こいしいたべもの (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.99
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本棚登録 : 573
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908942

作品紹介・あらすじ

前作『いとしいたべもの』が好評で重版を重ねている中で、待望の続編の刊行です!母手作りの、バターがとろける甘いホットケーキ。父が大好きだった、少し焦げ目がついたビーフン。遅い青春時代に食べた、夜明けのぺヤング……。味の記憶をたどると、眠っていた思い出の扉が開き、胸いっぱいになった事はありませんか? 150篇のエッセイの中から22篇を厳選し、丁寧に推敲を重ね大幅に加筆修正した珠玉のエッセイを収録。著者自ら描いたイラストも、繊細なタッチの優しい絵で評判を呼んでいます。ほっこり、じんわりするカラーイラストエッセイ集です。

感想・レビュー・書評

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  • 「いとしいたべもの」に続く、美味しいイラスト入りの、森下典子さんのエッセイ。
    この、イラストがとても好きだ。

    食べものの描写を読めば、鼻腔に香ばしい香りが流れ込み、舌の上には甘くとろける、あるいはホロホロと崩れる美味しいものが出現する。

    思い出と共に語られる味は、とくに胸がジーンとするものが多かった。
    単なる懐かしさに加えて、帰らない物への哀惜の念が込められているからだろう。
    おわりに書かれているように、平和が続くことを願ってやまない。

  • 母手作りの、バターがとろける甘いホットケーキ。父が大好きだった、少し焦げ目がついたビーフン。遅い青春時代に食べた、夜明けのぺヤング・・・。22品の美味しいカラーイラストエッセイ集。
    前作「いとしいたべもの」がすごく素敵だったので、新作と聞いて迷わず購入。森下さんの言葉には食べ物だけでなくその奥にある思い出や出来事に対する愛情がこもっていて、読むと自分の記憶もよみがえってほろりとします。あったかい気持ちになれる。いろんなことを知らないまま大人になっているけれど、ほんの少しのことを知って日々生きていくことが一番大事なんだろうな、丁寧に過ごしたいなと思いながらあとがきを読みました。

  • ペヤングにホットケーキ、柿ピー
    潮干狩り、カレーにダックワーズ

    いちいち あー、あるある
    あのねあのね、私はね
    って いちいち言いたくなる本だった

    思い返すと
    食べ物に纏わる思い出って
    特別な、何処ぞのナンチャラとか
    高級レストランだったり
    流行りの食べ物のじゃなくて

    その辺に 今もすぐあるものだし
    自分が子供のころだったり
    娘が小さかったころだったり
    家族絡みが多いんだなー ってね

    イラストも可愛いかった

    てか、こっちが続編なのね?
    前編の いとしいたべもの
    もう手元にあるから
    読むことといたしましょう
    (*´艸`*)

  • 「いとしいたべもの」の続編。著者の食べ物にまつわる思い出や体験のエッセイである。
    著者は私と同世代ということもあり、前作同様子供の頃の日常生活や家族関係等懐かしく楽しい思い出の数々に共感できた。
    しかしその中で私が一番胸打ったのは、著者自身の体験ではなく、著者の父親の戦争体験である。父親が焼きビーフンが好きだったこと、それは戦争中インドネシアで初めて食べたビーフンの味につながっていく。
    父親は直接的な戦争体験の話を娘にはしてはいない。亡くなった後、母親から聞いたという話だ。船で南方の戦場へ向かう途中アメリカの魚雷によって撃沈され、48時間海を漂ったのち九死に一生を得たという。救難船に何とか救い出されたのは体力のある者だけ、海を漂う仲間達の「おーい、おーい」という声を聞きながら、その仲間達を海に残し救助された。
    このような話は戦時中は多々あったのだろう。またそれを家族、特に子どもたちには話せないという気持ちも理解出来る。辛い経験を経て、日本へ戻り、そういう人たちが戦後日本を作り上げてきたと著者も書いている。すでに戦後70余年となり今の日本を担う世代は誰も戦争体験をしていない。しかし誰もが少し前の世代、自分につながる家族がこのような体験を経て、今の自分が存在することを改めて痛感した。

  • 前作が本当に楽しかったので、喜び勇んで読んだ。「いとしいたべもの」ほどの共感を持たなかったのは多分私と森下さんの、ティーンの頃の生活経験が違うためで、面白かったけれど、サラリと読んだ。

    横川の釜飯は、私には小学生の頃、車で東京から軽井沢へ向かい、家族で別荘に着く前に頂く、腹ごしらえの味であり、焼きビーフンは、土曜のおいしいお昼ごはんだった。ワッフルはかつての恋人が、ここのは美味しいんだよと銀座で焼きたてを買ってくれて、車の中で頂いた味。

    経験が味の共感をつくるのだなということを教えてくれる一書であった。

    ともあれ。

    この方の視線のやわらかさ、落ち着いた筆致は、さすがで、読んでいる間、お煎茶やほうじ茶など
    あたたかいお茶を淹れて、ゆったり読ませて頂いた。

  • 国立国会図書館のNDC10版では900番台なのにな・・・
    借りた本は 596:家政学の食品・料理の分類。この差は何だろう。各図書館で分類を判断しているのかな?

