愛憎の檻 獄医立花登手控え(三) (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2017年4月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167908348

作品紹介・あらすじ

藤沢周平の代表的時代連作集「立花登」シリーズ全4巻の3巻目。



医者になる夢を叶えるべく江戸に出た登を迎えたのは、はやらない町医者の叔父と、口うるさい叔母、驕慢な娘ちえ。居候としてこき使われながらも、叔父の代診や小伝馬町の牢医者の仕事を黙々とこなしている。

新しい女囚人おきぬは、顔も身体つきもどこか垢抜けていた。下男を手なずけ貢がせるしたたかさに、登るは牢に入るきっかけとなる事件を探るが――。



起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、若き青年医師が、獄舎にもちこまれるさまざまな事件を解いていく。



『愛憎の檻』には、「秋風の女」「白い骨」「みな殺し」「片割れ」「奈落のおあき」「影法師」の6篇を収録。



解説・佐生哲雄(松竹プロデューサー)



82年に中井貴一主演で連続ドラマ化。そして2016・2017年に溝端淳平主演で、NHK BSプレミアムにて連続ドラマ化。

みんなの感想まとめ

江戸時代の青年獄医、立花登の成長と葛藤を描いた連作短編集の第3弾は、全6編から成り立ち、読みやすさが魅力です。主人公の登は、町医者の叔父のもとで働きながら、さまざまな事件に直面し、柔術の技術を駆使して...

感想・レビュー・書評

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  • 藤沢周平は海外ミステリのファンということで知られている。獄医者という、犯罪者を取り締まる側にも被害者にもならぬ、人間として接せざるを得ない立場に主人公を置くという秀逸な設定は、海外ミステリから題材を採ったのではないかと当たりをつけていろいろ検索した。見つけ切らなかった(最近の「プリズン・ドクター」という海外ドラマはある)。70年代までのミステリで、そういう小説が有ればぜひぜひ教えてもらいたい。

    違う設定で考えると、日本の時代小説にはお手本がある。山本周五郎「赤ひげ」である。底辺にいる市井の人々と、修行中の医者との組み合わせである。ただし、立花登には赤ひげはいない。ほとんど仁術は行わない。立花登は、弱い者の立場に立つ普通の医者であり、たまたま柔術の達人なので、危ない橋を自ら渡るのである。

    お陰で、本書には6篇もの短編があるが、全てあっという間に解決している。文春文庫版の表紙にはそのうちの一編「片割れ」の一場面が描かれているので少し紹介すると‥‥。

    登の獄医の非番の日、叔父夫婦が出かけているので羽根を伸ばしていると、急患がやってくる。見るからに人相の悪い男の刀傷の手当だった。その後、登は牢獄で破傷風の男の手当てをする。見ると同じような刀傷で日にちも一致しているし、男の片割れは今は逃走中だという。だとすると、人相を見た登と従姉妹のおちえの身が危ない。登はあの手この手を使い、男の片割れを割り出す。襲ってきた片割れと登は対決をするのだが、思いもかけない事実が‥‥。

    表紙の右側にいる娘がおちえである。いっときは不良娘とつるんだり、叔母に習って登を呼び捨てにしたり、どうしようもない小娘だと登も思っていたのだが、1巻目で危機一髪を救って以降かなりしおらしくなる。表紙のように登の指示に従って湯桶や焼酎を持ってくるなど、前は考えられなかった。未だに登は小娘と思っているが、ふと大人の(美人の)顔を見せたりする。この辺りがエンタメ藤沢周平の上手いところ。

