辞令 (文春文庫 た 72-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167909628

作品紹介・あらすじ

ビジネスマンの命運は、たった1枚の紙切れに左右される!大手エレクトロニクスメーカーの宣伝部副部長・広岡修平に、突然、辞令が突きつけられた。異動先は「人事部付」。有能で人柄も良く、大きなミスもせずに社内の出世レースのトップを走っていた広岡に、左遷される節は思い当たらない。仕事に対する情熱と正義感では引けをとらず、自他共に認める同期の第一選抜だった広岡が脱落したのは、なぜか?その内実を自ら調査し始めると、会社内に蔓延する思惑とファミリー企業ならではの病巣が次々と明らかになる。敵は誰か? 同期か、茶坊主上司か、それとも……?ビジネスマンの人生を左右する「辞令」のカラクリを暴き出すビジネス小説界の「現代の新古典」!「サラリーマンならだれしも経験する人事異動の際の一場面。本作は1988年の刊行だが、30年たっても古びた印象がしないのは、企業社会の本質である『組織と人間』の問題を、『辞令』というそのものずばりのモチーフで活写しているからにほかならない」――解説・加藤正文

感想・レビュー・書評

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  • 会社を登るとこんな景色が待っているのか。
    私には縁のない話だからこそ、笑えるが、本人だったら溜まったもんじゃないという感じ。
    島耕作みたいな世界観。

  • 会社の維持・発展のために欠かせないものって何かを考えたとき、会社の組織体制とそれを支える人材だと自分は思っているし、上司からもそう教わったことがあります。
    この本では、そうした組織の在り方を公平適正に評価されずに苦闘する役職職員の葛藤が描かれていた。
    官民問わず、人事評価に伴う人事異動の時期。
    今、まさしく密室会議で人事異動(辞令交付)の打ち合わせが行われていることと思います。
    人事を評価し、辞令を発する担当も御苦労なことだけど、私は個人的に、「人事」ほど公平適正なものではないと硬くなに疑ってやまない(これはあくまで私見です)。
    ともかく、この本を読んで、苛立ち反面、適正公正な評価を職業人全てに当てはまることを願ってやまない気持ちになりました。

  • このままでいいのか?なんか切ない。それが組織の中で生きていく者の悲しさか。
    対抗できる全てを尽くしても、この結果。新しい自分の生きる場所を探すのは、わたしの経験にも通じる。切ないな。

  • 仕事ができ大手メーカーの宣伝部副部長の主人公の広岡が会社のオーナーである小林一族の都合で左遷される。理不尽な人事にいらだつ広岡は自ら調査に乗り出す。ファミリー企業にありがちなこうしたケースがうみだす弊害は枚挙にいとまがないがそれでも与えられた境遇で最高の結果を出そうとする広岡の姿に心を打たれる。詳細→
    http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou6403.html

  • 一枚の辞令に翻弄されるサラリーマン達を描いた作品。とにかく、時代を感じる。

    これが令和の時代なら、おそらくほとんどの人が躊躇なくこんな会社辞めて転職するだろう。
    それができない(というかその選択肢がなかった)この時代、自らの保身のため、親友のため、家族のため、部下のため、愛人のため(?)にこれだけ駆け回れるなんて…。昭和の人は、誰しもが24時間戦うバイタリティーを持ってたんだろうなと思いました。
    この時代に生きた人はさぞ大変だったろうけど、その裏で会社の金でイイコトしたり、取引先の金でイイコトしたり…。今では社会通念上許されない楽しくて刺激的なコトもたくさんさせてもらえたんだろうな…と推察しました。

  • いまいち。理不尽だけどありがちな人事がストーリーになっているだけで、おちがない感じがして読み終わっても「何が言いたいの?」と言いたくなった。

  • 携帯電話のない時代を生きるサラリーマンの悲哀を描いた作品。
    上に媚びる者、自身の正義を貫こうとする者、どちらが正しいかは目に見えてわかるはずなのに、会社という組織がそれを歪めていく様子が面白かった。

  • いつもながらの高杉良氏お得意の展開。一気に読了。新鮮さは全くありませんが、スカッと❗ありがとうございました

  • ザ昭和

  • まさに会社員にとっては、切っても切れない言葉である。

    オーナー一族が牛耳る同族会社において起こる悲喜交々が、生々しい会話と共に描かれていく。

    オーナーの傲慢、茶坊主になりきる者、正義を貫く者、会社の業績を上げるために清濁を併せ呑む者、色艶、、、そういった話がない交ぜになって、会社という社会の凝縮した内容を描いている。

    企業小説、経済小説としては、やはり面白い。一気に読み込んでしまった。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。専門誌記者や編集長を務める傍ら小説を書き、75年『虚構の城』でデビュー。83年、退職し作家に専念。緻密な取材に基づく企業・経済小説の問題作を次々に発表する。代表作は『小説日本興業銀行』『小説ザ・外資』の他『金融腐蝕列島』シリーズ全5部作など。

「2023年 『転職』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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