    はじまり 春のレシピにうれしくなった。今秋だけど春が楽しみ。わかめとタケノコ、たのしみ!

    日常の手触り 3.11の風景が書かれていた。日常は綿密な信頼と安心の上に成り立っている。が染み入った。

    潮干狩りでアースする 子どものころの体験は、無垢であるうえに思い返すとなつかしく、ほっとするものがある。アースして無垢にもどれてよかったと思う。

    桜の木の下で この挿絵の桜もち、関東だなと思う。あんこが見えている。おいしそうだ。食べたくなってきた。

    何篇か和菓子のはなしだった。おいしそう。

  • 懐かしくてやさしい。しみじみとした気分になる。イラストが可愛らしく素敵な作品。

  • 文章も絵も綺麗で、図書館で借りた本だけれど蔵書に欲しいくらい好みのエッセイだった。
    食べもののエッセイだけれど、その食べものを通じた著者の記憶にふれていて何だかじんと来る。
    文章は、感情的にならない冷静な描写でありながら、食べものや周囲へのいとしみに溢れた視点で描かれていた。食べものの描写が具体的で的確で分かりやすく、そして文章が綺麗だった。

  • あ-もう、表紙のホットケーキからしてノックアウト!「幸せって何?」と聞かれたら「あの日の夕方」と答えられるほどに鮮明な、その日の匂いと音と空気の表現。読書好きにありがちな読書のお供。そうそう柿の種って、こんなでっかい缶だった。「若くてきれいなうちに恋をしなさい」と言ったトヨ子先生。耐震補強の3年後の3/11に知る「日常」の感覚…。潮干狩りで「アース」する、ていいな。桜吹雪に革の匂い、春特有の感情、それは関東あたりが北限かな(笑)

    お茶の先生の、情報収集能力と記憶力、そしてもてなす心遣い…素敵な大人のお手本!父との焼きビーフンの思い出に、私は祖父との焼きそば屋台の思い出を重ねたな-。つやつやな柿の種、湯のみのお茶、陶器のマグのミルク、透明感が涼やかな「沢辺の蛍」て葛まんじゅう、カレーライスのしずる感。

    端から食べたわっぱ弁当の海苔段々の断面がリアル!そんでも人のが羨ましかったコロッケパンの、ふっかふかなパンとソースのしみたコロッケ!あーもう、私の脳内今日のランチはコロッケパン一択よ!縞の着物はいい女が着てるもの、言うなれば沢村貞子、そして大船軒の鯵の押し寿司は駅弁の沢村貞子ってwwすごい飛躍だけどすごい頷けるww

    そして「母とホットケーキミックス使ってホットケーキ焼いた」思い出からの「ちびくろサンボ」がこの世代の共通体験。うちの娘たちは「しろくまちゃんのホットケーキ」だな。焼くときいつも「ふくふくふく…くんくんくん…焼けたかな…まぁだまだ」やってたっけなー♪

  • 「女はね、まだまだ立場が弱いの。結婚だって、未だに女は『もらわれる』立場なのよ。だからあなたたちは、若くてきれいなうちにちゃんと恋をして、好きな人と結ばれなさいね(P36より)」



    『ちゃんと恋をしてね』って、
    若い(私もまだ若いと思ってますがw)子に偉そうに言及するならおんなじことをいうなぁ。
    愛の伝え方も感じ方も人それぞれだから、一生懸命にひとを好きになって、依存したり、喧嘩したり、ふってふられて憎らしくなって。両思いだってわかった時の最高の幸福感と色んな感情がまとわりつく苦しさを味わって、愛する喜びと苦しみを全力で感じて欲しい。

    ただ若い=きれいだと、負け惜しみでなく一度も思ったことはなくて、歳を重ねるってすごく素敵なこと。10年前と比べるとシミもシワも増えたけど、いまの方が絶対いい女だたと断言できます。何がいい女か言語化できませんがね(笑)。


    そんなことを考えながら、ホットケーキを食べたくなりました♪


    思い入れのあるたべものと共に残る記憶が温かくってやさしいエッセイ集です(๑>◡<๑)

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著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

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