火花 (文春文庫)

著者 : 又吉直樹
  • 文藝春秋 (2017年2月10日発売)
3.36
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907822

火花 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 又吉直樹『火花』文春文庫。第153回芥川賞受賞作の文庫化。文庫化にあたり、受賞記念エッセイ『芥川龍之介への手紙』を収録。個人的には又吉直樹が書いた小説ということを頭から消し去って読んだ時、芥川賞に価する小説かと考えると、そこまでの小説ではないように思った。無論、読み手により価値の受け取り方は違うと思うが。

    自伝的私小説といった感じの青春小説。恐らく自身をモデルとしたと思われる売れない芸人の徳永は先輩芸人の神谷と出合い、迷いながらも、進むべきを道を模索する。

    若さ故の怖さ知らずで無謀な行動、焦燥と挫折、夢や希望といった忘れかけていた古い記憶を呼び覚ましてくれる小説だった。ストーリー、文書ともに、さすがに秀でたものを感じるが、歯切れの悪いラストが少し残念であり、せっかくの秀でたものを全て台無しにしているように思う。

  • なんだかんだ読まずに来ましたが、ようやく読むことにしました。読まないで判断なんかしないぜとかなんとか言いながら、やはり芸人で人気にあやかっての受賞なのではないかと勘繰っていた自分に気が付きました。誠にすみません。
    自分の中にくすぶっている何かを吐き出したいという文章で、ある意味上手い下手を超えた所に有る表現としての本気がここには有ります。ファーストアルバムにしかないパワーに似た物と言ってもいいかもしれません。酷評している人が沢山いるのもわかります。ラストでちょっとへっぽこな所もあるかもしれません。でもこれを否定する根拠が誰にあるのか僕にはちっともわかりません。
    お笑いの世界というものがどんなものか分かりませんが、笑いを突き詰めていくと狂うしかないのはギャグ漫画の世界を見ていても明らかで、そんな中から文学として見せてくれた窓が今まであったでしょうか。これがもし何分の一でもお笑いの世界を表しているならとても美しい世界です。ぱっと消えてく火花みたいに、リスクだらけの夢を追いかける夢と絶望だらけの世界を駆け抜ける沢山の若者やおっさんやおばさんたち。そんな世界を垣間見せてくれたとても美しい物語でした。

  • 面白かった。

    純粋で粗いものと、世間との折り合い、と見えました。

    神谷さんはすごいのだけど、それでいいのだろうか、と思う自分はやっぱりもう子どもではないんだと思った。

    どうか、世間、というものをただ敵と見ないで、
    と思っていたので、
    ラストはほっとしました。
    網を細かくすると余計なものも掬うけど、それも抱えて生きていく。
    何者かに、神になる必要はないんだと思う。

    最後の漫才は素晴らしかった。
    ところどころ本気で笑える掛け合いも、さすがでした。

  • いわゆる大人として折り合いをつけ成長していく「僕」と清々しいまでに純粋な人間性を貫く「神谷さん」との対比によって、人が大人になることを考えさせられると同時に、忘れかけていく大切な基本的なことを思い出させる作品。(と私は感じた)

    個人的に好きだった神谷さんの台詞をピックアップ。特にネットで書き込んだ経験のない(これが初)私にとって多分、この本で出てくるような批判はしてないけど、無意識のうちに心の中のどこかで人を批判しているんだなと。これを読んでドキッとした。
    「レヴェルってなに?土台、俺達は同じ人間だろ?/人が嫌がることは、やったらあかんって保育園やからな。/ありがとう。ごめんなさい。いただきます。ごちそうさまでした。/そういう俺らを馬鹿にするのは大概が保育園で習ったこともできないダサい奴等やねん」


    「他を落とすことによって、今の自分で安心するという、やり方やからな。その間、ずっと自分が成長する機会を失い続けてると思うねん。可哀想やと思わへん?あいつ等、被害者やで。」