    犯罪者にはそれぞれの人生があり、藤沢周平は行間にそれらを埋め込む。蓋し、何度読んでも退屈しないのは其の為である。

  •  江戸時代の青年獄医、立花登の成長と葛藤を描いた連作短編集第3弾。

     久しぶりの藤沢周平作品でしたが、最初の1ページで作品の世界に自然に入り込んでいる自分がいました。

     短編作品ですが、一つ一つに人の愛憎が描きこまれ、人生の哀しさが伝わってきました。
     
     おちえとの仲も気になる所で、次巻が楽しみです。

  • 立花登、相変わらず最強すぎて「めちゃくちゃ力の強い男に締め上げられた! 近くには敵の情婦的な人が近くにいる!」という状況で情婦が助けてくれるとかじゃなくて、普通に技で勝つのがもう手がつけられない。

  • 「みな殺し」と「片割れ」が割と好き。

  • 202104/時代連作集「立花登」シリーズ全4巻まとめて。事件解決的にはワンパターンだけど、風景や心情などの描写が素晴らしく、こういう表現の仕方もあるのか、と文章に引き込まれた。結末や罪人・被害者に救いがない展開もあったり全体的に暗めのトーン、謎解決を楽しむというより、事件を通して主人公の成長や人の世のやるせなさを見ていく感じ。主人公は当初想像してた清いさわやか青年というのではなく、割り切りや若者らしい図々しさもあったり人間臭くて面白い。(あそこで抱いちゃうのか!という展開には驚かされた…笑。)

  •  藤沢周平「愛憎の檻」、獄医立花登手控えシリーズ№3,2017.4発行。秋風の女、白い骨、みな殺し、片割れ、奈落のおあき、影法師の連作6話。第3巻は読み応えがありますが、著者はなかなかハッピーエンドにしてくれませんね。「白い骨」は牢を出て17年ぶりに女房おむらと再会、これからという時に殺された辰平。「奈落のおあき」は、獄中の嘉吉から5つの女の子が病気と聞き、登と叔父の二人で懸命に娘を治療して治った矢先、嘉吉は牢内で殺される。記憶には残りますが、切ない話です。登とおちえが段々いい仲になっていくのが救いですw。

  • 罪を犯した人間へも思いやりを寄せる登
    真っ直ぐな登がすこし暴走気味に走り回る。
    そんな登もおじの家で、小伝馬町の牢で、理解され、信頼を獲得していっている。
    がんばれ登。

  • 独特のちょっと暗いけどきめ細かな江戸の人情の世界にどっぷり入り込める。
    主人公は柔術の達人だが、それを頼みとするのではなく、あくまで青年医師の視点で物語が進むため、殺伐とした犯罪の話でもどこか温かい目線がある。

  • 獄医立花登手控え 第三作です。
    面白かったです。

  • 人の生き死にに介入できたり、できなかったり。コントロールできない物事を、淡々と描いてある。

  • 相変わらずの面白さ

  • 「秋風の女」牢屋の下男佐七が牢のおきぬのいいなりに
    「白い骨」十七年ぶりに戻って来た夫、危ない仕事を引き受け殺された!
    「みな殺し」知り合いの研ぎ師芳平が牢屋で殺された。盗人の頭が手下を皆殺しに
    「片割れ」叔父の家に治療を受けた悪相の男を盗人の片割れと思っていたら違った話
    「奈落のおあき」娘の病気を直してくれた登にお礼で牢屋に盗人の手下のことを伝えようとして殺された!おちえの昔なじみのおあきのいい人だった
    「影法師」幼いころ可愛がってくれた男が母親を殺したと知らないおちせ
    牢屋で殺さる人が多く 暗い話が多く感じた!

  • おちえとの距離がまた近くなった。牢に関わる女が切ない。

  • シリーズ3作目。相変わらず面白いし、一気に読んでしまうストーリーなんだけど、ちょっと飽きてきた(失礼)。
    ただ、解説にもあったけど、主人公の成長物語としての視点で読むと、確かに、まだまだ…と続編を望む。
    このまま一気に4作目も読んでいこうと思う。

  • 【NHK BS時代劇でドラマ化!】娘の病を治したお礼に未解決事件の情報を教えてくれた男が牢内で殺害される。悠々と出牢した犯人を追い、登は江戸の町を駆けるが。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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