空棺の烏 八咫烏シリーズ 4 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908638

感想・レビュー・書評

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  • 八咫烏を喰らう大猿の襲撃を一旦は退け、山内を守った若宮。
    真の金烏である若宮に忠誠を誓った雪哉は、自ら望んで、宗家を守護する「山内衆」を養成する全寮制の学校、勁草院に入学する。

    雪哉は、山烏出身の茂丸、西領本家のボンである明留、無口で武芸に秀でた千早らと、競争、衝突しながらも次第に仲を深めていく。しかし、勁草院の院生の間では、明留ら若宮派と、南家の公近が主導する兄宮派に分かれての対立がエスカレートしていた…。

    山内衆になるための厳しい修業の場である勁草院。
    ここの教科がまた面白い。男子ばかりの全寮制の学校という舞台もワクワクする。
    前半はページを繰る手が止まらない…!という感じだったのだが、後半のミステリーでいう種明かし部分は意外にあっけなくて拍子抜けした。
    今まで見えていた世界が反転する1巻と似たような展開で、いきなり4巻を読んでいたらまた違ったのだろう。でも、1巻のあせびと違って、雪哉が強かで有能な策略家であることや若宮に忠誠を誓っていることはこれまでで既にわかっていたので、全部が最初から仕組まれていたとわかっても意外性はなく…。
    反対に、ハリポタのスネイプ先生のごとき翠寛院士が、毎回自らが相手になって対戦するというのは、実はしごきに見せかけた特別鍛錬なのだろうなぁ、スネイプでなく裏スネイプなのだわと思っていたのに、そのままスネイプだったの?学校やめちゃうの?と驚いた。

    さて、勁草院の話がメインではあるのだけど、若宮と長束サイドの話も並行して進んでいく。
    父の金烏代の退位と若宮の即位が間近に迫ったとき、神官の長である白烏がこれに待ったをかける。
    若宮が「真の金烏」であるのかわからない、条件が満たされていないという。前の金烏からはおよそ100年。しかし前の金烏は行方不明となり、その棺は空のままになっている。若宮が真の金烏となれない原因は、空棺の金烏にあるのか…。
    真の金烏の記憶を思い出せずに苦悩する若宮は、今までの自信溢れた顔とはまた違う。誰とも分かり合えないその孤独が切なくもある(ギャップ萌え)。

    次はついに猿との対峙だろうか?
    3巻までは図書館で借りていたのだけど、4巻は早く読みたくて買ってしまった。5巻も買うと思う。読むの楽しみ。

    余談だけども、作家の読書道に、阿部智里さんのインタビューがあり、これまでに影響受けた本や、八咫烏シリーズの構想なんかが読めるので、このシリーズ好きな方はこちらも是非。

  • 文庫で再読。
    八咫烏シリーズ第一部の中で、どれが一番好きかと聞かれたら、私は絶対に本書を選びます。

    本書の舞台は、金烏や宗家を守る近衛隊・山内衆を養成する勁草院。
    前作で若宮への忠誠を誓った雪哉が、相変わらず飄々としているかと思いきや、予想をはるかに上回る策士っぷりを披露してくれます。
    今後の物語の中でも重要な登場人物たちが多数登場するし、各々の内面やここに至るまでの背景が描かれているため、第一部をすべて読んでから再読すると、より一層沁みるものがありました。

    何度読んでも涙が出てしまうのは、第三章の最後、雪哉に茂丸が声をかけるシーン。
    一人でいろんなことを抱えて奮闘する雪哉にとって、茂丸の言葉がどれだけ力強く温かかったかを想像するだけで、目の奥が熱くなってくるのです。
    雪哉は自分で思っているほど冷酷な人間ではないんだよ、と私も伝えたくなってしまうのです。

  • 八咫烏シリーズ四作目。
    中毒性の高い本である。今、手にとってはいけない!と思いつつ、4巻目に手が伸びてしまった。
    気がつけば、日はとっぷり暮れていた。いや〜本当に危険なシリーズだ!
    なんとなく、知っていたり(南は綿の量産地で働き手は奴隷扱いという筋は、アメリカの南部の奴隷制を彷彿とさせる)、読んだことのあるような筋書き(主人公を執拗にいじめる教官は、ハリポタのスネイプ先生を彷彿とさせる)があるのだが、それだけでない一枚上手なところがやはり読み手を引きつけるのだろう。次巻以降も読みたいが自制しないと家事が立ち行かない。2019.8.12

  • 2作目ではあんなに嫌がっていたのに、まさか雪哉の勁草院生活が読めるとは。
    茂丸や明瑠に千早などなど、紆余曲折ありながらよい友だちができてよかったね。
    全て雪哉の策略通りかもだけど、大事な友だちなのは間違いない。

    そして雪哉、末恐ろしいな。1回読んだら覚えるとか、それ普通じゃないですよ。
    そんな雪哉に勉強教わる友だちが不憫…。なぜだ、と落ち込む雪哉はかわいい。明瑠を崇める友だちたちもかわいい。

    そこから雪哉も3年経ってなんだか男前になった様子。
    金烏としての記憶がない若宮に、今回小猿が接触してきたことで転機が。
    金烏を知っているらしい猿との関係が気になる。
    次こそ猿についてわかるかな?

