黒書院の六兵衛 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2017年1月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167907662

作品紹介・あらすじ

江戸城明渡しの日が近づく中、

てこでも動かぬ旗本がひとり━━。



新政府への引き渡しが迫る中、いてはならぬ旧幕臣に右往左往する城中。

ましてや、西郷隆盛は、その旗本を腕ずく力ずくで引きずり出してはならぬという。

外は上野の彰義隊と官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い、一触即発の危機。悶着など起こそうものなら、江戸は戦になる。この謎の旗本、いったい何者なのか―。



周囲の困惑をよそに居座りを続ける六兵衛。城中の誰もが遠ざけ、おそれ、追い出せない。

そんな最中、あれ? 六兵衛の姿が見えぬ!?

勝海舟、西郷隆盛をはじめ、大物たちも顔をだす、奇想天外な面白さ。

……現代のサラリーマンに通じる組織人の悲喜こもごもを、ユーモラスに描いた傑作。



解説・青山文平

みんなの感想まとめ

時代の変わり目における人間ドラマが描かれた作品で、江戸城明渡しの混乱の中、ひとり無言で居座る御書院番士・的矢六兵衛の謎が中心テーマとなっています。周囲の人々が彼を引きずり出そうと奮闘する一方で、六兵衛...

感想・レビュー・書評

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  • 鳥羽伏見の戦いの後、将軍慶喜は京都を脱出し上野寛永寺に謹慎。西郷隆盛と勝海舟にて無血開城の合意となり江戸城明け渡しのための準備が始まる。新政府軍の先遣隊長として送り込まれた尾張徳川家 徒組頭加倉井隼人。無言で居座る御所院番士の的矢六兵衛がいる。なぜそこに居座るのか全く分からないが西郷隆盛との約束のため力ずくで押さえ込むことならぬのである。
    六兵衛の真意を知るために、六兵衛が属した八番組の同心、上司、同僚、的矢家の中間らの話を繋げていくと六兵衛とその妻、子供2人だけがすげ変わっていた、という事実がわかってきた。

    皮肉なことに今の六兵衛の方が金上げ侍と揶揄されるにはあまりある武士として嗜みが備わっているのだ。
    さて、江戸開城はどうなるのか?

  • 江戸幕府の組織やそこで働く旗本や御家人たちを現代の会社組織や会社員に置き換えて、深く頷きながら読む。そして六兵衛はどうして動かないのか。ミステリーである。

  • 面白かった。しかし、ちょっと消化不良です。
    江戸城明け渡しが決まった中、一人だけ居座り続ける御書院番士、的矢六兵衛。
    彼をめぐるミステリー仕立て?の展開となっています。

    上巻では江戸城明け渡しが決まり、その開城手続きのため、官軍先遣隊長として、尾張徳川家の徒組頭の加倉井が送り込まれます。
    勝安房守に伴われて見たものは、無言で居座り続ける一人の御書院番士の的矢六兵衛。
    力づく、腕づくで引きずり出してはならぬという命のもと、天朝様のご到着までに六兵衛を説得して退城させなければならない事に。

    六兵衛とは何者?
    なぜ、居座るのか?
    どうしたら退城させることが出来るのか?
    といった話の展開です。

    六兵衛の素性を知るための語りが、登場人物からの一人称語りとなる手法で、物語に引き込まれます。
    徐々に明らかになる六兵衛の正体は、的矢家を買った人物。家族だけが入れ替わり、周りはそれを不思議とは思いながらも黙認して、そこに至っています。
    さらに深まる謎で、なぜ、的矢家を買ったのか?そして、その正体は?
    はたまた、六兵衛を退場させるために、さまざまな人物が説得にあたりますが、やはり動きません。
    さてどうなる?といったところです。

    話の展開が進む中で、江戸末期の武家のつらい姿が垣間見れます。

  • 人間のおむつが練り出す策などというは、高が知れているのだ。だったら頭の中はまっさらにして、肚で当たるがいい。
    との勝海舟の言葉に痺れながら読んでます

  • 時代小説だと思って読み始めたらどうやらミステリーっぽい雰囲気。西郷隆盛と勝安房守の談判により江戸城不戦開城が決した折、尾張徳川家の御徒組頭である加倉井隼人が官軍の先手として決死の覚悟で江戸城へ乗り込む。御書院番士の的矢六兵衛という男が居座り、話しかけても応答なしで微動だにしない。まぁ、偶には動く様ですが、怨みつらみなどの穢れが残っては困ると西郷どんが言ってるらしいので、兎に角自分の足で城から出ていってもらいたい。そのためにあれやこれやと調べているうちになんだか奇妙な事に。どうなるか全く見当つかず下巻へ。

