夜の署長 (文春文庫 あ 74-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908089

作品紹介・あらすじ

夜間犯罪発生率日本一の歌舞伎町を抱える新宿署には、〝夜の署長〟と呼ばれる伝説の刑事がいた――。「随監」で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞し、同作を含むシリーズで警察小説の旗手となった著者が、新宿署を舞台にさらに〝熱い〟刑事たちを描く。多くの通行人が行きかう中、歌舞伎町の路上で女性がホスト風の男たちに拉致された。緊急配備がかけられほどなく犯人は逮捕、女性も保護される。実はその女性はホストにはまり、それが夫にばれて家出をし、さらに店にツケをためていたためホストに追い込みをかけられていたのだ。事件の構図は単純なものと思われたが、〝夜の署長〟の異名を持つ刑事課強行犯第五係統括係長の下妻警部補はなぜか、3か月前に起きた歌舞伎町のラブホテルでのデリヘル嬢殺人事件の現場と資料をあたっていた。東大法学部卒でキャリアの新米警部補・野上は、拉致未遂事件を早々に終わらせようとする上層部に反し、下妻とともに3ヶ月前の事件との関連を洗いなおす。するとデリヘル嬢殺しと拉致未遂事件に思わぬ接点が……(「未練」)。ほか4編収録。警視庁捜査一課の刑事だった下妻が、なぜ忘れ去られたように異動することなく新宿署に居続けるのか。彼の過去には何があったのか。新米刑事の野上は、いくつかの事件を通じ、下妻の凄みを知ることになる――。解説・村上貴史

感想・レビュー・書評

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  • それまで地味に粘っていた彼が解き明かしていく流れがイイね!解っているのにハマってるしw

  • 淡々とした警察推理事件解決短編集。
    キャラ立ちは「撃てないシリーズ」より下かな。

  • 著者らしい地味な警察小説短編集。
    過剰にならない程度に刑事たちの個性が描かれており、少しキャラ付け的な部分が抑制されすぎているようにもおもえる。その意味では退屈だと感じる人もいるかもしれない。ただし丁寧に読んでいくと、新人キャリアらしい野上の背伸びやじゃじゃ馬娘的な古城の喧嘩っぱやさなどが随所で見られ、微笑ましく思える。あくまで主人公は「署長」であり、もっといえば著者が本当に書きたいのは彼を狂言回しにした事件の解決のプロセスそのものであり、野上は読者の視線の代弁者に過ぎないとも思えてくる。ただし、著者の野上に対する暖かな視線も感じられるので、登場人物の扱いが粗末だとは全然感じない。
    テンポの良さやドラマ作りのために大胆な省略はされているが、刑事たちの地道な捜査が愛おしくなる。大袈裟な感情の動きではなくて、そういう小さな営みこそ人間の生き様だよね?

  • 事件の真相をひもとく様々な情報を、読み手は取りこぼしまいと一生懸命引き出しに入れておく。
    ところが、各章うしろ10ページで全く別の引き出しから次々と結論が繰り出される…そんな一冊…

  • 店頭でちょっと気になった連作短編集、初めての安東能明。
    夜間犯罪発生率日本一の歌舞伎町を抱える警視庁:新宿署を舞台に、「夜の署長」と呼ばれる伝説の刑事と、新米キャリア警部補の交流を中心に事件を連作短編の形で描いています。
    話は良く出来てると思うのですが・・・登場人物に全く感情移入できず・・・
    店頭で見た時は楽しそうな書き出しだと感じたんだけどなぁ・・ちょっと残念な読後感でした(^_^;)

  • 東大法学部を卒業した新人刑事の野上は、新宿署に配属された。日本最大のマンモス署にして夜間犯罪発生率も日本一の新宿署には、“夜の署長”の異名を取る伝説の刑事・下妻がいた。捜査一課の敏腕刑事だった下妻は、なぜ10年も新宿署に居続けるのかー。野上は次々起こる事件の捜査を通じ、下妻の凄みを知る。



  • 新宿署に刑事畑で10年も異動もせず、昇進も辞し、現場一筋を行く捜査一課伝説の刑事。
    そして、熱き新米刑事のサスペンス。
    と、評して良いのかは怪しい。

    新宿、歌舞伎町を題材にした作品は多い。
    本書は何というか、教科書的な文体で、良い意味ではすっきりしているが、淡々としていて抑揚がない。キャラが全く立っていない。ぼやぼやしてるし、サブキャラよりもサブキャラな登場人物に初登場以降でてこず、物語のキーに全く関係ないのに固有名詞をつけたりと。
    登場人物に感情移入しながら楽しむより、粛々と事件の経緯、解決手法を噛みたい人向きかな。いや、そこまでは評価できないけど。
    多分、『十津川刑事シリーズ』あたりを好む人は好きな一冊だろうな。

    個人的には物足りなさ過ぎる感は否めませんでした。

    タイトルだけ見ると不祥事起こしそうな署長を想起するけどね。いっそ、コメディにしちゃえば良かったのに。

  • 新米キャリア警察官の野上を通じてベテラン捜査員下妻を描き出した作品。

    もう少し、下妻さんを描き出してほしかった。

  • 【『撃てない警官』の安東能明、文春文庫初登場!】日本一のマンモス警察署・新宿署に配属された新米刑事は、?夜の署長?の異名をとるベテラン刑事の下で今日も事件の捜査にあたる。

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著者プロフィール

1956年、静岡県生まれ。明治大学卒。‘94年『死が舞い降りた』で日本推理サスペンス大賞優秀賞を受賞しデビュー。2000年『鬼子母神』でホラーサスペンス大賞特別賞、’10年には「随監」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。緻密な取材が生む警察小説やサスペンス小説で多くのファンを魅了する。本書は朝鮮戦争で計画された原爆投下の機密作戦を巡る謀略を描く渾身の作。著書に『限界捜査』『ソウル行最終便』『彷徨捜査』『伏流捜査』(祥伝社文庫)『撃てない警官』『夜の署長』等。

「2023年 『ブラックバード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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