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167907631

作品紹介・あらすじ

池波正太郎生誕100年企画として、
歌舞伎界の大看板・松本幸四郎を「鬼平」こと長谷川平蔵役に迎え、
映像化、ドラマ化。
「鬼、新時代。」が始まりました!

この第一巻の「本所・桜屋敷」「啞の十蔵」「血頭の丹兵衛」が
ドラマ原作となっております。

テレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」:Lemino/スカパー!番組配信/J:COM STREAMほかにて好評配信中!!
連続シリーズ:「鬼平犯科帳 でくの十蔵」:2024年6月8日(土)よる7時放送
       「鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛」:2024年7月6日(土)よる7時放送

第一巻収録作品は、「啞の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」の8篇。

伝説の粋人・ジャズ評論家で、晩年は大の鬼平ファンでもあった植草甚一(1908~1979)が、第一巻で文庫解説を執筆。
J・J氏の魅力も全開です。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館が閉館中のため、家の蔵書を読むことにする。

    中村吉右衛門主演のシリーズが好きで時折見ているが、彦十や粂八がいきなり同時して嬉しい。佐馬之助は頻繁に出て来て、最後は助太刀もある。

    このシリーズの良さは救える者は過去にどんな悪事を犯していようが救うが、救いようもない者は容赦なく切り捨てる潔さにある。
    一方で如何に鬼平と言えども全ての人を救えるわけではない。またきれいな盗みで名を知らしめた老盗が恋に狂って計画も狂ったり、第一話の十蔵しかり、色恋は人生を狂わせる重要な要素であることを度々示している。良い色恋もあると思うけれど。

    強引に押し込み、皆殺しにして金を奪う極悪非道な盗人集団もいれば、いつの間に盗まれたのか分からない、盗まれても生活や商売に困らないだけの額しか盗まない職人のような盗人もいる。それぞれの人生模様が巧妙に交差するのも魅力だし、極悪非道な盗人が悲惨な末路を辿り、きれいな盗みをする人間が幸せになるとは限らないのも世の中を反映していて興味深い。

    今のような閉塞的、出口が見えない時期だからこそ鬼平の潔さ、行動力が光る。
    だが実際にこんなことしたら、いかに犯人と言えども切り殺すなんて人権を著しく侵害している!と非難轟々だろうか。

  • 「べらぼう」から来た口です。これまでドラマもさいとうたかをの劇画も未見のまま原典を手にとりました。文章が簡潔でテンポもよく読みやすい。事件が起こって解決されるという単純な構成なのに一話一話の筋が面白く、その簡潔な文章で事件にからむ人々の感情の機微が描かれ読了感は心地いい。作品に思いを馳せながら東京の下町を散歩したくなる。これはもう昭和のおっさんの名作ラノベですね。他の短編に出てきた人物が再登場したりするのに、登場人物が多すぎて混乱するということもないのは作者の技量なのでしょう。火付盗賊改方という幕府の特殊部隊の長官vs盗賊の話なので、基本主人公側が圧倒的に強くピンチに陥らないで悪党をあっさり成敗する。昭和のおじいちゃんお父さんたちみんな大好き王道時代劇。なので安心して「今度はどんな事件かな~」を楽しめる。

  • この作品を読んでみようと思ったのは、私の父が読了していて題名だけは存じていましたが、今から十数年前に知人からのお薦めでした。まだ11巻までしか読めていません。現代も江戸時代も人間の行いや考え方、心情等は時を経ても、江戸時代とは文化や生活様式等は大きく変化しましたが、それらは余り変わりがないのだと読み始めた当時は思いました。読書を殆んどして来なかった私にとり、人間の人となりを学ぶ機会になりました。まだ途中ですが、12巻以降いつになるか分かりませんが、『鬼の平蔵』の活躍を読みたいです。ただし、作品の途中で筆者が逝去されたのは残念です。

