宇喜多の捨て嫁 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2017年4月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167908263

みんなの感想まとめ

戦国時代の宇喜多直家を描いた本作は、歴史の複雑さと人間の心理を深く掘り下げた作品です。主人公の直家は、悪人としてのイメージを背負いながらも、裏切りや暗殺といった行為に至る背景には必然性があり、単純な善...

感想・レビュー・書評

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  • 垣根涼介の『涅槃』でも描かれた宇喜田直家。垣根版では経済に聡い合理主義的な人物として娯楽小説のお色気ありのタッチであったが、木下版ではもう少しシニカルな印象。元々は謀略、暗殺、裏切りを繰り返し、戦国三大梟雄=悪人の一人としてイメージが強い宇喜田直家を、垣根は手段としての悪で真実は別!みたいな筆致で描いたが、木下は宿痾としての悪という、大きくイメージから逸らさずに描ききった印象だ。

    史実の強度が高いがゆえに、読み手が引き寄せられる巨視的なイメージとしての悪に対し、微視的な短編の形態で、それをどう裏切るかが作家の腕の見せ所。本書はそこに「女」という視点をもってきたという面白さ。

    「捨て嫁」として描かれた末娘の嫁入りは人質交換に近い。政略の果てに死へ追い込まれ、女が“嫁ぐ”という残酷さを突きつけられながら、表舞台の男の戦に対して話の深さを与えてくれる。

    奇病に侵され膿を噴く直家の描写は、本からも匂い出すようだ。裏切らざるを得ないような状況で、誰もが誠実にはなりきれず、しかし、だからと言って悪だとも言い切れない。構造的な複雑さこそ、善悪二元論で片付けられぬ宇喜田直家の単純化した悪のイメージへの挑戦にも見える。

    出来事の羅列は選択の連鎖として積み重なる。裏切りにすら倫理的な重みや必然を感じる。そうなると、作者の勝ちであり、時代を超えて宇喜田の潔白証明に成功したとも言えるのだろうか。“悪を引き受けざるを得なかった”悲劇として宇喜多一族。

    人物に入り込めば、単純化して断じることは到底できない。戦国、戦争とはそんなものかも知れない。無能で残酷な暴君に流されるほど、民衆は無知ではなく、絡み合う複雑さにこそリアリティがある。そんな気がした。

  • 大河の主役級しか武将の名前を知らない私は「宇喜多」と言う武将を本作で初めて知りました。
    本作を読みながら思った事ですが、歴史に精通していて、ノンフィクションに近い時代小説をそこそこ熟していないと作品の醸しだす世界観に浸る事が難しいと感じました。
    それらを兼ね備えてなかった私はなかなか話に入っていけず、最初は苦労しました。
    三章あたりからは全体の構成が見えてきて俄然面白くなり、その後はあっという間に読了してました。
    全体を通しては、舞台となる時代の情勢、語句、仕来り等、同じ深さで偏りが無く構成されていたと思います。

    「サラバ!」ではなく本作をチョイスした「高校生直木賞」スタッフのプライドを魅せられました。

  • 第2回高校生直木賞
    第92回オール讀物新人賞
    第4回歴史時代作家クラブ賞
    第9回 舟橋聖一文学賞

    最っ高におもしろかった!!
    どの章も引き込まれて久しぶりに徹夜で読み耽った。しかもこの小説を高校生が直木賞に選んだと思うと、読了後に鳥肌がたった。

    宇喜多直家を題材とする小説は胸くそが悪くなるらしいのだけど、私は歴史の知識が元々ないから、宇喜多直家のイメージもまっさらなまま読み、この小説からは少しも悪い印象は受けなかった。
    代わりに浦上宗景へは強く憎悪を抱いた。
    しかし彼は彼で、情がないことで人よりも優れてきたと信じているので、悪評高い宇喜田直家が力をつけて大きくなっていくことに恐怖を感じて精神が揺さぶられている。
    宇喜田直家を囲む登場人物たちの心情に触れながら、多面的に宇喜田直家と歴史を理解し、最後は一つの壮大な物語として完成されていくのでたまらない。

    裏切りや暗殺は珍しいことではなく、生き残るための必要悪かもしれないけど、果たしてそれが本意なのか、人質を取られ脅しや命令によってやったものなのかは歴史上の事実だけをみてもわからないんだなとしみじみ感じた。
    捨て駒ならぬ、「捨て嫁」。戦術的に娘を嫁がせて非情に斬りすてる男の真実の姿がこの小説のような解釈なら、なんて孤独で苦しくてドラマティックなのか!面白すぎて1ページ1ページ読んでいて幸せだった。