  • 又吉先生の芥川賞受賞作品

    純文学という類にカテゴライズされるらしいけど、そんなの知らないのでただ普通に読んでみたつもり。
    話題図書はそれなりに読む価値があると思っている。

    神谷の人生哲学が生涯芸人であり、主人公と先輩の神谷の約10年を書いた物語。
    20代の、人生とは?を妙に考え出して奔走するあたりが少しでも自分ないし同世代にも共通するものがあって、儚く何とも表現しにくい寂しさがあった。

    141ページの焦りと葛藤を表した文章がぐっとくる。
    コンビ解散のラスト漫才がぐっとくる。

  •  売れないコンビ芸人「スパークス」の徳永は、「アホンダラ」の神谷という先輩芸人を師匠と仰ぎ日々面倒を見てもらっていた。神谷の魅力、才能、笑いとの向き合い方、そして生き方に憧れ尊敬しつつも、同時にその純度に息苦しさも感じていた。神谷との出会いで漫才師として確実に成長していく徳永だったが、全身全霊で漫才師として生きる神谷の姿に「自分らしく生きる」ということの意味を教わり、新たな道を歩む決意が芽生える。世間と向き合う凡才と、笑いと向き合う異才の二人が、互いを励みに、互いを鏡に、笑いを追求し悶え葛藤する人間ドラマ。お笑い芸人ピース・又吉直樹のデビュー作にして第153回芥川賞受賞作。

     文庫化を待ち購入。予想以上に面白く、読みやすく、笑いの追求により心理の深みにはまっていく様子が興味深かった。徳永と神谷のエピソードを積み重ねることで二人の距離感や互いに抱く感情がおぼろげに見えてくるという書き方がとても良い。情景描写も巧みで、芸人を本職とした人間が書いた小説とは到底思えない。デビュー作でいきなり芥川賞受賞なのに著者の筆力を疑問視する声がほとんど挙がらなかった理由がほぼわかった。
     ラストで行方不明になった神谷と再会するシーンでは、徳永とともに言いようのない哀しみが胸に溢れてくる。さらにその後の悲哀を経た滑稽さには、愛おしさすら覚える。本文にある通り、「生きている限り、バッドエンドはない」のだ。
     タイトル「火花」は、文庫版巻末・芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」にある、著者の昔のコンビ名「線香花火」に関係しているのだろう。このコンビ名は、線香花火のような小さな一瞬の輝きにこそ永遠が宿るのではないか、そしてそのような小さな輝きを連続で起こし続けることが最善ではないか、という考えから付けられたものらしい。とするならば、「火花」は線香花火よりもはるかに小さな一瞬の輝きである。徳永と神谷が散らす火花は、儚く、他者にとっては取るに足らないほど小さな光かもしれない。しかしどんなに小さくとも、確実に「輝き」ではある。その極小の輝きに全身で取り組んだ男達の物語なのであろう。花火はその儚さから美しいとされる。では花火よりも儚い火花は?無論、美しいのである。

  • 売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷に魅了され、共に時間を過ごすようになる。笑いとは、人間とは、生きていくこととは。芸人・又吉直樹の衝撃のデビュー作であり芥川賞受賞作。
    作者の思っていることや経験したこと、そして、理想や挫折などすべてが詰まって、誰にも媚びていない、まさにザ・文学。ラスト漫才のシーンは、死さえ感じる壮絶さに鳥肌がたった。

  • 又吉さん 頑張った。1冊の本に仕上げるには才能が必要だろう。次の一冊に期待。

  • 芥川賞うんぬんに関してはよくわからないが作品として純粋に面白かった。楽しい時間でした。

  • 「火花/又吉直樹」
    純文学…読解力がないのか、想像力に欠けるのか、期待値が高過ぎたのか…。
    正直、私には良く分からないまま終わってしまった。
    ひとつのことに人生をかける生き方、先輩後輩と云う圧倒的な関係性、誰かをリスペクトし追いかけこだわり続ける日々。
    そのどれもが、私とは相対する登場人物に寄り添えるものがなく「面白いと思えることが一人ひとり違う」と文中で主人公が言ったとおり、私には面白さ、ワクワクさ、感動が湧いてこない作品だった。
    でも、賞をとってるのだから、私の方がマイノリティーなのだろうと思わざる得ない。笑

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