    • 村上マシュマロさん
      こんばんは、きたごやたろうさん。

      「いいね」とコメントをありがとうございます♪

      鬼平犯科帳は、私が長い事、読書から離れていた時に知人の紹...
      こんばんは、きたごやたろうさん。

      「いいね」とコメントをありがとうございます♪

      鬼平犯科帳は、私が長い事、読書から離れていた時に知人の紹介もあり、読み始めました。

      鬼平の強さや正義感にも惹かれました。
      感想にもある様に市井の人々の暮らしや考え方・感じ方・行動等が私にとり、とても勉強になりました。

      きたごやたろうさんもお父様のお歳位になられましたら、良かったら是非一度はお読みになられてみては⁉︎
      私は映像では見ていませんが、きたごやたろうさんも池波正太郎ワールドにハマるかもしれません(^_-)

      お礼だけのつもりが長文になり、申し訳ありません(^人^)

      良い夢をご覧くださいませ☆

      2025/07/01
    • きたごやたろうさん
      村上マシュマロさんへ

      なるほど!
      オイラも読んで、池波ワールドに踏み込んでみようかな♩
      村上マシュマロさんへ

      なるほど!
      オイラも読んで、池波ワールドに踏み込んでみようかな♩
      2025/07/02
    • きたごやたろうさん
      追伸
      「いいね」ありがとうございます。
      追伸
      「いいね」ありがとうございます。
      2025/07/02
  • 人情ものの金字塔ではないでしょうか。鬼平と呼ばれているだけあり色んな意味で強い男が1巻目からしっかりと描写されていて、自然と鬼平のファンになってしまいます。侍言葉、町人言葉など登場人物の言葉遣いには特徴がありますが、読みやすいです。また、他の本に比べると字が大きいです。

  •  これまで、二代目中村吉右衛門さんが主役を演じるTVドラマが好きでよく見ていたのだが、去年の年末の特番でそれが終了し、それでは、と原作の小説を読もう、とこの夏ふと思い立って読み始めた。そうしたら、するすると止まらず、遅読の私が、珍しくあっという間に読み終えてしまいました。その出自と生い立ちから、市井の人々の心に通じ彼らの為す諸事に寛容でありながらも、若い頃に鍛えた剣の腕を心の奥底にある正義感から、いざという時には活かし苛烈に処断する。「赦すものは赦すが、赦さぬものは赦さぬ」、現代的ともいうべき江戸の町の中で、軍政の名残りを残す火付盗賊改方という武断的な治安組織の長官として、まさしくそういう心持で当たっていたのではないかと感じました。
     それでも、どうしようもならぬは人の心。この巻の中で「本所・桜屋敷」の、平蔵を始めとする人々の時を経た心の有り様、変わる所変わらぬ所に感ずる所が多かったです。葉室麟さんのものと合わせ、これからも時々、池波正太郎さんの時代小説や随筆を読んでいこう、と思っています。
     

  • まずい、まずいぞ…。

    いつだったかある本屋にあったチラシにシバさんの名前が見えたのでふと手にした。そのチラシは両開きになっていて片方から開くと司馬遼太郎について、逆から開くと池波正太郎について、その二人の生没年から代表作一覧までを1~2ページにまとめて比較したような恰好になっていたのだが、それをもってして初めてその二人がある一時代の「双璧」であったことを知ったような次第。そんなこんなで「まぁ、読んでみんことにはね。」と軽いノリで手にした「聞いたことあるタイトル」ではあったが…。 まずい。

    もともと時代劇にはハマったこともなかったが、数少ない「街道をゆく」江戸の街版を読んだ上で限られた時間ながら昔に思いを馳せながら自分の足で歩いた場所というのが少しずつ増えてきた結果花の都お江戸へのあこがれはそれなりに高まってきているのが実情のようだ。更にはこの街で観た幾つかのマゲ入り白黒映画がそのイメージの増強に加勢をしてくれているのだろう。

    本格的にまずい。残り二十三冊がちらつきだしている。

  • ドラマを見ていたクチ
    アニメ化で決定版を知り手に取る。
    ど定番のなかに、人情味と非情さを持つ
    鬼平の色気を堪能
    歳をとってきたんか俺…

  • 中村吉右衛門さんの鬼平が好きすぎて、イメージしながら読みました。酷い事件も多いです。にしても、やっぱり鬼平カッコイイ…!