    ただするっと内容が頭に入るわけではなく、城の配置、勢力変遷、主従関係など、確認しながらじっくり読み進めたのでよくわかったけど時間はかかった。
    木下昌輝さんの作品をもっと読みたいけど、心と時間に余裕があるときにまた挑戦しようと思う。

  • 「敵が少しでも強いとみれば、謀略を駆使し時に仕物も辞さず、それでもなお強大な場合は恥も外聞もなく降伏し、また隙を見て裏切る」戦国時代きっての梟雄、宇喜多直家とその関係者を描いた連作短編。「宇喜多の捨て嫁」「無想の抜刀術」「貝あわせ」「ぐひんの鼻」「松之丞の一太刀」「五逆の鼓」の6篇収録。

    本書で直家は、「秦の始皇帝や三国魏の曹操孟徳ら、乱世の英傑が遣った」という、敵の殺気に反応して無意識に攻撃する「無想の抜刀術」の使い手、そして、「無想の抜刀術」で母親を殺めた際に母親から受けた肩口の傷が癒えず、血膿を出し続け、腐臭を発し続ける(業病「尻はす」を患う)病み人として描かれている。

    「涅槃」を読んだ直後に読んだので、直家の人となりがより明確にイメージできた。本書と「涅槃」の直家像、そんなに大きくズレてなかった(猜疑心の塊のような浦上宗景の下で生き残るため、梟雄にならざるを得なかった、というのが基本線)。

  • 非常に良くできた作品だと思います。

    意外にも5編からなる短編集でした。

    一般的な短編集とは違い、全てが宇喜多直家を中心とした宇喜多家に纒わる物語。

    表題である「宇喜多の捨て嫁」とは直家の四女・於葉の事であり、巻頭に収められていますが、本作は直家を中心にその周りの人にフォーカスを当てていきます。

    「人」を描いた作品だと強く感じました。

    正直、時代物って得意でもないし、好きでもありませんでしたが、冲方丁氏の「天地明察」で時代物の面白さ、楽しさを知りました。

    とは言え、まだまだ読解力が未熟な私には本作の構成は時間軸が一方通行ではない事もあり、軽く混乱しながら読み終えましたが、私の地元や学生時代を過ごした地域の歴史に触れる事が出来、個人的には大満足の一冊でした。

    本作は高校生直木賞の受賞作でもありますが、正直、高校生達が本作を受賞作に選べる程に読み込んだ事にただただ拍手を贈りたいと思います。



    説明
    内容紹介
    表題作は、権謀術数によって勢力拡大を図った戦国大名・宇喜多直家によって、捨て駒として後藤勝基に嫁がされた四女・於葉の物語。
    乱世の梟雄を独自の視点から切り取った鮮やかな短編は時代作家として、高い評価を集めている。本書ではその他に五編の短編を収録。
    いずれも戦国時代の備前・備中を舞台に、昨日の敵は味方であり明日の敵、親兄弟でさえ信じられないという過酷な状況でのし上がった、梟雄・宇喜多直家をとりまく物語を、視点とスタイルに工夫をこらしながら描いた力作揃いだ。
    直家の幼少時の苦難と、彼でしか持ちえない不幸な才能ゆえの大罪(「無想の抜刀術」)、若く才能あふれる城主として美しい妻を迎え子宝にも恵まれた直家に持ちかけられた試練(「貝あわせ」)、直家の主・浦上宗景の陰謀深慮と直家の対決の行方(「ぐひんの鼻」)、直家の三女の小梅との婚姻が決まった宋景の長男の浦上松之丞の捨て身の一撃(「松之丞の一太刀」)、芸の道に溺れるあまり母親をも見捨てて直家の家臣となった男(「五逆の鼓」)と、いずれも直家のほの暗い輪郭を照らしながら、周囲の人々の様々な情念を浮かび上がらせていく――。
    第152回直木賞候補作にして第2回高校生直木賞受賞。
    内容(「BOOK」データベースより)
    娘の嫁ぎ先を攻め滅ぼすことも厭わず、権謀術数を駆使して戦国時代を駆け抜けた戦国大名・宇喜多直家。裏切りと策謀にまみれた男の真実の姿とは一体…。ピカレスク歴史小説の新旗手ここに誕生!!第92回オール讀物新人賞をはじめ、高校生直木賞など五冠を達成した衝撃のデビュー作。特別収録・高校生直木賞ルポ。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    木下/昌輝
    1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業。ハウスメーカーに勤務後、フリーライターとして関西を中心に活動。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞し、14年『宇喜多の捨て嫁』で単行本デビュー。同作は直木賞候補となり、15年高校生直木賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞を受賞。同年咲くやこの花賞も受賞した。2作目の『人魚ノ肉』は山田風太郎賞の候補、3作目『天下一の軽口男』が吉川英治文学新人賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 第92回オール読物新人賞、直木賞候補、第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞、第9回舟橋聖一文学賞、第2回高校生直木賞受賞作。