  • シリーズ4作目はまさかの学園モノ。登場人物が総じて若いためか、全体的な雰囲気がやや軽くなったような気がします。

    雰囲気の軽さは学園内での話展開が予定調和的なものだったことも影響している? 雪哉はもとから頭が良い設定(勉強ができる、というより機転が利く・地頭が良いというニュアンス)ではありましたが、雪哉の良さが際立ちすぎる展開にちょっと都合の良さを感じました(山内で最も用兵に長けているという翠寛に勝ってしまうのはやりすぎかと……)。この辺りに少年漫画的なライト感を感じたのかもしれません。

    とはいえ、全体から見ればそれは「ちょっぴり」気になる程度。

    雪哉をライバル視する明留や、妹のためやむを得ず公近に従う千早といった学友たちとの交流や、彼らが抱える悩みや揉め事を解決する様は胸がすく展開。また終盤訪れる猿の襲撃と真の金烏の謎に関わるエピソードはスリリング。

    エピローグでは勁草院を卒院する少年たちの凛々しい姿に期待感を、「嵐が来る」という若宮の言葉と最後の一行に不安を覚えさせられ、次巻が待ち遠しくて仕方ない次第(単行本を買うべきか…悩ましい……)。

  • おもしろかった… もしかしたらシリーズで一番面白かったかも。学園ものかと期待していなかったけど、少年たちの心の内面が掘り下げてあってすごく良かった。

    雪哉が完全無欠すぎてすごい。したたかさも最高。だけど、つらさも分かってくれる人たちがそばにいてくれてよかったね!

    次巻も楽しみすぎて文庫まで待てないかもしれない。

  • 八咫烏シリーズ第四弾。雪哉の勁草院での学院生活を描く。
    個性的な学生たちと競争、或いは抗争に揉まれる一方、
    八咫烏の将来を左右する事件が起こる。若宮は、雪哉は?
    序章  第一章 茂丸  第二章 明留  
        第三章 千早  第四章 雪哉
    山内用語解説、人物相関図、山内寺社縁起有り。
    宗家の近衛隊「山内衆」になるためには、養成所である全寮制の
    男子校、勁草院で学び、優秀な成績を納めなければならない。
    春~初夏。茂丸の視点で始まる学院生活は、初年の荳兒の学び、
    主要人物の紹介、若宮派と兄宮派、身分での反目が描かれる。
    初夏~夏。若宮に心酔し、彼の言葉から勁草院に入った
    明留の視点は、兵術の教官に冷遇される雪哉へ向かう。
    彼に対する焦りは、ある事件をきっかけに、氷解する。
    夏~長期休暇~初秋。千早の視線は過酷な過去と宮烏への憤りに
    溢れる。だが、そんな彼のために学友たちが行動を起こす。
    う~む、同じ舞台で根本の物語があるファンタジーですが、
    シチュエーションによって様相が変化する柔軟性も
    兼ね備えていますね。今回は勁草院での学生生活中心です。
    ハリポタ的な青春群像な雰囲気が漂っています。
    ライバル的な上級生、スネイプのような教官もいるし。
    だけど、学院を揺るがす大騒動で明らかになったのは、
    雪哉の視線。入学前からの思惑と行動・・・とんでもない奴!
    路近とも示し合わせていたとは!
    だが、推測しながらも見守り、純粋に仲間を想う君もいたと
    言う教官の存在。合わせて学友たちの存在も良かったです。
    そして、学院生活と並び進行する、若宮への譲位問題。
    空棺に入るべき先代の『真の金烏』の行方と、
    小猿との出会いと別れ・・・猿たちにも何やらありそうな。
    記憶の継承が覚束無い若宮の苦悩も、気になるところです。

  • 八咫烏シリーズ第4弾。
    賢い子として描写されてた雪哉の能力の高さがはっきり分かります。地頭がいいどころか、とんでもない才能でしたね。そうゆうの大好き。
    そして仲間ができました。味方じゃなくて仲間。青春ですね。
    続きが気になる終わり方。すぐ次を読みます。

  • 雪哉の覚悟
    そして雪哉の孔明化

    2020/10/12 ★4.8

  • 八咫烏シリーズ4作目。巻数を追うごとにどんどん世界観に引き込まれていきます。

    今回は雪哉と同年代の青年が多く登場し、会話の砕け方・テンポ感がとても面白く、するすると読めてしまいます。それと対照的に、若宮や長束と会話する時の雪哉の頭の回転・説得力は敵なしと言ったところですね。
    次作も期待です。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2021年 『烏は主を選ばない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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