惑いの森 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2018年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167909987

作品紹介・あらすじ

毎夜、午前一時にバーに現われる男。書かれなかったはずの手紙を、たったひとり受け留め続ける郵便局員。植物になって生き直したいと願う青年――これ以上なく愛おしき人々の、めくるめく毎日が連鎖していく。『教団X』『去年の冬、きみと別れ』『R帝国』など、話題作をぞくぞく放ち、世界中で翻訳される作家の、狂気とユーモア、愉悦、すべてが詰め込まれた魔性の50ストーリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • ⚫︎本概要
    毎夜、午前一時にバーに現われる男。書かれなかったはずの手紙を、たったひとり受け留め続ける郵便局員。植物になって生き直したいと願う青年――これ以上なく愛おしき人々の、めくるめく毎日が連鎖していく。『教団X』『去年の冬、きみと別れ』『R帝国』など、話題作をぞくぞく放ち、世界中で翻訳される作家の、狂気とユーモア、愉悦、すべてが詰め込まれた魔性の50ストーリーズ。

    ⚫︎感想
    中村文則氏のさまざまな短編がつまった一冊。大作のアイデアのもとになっているなと思うものや、不思議な話、作中に中村氏と思われる人物が出てくる話など。著者はよくご自身の作品を暗いとおっしゃっていて(そういう話も作中にあり)、作品のテーマは明るくはないものが多いけれど、なにかほんのり、うすぼんやり、明るいかな?というような感触があるので、私は著者の作品が好きだ。またふと読みたくなりそうな魅力がある。

  • 短編集で全体的に暗め。
    この作者の本を今までまだ読んだことがないが、
    他の本を読んでから再度この短編集を読んだら
    しっくりくるかもしれない。
    初めて読むには抽象的で掴み所がなく
    あまり内容が入ってこなかったのが残念。

  • わずかに救われるような、やっぱり救われないような。
    でもそこが良い。
    優しい本と帯にあったがカフェで食事しながら読んだら具合悪くなりそうになった。
    まあそこが良い。
    これまでの長編でやってきたことの集大成というか、中村文則ダイジェストというか、
    今まであまり中村文則を読んでこなかった人、あまり好きじゃないという人に、入門編として勧めたい気持ちになった。

  • 2010〜2011年Web連載+書き下ろしの50篇の掌編集。中村作品にはないトーンのものや長編で見られる世界の断片が現れている。作品のアイデアスケッチのような趣きがある。‬

  • 50のショートストーリー集です。

    どの作品もそれぞれ違った良さがありますが、私が特に印象に残っているのは、“他人には理解することのできない、彼女だけの苦しみの中に(p39)”いる女の物語『8 雨宿り』や、“生き難さを抱えているすべてのひと達のために祈れって(p175)”教祖が言ったという『45 供述』、“生き難さを感じるひと達と同じ場所で歌えばいいんだ(p182)”と思い歌う『47 すべてのひとに』です。

    人それぞれ生きる苦しみはあるかもしれませんが、希望の光が見え、心が温かくなり励まされる、“やさしい作品集”でした。著者のやさしさが詰まっていました。

  • 二週間に一話はハイペースだけど、この一冊におよそ一年の時間がそのまま流れているわけで、そう考えると面白い。

    あとがきにあるように、ファンの方が持ち歩きたい作品と言うのは分かる気がした。
    (『銃』やら『遮光』やら、中村文則のカバンに潜めるシリーズは不穏だけど、笑)

    「タクシードライバー」という、冒頭の話が、とても良かった。
    同じ時間に、同じことをしなければならない、そんな制約がどんどん強まっていく男。
    同じ時間に、同じバーに来て、同じタイミングで飲み始め、飲み終える。
    それさえ怖くなって店長には時報を流しておいてもらう。

    自分は繰り返しだけをひたすら願うのに、周囲の無遠慮な変化はそれを赦してくれない。
    同じ時間、同じバーにあるはずの席が、その日混雑していて、なくなっていた。

    人であろうとするから、制約が付いてくる。
    だけど、人であったから、救われることもある。
    途中から自分の中の強迫観念のようなものに触れていることに気付きながら、結末に、私が救われた。


    「宗教や神話にあるヘブンとは、本当は、あの世のことではないのだから。ひとが世紀を跨ぎながら創り上げていく、その先に実在する世界のことだから」

  • 50篇のショートストーリー集。著者の作品に通底する不条理な悪、欲望への偏執といったモチーフを扱うものから風変わりしたものまで様々収められている。その裏側で見え隠れする縦軸の物語が長篇のアイデアに通じているようにも感じられた。