    中国の雄、宇喜田直家にまつわる短編集。直家は殺した卑怯だと昔から言われているものの、舅殺しも婿殺しも旧主浦上宗景の命令だし、娘たちが不幸な転帰になったのも浦上のせいだし、なんか浦上宗景さん、疑心暗鬼なのは自分でなんとかしろよと思う。
    私は直家が好きなのだ。特にご飯ないから略奪やめてみんなで月何回とか絶食して、家臣まで従った話。いい人だったんだろうなぁと思う。
    晩年に息子が産まれたのはよかった。

    あと医学的に尻はすというのの真偽は知らないが、切開して清潔な水で洗って乾燥させたらあんまり再発しないよと医者は思う。活用してくれ。

    第1話 宇喜田直家はいろいろな人を暗殺してその結果、家族たちが犠牲になった。妻の父が暗殺されて妻が自殺してしまったし、長姉の初の夫松田元賢も殺されて初は自殺。二女楓の夫伊賀久隆は初の夫を攻めたため、楓は精神錯乱してしまった。三女小梅は今浦上宗辰に嫁いでいる。そして四女於葉も嫁ごうとしていた。

    第2話 宇喜田直家の祖父は島村盛実に暗殺された。父は無様に逃げた。直家は大きくなって旧主浦上宗景に仕え、初手柄を挙げる。

    第3話 直家は妻を娶った。沼城城主中山備中信正の娘、お富。食べ物が足りないため、月に数度絶食している。妻の妊娠中、直家は尼子勢に囲まれた。そこに富の父が後ろ詰をしてくれて助かった。その後富の父はいろいろ助けてくれた。砥石山城を攻めた時も、経済的援助も、料理を教えてくれさえもした。だが主の浦上宗景より舅を討ち取るよう命ぜられる。ただの疑心暗鬼から来た命令だったが、逆らえない。舅を討ったのに、浦上より島村が差し向けられ殺されそうになるが、これを討ち取る。しかし妻の富は父に殉じてしまった。

    第4話 直家の祖父能家は智略に長けた謀将で、浦上宗景には恐ろしかったから、兄を唆して討たせた。浦上宗景は直家をみている。舅を討たせてから生まれ変わったように、謀略でどんどん所領を拡大している。だが宗景は気に入らない。直家は大きくなりすぎた。敵が勝つように密使を送っても、直家は返り討ちにしてしまう。
    直家を正面から討伐することにした。直家の長女初の婿の家、松田将監の家をけしかける。しかし宇喜田家次女楓の夫が、松田家を囲んで滅ぼした。
    急に直家を滅ぼそうとしていたのがバカバカしくなって、三女小梅をもらう約束をしてしまった。

    第5話 浦上松之氶は直家と婿と舅の仲になることになった。松之氶は直家を討つ気だった。直家は山陽道の通る石山城へ移ろうとしていた。捨てゆく沼城に松之氶に譲るという。

    第6話 江見河原源五郎の主、浦上政宗は明日小寺官兵衛の妹を娶る。しかし赤松家に攻め入られて、浦上政宗は命を落とした。
    3年後、次男の浦上誠宗がまた小寺官兵衛の妹を娶ることになった。学士にしてやると言われて、江見河原源五郎は浦上誠宗の首をとって宇喜田に渡した。
    あれから10年、浦上家はもうない。
    次女楓の夫伊賀久隆は毒殺した。四女於葉の夫も殺した。直家死去。

  • 高校生直木賞他受賞との事で読んでみたが、裏切りと策謀で名を馳せた宇喜多家の内容であり凄まじい残虐な話しが多い。構成も年代が行ったり来たりで分かりづらいのに、女子高生が多い中での受賞は不思議な気がした。解説で受賞理由を見ると何度か読み直すことで内容の深みが分かるそう。非道・残虐すぎて再読は暫く先になりそう。

