男ともだち (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1434
レビュー : 121
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908072

感想・レビュー・書評

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  • カリスマ書店員がイチオシしているというので読んでみた。知らない作家さんだったけど他著も読みたくなるくらい面白い。やっぱり書店員さんの発掘力は恐るべし。

  • これは好きな話だ、と思った。

    あらすじを読むと、退廃的な話だろうか、と思うのだけど、そんなことない。倫理的ではない行いばかりなのに、どうしてか、生きる活力が地面の方から沸いてくるのをすくう作業を追体験しているような。魅力的な登場人物たちのせいか、隅々まで文字をきちんと追ってしまいたくなる台詞のせいか。

    吉本ばななのキッチンを、今風にして、そして登場人物の年齢を10歳ほど上げたらこんな感じだろうか。

    恋人にしてしまうのはもったいない男ともだちというもの。すごく共感してしまった。そんな存在がいるのが羨ましい。

    そして、クリエイターの生活にも、少し憧れてしまう。
    良いことも悪いこともなんでも糧にし、一人で立って歩き、孤独な自由を生きるのが悦びであり、その生き方を成り立たせる才能とチカラがあるところ。

  • 一番大切な人だから、ずっと一緒にいたいから
    恋人同士にはならない。
    頭では理解できるものの、そんな蛇の生殺しみたいなのやめてくれ~・・・と思ってしまうのだ。

    異性に対しての『好き』ってなんだったっけ?・・・と、
    ゲシュタルト崩壊を起こしてしまいそうな物語でした。
    浮気することになんの罪悪感も感じない主人公の神名と
    恋人が何人もいる男友達のハセオ。
    恋愛に夢も希望もなく欲望のはけ口くらいにしか考えていないから、
    恋人同士になってしまったら、関係がダメになると思い込んでしまっている。
    自由なようで実は不自由な人たちなのだけれど、
    自分の価値観と美学を信じて前向きに生きようとする姿は凛々しくてとても好感が持てました。

  • 全国書店員さん、おすすめの1冊。
    その帯に惹かれて、読んでみた。
    「男ともだち」
    男女の友情が成り立つのか?は良く議論される問題。
    最初はそのつもりでも、いつの間にか男女の関係になっていく作品は良くあるが、今作は最後まで神名とハセオの友情の物語だった。
    二人のことをどこかダメな人間としているが、どちらも自分の信念を持っていて立派な人間だと思う。不倫も二股も、自分の信念を持っていて、誰にも迷惑をかけないのであれば、他人がとやかく言う問題ではない。その中で傷つきつつ、前向きに進めるよう神名を支えるハセオの存在はやはり「男ともだち」だと思う。
    大事な人だからこそ、男女の一線を越えたくない。越えないからこそ、大事に思える。そして、その関係は恋愛関係にあった過去の人より、ずっとずっと心の中に残る。たとえ会えなくなったとしても…そこまで大事に思える存在になれた神名とハセオは素敵だと思う。
    ラストも二人らしい終わり方で、泣かされるかと思ったが、意外にカラッと思ったのも好印象。
    決して派手な作品ではないが、また読み返したいと思った作品だった。

  • 最後の解説を読んで、この人たちはどこがクズなのか??と驚いてしまった。
    クズではなく、自分に正直で寂しくて人間らしく意地っ張りな人々の集まりだと思って読んでいたから。

    ハセオのような純粋な友人ではもはやないけれど、どうしても心の拠り所にしてしまうような人間はいて、とても身に沁みた。

    何もかも抱えて生きようとしているところが読んでいて自分を見ているようだった。
    神名は全然強くなんかないけれど、美学がしっかりあるからこれからもっと前に進めるのだと思って、それを信じて私も頑張ろうと思った。

  • 秘すれば花、秘せずは花なるべからず。
    性の欲望を超える、花への愛の物語でした。

    ハセオの愛を表す問いかけ「明日世界が終わるとしたら何がしたい?」の会話は、不思議な二人の関係を表す見事な表現だったと思います。

  • 最初読んでいる時は主人公の神名の貞操観念だとか考え方についていけなかったんだけど、読み進めていくうちに、1人のイラストレーターとしての神名の心情が明らかになって、その部分にすごく心を揺さぶられて、最後まで読んでしまった…という感じ。他の方の感想にもありましたが、理解できる部分も理解できない部分もあるのが、リアルだなあと思いました。こんな人たち、本当にいそうだなあ、とも。異性間の友情というものを、改めて考えさせられました。

  • これといって大きな事件が起こるわけではないが、どこか中毒性のある文章で、思わず読み進めたくなる感じ。
    難しい言葉がたくさん出てきて語彙力が高まった気がする笑

    今までのわたしの人生では、幼稚園児くらいまでしか男女の友情は成立していなかった気がする。恥ずかしさが出てきた頃から、「男子」とはあまり喋らなくなった。

    でも、この本に出てきた神名とハセオの関係はうらやましいと思った。2人とも相対する人を性別で判断せず、人間そのものを見ているからなのか。それとも、性別が違うがゆえに共感しすぎない心地よさがあるからなのか。
    家族や親友とはまた違う、深いようで深くないけど、大切にしたい関係。そんな人に出会う日が来るのだろうか。

    「すべてを捨てても、捨てた分新しいものが返ってくる」という文章が印象に残っている。
    確かにモヤモヤを感じていても心地よければ捨てるには勇気がいる。でも、いざ捨ててしまえば大したことなかったと思うんだろうけど。そして、そう思えている時点で既に新しいものを得ているのではないか。
    教育の観点で、みんな同じレールに乗り、安定志向が強い日本人にぴったりの言葉だと感じた。

  • ハセオを便利に使ってしまっていそうでイヤだった。

  • 29歳のイラストレーター神名葵は一つ年下の彰人と同棲しながらも、既婚の医師、真司とも逢瀬を重ねる。
    イラストレーターの仕事で食べていけるようになったものの、本当に自分が描きたかったものを見失っていた時に、大学時代の先輩だったハセオから着信がある。
    大学時代から、ハセオの家に泊まったりもしているが、男と女の関係ではない。
    しかし七年振りに再開し、神名の生活が少しずつ変わっていく。

    読み方が間違っているのかもしれないが、ハセオの神名への気持ちは純愛に近いものではないのかな?
    愛していないのであれば、真司にあのような暴言を吐くかな?

    この物語に出てくる登場人物、どの人にも感情移入はできなかったが、神名もハセオもお互いを求めていたのではないのかな?

    お互いにお互いの幸せを願っているだけの美しい友情?

    それとはやっぱり違う、お互いを失いたくないという、性を越えた愛を感じられた(*^^*)

    そんな友情もいいなぁ~と。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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