決定版 鬼平犯科帳 (13) (文春文庫) (文春文庫 い 4-113)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908720

作品紹介・あらすじ

2017年、本格時代劇アニメ「鬼平 ONIHEI」登場。本格時代劇というアニメの新ジャンルを拓き、今後の展開にも注目が集まっている。原作はもちろん、池波正太郎の「鬼平犯科帳シリーズ」である。現在、「読むたびに新たな発見がある」と世代を越えて人気絶大のシリーズ全24巻を、さらに大きな文字とふりがなを増やした、読みやすい【決定版】で順次刊行中。カバーデザインも一新、ページを開くと全巻揃えて、繰り返し読みたくなります。第13巻収録作品は、「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」「一本眉」の6篇。

感想・レビュー・書評

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  • 12-4-6

  • 12巻最後の話で熱海に湯治に出かけた鬼平たち。
    そろそろ帰ろうかという時に、お供の密偵彦十が昔馴染みの盗賊の嘗役(なめやく)を務める利平治を見かける。
    嘗役とは、一人で全国を回り、自分の所属する盗賊団が入りやすい家を探す役目。
    優秀な嘗役は、目をつけた家屋敷の図面、財産、家族や奉公人の人数やら趣向やらをすべて調べ上げるという。
    昔気質で仁義の通った仕事しかしない利平治だが、今はかつての仲間に狙われているらしい。
    ==気骨があるが掴みどころのない名物盗賊が、計らずも鬼平達に助けられる形で刺客たちをひょいひょい躱すお話は楽しいです。
     /『熱海みやげの宝物』

    与力の富田達五郎は、喧嘩から旗本を斬ってしまったために目撃者である盗賊から強請られる羽目に陥る。
    身を護るためにどんどん堕ちてゆく様相。
     /『殺しの波紋』

    同心の松永弥四郎は、昔抱いた茶屋女の影響で変な性癖を持ってしまった。
    松永はかつての女が盗賊のかしらと密会する場面に行きあわせて…
     /『夜針の音松』

    一人働きの盗賊、墨斗(すみつぼ)の孫八はこれを機会に引退しようとしていた。
    幼い頃にバタバタと家族を喪ったことにより命に執着のない孫八の盗みは実にさっぱりしていた。
    執着もない、殺しもしない、大胆不敵で迷わない。
    だが決して失敗できない最後の仕事には緊張が走る
    ==ちょっと切ない。本人もだけど周りが。
     /『墨つぼの孫八』

    鬼平は、旗本の宮口伊織が財布を掏られた現場に行き会う。財布は取り返したが、その中には宮口の妻の実家である大店の図面が入っていた。
    金に悪い噂の有る宮口は何か良からぬことを考えているのではないか。
     /『春雪』

    堂々たる体躯にもじゃもじゃで繋がった眉をもつ昔気質の盗賊、清須の甚五郎。何年も仕掛けを凝らした商家を他の盗賊一味に先を越されてしまった。しかもその一味は、一家皆殺しの畜生盗め(ちくしょうづとめ)。汚い手段は見逃せない。一本眉の甚五郎は、盗人の意地にかけて盗賊団を探す。
    ===盗賊のけじめは盗賊がつける。これぞ男気!(女盗賊もいるけど)
     /『一本眉』

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)。「酒もうまい。肴もうまい」と煮売り酒屋で、上機嫌の同心・木村忠吾。さし向いの相手の顔貌は、眉毛と眉毛がつながっていた(「一本眉」)。ほかに「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「墨つぼの孫八」「春雪」の全六篇を収録。

  • 面白かった

  • 「熱海みやげの宝物」、「殺しの波紋」、「夜針の音松」、「墨つぼの孫八」、「春雪」、「一本眉」の全六編。同心・松永弥四郎が自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る「夜針の・・・」と「一本眉」での木村忠吾もイイ。

  • 前巻のラストで鬼平さんの調子が悪くて、熱海へ療養へ行くところで終わっていたから心配していたけれど、無事に鬼平復活でした。

    旅先だろうが、旅からの帰りだろうが、悪はどこにでもはびこっていて、鬼平さんが心身ともに休まるときはないんだなぁ…。

    大衆小説として、とても面白いお話だと思いました。
    こういう人間味のある人って、今の社会ではどこにいるのかなぁ?

  • 一本眉と忠吾。

  • 「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」「一本眉」を収録。妻を強姦する真似事で興奮する性癖の松永弥四郎が手柄を立てる「夜針の音松」、木村忠吾が関わる「殺しの波紋」「一本眉」が面白かった。

  • 【アニメ「鬼平」ファンが、ただいま原作へ移行中】大きな活字でふりがなを増やし、圧倒的に読みやすいと評判の決定版。十二巻と十三巻では、平蔵のみならず、真の盗賊の魅力も全開。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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