  • 相当好き、めちゃくちゃ良かった。
    連作短編で時系列前後するし語り部も変わっていくんだけど、だからこそ人間の複雑さがより効果的に描かれてるし、本当に引き込まれる。面白い。
    戦国時代に生きるのめっちゃ大変そう。

  • 宇喜多直家といえば、身内であっても謀略や暗殺の限りを尽くすといった冷酷無比な悪人の印象がありましたが、物語を読み進めていくうちに、だんだんと、ただの悪人から悲しい悪人に思えてきたの不思議でした。とくに、「無双の抜刀術」の持ち主という設定は、非常に面白く斬新でした。文章自体が読みやすく、描写も芸術的でありながら明快で、目の前に直家がいるようでした。読み終えとき、宇喜多直家のことがすごく好きになっていました。


  • 「涅槃」では、1人目の奥さんにかなり冷たかったのに、こちらでは、めっちゃ仲良くしてた笑。
    前半はまあ、支障なく読み進められたけれど、うーむ…結構高い頻度で、なんともグロテスクというかおどろおどろしい文章で病気の様子が描写されて、ちょっと萎えた( ̄▽ ̄)

    後味は決してよくないけれど、実際はこんなふうに裏切り騙し合いまくっていたんだろうなーと、内容は面白かった。

  • 高校生直木賞受賞作。他の候補作を措いて、この作品が高校生に評価されたことに興味を持った。
    戦国の梟雄と言われた宇喜多直家。そんな男の真実を、彼と彼の一族たちの視点を用い、描き出した連作短編。
    自分の娘さえ謀略の手駒とし、彼女たちを捨て嫁と言わしめた表題作。
    次の作品では一転、不幸な才能ゆえ苦難な彼の幼少期が描かれる。
    他の短編でも、謀略暗殺を駆使し、隙を見てはまた裏切る、そんな繰り返しの彼の人生を、時系列を前後しながら、綴られる。
    時代の拘束の中で、梟雄とならざるを得なかった彼の哀しい運命が焙り出された。
    ドロドロとした戦国の世界が描かれているが、読後また読み返したくなる歴史小説。

  • 宇喜多直家の生涯を様々な視点で描いた作品。
    彼は彼なりに必死に家を守ったのだと思うのだけど。
    歴史はたくさんの視点から見なくては分からないということが、この作品を読むとよく分かる。

  • 宇喜多直家という人物が数名の視点から語られており、大変面白く読めました。
    信用し裏切りまた信用する、の繰り返しで
    何かを守る為には何かを犠牲しなければならない、
    戦国の世の慣わしの厳しさを実感しました。
    素敵な本に出会えてとてもよかったです。

  • よくできた歴史小説だった。宇喜多直家を絡めた短編の集まりかと思いきや、6話目で話が引き締まり全てが連なっていく。また、新しい書き手が現れて快哉!

  • 自分にとって戦国武将で宇喜多と言えば「宇喜多秀家」であった。
    この小説はその父「宇喜多直家」を中心に書かれている。
    妻や娘たちを犠牲にしてのし上がっていく冷血な戦国武将との思いで、読み進めんでいくと致し方なく犠牲にしなければならなかったところが分かってくる。
    六章からなる小説であるが、それぞれが時や視点を変えて書かれており何とも言えない面白みを出している。
    "腹裂き山姥"のオチはご愛嬌だ。

  • これは傑作だ。何といっても章立ての構成が秀逸。最初に「捨て嫁」で一撃の後に、「無想の抜刀術」で生まれついての業の深さを感じさせ、最後の「五逆の鼓」は江見河原が琵琶法師に見える、まさに平家物語。戦国時代が舞台の歴史小説にも関わらず、権謀術数が中心で合戦話が皆無、しかし人物がよく見通せるつくり。圧巻、脱帽。
    高村薫や東野圭吾が推したのに直木賞を逃し、非常に残念だが後世に残る作品だと思う。

