黒書院の六兵衛 下 (文春文庫 あ 39-17)

著者 :
  • 文藝春秋
3.35
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本棚登録 : 470
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907679

作品紹介・あらすじ

天朝様が江戸城に玉体を運ばれる日が近づく。が、六兵衛は、いまだ無言で居座り続けている……。虎の間から、松の廊下の奥へ詰席を格上げしながら、居座るその姿は、実に威風堂々とし日の打ち所がない。それは、まさに武士道の権化──。だが、この先、どうなる、六兵衛!浅田調に笑いながら読んでいると、いつの間にか、連れてこられた場所には、人としての義が立ち現れ、思わず背筋がのび、清涼な風が流れ込んでくる。奇想天外な面白さの傑作です。解説・青山文平

感想・レビュー・書評

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  • 江戸城無血開城が決まっても居座る旗本がいた。彼の正体について様々な説が出る。全てを明らかにしない終わり方もありである。

  • 面白かった。しかし、ちょっと消化不良です。
    江戸城明け渡しが決まった中、一人だけ居座り続ける御書院番士、的矢六兵衛。
    彼をめぐるミステリー仕立て?の展開となっています。

    下巻では、六兵衛の正体がさまざまな憶測で語られていきます。
    誰も顔を見たことのない徳川慶喜説
    公家からの間者説
    イギリスからのスパイ説
    などなど。
    そんな中、六兵衛の居座る場所は宿直部屋からどんどん格上げして、ついには、最も高貴なお座敷の黒書院へ。
    果たして、天朝様のご到着までに、退城させることが出来るのか?
    六兵衛の正体は?
    といった展開です。

    六兵衛を通して武士の矜持が語られています。
    そんな中、ミステリーとしては、その正体含めて、ちょっと納得がいかない設定です。
    なので、ミステリー仕立てではありますが、ミステリーとして読んではいけません。

    しかし、江戸時代末期に忘れられつつあった武士のあるべき姿や矜持が、新しい時代に変わっていく姿という意味では、とても意味ある終わり方でした。

  • 武士道は言葉で表すものではないんだな。

  • 初めて読んだ歴史物
    慣れなくて読み進めるのに苦労したー
    武士の矜持、良心、わかるようなわからないような…

  • 的矢六兵衛とは何者だったのか?
    ただただ無言で座り続ける男の正体を推理してゆくうちに、武士の矜持のとてつもない大きさをすこし実感できた。
    徳川260年を最後に時代が大きく変わる様がよくわかるし、何より感動し、記憶に残る大好きな浅田先生の中でもとても大好きな二冊です。

  • 六兵衛が、とても真面目で無口で精神力が強く、「侍」なのだと言うことは伝わってきたが、
    『政の栄枯盛衰や一家の毀誉褒貶に惑わされて、その良心を見失うてはならぬ』と言う結論は、何だか分かったような分からないような、、、だった。
    消化不良と言うのか、、、結局、【いったい何者なのか】と言う帯のまま、うーん何者だったの?

    ただまあ、六兵衛を巡って、周りの人間たちが、変わり行く時代に翻弄されるように、六兵衛に振り回されている様子は、面白かった。実際に、幕末には、こんなドタバタがあったのかもしれないなあ、と思わせてくれた。
    さて、こんなに「侍らしい侍」の六兵衛が、明治になってからの世の中をどんな風に暮らしたのだろうか。

  • そうかー、って終わり方でいまいち消化不良気味

  • 登場人物がストーリテラーとなり一人称で語っていく手法が盛り込まれていて、テンポ良く読み進めました。

  • 居座り続ける六兵衛を巡って、周りの人々は彼の正体をあれこれと詮索する。
    あるいは前将軍家、あるいは公家衆の差し向けた間者、はたまた英国の密偵とまで。
    その彼らのドタバタは、著者の『プリズンホテル』を想起する。
    騒動の果て、六兵衛とは「流れゆく時と変節せる人心の中にあって、母なる国の花のごとく風のごとくに変わらぬ良心そのもの」と、視点人物を通じて、著者は明かす。
    いつの時代でも、目先の物事に惑わされることのない良心を見失ってはいけない、これがこの作品に込めた著者のメッセージか。

  • 武士の鏡の黒兵衛。
    最後の武士の黒兵衛。
    浅田文学の真骨頂のラストがさわさか。

  • 不戦開城決した江戸城に、てこでも動かぬ旗本がひとり。旧幕臣の正体があきらかになるにつれ、城中の誰もが遠ざけ、おそれ、追い出せない…。幕末の武士の屈託まで描き出す。