  • 久々に中村文則作品。相変わらずのディストピア感と胡散臭い宗教団体に癒されます。

    あまり深読みせず、世の中のはみ出しものたちへの応援歌ということで。その絶望感や憂鬱を表す各作品が個性的でいい意味で嫌悪感を催しますね。でも、やっぱり長編でこれでもかって不条理を深掘りほじくり返すのほうが好みかな。

  • すごくよかったし、読みやすかったと思う。人が抱えてる寂しさや闇も丁寧に描かれている上で、全部優しさに包まれていたと思う。特に供述が好きだった。人の柔らかくて温かい部分は、不滅だと信じたい。

  • 毎夜、午前一時にバーに現われる男。投函されなかった手紙をたったひとり受け留め続ける郵便局員。植物になって生き直したいと願う青年―狂おしいほどに愛を求めながら、満たされず生きてきた彼らの人生に、ふいに奇跡が訪れる。抗えないはずの運命に光が射すその一瞬を捉えた、著者史上もっともやさしい作品集。魔性の50 Stories。

  • ブクログさんの「読みたい本プレゼント」でいただいた本。
    寂しさが詰まっていて、読むのに少し時間がかかりました。
    短編集だけど、どこかは繋がってて、ページを行ったり来たり。
    繋がりを考えずに、シンプルに読んだらまた違うのかも。

  • 読み終えて、好きだと思った。

  • 物語の欠片を集めたような、50篇からなる掌編集。
    石ころのような印象は拭えないが、これを研いでいくことで作品ができていくのだろうなあ、と思った。

    松倉香子さんの挿絵が少し不気味で、柔らかくて素敵だった

  • とても短い編の集まりで、それぞれの物語がゆるく繋がっている。一編がとても短いので主人公の心情があまり深掘られていないなという所感。

  • 超短編集。
    共通っぽい人が出てきたり、ぶつ切りな物語だったり
    いろいろ混ざってた。

  • 中村文則の作品性を楽しむというより、ひとつひとつの物語に好きなところとか、好きな言葉とか、この話好きだなあとか、そういう本。
    おそらく来年読んだときと今読んだときで好きな話が違うだろうし、心にくるところも違うだろうし、そういうところを楽しむ本だと思いました。
    個人的にはAppleとクマのぬいぐるみが好き。

  • それでも生きてゆこう、と思える不思議な出来事の数々。

  • 最近、中村さんの本を最近少しずつ読み進めている。短編集よりも更に短い掌篇集。バラバラと繋がりのない作品ばかりかと思いきや、少しずつ時間や人物が共有されている。中村さんにしては救いのある物語ばかりで少し息抜きしながら読んでいられた。気軽に読めるし、身構える必要もない。時々ひりひりするけれども。

  • 世界観を共有しながらも、独立したショートショートを集めた短編集。

    物語では、世界に対する復讐を企てるテロ集団のような教団がある。「白い服を着た、胸に妙なバッジをつけた」教団の人間たちは、社会に対する憎悪になり得る「傷」を持った人々を、仲間とすべく集めている。一つ一つの物語は、そうした「傷」を心に抱えた人々の物語が多くを占める。
    自らの「傷」を復讐のための刃物とするために教団に入団する人。「傷」も自分の一部だとして、差し出すことを拒む人。大切な人との出会いによって、「傷」が癒された人。
    自分たちの人生にある闇との、様々な向き合い方が、描かれる物語だった。

    1番印象的だったのは、「48 ソファ」だった。両親が離婚したらしき少年は、父親について行くことを決め、新しい学校へ転入する。彼の心の支えになっているのは、不思議な広い部屋の動物達であった。
    動物達は、少年に、「お別れだね」と言い、もうこの部屋に来てはいけないと言うものの、少年は、それからも繰り返し部屋へやってくる。動物達は、そんな彼を口では拒むものの、断りきれない。
    少年と動物達の温かな関係の物語だった。

  • たぶん私はこの本を何度読もうが理解できません。50編で200頁。独立した短編集かと思いきや、これはあの人あれはこの人という人物がいっぱい出てきて、でもどうなっているのかまるで説明できない。こんなに訳がわからないのになぜか退屈ではなくて、この世界をわかりたいと思ってしまう。

    時に登場するご本人もどきは好きになれないけれども、タクシー運転手が、郵便局の人が、塔を作りつづける老人のことが気になって仕方ない。わからないのに美しく、不思議と陰鬱な印象は受けませんでした。私もハシゴをのぼりたい。世界は美しいと思いたい。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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