とめられなかった戦争 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908003

作品紹介・あらすじ

NHK教育テレビ「さかのぼり日本史」で放送された内容をもとに作った単行本「NHKさかのぼり日本史②昭和 とめられなかった戦争」の文庫化です。「それまで侵略はなかった」と主張し続けてきた安倍首相に真っ向から対抗し、歴史家としての気概を見せた加藤陽子東京大学大学院教授。いまいちばん旬な歴史学者の加藤教授が、語り下ろし形式で、日本の近現代史をわかりやすく解説した本です。本書は、「なぜ戦争の拡大をとめることができなかったのか」「なぜ一年早く戦争をやめることができなかったのか」がテーマ。繰り返されてきたこの問いを、人々の思いが今なお染みついた土地と史料から考え、日本の近現代史をわかりやすく解説していく歴史ガイド。第1章 敗戦への道――1944年(昭和19年)第2章 日米開戦 決断と記憶――1941年(昭和16年)第3章 日中戦争 長期化の誤算――1937年(昭和12年)第4章 満州事変 暴走の原点――1933年(昭和8年)

感想・レビュー・書評

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  • 圧倒的に国力の差があるアメリカ相手に、なぜ日本は開戦に踏み切れたのか?これには大和魂にあるという。

    国民をまとめるためには、たとえば小学校などに国力の差をグラフ化した説明冊子を配り、日本が差を乗り越えるのには大和魂なのだと精神力から強調していったのだそうです。

    当時の思想家や作家も「さわやかな戦争」「明るい戦争」と好意的だ。
    日中戦争は弱いものいじめの戦争だけど、太平洋戦争は強い英米相手だからと、かなり大胆不敵になってしまった国民。

    「緒戦に大勝すれば勝機はある」と支持する層も多く、国民感情をコントロールしていたのには恐ろしい。
    現代人には通用しないだろう。

  • 加藤先生のアジア太平洋戦争への「なぜ」を説くシリーズ。どれ読んでもわかりやすい。「なぜ」を考えることは大事だな。「なぜ」という問いを立てることがさらに大事だな。今の時代に対しても「なぜ」を忘れてはいけないな。

  • 時間があれば

  • 日中戦争と太平洋戦争の開戦の理由が、非常に端的かつ的確にまとめられている良書。理由の説明に特化しているから良さ。

     薄い本である。200p行かないのに、これだけわかりやすく日本の大失敗をまとめられたのは感心させられる。
     2011年のNHK教育テレビ「さかのぼり日本史 昭和 とめられなかった戦争」の内容に沿って書かれた本だということで、やはりテレビ構成のまとめる力ってすごいなと違う意味でも感心した。

     やはり戦争は経済問題である。だからって経済を毛嫌いしたら、戦争に突っ込むと思う。きちんと経済の知識を収集して、経済と向き合わなかった結果が戦争なんだと思う。
     最後まで我慢強い経済対策をしないと、短絡的な戦争という解決方法に逃げてしまう。

     テロリズムが激増した昨今、昭和初期のころと同じような状況なのではないだろうか。ただ、テロの標的が政治家じゃなくて、外国人とか反対宗教とか対抗民族なんだよね。国家間の争いじゃない、国家主義じゃない争いが拡大していく…。これの行きつく先はどこなのだろう。イスラム国は一つのゴールだったんだろう。それがもう終わったから、案外もう次の世界に入っているのかも…。

  • 17/07/11。

  • 満州事変から太平洋戦争への流れを遡りながら分析。

    幼稚な精神構造の権力者が支配する今のこの国の状況が当時と全く同じに思える。

  • 敗戦への道(サイパン)、日米開戦、日中戦争、満州事変(熱河侵攻)を日本の戦争のターニングポイントとして書かれた本。

    この本の面白いところは、新しい時代から古い時代へとさかのぼって書かれていることです。一つ章が終わると「ではなぜこうなってしまったのか」といった具合に問題提示が行なわれます。NHKで放送された『さかのぼり日本史』がもとになっているそう。

    一つ前に読んだ同じく加藤陽子先生の著作『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』と重なる部分があって読みやすかったです。

    最後に、「近代史をはるか昔に起きた古代のことのように見る感性」、「あえて現在の自分とは遠い時代のような関係として見る感性」、すなわち一定の客観性かつ同時代性を持って、歴史学的に見る視点ともいうべきものかと推察しますが、これは「未来に生きるための指針を歴史から得ようと考える際には必須の知性である」と述べられています。これはこの時代だけでなく歴史一般に言えることでしょう。

    です・ます調かつコンパクトにまとまった著作で比較的手に取りやすい本だと思います。

  • 日本にとって「生命線」である満蒙が日中の対立を生み、中国での権益で利害衝突する米国との戦争にまで直結していく様を、とめられなかった戦争、としてコンパクトに纏めている。すなわち日露戦争後、帝国主義的な手段で大陸の東北部に侵出した時点で、日本の道はある程度決定されていたと見ることができ(別に本書でそう書いてるわけではないが)、日本の20世紀前半の流れを押さえる上でわかりやすい本だった。

  • とめられなかった戦争というより、誰もとめなかった、みんなで突き進んだ戦争という一面があって、日本人が時に見せる非理性的な行動パターンは軽視できません。サイパン陥落を持って画期とするのに全く異論はありません。ここで戦争継続を選ぶのは博打打ちの理屈であり、反対派の追い落としを恐れる保身でしょう。原子炉事故でも同様の判断がなされていませんか?歴史を知り、歴史から学ぶべきは、日本人のメンタリティを知ることでもあります。

  • 「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」が良かったのでその著者の本を選んで読んだ。NHK出版の「NHK さかのぼり日本史(2) 昭和 とめられなかった戦争」の焼きまわし。戦争勃発に至った背景、国民感情が詳しく述べられており、現代そして未来を考える糧となる。2017.4.29

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著者プロフィール

加藤 陽子
1960年、埼玉県大宮市(現、さいたま市)生まれ。1989年、東京大学大学院人文社会学系研究科修了(文学博士)。現在、東京大学大学院人文社会学系研究科(日本史学)教授。専門は日本近現代史であり、特に1930年代の外交と軍事を中心に研究を続けてきた。
著書『徴兵制と近代日本1868-1945』(吉川弘文館、1996年)、『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書、2007年)、『昭和天皇と戦争の世紀』(講談社、2011年)、『模索する1930年代』(山川出版社、2012年)、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫、2016年)、『戦争まで』(朝日出版社、2016年)などがある。

「2017年 『歴史を学び、今を考える ー戦争そして戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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