  • 的矢六兵衛とは、時代が動くときに必然的に登場する、天から降りてきた最後の武士だったのかな。
    江戸幕府そのものか。

  • これは明治維新に起きたファンタジーなのだな。上下巻とも巻末に西の丸御殿の見取図と、六兵衛の足取りが記されており、彼が詰める部屋の位が上がっていく。そして、彼を取り巻く旧幕、官軍達の態度も変わり、蔑みの的から尊崇の対象へとなるのだ。それは侍の矜持である武士道への共感なればこそと思われる。最後に辿り着いた黒書院の間は、本来将軍が着座する場所である。そこで若き明治天皇と無言の会話を終えた六兵衛が下城する場面で筆が擱かれた。六兵衛の目的は判ったが、正体はついに詳らかにされず。少しモヤモヤした終わり方だった。

  • R4.3.12~4.15

    イマイチでした…設定は好きなのにキャラクターに感情移入できない。最近の浅田次郎さん作品はこういうのが多い気がします。残念。

  • 処分

  • 後半これでもかと幕末の主要人物が出てきて、ストーリーが進んでいく。少し退屈な前半から一気に読み進めることが出来る。やっぱりこの時代の小説は見方も色々あるし面白いね。

  • 滅び去る旧社会にあった建前や理想の在り方、それらすべての美質を、まさに滅びんとする瞬間に心に刻み込めというメッセージは、現在にも響いてくるはず。
    動かないことが肝の話なので、さすがに最後ら辺は退屈してきた。
    あとやっぱ自分、勝と西郷って好きだな〜。自分の思うふたりの像にピッタリで、さすが浅田次郎でした。

  • まさかの結末でしたが、それでも納得できる内容で面白いです

  • 無戦開場が迫る江戸城。
    上野のお山へ最後の戦いを迎えに行くわけでもなく、逃亡するわけでもなく、城内に無言で居座る的矢六兵衛。

    六兵衛はいったいどこからきて、どこへゆくのか。

    江戸時代という身分に縛られた社会の切なさがそれぞれの人物から感じられた。

  • (上下巻共通)
    いまいち、感情移入をすべき人が見当たらない印象。
    当事者の考え方はわかるんだけれど、売りがわからないっていうかね。(^^;
    最後の武士の矜持を主題とみるべきだとは思うんだけど、どちらかというとドタバタ喜劇的な感じもするしなぁ。

  • 黙して語らず、城に座り続ける六兵衛に周りが巻き込まれていきます。ストーリーというのは余り無いのでそれを求めると読み物としてはイマイチかも。ただ、武士道や江戸時代が好きな人には面白く読めると思います。
    ただ、浅田次郎さんの日本語は相変わらず綺麗。

  • うーん、浅田次郎っぽいと言えばそれまでだが、なんとも冗長。もう少し展開があるのかと思ったのだが。ただ、六兵衛の生きざまに貫かれている武士道とそこに加味されている人間味のバランスが、なんともいい。昔の日本人気質や心根、細やかな情を書かせるとこの作家の右に出る人はいない。

  • 神話のような、寓話のような。
    お伽話のように武士の時代の最後を見送ってくれた。
    六兵衛さんは、それ以前にどんな人生を送ってきたのか、とても知りたい。

  • 結局のところ
    何だったんだろう。

  • ただただ動かない六兵衛と、勝手にあれこれ推測しては翻弄される加倉井くんその他。ちょっと飲み込みにくく難しい話だった。新しい時代へ移る時に生じる摩擦を、うまくやり過ごす者もいれば、おおいに傷つく者もいる。
    結局六兵衛の正体はわからないまま、御旗本の象徴、ラストサムライ格好いいね的な幕引きで、あまり響かない…。

  • 後出しジャンケン の評価
    とっても 参考になる 解説

  • 87

  • 六べえの正体は結局・・・?
    今までの経緯から最後につながってほしい。
    こういう終わり方は避けてほしい、と思っていた終わり方で何とも。自分が読み切れてないのかも・・・。
    旗本になるために支払った大金はどうやって手に入れたのか?
    西郷は正体を知っていたみたいなところもあるが。
    わからない。誰か頼む。

  • 六兵衛の正体であろう説が色々と出て周りはどたばたとしても当人は黙したままとうとう将軍家の御座所西の丸黒書院へ。
    六兵衛を通して武士の矜持を見せ付けられましたが六兵衛が何故掌を老人のようになるまでして金を貯め、先の見えた幕府の旗本株を買ったのかが分からないままでした。
    何となく消化不良…もやもやとします。

  • 2018年、7冊目です。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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