夢をまことに 上 (文春文庫 や 38-8)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907860

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  • 幕末のダヴィンチと言われた鉄砲鍛冶、国友一貫斉の職人としての生き方を感じられる作品。この世界の不思議なことにはすべて理があるのだと、世界の本質に迫りたいという熱意や眼差しが素晴らしい。日本人は陽が上ることに感謝はすれど、何故なのか追求はしなかったが、西洋ではちゃんと世界の不思議を理解しようとしていたという見方が好きだった。今、途上国で働いてるんですが、こういう先人の思いが分かる人、この国にいるのかなぁとか思ってしまい、それすら傲慢なのかと思ったり。精進。

  • 国友一貫斎藤兵衛、江戸出張と発明の日々。
    山本兼一氏のエンジニア・職人への敬意が随所に感じられる。丁寧な口調ながら決して真人間とはいえない主人公も面白い。

  • 鉄砲鍛冶の一貫斎は、何事にも理屈、道理があると信じており、技術を学び、よい道具をつくって世の人々を幸せにすることを目標にして生きている。
    夢をまことにするのが一貫斎の仕事だ。
    失敗するから成功する。失敗には原因があり、それを見つけて改めれば成功すると確信している。そして成功とは、それを信じて努力を重ねた人だけが手に入れられる。人間は求めたものしか手に入らない。逆に求めていればすぐには無理でもいつかは必ず手に入る。大切なのはずっと求め続ける事だ。棚からぼた餅が落ちてくるように、怠け者が望むものを手に入れられるわけがない。人生は他人と同じ歩幅で歩かなくてもよい。自分で考え、自分の歩幅で歩けばよいのだ。仕事をするには熱意が何より重要だ。熱意は人に努力させ、工夫させ、技に磨きをかけさせ、そして成功に導く。
    一貫斎は仕事は生きる楽しみだった。仕事をしていれば自分に磨きをかけれる。出来なかったことが出来るようになれば、職人として一段高みに立てる。遊びは飽きる。たまに遊ぶから楽しいのだ。
    物を作るものの志としては、今ここにあるものより優秀な良いものができなければ、物を作る甲斐がない。
    物はとても正直だ。一生懸命やれば素晴らしい物ができる。手を抜いたら、それだけの物しかできない。悔しいのは自分の力の限界だ。技が足りない、知恵が足りない。いろんなことが足りなくて、満足出来ない時もある。そんな時は悔しい。自分を磨くしかない。自分を鍛えて磨けば、きっとよい物が出来る。それを信じて毎日精進するのだ。作るのが大変だということと、できないということは全く違う。十回失敗しても十一回目に挑戦する。技術者にはそういう志が必要なのだ。
    どうにもならないこともあるが、どうにかできることもある。何ができて、何ができないのか。願うだけではいけない。祈るだけでは実現しない。叶いそうもない夢をまことにしたいのならば、たとえどんなに遠くに小さくしか見えなくても、そこに向って一歩ずつ、半歩ずつ、いやたとえ這いまわって一寸でも五分でも前に進んでいくことが大切だ。そうでなければ、夢や願いは決してまことになりはしない。

  • 後世において幕末のダビンチと言われた鉄砲鍛冶の人生を描いたもの。空気砲や無尽灯、万年筆、天体望遠鏡などを次々と製品化し、実現はしなかったが、潜水艦や気球なども発想している。なんと言っても職人気質・諦めない・細部に渡る丁寧な仕事、他人への感謝など、起業家に必須の思考や行動をぶれずにやり通す。作者の山本さんは「利久にたずねよ」も書いた方であり、他の著作も読みたくなった。

  • 人生は他人と同じ歩幅で歩かなくてもよい。自分で考え、自分の歩幅で歩かなければ。

  • 2018/4/20
    基本的には何かに夢中な人が素敵な本。
    でもひやひやするよ!
    家族に捨てられたと思われそうで、弟にも村を捨てたと思われそうで、なんかそういうフォローが描かれてないからなんかひやひやする。
    上巻の最後でやっと村に帰ったけど何年もほっといた奥さん、大丈夫なの?
    下巻で確認だ。

  • レビューは下巻にて

  • いいセリフはたくさんあったが、さらっとしすぎててものたりなかった。

  • 一貫斎すごい!

  • 25

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著者プロフィール

歴史・時代小説作家。1956年京都生まれ。同志社大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーのライターとなる。88年「信長を撃つ」で作家デビュー。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞、2001年『火天の城』で松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。

「2022年 『夫婦商売 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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