  • これが、予想外の面白さ!でした。



    この本は、全国の高校生たちが集まって、

    直近の直木賞候補作品の中から1作を選ぶ

    {高校生直木賞}に選ばれた本です。



    「高校生直木賞」なんて言うのがあることさえ知らなかったけれど、

    高校生が、この本を選んだとということに、

    なんだかうれしさがこみ上げてきました。



    戦国時代の大名・宇喜多直家の生涯が

    様々な人の視点から描かれている。



    自分の娘たちの嫁ぎ先を攻め滅ぼすこともいとわず、

    悪徳非道の男であるはずの直家だが、

    読み進めていくうちに、様々な思いがよぎる。

    ラストのシーンが切ない。



    面白い本を読んで、本を閉じた時、

    すごい満足感というか、感動というか・・・

    胸にあふれるものがあるのだけど、

    それを、どんなふうに表現したらいいかがわからない。

    これを、ボキャブラリーが足りない、というのでしょうね・・・

    • chikachanさん
      横入りすみませン。いやいや充分すぎるほど感動が伝わってきます。この作品の続編も(宇喜多の楽土)読んだと思いますが心にしみる作品だと思います。...
      横入りすみませン。いやいや充分すぎるほど感動が伝わってきます。この作品の続編も(宇喜多の楽土)読んだと思いますが心にしみる作品だと思います。時代物が多い作者ですが現代物も読んでみたいと思うのは欲張りなんでしょうかね。「敵は宮本武蔵」もオススメです!
      2018/09/01
  • 宇喜多直家凄い。業の深さがかなりありました。面白かったです。悪にもそれなりに理由があるとかの次元を超えてる権謀術数でした。
    大河ドラマでやってほしい人ランキング私的2位に躍り出た宇喜多直家。お茶の間がザワつく。
    木下昌輝作品は「人魚ノ肉」以来なのですが、今作も伏線回収が楽しかったです。あの人物のあの行動の裏にはこんな想いが…を知っても、だからといって寄り添えるかというとそうじゃない。非道で残酷です。
    各々キャラ立ちも凄い。天竺の鳥料理??タンドリーチキンではあるまい。。
    どんなに非情でも揺れる瞬間はあるというのが皮肉だし哀しい。人はすんなりと鬼にはなれないです。
    小鼓の名人の音色は梅の薫りを漂わせるというのは美しいなぁ。

    高校生直木賞というものがあるんだと検索してみたら、受賞作品を何作か読んでいました。
    「ナイルパーチの女子会」「また、桜の国で」「くちなし」、最近の受賞作は「同志少女よ、敵を撃て」…結構シビアな作品が並んでおりました。国内海外問わず、時代物歴史物が半数でした。
    「面白い本ないか」と訊かれてオススメするときに相手が生徒さんや学生さんだったりするとどうしても「これちょっと人物とか描写が殺伐とし過ぎるか」と思ってしまうけど、そんな手加減は無用かもしれないです。何歳でも、読みたいときに読みたい本読めばいいという気持ちをすぐ忘れるけど自分自身だってそうだったなぁと思い出しました。

    『軍師官兵衛』で陣内孝則さんがされてた人物か。どおりでなんだか聞き覚えがあるはずです。似合うなぁ。
    装画、山本タカトさん。美麗です。

  • 語り手や主人公が異なる短編が連なって、一人の強くて哀しい戦国武将を描きあげている。
    捨て石、捨て駒、などの言葉と同列に使われる『捨て嫁』という呼称が、直家自身への呪詛となって生きながら腐敗させていく。
    直家は悪人なのか?どのようにして直家が出来上がってきたのか?伏線を張り巡らせたミステリーを読むような物語の先への期待が、最後まで途切れることなく続く。
    いますぐ再読したい気持ちをあえて抑えて、時間をおいてもう一度楽しみたい作品。

  • 先日「涅槃」を読んだ面白かったが、「捨て嫁」の方が面白かったよなと思い、再読。

    人物描写が深く、空気が濃い。そうそう、この暗さ、空気の重さ、匂いで、物語の中に入り込みそうな独特の感覚がこの本にはあると改めて思う。

    文学としてはやはりこちらのほうが好き。ただ、「涅槃」は宇喜多直家の一生をとらえているので、どのような歴史の流れがあったかを知るには分かりやすいと思った。

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著者プロフィール

木下 昌輝(きのした・まさき):1974年奈良県生まれ。2012年「宇喜多の捨て嫁」でオール讀物新人賞を受賞、14年単行本デビュー、15年歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞、咲くやこの花賞を受賞。著書に『天下一の軽口男』『つわもの』『敵の名は、宮本武蔵』『戦国十二刻 始まりのとき』『応仁悪童伝』『剣、花に殉ず』『愚道一休』など。

「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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