血脈 中 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2017年12月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (688ページ) / ISBN・EAN: 9784167909796

作品紹介・あらすじ

佐藤愛子といえば、やはり『血脈』!

それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。
大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。
圧倒的迫力と感動の大河長篇。

圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。

【旧版からの変更点】
(1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。
(2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。

(中)のあらすじ
昭和9年、四男・久が女と心中を図り、死んだ。サトウハチローとなった長男・八郎は、いまや売れっ子詩人で、あちこちに女を囲っていた。次男・節と三男・弥は相変わらず、親に金の無心を続けている。戦争の足音とともに紅緑に忍び寄る老いの影。敗戦を迎え、節を広島で、弥をフィリピンで失った。ハチローは「リンゴの唄」をはじめとして、次々とヒットを飛ばしていた。息子たちの放蕩から解き放たれた時、紅緑の生命は輝きを失っていく。

みんなの感想まとめ

家族の愛憎と時代の波に翻弄される佐藤家の物語が描かれています。特に、元妻とその子どもたちの問題を抱える紅緑の姿や、彼を取り巻く女性たちとの関係が中心に展開され、視点が多様に変わることで物語に深みを与え...

感想・レビュー・書評

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  • なまけもので、金遣いが荒く平気で借金を繰り返し、暴力沙汰を起こす、ハチャメチャな元妻の四息子たちのしりぬぐいをつねにしなければならない佐藤紅緑と二人目の妻シナ。
    豪快で直情径行なお父さんの遺伝子を受け継いだから、サトウハチローをはじめとする不良4人息子たちが出来てしまったのか、またシナ(三笠真理子)という女優に異常に執着して、元妻を追い出し、病死させてまでしまった紅緑の仕打ち、息子たちの寂しさ、その環境がそうさせるのか。

    ほとんどをシナの目から見た佐藤家の行く末が、この中編のストーリー。もちろん作者がシナさんと紅緑の娘愛子だから、その視点になるのだろうが。
    視点といえば主にはシナさんであるが、多々の登場人物にくるくると視点が変わるところに面白さを増している佐藤愛子の筆力、うまさがあると思う。

    また、昭和時代の始まりから敗戦までのこの小説の時代背景が、敗戦の時にわたしは四歳だったので、「そうかこんな時代模様だったのだ」といまさらながら目を開かせてくれた。わたしの両親の話からではうすぼんやりしていた記憶がよみがえるような気がした。卑近さがよかった。いや、こんな派手な状態ではなかっただろうが、生活している姿が生き生きと立ち現れているからなのだ。

    この小説はちょっと日本版『カラマーゾフの兄弟』を意識しているようなと思っていたら、下編でシナと愛子のそんな会話が出てきたよ。

  • 緊迫した展開が続いた上巻に対し、佐藤家一族の大河ドラマは中流域に入り、流れは少しゆるやかになる。時代は1934~48年、戦争を挟む15年間。兄3人、そして福士幸次郎が亡くなり、父紅緑も亡くなる。
    愛子本人が頻繁に登場する。11歳から25歳、結婚して2人の子を産む。しかし、あの力強い「佐藤愛子」はまだ姿を見せない。試練の修羅場はもう少し先の話。
    ハチローは(とくに戦後は)活躍の絶頂期。そのハチャメチャな生きざまと文才は、往年の紅緑のそれとほぼ重なる。蛙の子は蛙、書名「血脈」のゆえん。
    この巻も、愛子の筆は容赦がない。往年の栄光を知るほどに、紅緑の耄碌ぶりが痛ましい。

  • 佐藤愛子の傑作。
    不詳の兄たちを、いずれも戦争で相次いで失い、父洽六(紅緑)も弱っていき、やがて旅立っていく。一方、長男八郎(ハチロー)は、作詞の才能が認められていった。愛子は、そうした経験をしてきたことさえ、後々の『九十歳、何がめでたい。』に繋がった。

  • 【佐藤愛子といえば、やはり『血脈』!】物語は、佐藤紅緑が新進女優を狂おしく愛したことに始まった。大正から昭和へ、佐藤家を焼き尽くす因縁の炎。迫力と感動の大河長篇。

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著者プロフィール

大正12年、大阪生まれ。甲南高等女学校卒業。昭和44年、『戦いすんで日が暮れて』で第六十一回直木賞を受賞。昭和54年、『幸福の絵』で第十八回女流文学賞を受賞。平成12年、『血脈』の完成により第四十八回菊池寛賞、平成27年、『晩鐘』で第二十五回紫式部文学賞を受賞。平成29年4月、旭日小綬章を授章。近著に、『こんな老い方もある』『こんな生き方もある』(角川新書)、『破れかぶれの幸福』(青志社)、『犬たちへの詫び状』(PHP研究所)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)などがある。

「2018年 『新版 加納大尉夫人 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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