  • 下巻にまとめて

  • うーん、六兵衛の説明をいろんな人たちが登場しすぎて必要じゃないような気がした。

  • 幕末、江戸城明け渡しの為に官軍の先入りとしてやってきた尾張藩士加倉井隼人。彼が城内で見たのは六兵衛という黙してただ座っている侍だった。彼は、少しずつ位の高い人の部屋に移動し最後は黒書院。つまり、将軍様の部屋まで入り込む。その六兵衛を何とか穏便に出て行ってもらおうと奮闘努力する物語なのである。その六兵衛を探索しているうちに、彼が金で身分を買った人間とわかるが、彼は実に武士らしき男であった。逃げたりやけになって戦場に行く幕臣の多い中、どうして彼はそこに座っているのかという物語だ。

  • 下巻にまとめ。

  • テレビドラマを途中から見て、見ずにしまった前半をどうしても知りたくなった。 さらっと始まり、話もせずただ座っている人を書いて前後篇読ませてしまうとは、畏れ入った筆力です。         

  • 「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」と、学校の先生に言われたらしい著者の、本領発揮ともいうべき傑作。
    大政奉還による江戸城明け渡しが決まったにもかかわらず、宿直部屋に端座し動こうとしない六兵衛。
    しかも彼は、六兵衛を名乗るものの、それまでの本人とは全くの別人。
    彼はなぜ居座るのか、彼は何者なのか?
    ミステリアスな六兵衛に、興味は尽きない。下巻が楽しみ。

  • (借り物)江戸城明け渡しの混乱の中、なぜか無言で居座り続ける武士、六兵衛。そして、その六兵衛の理由を探る主人公、加倉井隼人の物語です。

    西郷隆盛や勝海舟(勝安房守)など、主人公以外は概ね実在の人物で構成されており、歴史小説としての趣がありつつ、唯一にして最大の謎が、さまざまな登場人物との関わりの中で徐々に明らかになっていく…のかどうか。上巻だけでは真相が掴めないため、早く下巻を読み進めたいところです。

    (個人的には、言葉遣いに時代小説特有の強い色があり、時折、何を言っているのか理解しにくい部分があったのも正直な感想です。)

  • 江戸城の無血開城を直前に控えた折、徳川慶喜を初め多くの旧幕臣が城を出たにも関わらず、一人の番士が何故か居座っている。
    しかもその番士はある日突然元の武家と入れ替わった謎の人物にも関わらず、立ち居振る舞いは真の武士そのもの。運悪く官軍の手先となった尾張藩の御徒組頭が彼を何とか下城させようとあの手この手を繰り出すが、上巻が終わっても何ら解決の兆しを見せず、、、
    何ともヘンテコで面白いストーリーです。

  • 幕末のメインイベントである江戸城開城に難題が出た。幕臣が江戸城に一人で籠城をはじめる?
    誰なのか?何の目的なのか?を浅田次郎氏風の軽快なタッチで描く。
    上巻では、あの手この手で作戦を周りは考えるが、何も進展しないまま、引き渡し日に近づいていく。

  • 目に浮かぶような情景です

  • 的矢六兵衛とはいかなる人物なのか。なぜ江戸城に居続けるのか。
    下巻が楽しみです。

  • 江戸城無血開城の裏に、このようなドタバタがあった……としても、さもありなんという小説。上巻では六兵衛の正体と真意は判らず。尾張藩徒組頭の加倉井隼人を狂言回しに、江戸城西の丸での、官軍と旧幕臣とのやりとりを紡いでいく。特に西の丸の中に入ってから、殿中を進む際の光と影の描写が、現代のような照明のない建物内の雰囲気をありありと感じさせるものだった。そこに端然と居座る六兵衛の不気味さをも良く表現している。

  • R4.2.19~3.12

    (感想)
    舞台設定はいいのですが、進行が少々遅く登場人物も何か物足りない気がします。

  • 処分

  • 日本的な身過ぎ世過ぎの染み付いた登場人物たちの中に、梃子でも動かない謎の男。
    なぜ自分が抜擢されたのかもわからない大役を拝命した主人公が、真摯に中間管理職を全うする姿が良い。
    ユーモアもたっぷりで、声を上げて笑う場面もある。
    下巻が楽しみ。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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