  • 言わずと知れた池波正太郎氏のベストセラー作品の第一巻。
    やはり面白い。今あるとしたら極悪人専門の特殊部隊か?江戸の町を荒らす盗賊たちを次々と捕まえて処刑しあくを殲滅していく火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の物語。
    悪人たちの生き様やその生い立ちなどを絡め、そこに至った悲しみや苦しみも丸ごと飲み込んで平蔵が解決していく様は気持ちがすがすがしくなる(^.^)
    しかしとんだ長編物のシリーズにうっかり足を踏み入れてしまったことにちょっと後悔と期待が入り混じった状態(^^;)

  • シリーズ全て読了!
    長谷川平蔵が粋でかっこいい✨

  • 人気絶大シリーズがより読みやすい決定版で登場。「啞の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」を収録。
    2024年、令和版「鬼平犯科帳」が映像化され、この機会にと改めてシリーズを再読することにした。やっぱり何回読んでも面白いし、半世紀以上生きてより人間という生きものの複雑さが身にしみるだけに、登場人物の描写の奥深さが一層伝わってくる。

  • 子どもの頃、親子で毎週鬼平犯科帳のドラマを楽しみにしていました。
    そんな懐かしさにつられて、原作であるこちらを読み始めました。
    長谷川平蔵をはじめ、妻の久栄さん、友人の左馬之助、部下の面々、美意識さえ感じる本格の盗賊たち、足受けした密偵たち。
    一人ひとりが際立って魅力的で、それぞれの関係性や生じる感情、短編でありながら展開される物語の深度が凄いです。

    時代小説、というくくりで認識していましたが、これは江戸時代を舞台にした人間小説なのだなぁと感じました。
    圧倒されました。のめり込んで読んでしまう感じ。
    読み進めていくのが楽しみです。

  • 鬼平犯科帳シリーズの第1巻。(中村吉右衛門さんを偲んで再読)

  • 女ですが、平蔵のような格好いい人間になりたいと思ってしまう…。

  • 好きな人の好きな作家で今読んでるって言ってたから再び読んだ。
    文句の付けようがない。鬼平、ダンディだわ。
    中村吉右衛門さんでのドラマシリーズもよく観てた。テーマ曲がジプシーキングスだったよね。

  • ドラマにもなった鬼の平蔵の原作。数年ぶりに読んでみたけれどやっぱり人情ドラマでじんとくる。時代に関係なく読める物語は良いものですね。

  • 有名だけど小説で読んだことなかった。面白い!読みやすい!かっこいい!昔はワルだった平蔵が大人になってキレッキレのお頭に…。連作短編のような形式で話がつながってます。大河べらぼうと同時期に読んだので、イメージは中村隼人さんで読んでます。

  • 学生の時、大人ぶりたくて父の本棚から勝手に読み漁ったらハマった本です!
    魅力的なキャラが多くて登場人物みんな好き!
    ストーリーもおもしろいし、長谷川平蔵が格好よくて理想の上司すぎるし、出てくるご飯がどれも美味しそうだし、東京の名所がたくさん出てくるので、ここ鬼平が来た所だ♪と街歩きも楽しめます。
    読みやすいので初心者向けの時代物ですね。

  • 緊張感の表現、そして儚く散ってしまったり幻だったりする情感と、各話の末のしみじみ感がよい。
    主人公の設定は昭和ウケするど真ん中だと思う。昔はやんちゃをしたが今は真っ当で情に厚く才能のある仕事人。身分制社会の時代背景にあって、血筋は立派だが屈折のある生まれ育ちといういいとこ取りをしている。

  • 止まりません

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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